今のところセキュリティ、実績、コスト、機能の面で AWS に勝るクラウドベンダーはありません。
岡三オンライン証券株式会社は、岡三証券グループに属し、投資情報等のグループ独自のリソースをご提供できるオンライン証券です。インターネットを介して金融商品をお取引される投資家の皆様に対して、お取引のニーズに応じた機能・種類ともに充実したトレーディングツールをご提供している点を強みとしています。事業戦略部門では、投資家のお客様がご利用になる各種トレーディングツールの企画・開発から維持・管理を行っています。
岡三オンライン証券では、お客様によるトレーディングツールのお試しやセミナー等の各種イベントでのデモ利用を想定した仮想取引システムの構築を当時計画していました。リアルタイムに時価情報を配信し、証券取引所と同じような機能を提供することが目的でした。
事業戦略担当部長である野崎氏は「クラウドを利用する以前は開発環境面の不足やデリバリーの遅さがありました。」と言います。仮想取引システムをオンプレミスで実現する際、オンプレミス環境のインターネット利用料の高さやネットワーク使用帯域の拡張問題があったことに加え、開発環境面の不足やデリバリーの遅さがありました。
AWS の導入はもともと 2011 年の東京リージョン開設後すぐに開始され、5 年以上になります。当時からインターネット・トレードシステムの開発環境や課題管理システム(Redmine)などで利用されている他、開発面の管理やツール運用の自動化、製品プロトタイプ作成などで利用されています。
今回の仮想取引システムでは、金融システムとなるため、必然的に金融システムの基準に沿う必要がありました。また、岡三オンライン証券では短期間で、ローコストで、目的を達成することを常に意識したビジネス展開を実現させることが重視されました。
システムの検討にあたっては、オンプレミス、AWS サーバーアーキテクチャー、AWS サーバーレスアーキテクチャーの 3 つで比較が行われ、その結果、AWS サーバーレスアーキテクチャーが圧倒的に低コストかつ短期間で対応ができると判断されました。「今のところセキュリティ、実績、コスト、機能の面で AWS に勝るクラウドベンダーはありません。」(野崎氏)
開発は当初オンプレミスであればリリースまで 1 年以上と試算されていましたが、AWS を導入したことにより、計画から開発、リリースまで 1ヶ月半で行うことができました。
サーバーレスアーキテクチャを実現するために AWS Lambda、Amazon API Gateway が導入された他、株価時価情報のフィードには、マネージドサービスである Amazon Kinesis を活用して開発期間が短縮することができました。また、ユーザデータのストアには、Redis ベースの Amazon ElastiCache が採用され、低価格で高性能なデータストアを実現しています。
開発環境には Node.js、デプロイに gulp を使い、AWS SDK も活用されています。その他、以前から .NET による自動スケジューラー機能を使い環境のコントロールを自動化しています。また、マニュアル作業は AWS Management Console を利用しています。
![](https://d1.awsstatic.com/architecture-diagrams/customers/jp1/jp_diagram_okasan1024x601.d053a7a3495167c52789886ebc3a21b996c4c6e4.png)
岡三オンライン証券では AWS をトレーディングツールのデモ環境に活用していますが、ローコストかつ利用したいときに活用できるようになった、という点がメリットとして評価されています。これは「シミュレーション環境の整備にもつながり、弊社トレーディングツールの認知度を更に向上させる契機になります。」(野崎氏)
また、「クラウドネイティブアーキテクチャーにより運用面での作業はほとんど必要なくなり、コストも従来型のアーキテクチャーと比較して、7 分の 1 程度にまで削減することができています。」(野崎氏) さらに、デモ環境稼働の都度の準備に要した委託作業費も不要となり、サーバー運用の制約を考慮する必要もなくなりました。
以前ではクラウドの導入判断が難しかった案件がローコストで実現できるため、「お客様との接点となる環境を持つことで、ご要望・ご希望を吸収し、新たなニーズにお応えしていく、そうした前向きな循環が実現できると考えます。」(野崎氏)
岡三オンライン証券では、AWS を導入したことによりコストメリットが認識されるようになりました。「お客様との接点となる環境を持つことで、ご要望・ご希望を吸収し、新たなニーズにお応えしていく、そうした前向きな循環が実現できると考えます。」(野崎氏)
AWS によるサーバーレスアーキテクチャを活用した今後の施策に向けた企画が期待されるようになったため、今後も AWS の導入は積極的に実施されていく予定で、既存のオンプレミス環境との統合も検討されています。
AWS クラウドが金融サービスでどのように役立つかに関する詳細は、クラウドでの金融サービスの詳細ページをご参照ください。