お客様事例 / 製造

2023 年
日本ハム株式会社

日本ハムがグループ全体のデジタルプラットフォームの構築に SAP on AWS を採用し、ビジネスを変革

20~30%

IT インフラストラクチャのコスト削減率  

90%

インフラデプロイが迅速化

より質の高いインフラストラクチャ

事業継続性の確実な実現

概要

ニッポンハムグループは、持続可能な食環境と「食べる喜び」を追求しながら、生肉、加工食品、魚介類、乳製品の製造および販売を行っています。 同社は DX 戦略の実現に向けて、グループのコアシステムの標準化、クラウド/モバイル IT 環境の整備、IT ガバナンスの強化を推進しており、2019 年には Amazon Web Services (AWS) 上で SAP ERP 環境を統合/再構築するために「Connect Project」を立ち上げました。

食卓で食事を囲む家族

機会 | エンドツーエンドのシステム最適化で、より高い付加価値をもたらす企業グループに

80 年を超える歴史を持つ食品コングロマリットであるニッポンハムグループは、たんぱく質の新たな可能性を解き放ちつつ、持続可能な社会の実現を目指しています。このミッションの一環として、同社は強みを活かして、たんぱく質の安定調達と供給、食の多様性と健康、持続可能な地球、食とスポーツを通じた社会の共創と繁栄、従業員の育成と多様性などの重要課題に取り組んでいます。 

迅速な意思決定、変化への対応、効率化を通じた生産性の向上、デジタルトランスフォーメーション (DX) が長期的な成長に不可欠であると認識した同グループは、SAP ERP を利用してコアシステムを再構築して統合するために「Connect Project」を立ち上げました。

「当社のレガシーシステムは、事業やドメインごとに個別に最適化されていました」と IT Strategy Department の Corporate Planning Division の Deputy General Manager である中村吉宏氏は説明します。「しかし、今後生じる問題を解決し、目標を達成するには、中長期的な成長にわたる全体的な最適化が不可欠でした。そこで、セキュリティガバナンスを強化し、従業員がより大きな価値を生み出せるよう、グループ全体で標準化された IT システムにアップグレードしました」。 

同社は、理解と意思決定の迅速化、グループ全体の合理化を通じた生産性の向上、より迅速な対応のための柔軟性の向上、および最新のテクノロジーを利用した DX を推進するために、完全に統合および標準化されたシステムを確立することを目標に据えました。

日本ハムは、2017 年から一部のシステムで AWS を利用してきました。「従来のオンプレミス環境と比較して、AWS が質、コスト、配信においてより優れていることは明らかでした」と中村氏は述べています。「クラウドに移行するにあたり、IT 部門を通じて IT 関連業務をインソーシングすることでベンダー依存を回避したいと考えていました。そして、AWS は実績と専門知識において最も優れていたのです。当社の以前のクラウドインソーシングの経験により、Connect Project でクラウドの利点を最大限に活用することができました」。 同社は、SAP とクラウドに関する豊富な専門知識を備えた Accenture と連携して、コアシステムが SAP on AWS 上で稼働するようにしました。 

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IaaS で AWS を利用すると、オンプレミスインフラストラクチャを維持する場合よりも 20~30% コストが低くなります。機器やコンポーネントを調達することなく、ニーズにぴったりの環境を準備できるため、IT の質が大幅に向上します”

中村吉宏氏
日本ハム株式会社、IT Strategy Department、Corporate Planning Division、Deputy General Manager

ソリューション | 事業拡大のためのスケーラビリティとフェイルセーフ設計

日本ハムの IT Strategy Department は、完全な最適化のために設計され、接続性とスケーラビリティに優れたシステムを求めていました。そのようなシステムのプラットフォームを提供するために、外部のインフラストラクチャで SAP ERP 6.0 を利用していた同社は、SAP S/4HANA にアップグレードする際に AWS を選びました。日本ハムは、新たな挑戦、グループの拡大、データ統合の可能性を踏まえて、6.0 のサポートが終了する前に SAP S/4HANA に移行することを決定しました。まずは会計システムを SAP on AWS に移行し、続いて Processing and Meat Business 部門のコアシステムを移行しました。

データ統合に加えて、事業継続性を確保できるようにするための措置も講じました。本番環境と DR 環境を 2 つの別のエリアゾーンに分けた冗長設定で、障害や災害に備えています。「AWS のサービスを利用することで、物理障害から迅速に復旧できます」と中村氏は述べています。「バックアップや大規模な災害対策には、AWS の新しい大阪リージョンを利用することにしました。SAP システムの運用による大きな利点に加えて、信頼性の高さや知識の豊富さからも本当に恩恵を受けています。AWS を初めて利用する場合、いくつかの課題に直面します。AWS にすべてを任せることができないことは承知していたので、時間をかけて AWS 責任共有モデルを学び、問題なく SAP on AWS を実装することができました」。

IT Strategy Department の Leader である Takuma Oyama 氏は、AWS とオンプレミス環境の違いについて次のように説明しています。「AWS の利用経験から、障害から迅速に復旧できることはわかっていました。オンプレミス環境では、復旧作業を開始する前に、コンポーネントを集めるのに半日かかっていました。AWS のスピードは圧倒的です。当社のユーザーも AWS の方がはるかに直感的だと感じています。また、AWS エンタープライズサポートでは Technical Account Manager を通じてサポートが提供されるため、さらに安定性が高まると期待しています」。

「以前は、機器が故障すれば、経理業務をストップせざるを得ませんでした」と Connect Project において会計システムの開発を主導した IT Strategy Department の Manager である Yoshihide Ichihara 氏は述べています。「AWS では即時復旧が可能なため、こうした問題が解消します」。

日本ハムが使用している SAP モジュールの中には、日本ではあまり見かけないものが含まれており、現地の専門知識の不足を心配していました。しかし、Accenture の経験豊富な国際的人材がサポートしてくれました。「Accenture の日本および国際的な専門家がいなければ、SAP モジュールの実装は成功しなかったでしょう」と中村氏は述べています。

アーキテクチャ図

成果 | 可用性および柔軟性の向上と、インフラストラクチャコストの削減

SAP on AWS は、コストと質について、多大な利点を日本ハムにもたらしています。「IaaS で AWS を利用すると、オンプレミスインフラストラクチャを維持する場合よりも 20~30% コストが低くなります」と中村氏は述べています。「機器やコンポーネントを調達することなく、ニーズにぴったりの環境を準備できるため、IT の質が大幅に向上します。また、サーバーの調達と設定にかかる時間は、以前の 10 分の 1 程度です」。

日本ハムでは、クラウド経由でインフラストラクチャをデプロイおよび運用するだけでなく、社内のコラボレーションを改善するために、アプリケーションチームに AWS トレーニングを提供しています。Oyama 氏は次のように述べています。「毎月、個別のトピックについて議論する小委員会を通じて、従業員はクラウドの利用についてさらに学んでいます」。

Connect Project の次のフェーズでは、日常業務により近い領域のシステムを移行する予定です。「ユーザーが増えてもスムーズに運用できる環境を作りたいと考えています」と Ichihara 氏は述べています。「また、これまでにないほど増えたデータを、どのようにビジネスに取り込んでいくかを考える必要もあります」。 これを実現するために、日本ハムは新システムから収集したデータを分析し、ビジネスを支援するデータサイエンス研究部門を立ち上げました。

「IaaS を通じたコストの削減や安定化は IT Strategy Department の業務に必要な部分ですが、データを効果的に活用するには、当社のビジネスに精通した人材の育成や仕組みづくりも必要です」と中村 氏は説明しています。「グループ企業や外部組織とのデータ共有も検討する必要があります。私たちの部門がグループ内のさまざまなサポートの旗手となるようにしたいと考えています」。

日本ハムについて

1942 年に設立された NH (ニッポンハム) 食品グループは、ハムやソーセージから、肉類、加工食品、魚介類、乳製品、天然調味料、健康食品の製造および販売まで事業を拡大してきました。同社は現在、社会やライフスタイルの変化に合わせた多様な食環境で消費者に食べる喜びを提供しながら、たんぱく質の新たな可能性を解き放つという中期計画に取り組んでいます。


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