AWS では、オンプレミスで想定していた際の 50 %ほどのリソースで ADPLAN の開発ができました。大規模な顧客が移行した際も、一気に扱うデータ量が 3 倍に増えましたが、そういった突発的な負荷上昇にも AWS の拡張性があれば慌てる必要がありません。
開発プロジェクトを進めると AWS のほうがオンプレミスよりも圧倒的に推進力が高く、新しい仕組みやサービスを開発する際に、もはや AWS なしでは立ちゆきません。
平岩 二郎 氏 株式会社オプト 最高技術責任者 CTO テクノロジー開発部 部長

2015 年 4 月に設立した株式会社オプト(※)は、e マーケティングカンパニーのリーダー企業として、広告主のデジタルマーケティング活動を支援しています。持続的な成長を目指す企業に対し、マーケティングとテクノロジーを掛け合わせ、『個』客の満足度を最大化することをミッションに掲げています。そのために『e マーケティングカンパニー』からさらに先を行く『イノベーションエージェンシー』への変化を目指しています。

イノベーションエージェンシーとは、クライアント企業それぞれと目指したい世界をともにし、現状とのギャップを捉え、『個』客ごとの課題を解決するものです。その実現のためにオプトでは、新しい価値を創造するプロダクトやサービスを提供し、組織や考え方も変化させており、オプトの事業自体でも、イノベーションを興そうとしています。そんなオプトの変革の 1 つとして、これまでの営業とコンサルタントによるコンサル型営業中心だった組織に、エンジニア集団の『オプトテクノロジーズ』とデータサイエンティスト集団の『データサイエンスラボ』を加え、新たな体制でイノベーションへの挑戦を続けています。

※1993 年に創業した株式会社オプトは 2015 年 4 月より株式会社オプトホールディング(上場継続会社,旧オプト)に商号変更し、マーケティング事業を新設子会社オプトに承継しました。

デジタルマーケティングの環境は、ここ最近大きく変化しています。消費者はタブレットやスマートフォンなどさまざまなデバイスを使うようになり、企業と顧客のチャネルも多様化し、そのような変化の中で企業のプロモーション活動もテレビなどのマスメディアからデジタル手法の活用へと大きくシフトしています。このようなデジタル化の変革の中でオプトは、2000 年から提供してきた『ADPLAN』を時代のニーズに合わせて適宜進化させ、顧客からも高い評価を得ています。その上で、「変化の激しいデジタルマーケティング環境に合わせた更なる進化が必要だと考えていました。また ADPLAN は、クライアントだけでなく代理店の担当者もよく利用するので、そういった立場の人にも使いやすい機能を取り入れる必要がありました。」と語るのは、株式会社オプト データテクノロジー部の宮本 舜氏です。

一方で、オンプレミス環境で 10 年以上の時間をかけ順次拡張してきた ADPLAN は、『コードのスパゲティ化』が起きている部分もありました。そのため、新機能追加などの際に俊敏性や柔軟性が十分に発揮できない点や、拡張性に欠ける点が課題となっていました。オンプレミス環境で拡張する場合、ハードウェアを物理的に追加しなければならず、タイムリーにシステムインフラの増強が実現できなかったのです。

これらの課題を解決するためにオプトでは、変化が激しいデジタルマーケティング環境に柔軟に対応するため、新⽣ ADPLAN への刷新が必要となっていました。

opt_image

こうした経緯から 2015 年 4 月より、ADPLAN のリニューアルプロジェクトがスタートし、さらなる俊敏性や柔軟性、拡張性を得るために、新たな ADPLAN のプラットフォームを検討することとなりました。

AWS 導入のきっかけは、ADPLAN のリニューアルよりも前、2014 年 10 月から提供開始した、ダイナミック・クリエイティブツール『unis(ユニス)』(※)にありました。「unis を開発する際に、Amazon DynamoDB を利用すれば、自分たちで KVS のクラスター環境を作らなくても可用性を確保できると考えました。そこで、Amazon DynamoDB や Amazon Redshift などの AWS のサービスをトライアル的に利用したのが AWS を採用したきっかけです。」(平岩氏)

AWS を活用した unis の開発が無事成功したことが、ADPLAN のリニューアルでオプトが AWS を選んだ 1 つの理由となりました。また、最高技術責任者 CTO 兼、テクノロジー開発部 部長である平岩 二郎 氏は「専任のインフラ管理の要員を確保する必要がないことも、AWS のアドバンテージだと判断しました。」と語ります。さらに、今後のビジネスの成長を正確に読み切れない中では、柔軟な拡張性のあるクラウドのほうが、オンプレミスよりもコスト的なメリットを出せるとも判断されました。

「また、東京リージョンでサービスが利用できることも AWS を採⽤した動機でした。さまざまなクラウドサービスがありますが、大規模なシステムを運用するとなれば AWS 一択でした。」(平岩氏)

テクノロジー開発部の岡田 遥来氏は「最近ではオンプレミスの環境で経験を積んできたエンジニアが減ってきています。」と、今後の AWS の活用はもはや必然だと指摘します。また、テクノロジー開発部 チームマネージャーの渋谷 充宏氏は 「実際、オプトに集まっているエンジニアのほとんどはプライベートで AWS に積極的に触れている⼈が多く、エンジニアの間では AWS は浸透していると感じていますし、多くのエンジニアはクラウドファーストを支持すると思います。」と、AWS 活⽤の必然性を語ります。

※ ユーザーの興味がありそうな情報や商品を用いてパーソナライズ化されたバナー広告を自動生成するツール

jp_diagram_opt_1024x853

今回リニューアルされた ADPLAN では、Amazon EC2 上で広告効果計測用のサーバーが稼働しており、そこから得られるデータを Amazon S3 に格納し管理しています。蓄積されたデータの分析には、Amazon EMR が活用されています。さらに、ユーザーのセッション情報管理には Amazon DynamoDB を利用し、Elastic Load Balancing を用い負荷分散も行っています。また Amazon ElastiCache で、アプリケーションのレスポンス向上を図り、最終的な広告効果のレポート作成には、Amazon Redshift も活用されています。

「さまざまな AWS のサービスを利用していますが、特に Amazon DynamoDB や Amazon Redshift、Amazon ElastiCache などのフルマネージドのサービスは、インフラのことを心配する必要がありません。」(渋谷氏) さらにオプトでは証明書のプロビジョニングや管理ができる AWS Certificate Manager も利用するなど、AWS のフルマネージドのサービスを有効活用し、その利便性を高く評価しています。

「拡張性の面でも AWS のメリットは大きいと感じています。AWS なら大規模なクラスター環境を利用することで、必要な性能がすぐに得られます。」(渋谷氏)

Amazon EMR では、設定を調整するだけでサーバー台数をすぐに増やすことができ、必要な能力がタイムリーに得ることができるのも迅速にインフラを用意することができるメリットとなっているようです。「柔軟な拡張性は、AWS をインフラとして使う上で、エンジニアが最も楽をできるところだと評価しています。」(岡田氏)

現在、旧バージョンの ADPLAN を利用しているユーザーは、順次新バージョンへと移行を開始しています。「先日も大規模な顧客が移行し、一気に扱うデータ量が 3 倍に増えました。日常的にも顧客のキャンペーン企画や新サイトの立ち上げなどのタイミングで、ADPLAN の処理量が急激に増えることがあります。そういった突発的な負荷上昇にも、AWS の拡張性があれば慌てる必要はありません。」(渋谷氏)

オプトでは、開発生産性についても新しい機能やサービスを開発する際に、インフラの確保が足かせになることはなくなりました。 「開発の俊敏性は確実に上がっています。」(宮本氏) 平岩氏も「オンプレミスでは、どんなに早くてもサーバーなどが納品されるまでに 2 週間ほどの時間が必要ですが、それが今ではボタン 1 つですぐにデプロイできます。これは雲泥の差です。」と強調します。

可用性やバックアップも、AWS のマネージドサービスであれば自分たちで仕組みを構築する必要がないだけでなく、「AWS は第三者機関のセキュリティ認証なども取得しているので、安心感がありました。」(平岩氏)とインフラの安全性も高く評価しています。

また、コスト面でも「システム構築に関わる費用をトータルで考えれば、確実に AWS が安くなります。」(平岩氏)と、人的リソース面を含めたコスト削減効果はかなり大きいと指摘します。「AWS では、オンプレミスで想定していた際の 50 % ほどのリソースで ADPLAN の開発ができました。さらにインフラ運用のリソースも、オンプレミスの半分ほどに減っています。開発プロジェクトを進める上で AWS のほうがオンプレミスよりも圧倒的に推進力が高く、新しい仕組みやサービスを開発する際に、もはや AWS なしでは立ちゆきません。」(平岩氏)

このように AWS を使いこなしていることは、エンジニア採用面でもプラスに働いています。オプトが 2016 年 4 ⽉に立ち上げたエンジニア組織「オプトテクノロジーズ」は、組織の⽴ち上げから 3 ヶ⽉ほどの短期間に 60 名を超えるエンジニア組織となりました。そんなオプトテクノロジーズの中では、AWS が共通の話題となっており、「オプトテクノロジーズのエンジニアのほとんどが、何らかの形で AWS を使っています。もはや AWS はエンジニアの間でコモディティ化しています。AWS を活用していることが、エンジニアにも良い印象を与えていると感じています。」(岡田氏)

今後、数ある AWS のサービスの中で、AWS CodeBuild の東京リージョン提供が開始すればすぐにでも使いたいものの 1 つにあげられています。また、オプトでは運用するシステムが増え、それに合わせバッチ処理も増加しています。「AWS Batch を使えば、バッチ処理の管理が容易になり処理効率も上がると期待しています。」(岡田氏)

バランスのとれたコストパフォーマンスの良いインフラは、オプトにとって今後もさらに重要となります。そのためにも、オプトでは多様な AWS のサービスをさらに使いこなしていくことでシステム運用がより楽になり、エンジニアは新たなサービスの開発に注力できるようになると考えられています。「デジタルシフトが進む市場の中で、今回の ADPLAN のリニューアルにより競合に対する優位性を発揮できるようになりました。さらに優位性を強化するには、膨大なデータを扱えるようにしていく必要があります。そのためにも、それを支える堅牢なインフラの提供を AWS には期待しています。」(宮本氏)

opt_photo

株式会社オプト
- テクノロジー開発部 岡田 遥来 氏
- データテクノロジー部 宮本 舜 氏
- テクノロジー開発部 チームマネージャー 渋谷 充宏 氏
- 最高技術責任者 CTO テクノロジー開発部 部長 平岩 二郎 氏

AWS クラウドがデジタルメディア企業でどのように役立つかに関する詳細は、AWS クラウドにおけるデジタルメディアの詳細ページをご参照ください。