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新型コロナ追跡システムを AWS 上に構築
短期リリースと迅速なサービス拡充により府民 880 万人の QoL 向上に貢献

2022

2020 年 4 月に設置された大阪府の『スマートシティ戦略部』では、脅威が高まっていた新型コロナウイルスの感染拡大抑制対策として、『大阪コロナ追跡システム』の構築に乗り出しました。地元のスタートアップ企業からの協力を得て、同システムの基盤にアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用し、計画からわずか 2 週間という驚異的なスピードでサービスをリリース。運用開始後に生じたさまざまなニーズに応える機能拡充も迅速に行っています。

AWS 導入事例  | 大阪府
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ICT によっていかに府民の利便性を高め、QoL の向上に寄与していくかが、大阪府のスマートシティ戦略における目下のテーマです。AWS をインフラに採用して構築した今回の『大阪コロナ追跡システム』は、そうした我々の目標に適うものと自負しています

和田 洋平 氏
大阪府
スマートシティ戦略部
戦略推進室戦略企画課
戦略企画グループ  課長補佐

スマートシティ戦略推進の一環で ICT を活用したコロナ対策に着手

近畿地方の経済・交通の中心である大阪府は、全国第 3 位となる 880 万人超の人口を抱える自治体です。2025 年には大阪・関西万博も予定されており、広域的な交通インフラの整備や安全・安心な開催環境の構築に向け各種施策を推進しています。

一方、大阪府では近年、e-OSAKA(先端技術を活用することで住民が笑顔になる大阪)に向け、ICT など先端技術を活用する“スマートシティ化”を重要施策と位置づけています。それに向けて同府は、吉村洋文知事の肝いりで取り組み推進の司令塔の役割を担う『スマートシティ戦略部』を 2020 年 4 月に発足。3 つの基本姿勢として、住民が実感できるかたちでの『生活の質(QoL)の向上』、公民連携による『民間との協業』、技術実験に留まらない『社会実装』のための取り組みの蓄積を掲げ、さまざまな取り組みを展開しています。

スマートシティ戦略部発足から間もなく、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、大阪府に初めての緊急事態宣言が発出されました。同部の戦略推進室戦略企画課 戦略企画グループ 課長補佐の和田洋平氏は次のように振り返ります。「スマートシティ戦略部では組織立ち上げと同時に、府下で感染が拡大している状況をにらんで『コロナ SWAT チーム』を部内に設置していました。すでに ICT を活用した対策の検討を進めており、宣言を受けて発案したのが『大阪コロナ追跡システム』でした」

同システムは、同年 3 月に行われた政府の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議において、国内のイベント自粛を緩和する条件の 1 つに挙げられた「感染者を追跡できること」を踏まえて作られました。飲食店や公共施設、イベントなど不特定の人が集まる場所ごとに所定の QR コードを設定。その QR コードを現場に貼り出し、施設利用者やイベント参加者が、スマートフォンや携帯電話で QR コードを読み取って大阪府のサイトにアクセスし、メールアドレスを入力して登録を行うというものです。
「後日、その場所にいた人の中からコロナ感染者が出た際に、登録者に対してメールで注意喚起することにより、行動変容を促して感染拡大の防止につなげたいと考えました」と、スマートシティ戦略部 戦略推進室戦略企画課 戦略企画グループ 主査の奥村大輔氏は説明します。

実質わずか 2 週間のスピード構築

スケーラビリティ、セキュリティも万全

大阪コロナ追跡システムのリリース時期について大阪府では、緊急事態宣言の解除が予想される 5 月末を見込んでいました。そこでスマートシティ戦略部は、府内の SI 関連のスタートアップ企業に、追跡システムを短期で立ち上げる提案を募りました。
「契約や要件定義など実際の構築に至る準備作業に時間がかかると 5 月末のリリースは困難と判断し、フットワークの軽いスタートアップ企業との協業を選択しました」(和田氏)

今回のプロジェクトを支援した AppTime 株式会社は、大阪・新大阪を拠点に、アプリ開発、Web サイトやシステムインフラの構築にかかわるサービスを展開しているスタートアップです。同社は受託するシステム構築案件の多くで AWS を活用しているため、経験豊富で使い勝手も良い環境として、大阪コロナ追跡システムにも AWS の活用を提案しました。
「AWS はクラウドサービスの先駆者で、公共分野を含めて多くの実績があり、エンジニアリソースも豊富です。今回求められた構築のスピード感、大阪府民 880 万人の利用を想定したスケーラビリティ、各種サービスで扱われる個人情報を保護するためのセキュリティなど、いずれの要件に対しても最適なかたちで応えられると考えました」と、AppTime 開発責任者の森都志紀氏は語ります。

システム構築開始後は、Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)や Amazon Simple Storage Service(Amazon S3)、マネージド型リレーショナルデータベースの Amazon Aurora といった基盤サービス、さらには E メール送信サービスである Amazon Simple Email Service(Amazon SES)など、AWS の各種機能を駆使してスピーディな実装を実現。予定どおり 2020 年 5 月末には、大阪コロナ追跡システムがリリースされました。「実質的にわずか 2 週間でのスピード構築でした。短期間でリリースにこぎ着けるには、AWS のサポートが不可欠でした。AppTime でも公共系のサービスを手がけていますが、大阪府のように大規模な自治体のセキュリティを実現するには、他の自治体で手掛けたアーキテクティングに対する助言が非常に役に立ちました」(森氏)

新たに見えてきたニーズにも応える柔軟なサービス拡充を実施

大阪コロナ追跡システムには、リリース後も利便性向上や利用促進に資する仕組みを追加するなど、サービスの拡充が行われています。
まず、メールアドレスの登録が簡単に行えるよう、空メール送信による登録機能が追加されました。「利用者によっては自分のメールアドレスが分からない、分かっていてもそれを入力することが難しいこともあります。そもそもスマートフォンではなく、ガラケー(フィーチャーフォン)の利用者も多くおられます。そこで、QR コードを読み込んでタップをするとメールの送信画面が立ち上がり、空メールを送信できるという仕組みを取り入れました。これでメールアドレスを入力することなく登録を完了できます」(奥村氏)

訪問した場所で感染者が出た場合には、接触の可能性がある登録者に注意喚起のメールが送信されますが、大阪府では現在、関係部局と連携し、メール受信者が PCR 検査や抗原検査を無償で受けられるようにしています。こうした仕組みも、万一の際の利用者の利便性を大いに高めています。

さらに利用促進を図るため、利用者が登録を行う際に『大阪マイル』が貯まるサービスを追加。マイルを一定数貯めた利用者には、スポーツイベントや劇場のチケット、アミューズメント施設の入場券が抽選で当たるという特典を用意しています。いずれの機能拡張も、府民からは好評をもって迎えられているとのことです。
「新たなニーズが生じるたびに、AppTime に迅速に実装してもらっています。もちろん、そうしたことも AWS をインフラとして選択したことが奏功しているものと捉えています」(和田氏)

2021 年 11 月時点で大阪コロナ追跡システムにおける飲食店や施設、イベントの登録件数は計 11 万 8,016 件、利用者の登録件数はのべ 437 万 8,884 件に上ります。
「大阪府では今後も、スマートシティ関連の施策を矢継ぎ早に展開していきます。それにあたって、スケーラブルかつ俊敏な対応を実現するには、信頼できるクラウドサービスの活用は必須であると考えます」と、和田氏と奥村氏は口を揃えます。大阪府民 880 万人が利用するサービスの拡充にクラウドが果たす役割は、今後も重要性を増していきそうです。

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和田 洋平 氏

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奥村 大輔 氏 

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森 都志紀 氏


カスタマープロフィール:大阪府

  • 府制開始:1868 年
  • 年間予算規模:3 兆 5,086 億円(2021 年度)
  • 職員数:70,178 名(2020 年 4 月 1 日現在)

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 初期のサービスリリースを計画から 2 週間という短期で実現
  • 運用後も利便性向上や利用促進に資する新機能を俊敏に実装
  • サービスの利用が府民に浸透し新型コロナ感染防止に貢献
  • 今後のスマートシティ戦略推進に向けたクラウド活用モデルを提示

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Amazon Aurora は、MySQL および PostgreSQL と互換性のあるクラウド向けのリレーショナルデータベースであり、従来のエンタープライズデータベースのパフォーマンスと可用性に加え、オープンソースデータベースのシンプルさとコスト効率性も兼ね備えています。

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