AWS Lambda はとにかくコストが安く、確実に動く安心感があります。Amazon EC2 での同等な構成と比較すると、コストは 10 分の 1 程度になります。
AWS Lambda のように運用管理の手間が大幅に削減される環境は大きなメリットです。コスト削減はもちろん、それにより削減される時間と手間を、新たなサービス開発に充てることができるからです。
猪飼 大志氏 株式会社 日本経済新聞社 デジタル編成局 編成部

日本経済新聞社は「激動するグローバル経済における優れたナビゲーターでありたい」という考えのもと、新聞発行を軸にした複合メディア企業を目指しています。現在では、新聞、テレビ、ラジオ、書籍、電子版と新しい技術を駆使し、タイムリーな情報提供を行っています。中でも 2010 年創刊の「日経電子版」は、最新機器や表現方法にも対応し、新聞で培った情報の品質とインターネットの利便性を兼ね備えた革新的なメディアとして成長を続けています。

日経電子版では、日本経済新聞の朝夕刊に掲載されたすべての記事を読むことが可能です。さらに独自のコンテンツも用意されており、電子版の特性を活かし朝刊、夕刊の時間帯だけでなく24時間コンテンツの随時更新を実施して、ニュース報道の適時性、即時性を追求しています。

日経電子版では「ビジネスリーダー」「マーケット」「マネー」「テクノロジー」「ライフ」「スポーツ」の 6 つの専門セクションを設けて記事を掲載しており、さらに日経 BP 社、QUICKなど、グループ各社の記事、データ、映像も閲覧することができます。豊富なコンテンツは、最新デジタル技術を用いることで Web、モバイル端末など多様なデバイスに対応しています。読者は記事の独自管理もでき、登録したキーワードに基づいた自動記事収集機能や検索、メールへのプッシュ配信など多彩な機能を持っています。

日本経済新聞社では日経電子版を運用する上で、膨大なアクセスを如何にして捌くかということが当初からの課題となっていました。特にモバイル版からの閲覧ユーザーが増えてからは、アクセスのピークを予測することが困難となりつつありました。「10 万を超えるユーザーのアクセスに対応するためには、ピーク時に備えて余裕のあるシステム容量を確保すればよいですが、その反面インフラコストは増大してしまいます。こうしたシステム容量の最適化は、至急解決したい重要な課題でした。また、多彩な機能を随時追加していることもあり、新機能開発の時間短縮なども課題の 1 つでした。」と、デジタル編成局 編成部 鈴木 陽介氏は言います。

日経電子版のサービスを始めた当初は、オンプレミス環境で運用されていましたが、モバイル版の開発を始めた 2013 年頃から、一部でクラウドの利用も開始されました。「インフラとフロントエンドのシステムをスケールアウトで簡単に拡張でき、そのための運用管理の手間がかからないクラウドには、当時から注目していました。」(鈴木氏)

以降、日本経済新聞社ではモバイル版の新たなサービス開発プロジェクトに Amazon EC2 を導入したのをはじめ、2015 年には、自社オンプレミス環境の老朽化に伴い、サービス系システムを AWS クラウドへ全面的に移行しました。「AWS を選択した最大の理由は、サービスを稼働させたまま簡単にスケールアップ、スケールダウンが行えることです。モバイルユーザーの増加に伴い大きく変動するようになったアクセスに対して、タイムリーにシステムをリサイズできる拡張性や柔軟性の高さがメリットです。」(鈴木氏)

もう 1 つ AWS が採用されるきっかけとなったのが、東京リージョンの開設でした。「電子版のサービス提供をする上で、システムのレイテンシーは重要でした。日本にデータセンターがないと、インターネット越しに結果を返すのに 400 ミリ秒ほどかかってしまいます。データセンターが近くにあれば、十分なサービスレベルが提供できます。」(鈴木氏)

日経電子版のシステム移行では、サーバーに Amazon EC2、ユーザーのセッション管理に Amazon DynamoDB、システム全体のバランスをとるため、Elastic Load Balancing が活用されています。また、新聞紙面と同じレイアウトで閲覧できる「紙面ビューアー」機能では、紙面画像データを扱うために Amazon S3 も利用されています。

紙面ビューアーでもう 1 つ活用されているのが、AWS Lambda です。紙面ビューアーでは、機能のリニューアルを機に画像の種類を変更し、その画像処理を AWS の上で行っています。 この部分は当初、Amazon EC2 と Amazon S3、さらにメッセージングキューサービスの Amazon SQS を組み合わせ、Python でコーディングして構築していましたが、ほぼ機能も出来上がったタイミングで、AWS Lambda が東京リージョンでも利用できるようになりました。「AWS Lambda なら Amazon SQS を使ってファイルを処理するよりもパフォーマンスの改善が可能ですし、なによりサーバー運用管理の手間を削減することができます。そこで、改めて AWS Lambda の活用をチーム内で提案し、承認を得てから、AWS Lambda を利用した画像処理の機能を再構築することになりました。」(猪飼氏)

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「移行後は、負荷に応じインスタンスを増減するといった管理が簡単に行えるようになり、コスト削減にもつながっています。」と、デジタル編成局 編成部 武市 大志氏は言います。

また、画像処理機能を AWS Lambda に変更したことで大幅なコスト削減を実現することができました。「AWS Lambda はとにかくコストが安く、確実に動く安心感があります。Amazon EC2 での同等な構成と比較すると、AWS Lambda のコストは 10 分の 1 程度になります。」(猪飼氏)

日本経済新聞社では、紙面ビューアーの稼働状況監視のために、AWS Lambda のエラーメッセージを Amazon CloudWatch と連携させ Slack に通知するようにしており、これまで運用上問題となるトラブルはほぼ発生していません。「日本経済新聞社では、Amazon EC2 のインスタンスを数 100 以上運用しており、負荷に合わせて管理していますが、AWS Lambda は負荷が高くなれば瞬間的に数万台分の処理が勝手に動きます。この拡張性と運用管理の楽さは、大きなメリットです」(鈴木氏)

さらに、AWS Lambda は Amazon Linux で動くものであれば特殊な処理も簡単に動かすことができる点もメリットの一つです。 Amazon Linux で動くコードであれば、コンパイルし結果のバイナリを入れ Node.js で呼び出すだけで、ほぼどんなものでも JavaScript で簡単に動かすことができます。AWS Lambda の仕様を把握しておく以外に特別なプログラミングスキルは必要ないため、開発効率の向上にも寄与しています。

「弊社のように内製で様々な新機能を開発している企業においては、AWS Lambda のように運用管理の手間が大幅に削減される環境は大きなメリットです。コスト削減はもちろん、それにより削減される時間と手間を、新たなサービス開発に充てることができるからです。」(猪飼氏)

現在、日本経済新聞社では、電子版サービス系システムの新機能の多くは最初からクラウドで開発しています。また、すでに各種ログをパースして Elasticsearch に渡し解析するといった用途でも AWS Lambda を活用し始めています。「定型的な集計処理にも AWS Lambda は向いていると考えています。」(武市氏)

他にもリアルタイムのストリーミングデータ処理を行う Amazon Kinesis の利用も検討しています。「Amazon Kinesis で疎結合で処理できれば、より安価に AWS クラウドを使えるようになるのではと思っています。さらに複数のエンジニアが開発するような場合にも、疎結合は同時作業を行いないやすくなるメリットがありそうです。」(鈴木氏)

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- 株式会社 日本経済新聞社 デジタル編成局 編成部 猪飼 大志 氏

- 株式会社 日本経済新聞社 デジタル編成局 編成部 鈴木 陽介 氏

AWS クラウドがウェブアプリケーションにどのように役立つかに関する詳細は、ウェブサイトおよびウェブサイトホスティングの詳細ページをご参照ください。