お客様事例/教育機関

2023 年
学校法人 西大和学園  西大和学園中学校・高等学校

西大和学園、文化祭で生徒自ら AWS を活用しホームページや動画配信、3DCG など複数システムを短期間で実現

複数のシステムの短期構築

動画配信のプライバシー / 著作権対応

予算内で 3DCG 配信を実現

概要

次代を担う知性、国際性、人間性を備えたリーダーの育成を目指す奈良県の西大和学園中学校・高等学校では、文化祭や体育祭などの企画・運営を通じて生徒たちの自主性を育んでいます。2022 年 9 月に開催された文化祭『清榮祭』では、動画配信やチケット管理、3DCG(3 Dimensional Computer Graphics)による校舎回遊などのコンテンツ作成にアマゾン ウェブ サービス(AWS)を活用。コロナ禍の環境でも、デジタル技術を駆使してより進化したイベントを実現しました。

課題 | コロナ禍のイベント運営に生徒主体でクラウドを活用

高等学校を 1986 年に開校した西大和学園は、1988 年に 6 年一貫教育を可能にする西大和学園中学校を設置し、現在は有数の進学校として知られています。文部科学省による「将来の国際的な科学技術人材を育成する SSH(スーパーサイエンスハイスクール)制度」の指定も受け、多くの生徒が先端テクノロジーに触れています。

「本校の教育は、生徒たちが卒業後に社会でどのように活躍していくかが重要と考えています。中学ではプログラミング自体を目的とするのではなく、それを通して何を達成できるのかに重点を置き、高校ではデジタルトランスフォーメーション(DX)とは何かを考える授業から始めて、データサイエンス教育に多くの時間を割いています」と語るのは、数学科・情報科・技術科の教諭 光永文彦氏です。

また西大和学園では、有志生徒により「技術統括局」が運営されています。生徒会電算部を前身とするこの組織では中学 3 年から高校 2 年までの約 30 人が技術スキルを活かし、オンラインコンテンツの作成など技術面から学校生活や行事の運営を支えています。

同校ではコロナ禍の 2020 年、2021 年に清榮祭をオンライン開催し、技術統括局はウェブサイトの作成や写真・動画の配信、音響設備の設営や運用、3DCG によるバーチャル校舎の作成などを行いました。動画配信は YouTube の限定公開やクラウドストレージの共有機能を使っていたものの、いくつかの課題に直面しました。たとえば生徒の顔をインターネット上に公開したくないと考えても、限定公開の URL が知られてしまうと制限は困難です。また、ダンスなどで利用する楽曲の著作権がクリアされていても、YouTube 側のガイドラインによって自動的に配信を遮断されるおそれや、ストレージサービスの共有に閲覧数の制限がありました。西大和学園高等学校 2 年生で技術統括局 局長の栗栖幸久氏は「このような問題を解決する方法を探していて、AWS のライブ配信サービス Amazon Interactive Video Service(Amazon IVS)を見つけました。AWS のコンソールにログインし、非常にたくさんのサービスを目の当たりにして、校内イベントに利用できると考えました」と振り返ります。その後、動画配信テストを経て、2022 年の文化祭での AWS 利用に確かな手応えを感じたといいます。

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動画配信の問題を解決する方法を探していて出会ったのが、Amazon IVS でした。クラウドならコスト面も運用面でも、非常にメリットがあると実感しました”

栗栖 幸久 氏
西大和学園高等学校 2 年生 技術統括局 局長

ソリューション | 文化祭までの 3 か月で複数のシステムを構築

栗栖氏自身はプログラムやサーバー構築の経験者ではありませんでしたが、プログラミング経験の豊富な同級生の渡部総一郎氏が技術統括局に入局したことをきっかけに開発部が設立され、思い描いた企画に挑戦できる体制が整いました。「私たちがやりたい内容について前例があるかを調べてみたら、いくつか情報が見つかったこともあり、実現できると感じました」(渡部氏)

そして栗栖氏は局員の協力のもと、AWS 利用も含めた文化祭の企画承認のためのプレゼンテーション資料を作成。「西大和学園は生徒が自分で考え、できることの幅が広い環境です。前年度の実績から必要な金額を計算し、企画書で説明して予算の承認を得ることができました。オンプレミス環境にはサーバー代や電気代、PC を使うときの承認などいろいろな障壁がありますが、クラウドならコスト面も運用面でも、非常にメリットがあると実感しました」(栗栖氏)

技術統括局が文化祭で提供するもう一つの目玉企画は、2020 年から行ってきた 3DCG によるバーチャル校舎の配信です。しかし、2020 年版に採用したプラットフォームでは別途アプリケーションやアカウントが必要でした。2021 年版は、ダウンロード配布できるようにパッケージ化しましたが動作が重く、ハイスペックな PC でないと利用が困難でした。試行錯誤の結果、2022 年版はスマートフォンでも利用可能なウェブブラウザ上で動作するプラットフォームを採用。バーチャル校舎の制作を担当した技術統括局の伊藤凌太朗氏は「先輩が作ってきた校舎データのバグを修正したり、部屋を追加するなど 1 年かけて仕上げました。校舎のさまざまな部屋にアクセスするリンクを生成し、ランダムにアクセスするシステムを Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)に構築しました」と語ります。

さらに、ウェブサイトやアプリケーションを簡単に立ち上げられる Amazon Lightsail、チケット管理システムや入退場管理システムに Amazon EC2、技術統括局員が作業する環境として 仮想デスクトップ(VDI)サービスの Amazon WorkSpaces を利用しました。なお体育祭でも、選手がエントリーする種目を管理するシステムに 機械学習を利用した文字抽出サービス Amazon Textract を活用するなど目的にあったサービスを効率よく組み合わせる工夫をしています。

文化祭の開催を 9 月に控え、企画承認を得て開発を始めたのが 7 月です。システムの構築として渡部氏のほか高校 2 年と中学3 年のメンバー 3 人、AWS システムの構築で栗栖氏がバーチャル校舎のチームは伊藤氏のほか 3 人で制作を進めました。

「AWS について体系的に学習する時間はなく、検索して前例を調べながら構築していきました。学生が活用していた例はほとんどなかったので大変な部分もありましたが、技術系ブログなどを参照して少しずつ習得していきました」(栗栖氏)

導入効果 | 教職員と生徒が連携してクラウド活用を推進

技術統括局員の奮闘により、2022 年の清榮祭ではプライバシーを保ってパフォーマンスも満足のいく動画配信が実現し、バーチャル校舎の 3DCG もより多くの人に公開できました。栗栖氏らは新たな技術を使って多くの仕組みを実現し、後輩たちに「『好き』で西大和を創る」という思いをつなぐことができたと感じています。光永氏も「動画配信などについて、保護者からも好意的な意見を多く得られました。技術統括局員の頑張りは評価されていると思っています」と語ります。

技術統括局のメンバーは、今後も AWS で使ってみたい機能があるといいます。伊藤氏は「バーチャル校舎への Amazon GameLift の導入も検討してみたいです。いろいろな技術を使うと面白くなると思っています」と語り、渡部氏も「後輩たちには、IoT などを使って入退場や混雑状況管理といった方面にもトライしてほしいですね」とエールを送っています。もともと工学志望だったという栗栖氏は、今回の AWS の開発を経験してソフトウェアにも興味を持つようになったと語ります。「クラウドを使ってみて感じたのですが、中学生・高校生の活用事例は本当に少ないです。ですから、同じような活動をしたい中高生たちを応援する活動をしたいと思うようになりました。クラウドを使ってみたいという志や技術を持つ生徒はどの学校にもいるはずですが、すぐに取り組める環境はなかなかありません。このような活動を、多くの先生たちにご理解いただくことが大事だと思っています」

カスタマープロフィール: 学校法人 西大和学園 西大和学園中学校・高等学校

奈良県にある西大和学園中学校・高等学校は、「次代を担うリーダーの育成」を学校目標に掲げる進学校。学力の伸長には人間としての成長も欠かせないと考え、授業内容を創意工夫し、進路を実現するための学力を育成する授業だけではなく、知的好奇心を刺激する授業や行事も充実。文部科学省による、将来の国際的な科学技術人材を育成するスーパーサイエンスハイスクール(SSH)制度の指定も受け、先進的な理数教育や先端技術から刺激を受ける機会を生み出している。

光永 文彦 氏

光永 文彦 氏

栗栖 幸久 氏

栗栖 幸久 氏

渡部 総一郎 氏

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伊藤 凌太朗 氏

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