AWS の組み合わせが採用されるようになり、
現在、60% 弱のお客様がクラウドを採用し、その大半が AWS を選択しています。
50 社以上のビジネスパートナーを通して、国内外の顧客に ERP パッケージ『Biz∫(ビズインテグラル)』を提供する株式会社NTTデータ・ビズインテグラル。2012 年に大手ハウスメーカーが初めて AWS 上に『Biz∫』を導入してグループ統一会計システムを稼働させて以来、『Biz∫』ユーザーにおいてもクラウドの採用が増えています。現在、約 60% のユーザーがクラウドをインフラ基盤に採用し、その大半を AWS が占めています。サービスが豊富に揃った AWS の活用により、パートナーや顧客の運用負荷を大幅に軽減。インフラ調達のリードタイムをオンプレミスと比較して約 50% 短縮し、導入の早期化に貢献しています。
NTTデータグループのナレッジを結集した ERP『Biz∫』の企画開発・販売を通して、日本企業のビジネスに貢献する NTTデータ・ビズインテグラル。『Biz∫』は、ワークフロー /Web 開発基盤である『intra-mart』を統合基盤に、基幹業務アプリケーションを含む幅広いラインナップを提供しています。
特に基幹業務の中心となる会計領域と販売管理領域に強く、グループ経営での利用が約 70% を占めています。現在、年商 500 億円以上の大手・上場企業を中心に採用され、本格展開から 約 10 年で 1,200 社以上の採用実績があります。
『Biz∫』の販売・導入を手がけるのは 50 社以上のビジネスパートナーです。NTTデータ・ビズインテグラルは製品の企画から設計、開発を担当し、パートナーへの営業支援・マーケティング支援、提案・導入時の技術支援、導入後の製品サポートを実施しています。「パートナーの半数以上が独立系 SIer で、金融系のノウハウや ERP ビジネスのノウハウなど、各社の強みを活かしたビジネスを展開しています。」と語るのは、ソリューション事業本部 セールス&マーケティング部 シニアマネージャーの中薗慎一氏です。
『Biz∫』が AWS 上で初めて稼働したのは2012 年のことでした。大手ハウスメーカーがグループ統一会計システムとして『Biz∫』を導入。これまでグループ会社が個社単位で運用していたシステムを一元化する際に IT を集約する手段としてクラウドを選択し、リソースの追加・削減が容易な AWS を採用しました。
「当時、国内で基幹システムを AWS 上で稼働した実績はほとんどありませんでした。そこでパートナーと協力し、AWS 上での動作を検証しながら進めました。」(中薗氏)
クラウドで ERP を稼働したニーズが徐々に増えてくる中、Biz∫では、2017 年に大手私鉄グループが共通会計システムを構築した案件が象徴的な事例となりました。複数の業態を持つ大手私鉄グループが AWS を採用したインパクトは大きく、この頃から、大手のお客様においてもクラウドを前提とする引き合いが半数近くなり、NTTデータ・ビズインテグラル、Biz∫パートナー共に、クラウド対応の提案、導入メソッド等を強化していきました。ソリューション事業本部 コンサルティング部 シニアマネージャーの黒川大輔氏は「2013 年頃まで 17% だったクラウドの採用率が 2016 年には 29% まで上昇し、現在では 60% 弱のお客様がクラウドを採用し、その大半が AWS を選択しています。特にフラッグシップのお客様である大手私鉄グループが Biz∫の基盤に AWS を採用するなど、多数の AWS 採用実績が生まれたことで、近年は AWS を活用した提案が主流となっています。」と語ります。
クラウドサービスは、お客様自身が要望するケースもあれば、パートナーや NTTデータ・ビズインテグラルがお客様の要件をもとに提案するケースもあります。数あるクラウドの中で AWS が採用される理由は、基幹システムでの稼働実績の豊富さと、AWS を理解する技術者の多さ、さらに汎用的なサービスが揃っていることにあるといいます。
「バックアップ、セキュリティ、監視などの機能がサービス化され、メニューが組み立てやすいのが AWS のメリットです。インフラ担当の SE がすぐにモデル化できるので、お客様への提案が容易になります。」(黒川氏)
導入企業においても、インフラ担当者が少ない、人材の確保が難しいという中で、運用も含めてすべて AWS に任せられるメリットがあります。ビジネスパートナーの中には、独自に AWS の導入支援や運用管理サービスを用意している SIer もあり、パートナーのビジネスにも貢献しています。
AWS の採用により、インフラ調達のリードタイムは約 50% 削減され、開発期間の短縮につながりました。リソースやインフラの構成を複数のパターンを想定してメニュー化しておくことで、見積もり費用の算出期間も短縮できます。お客様への提案時も、AWS 上にデモ環境を構築することで、実際に動くシステムを見ながら検証することが可能になりました。「お客様にいち早く画面を見ていただくことでイメージが共有でき、現場のユーザーの不安を払拭することができます。システムの性能に関する検証が事前に確認ができるので、稼働後のトラブル防止にもつながります。」と中薗氏は語ります。構築時には、開発機、検証機、本番機を必要なタイミングで立ち上げ、開発や検証が終了した時点で落とすことも可能になり、コストの軽減に貢献しています。
コスト面では、ハードウェアとインフラの運用を含めて、オンプレミスと比較して約 20% ~ 50% の削減ができると試算しています。
「ログローテーション、監視、バックアップなどを含めて多くの運用を AWS に任せることで人件費の削減につながります。ハードウェアのリプレースや、事業拡張に応じたサーバー増強もなくなり、ハードウェアのコストも軽減されます。」(黒川氏)
パートナーからはインフラの構築や運用管理の自動化に対するリクエストが寄せられており、同社の開発部門では検討を進めています。ソリューション事業本部 プランニング&ディベロップメント部 シニアマネージャーの真瀬陽子氏は「最初は採用実績の多い AWS をベースにパラメーター設定の自動化に挑戦しました。今後は Amazon ECS を使って設定条件を自動配布することも検討しながら、環境構築に時間と負荷をかけないような仕組みを提供していきたいと思います。」と話します。
NTTデータ・ビズインテグラルでは、今後、製品機能の強化を図るとともに、他社のクラウド・デジタル指向のソリューションとの連携強化を積極的に推進することで、お客様の基幹業務プロセスの自動化・高度化を実現するプラットフォームの提供を目指す方針です。ERP の周辺系システムにおいても、API を通して『Biz∫』と SaaS アプリケーションなどと連携し、サービスを提供していく考えです。
一方、現在の会計や販売管理などの基幹系業務を効率化するため、AI、OCR、RPA などを活用した業務の高度化、経営管理品質の向上を目指しています。黒川氏は「データの入力や出力データの検証など、ERP 周辺の人間系のアナログプロセスの効率化に向けて、AI 等の新技術を活用した OCR によるペーパーレス化、不正検知、RPA を活用した業務の自動化などに取り組んでいます。」と語ります。