お客様事例/製造業

2023 年
ナブテスコ株式会社

ナブテスコ、基幹システム基盤に SAP on AWS を採用 制限のあるプライベート環境から脱却し「攻めの DX」を実現

柔軟性、拡張性の獲得

インフラ調達コストの削減

災害時の事業継続環境の構築

概要

産業用ロボット向け精密減速機や建設機械向け油圧機器をはじめ、鉄道、航空、船舶、商用車などの輸送用機器向けの主要部品を提供するナブテスコ株式会社。その他にも、自動ドアや包装機などその事業活動は幅広いものです。さまざまな領域に挑戦する同社はさらなるデジタル活用に向け、プライベートクラウドで運用してきた基幹システム SAP R/3 からアマゾン ウェブ サービス(AWS)上の SAP S/4HANA へと移行。社内カンパニーの移行を順次進めながらデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速しています。

ナブテスコ株式会社

ビジネスの課題 | 柔軟性・拡張性・コストパフォーマンスに優れたデジタル基盤の構築

「うごかす、とめる。」を精密に制御するモーションコントロール技術を中核とし、日常の中にある身近な製品や、輸送機器、産業用ロボット、建設機械など、私たちの社会に欠かせない製品・機器を提供するナブテスコ株式会社。同社グループは 2021-2030 年までの長期ビジョンとして「未来の“ 欲しい” に挑戦し続けるイノベーションリーダー」を掲げ、新たな価値を創造する、時代の一歩先を行くイノベーションリーダーになることを目指しています。そのために欠かせないのが DX の実現で、これまでの紙や手作業を中心としたアナログなデータ処理からの脱却や、データ分析基盤の確立を進めています。

「ナブテスコグループは『チャレンジ』をキーワードに取り組んでいます。基幹システムである SAP ERP と周辺システム基盤の高度なデジタル化が DX につながると考えています」と語るのは、情報システム部システムセンター長の枝川 文彦氏です。

ナブテスコグループがこれまでプライベートクラウド環境で運用してきた基幹システムの SAP R/3 は、2025 年*に保守期限を迎えようとしていました。これによりセキュリティ対策や法改正への対応に困難が生じて業務が継続できなくなるリスクがあるだけでなく、システム構築から 20 年が経過し、経営環境の変化への対応が困難な状況に直面していました。特に製造現場の製造指示や帳票、会計には紙の書類が使われてきたため、デジタル化による効率化やデータ利活用の推進が強く求められていました。加えて、プライベートクラウド環境では多くの処理が集中する月の初めにはリソースが足りなくなるという課題もありました。情報システム部 システムセンターの菅公成氏は、「通常 10 分程度で終わる処理も、ユーザーが集中する月初めには数時間に及ぶこともあり、プライベートクラウド環境では業務遅延の解消が難しいと考えていました」と振り返ります。

このため情報システム部では 2017 年ごろから、基幹システムを SAP S/4HANA に移行する構想を打ち立て、コンサルタントにも相談して、現状分析から将来像を描いていきました。部内でクラウドファーストの方針を出したタイミングとも重なり、運用をよりシンプルにし、運用負荷やコスト削減、外部環境の変化にもよりスムーズに対応できる基盤を目指しました。 

* 同社検討時点における SAP 社公開情報

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クラウドサービスとしての AWS の柔軟性・拡張性は期待した通りで、AWS が行う新機能の追加やコストダウンに対しても『良いものを安く活用できている』と感じています”

菅 公成 氏
ナブテスコ株式会社 情報システム部 システムセンター

ソリューション | 東京と大阪で DR 環境を構築し、段階的な移行計画を策定

ナブテスコは、2018 年末にベンダー数社に提案を依頼。柔軟性や拡張性、コストなどを比較した結果、SAP S/4HANA を AWS 上に構築することを決定します。

情報システム部 システムセンター 参事の日比野正樹氏は「クラウドサービスを利用してスモールスタートできれば、初期費用を最小限に抑えられるとともに、将来の利用増加を見据えた拡張性を確保できると考えました。当時は SAP S/4HANA の導入実績があまりなかったこともあり、私たちが考える納期で実現できることを重視しました」と語ります。複数の社内カンパニーの基盤を数年かけて移行するため、順次リソースを増やしていけるクラウドのメリットを評価したのです。AWS パートナーとして NEC を選んだのは、SAP の案件の実績とノウハウ、AWS との強いパートナーシップ、そして技術力が理由です。

「NEC から、SAP を AWS 上に構築するプロジェクトを展開した実績があり、ノウハウが活かせるという話があったことも含め、同社の提案に実現性の高さを感じました」(日比野氏)2019 年 2 月にプロジェクトは動き出します。要件定義や認識のすり合わせを行ったのち、6~7 月に開発とテスト環境の構築を進めました。その後は本番環境の構築や、SAP R/3 からのデータ抽出など運用の準備を進め、2020 年 1 月には本社経理部門の利用がスタートしました。SAP S/4HANA のためのインフラ基盤は、初期導入費用を抑えながら拡張性や柔軟性、他のシステムとの連携を考慮して構築。AWS の日本国内にデータを保持できる構成がベストと判断し、リージョン内の冗長化構成に東京リージョンと大阪リージョンの 2 か所による災害復旧を採用。障害対応時間を最小限にできる高い信頼性も追求しました。

AWS と NEC はプロジェクト体制の中で、メンバーの理解が一致するように補足説明を入れるなど、スムーズなプロジェクト運営判断につながる努力を重ね、予定していた期間での導入を達成しました。その後、2022 年までに精機、パワーコントロール、航空宇宙の 3 つの社内カンパニーが移行完了し、利用がスタートしました。プロジェクトについて枝川氏は、「AWS と NEC のメンバーは、初期のインフラ構築段階から当社の難しい要求に対し、非常に粘り強く解決策を提示してくれました。その後の社内カンパニーの移行時などでインフラに大きな課題はありませんでした」と評価しています。

アーキテクチャ

アーキテクチャ

導入効果 | データ分析基盤の連携でさらにDX を推進

ナブテスコグループでは、2024 年までに 6 つの社内カンパニー / グループ会社の基幹システムを段階的に移行する計画です。国内カンパニーの移行の後には、中国やアメリカのグループ企業の移行も予定されています。

利用中の SAP S/4HANA on AWS について菅氏は、「AWS の柔軟性・拡張性は期待した通りで、AWS が行う新機能の追加やコストダウンに対しても『良いものを安く活用できている』と感じています」と語り、NEC については「プロジェクトマネージャーが課題や要求事項を整理してメンバーに展開し、しっかりプロジェクトを管理してくれたので、私たちは社内の調整だけをすればよく、安心してプロジェクトを推進できました」と評価しています。今後についても日比野氏は「AWS 以外のインフラやアプリケーション開発、データ分析の面でのサポートをお願いしたい」と NEC に期待を寄せています。

基幹システムの SAP S/4HANA への刷新をきっかけに、社内のアナログ情報のデジタル化や、業務への積極的なデータ活用が進んでいます。デジタルデータを分析 / 活用するための新たな分析基盤と、SAP S/4HANA を連携しながら DX を進めていくことが期待されています。菅氏は最後に次のようにコメントしました。

「SAP S/4HANA on AWS の導入は、まだすべて終わったわけではありません。止まってはいけないシステムですから、AWS と NEC には安定運用を持続できる体制を維持していただきたいです。さらにシステムの使いやすさと信頼性を高めながらコストも下げられるように新たな AWS のサービスも取り入れていけるよう、アドバイスもいただきたいと思っています」

カスタマープロフィール: ナブテスコ株式会社

2003 年に帝人製機株式会社と株式会社ナブコの統合により誕生。独創的なモーションコントロール技術で、生産現場の自動化や陸海空の安全・安心・快適な移動を支える機械コンポーネントメーカー。中大型産業用ロボットの 関節用途向けの精密減速機では世界市場シェア 60%、建物用自動ドアでは国内市場で約 55% のシェアを有する。

高橋 悠人 氏

高橋 悠人 氏

日比野 正樹 氏

日比野 正樹 氏

菅 公成 氏

菅 公成 氏


AWS プレミアティアサービスパートナー

日本電気株式会社

NEC は、AI や IoT などさまざまなテクノロジーを活用したデジタルトランスフォーメーションにより、安全・安心で効率・公平な都市実現を支える NEC Safer Cities と、人・モノ・プロセスをバリューチェーン全体で共有し新たな価値を生み出す NEC Value Chain Innovation の提供に取り組んでいる。AWS プレミアティア サービスパートナーに認定されている実績、経験を活かし、お客様のデジタルトランスフォーメーションの実現をサポートしている。

日本電気株式会社

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