導入事例 / 製造業

2023
日本ハム株式会社

日本ハム株式会社

日本ハム、ビジネス変革に貢献するデジタル活用を目指し SAP on AWS によってグループ基幹システムの統合・再構築を実現

20 ~ 30 %

IT インフラコスト削減

1/10

インフラ配備期間の短縮

インフラ品質の向上

事業継続性の確保

概要

食肉生産、加工食品事業を主に、水産物や乳製品の製造/ 販売も手がけるニッポンハムグループ。企業理念『食べる喜び』を追求しながら、持続可能な食環境づくりへの貢献を目指しています。同社は DX 戦略を実現するために IT 環境のクラウド/ モバイル環境整備や IT ガバナンス強化と合わせてグループの基幹システムの標準化を推進し、SAP ERP 環境をアマゾン ウェブ サービス(AWS)上に統合/ 再構築する『Connect Project』を 2019 年から開始しています。

ビジネスの課題 | システムの全体最適化によって、グループのさらなる価値向上へ

2022 年に創立 80 周年を迎えた食品企業のニッポンハムグループは、持続可能な社会の実現に向けて、2030 年のありたい姿として Vision2030「たんぱく質を、もっと自由に。」を策定しました。また Vision2030 を実現するために、自社の強みを活かし優先的に取組むべき重要課題として「たんぱく質の安定調達・供給」「食の多様化と健康への対応」「持続可能な地球環境への貢献」「食やスポーツを通じた地域・社会との共創共栄」「従業員の成長と多様性の尊重」を「5 つのマテリアリティ」として取り組んでいます。

同社は、長期的な成長に不可欠な素早い意思決定、変化・変革への対応、業務効率化による生産性向上、DX 対応の 4 つを実現する SAP ERP を中心としたグループ基幹システムの統合・再構築プロジェクト『Connect Project』を推進しています。

「従来は、事業や業務領域で個別最適化されたシステムをつなぎ合わせていました。しかし、これからの重要課題を解決し、目標を達成していくには、中長期的な成長を支えられる基盤として、全体最適化が必要だと考えました。グループ標準の IT システムに刷新し、セキュリティやガバナンス、従業員が生み出す価値を向上していきます」と、経営企画本部 IT 戦略部 部長代行の中村吉宏氏は語ります。

基幹システムの再構築に際して目指したのは、システムの統合/標準化による、迅速な状況把握と意思決定の実現、ニッポンハムグループ全体の効率化による生産性向上、激しい時流の変化に対応できる柔軟性の獲得、デジタル変革を実現できる最新技術の活用などです。

同社は 2017 年ごろから一部のシステムに AWS を採用していました。「従来のオンプレミス環境と比較して、AWS には QCD(品質、コスト、納期)のメリットを感じていました。クラウド化の基本方針はベンダー依存から脱却して IT部門による内製化を目指すところにあったため、その当時最も実績、ノウハウのあった AWS を選択しました。クラウド内製化の取り組み経験があったからこそ、Connect Project においてもクラウドのメリットを拡大できると考えました」(中村氏)

構築パートナーには、SAP とクラウドの知見を持つ専門家のリソースが豊富なアクセンチュア株式会社を選定。こうして、基幹システムを SAP on AWS にて運用する方針を定めました。

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AWS 利用は、オンプレミスと比較した場合、20~30% のコスト削減になっていると試算しています。機器や部材の調達から解放され、必要なレベルに応じて必要な環境を用意できるため、IT の品質も非常に高まりました

中村 吉宏 氏
日本ハム株式会社 経営企画本部 IT 戦略部 部長代行

ソリューション | 事業拡大に向けた拡張性と障害リスクに備えた構成

日本ハムの IT 戦略部が重視したのは、将来的な全体最適を目指すシステムの連携や拡張性です。SAP ERP 6.0 を社外のハウジング環境で利用していた同社は、SAP S/4HANA へのバージョンアップを機に、その基盤として AWS を採用しました。さまざまな新しいことに挑戦し、今後のグループ各種事業の拡大やデータ連携を図っていくなら、6.0 のサポート終了を待たず SAP S/4HANA に移行したほうがよいという判断です。まず会計システムを 2022 年 4 月に移行完了し、その後加工事業本部、食肉事業本部での基幹システムも SAP on AWS に移行していく方針としました。

データ連携に加えて重視したのが事業継続性です。2 か所のアベイラビリティゾーン(AZ)に本番環境と DR 環境をそれぞれ配備し、障害・災害リスクに備える冗長構成としました。「AWS には、物理的に障害が起こってもすぐに復旧できるサービスが備わっています。プロジェクトを進めるなかで大阪リージョンも立ち上げられたため、バックアップや大規模災害対策への利用を決めました。SAP システムの運用実績だけでなく、信頼性の高さやノウハウの豊富さを評価しています。また、初めて AWS を利用するときには、さまざまなことが起きます。そのタイミングで AWS にすべてを任せてはいけないと気づき、責任共有モデルをきちんと理解して進めたことが大きく、SAP on AWS は大きなトラブルなく進められました」(中村氏)

経営企画本部 IT 戦略部 リーダーの大山琢磨氏はオンプレミス環境との違いについて、「以前から AWS を使う中で、障害が起きたときの回復の速さを実感していました。オンプレミス環境では障害発生時に部材を調達するだけで半日、そこからデータ復旧をしていましたので、AWS の復旧スピードは圧倒的です。AWS を使っていく中で、ユーザーの肌感覚も変わっていきました。加えて、AWS のエンタープライズサポートを採用したことでテクニカルアカウントマネージャー(TAM)の支援を受けられるようになりましたので、さらなる安定運用を目指していきます」と語ります。

Connect Project で会計システムの構築をリードした経営企画本部 IT 戦略部 マネージャーの市原芳英氏も、「かつての環境では機器の障害によって、数日間会計業務が止まってしまうこともありました。AWS ならすぐに復旧できますので、このような課題は解消されたと思っています」と語ります。

また、日本ハムが利用している SAP モジュールには、日本ではあまり使われていないものもあります。そのため国内に知見のある専門家がいないことが懸念点でしたが、導入経験のあるアクセンチュアの海外のメンバーから協力を得て実装予定です。

「グローバルを含めて豊富な知見を持つ人材がそろっているアクセンチュアでなければ、SAP モジュールをうまく使って実装することはできなかったと思います」(中村氏)

アーキテクチャ

導入効果 | インフラコストを削減しながら柔軟性、可用性を向上

SAP on AWS の実現は、コストや品質の面で大きな効果をもたらしています。「IaaS としての AWS 利用は、オンプレミスと比較して 20~30% のコスト削減になっていると試算しています。機器や部材の調達から解放され、必要なレベルに応じて必要な環境を用意できるため、品質も非常に高まりました。サーバーなど調達の手続きから配備までの時間は 10 分の 1 くらいになっていると感じています」(中村氏)

日本ハムではクラウド利用によるインフラ配備/運用の内製化に加え、アプリケーションチームにも AWS 教育を行い、社内での連携強化にも取り組んでいます。「クラウド活用の分科会を毎月開催し、各自の案件を相談し合うなど、クラウド活用の意識が高まっています」(大山氏)

Connect Project は今後、より事業に近い領域のシステム移行段階に進んでいきます。市原氏は「これからユーザー数が大きく増えていく中でも、快適に利用できる環境にしていきたいです。また、以前は見られなかった膨大なデータをどう事業に活かしていくか考えていきたいです」と語ります。日本ハムにはデータサイエンスの研究部門があるため、新たなシステムから集まるデータを分析し、事業に貢献していくとしています。

中村氏は「IaaS によってコストを下げ、安定化するというのは IT 戦略部の業務の延長線上で行うべきことですが、データ活用については、事業に精通したメンバー育成や体制の構築をしていかなければなりません。さらにグループ会社や外部との連携も考えています。IT 戦略部としては、社内で旗を振ってさまざまなサポートをしていく存在になっていきたいです」と語り、ニッポンハムグループのさらなる展開を見据えています。

カスタマープロフィール:日本ハム株式会社

1942 年創業。ハム・ソーセージの製造から始まり、食肉、加工食品、水産物、乳製品、天然系調味料、健康食品などを製造・販売するニッポンハムグループを束ねる。企業理念「食べる喜び」のもと、2030 年のありたい姿として「Vision 2030」を策定し、“たんぱく質を、もっと自由に。”を企業メッセージとして、社会環境や人々のライフスタイルの変化に対応する多様な食シーンを創出している。


AWS プレミアティア サービスパートナー

アクセンチュア株式会社

アクセンチュアは「ストラテジー & コンサルティング」「アクセンチュアソング」「テクノロジー」「オペレーションズ」「インダストリーX」の 5 つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供する世界最大級の総合コンサルティング企業。また、AABG(Accenture AWS Business Group)を立ち上げ、AWS と協働してお客さまのクラウド活用を推進し、新たなビジネス価値の創出を支援している。

ご利用中の主なサービス

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。ウェブスケールのクラウドコンピューティングを開発者が簡単に利用できるよう設計されています。

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Amazon EBS

Amazon Elastic Block Store (EBS) は、Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と共に使用するために設計された、スループットとトランザクションの両方が集中するどんな規模のワークロードにも対応できる、使いやすい高性能なブロックストレージサービスです。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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AWS エンタープライズサポート

AWS エンタープライズサポートはコンシェルジュ型のサービスで、お客様が目標を達成し、クラウドで成功するための支援に専念します。

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