お客様事例/ライフサイエンス

2022 年
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ResMed が Amazon SageMaker を利用して数百万の患者の睡眠療法をパーソナライズ

デジタルヘルステクノロジー企業の ResMed が、Amazon SageMaker を利用して、合理化された AI/ML ソリューションを 1 年未満で構築した方法をご覧ください。

1 年未満

完全に機能する AI/ML ソリューションの作成にかかった期間

数か月から数日に

ML モデルのデプロイにかかる時間 (場合によっては 1 週間)

時間を削減

AI/ML パイプライン処理を数時間短縮

実現

1,850 万人超の患者にパーソナライズされた睡眠療法を提供 

200 万

ML モデルごとに 1 日で処理される予測数

概要

デジタルヘルステクノロジー企業である ResMed は、睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、喘息、および他の慢性疾患を持つ人々にクラウドに接続されたソリューションを提供する、世界をリードするプロバイダーの 1 つです。2021 年 7 月から 2022 年 6 月にかけて、ResMed は 140 を超える国々で 1 億 4,000 万人を超える人々の生活の改善を支援しました。同社は、2025 年までに年間 2 億 5,000 万人の生活を改善することを目標としています。しかし、同社が以前利用していた人工知能 (AI) および機械学習 (ML) 機能では、その規模で睡眠に関するパーソナライズされたレコメンデーションを提供するのに十分なデータを処理できませんでした。同社は、ML 開発を合理化し、そのオペレーションを迅速にスケールする方法を必要としていました。

ResMed は、バックボーンとして Amazon SageMaker を利用して、Amazon Web Services (AWS) 上で AI/ML プラットフォームの概念実証を迅速に構築しました。Amazon SageMaker は、フルマネージド型のインフラストラクチャ、ツール、およびワークフローを使用して、企業がさまざまなユースケースのために、ML モデルを構築、トレーニング、デプロイするのをサポートします。ResMed は、AWS を利用して Intelligent Health Signals (IHS) プラットフォームを構築しました。この自動化された AI/ML プラットフォームにより、ResMed の AI/ML 機能が大幅に拡張されました。この結果、データサイエンティスト向けの ML モデルの開発とデプロイが簡素化され、市場投入までの時間が短縮されるとともに、世界規模にスケールできるようになったため、慢性的な睡眠障害を抱える ResMed ユーザーのためのパーソナライズされた治療の提供が促進されます。

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機会 | ResMed がグローバルにスケールするために AI/ML ソリューションを求める

ResMed は、睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、および他の睡眠障害を抱える人々のために、持続的気道陽圧装置とマスクを提供しています。クラウドに接続されたこの機器は、患者の睡眠パターンに関するデータを収集し、ResMed の myAir 患者エンゲージメントアプリケーションを通じてそのデータを患者と共有します。その後、myAir の Smart Coaching 機能は AI/ML を利用して、転帰を改善するためのカスタマイズされたレコメンデーションを各患者に提供します。

2021 年の時点で、ResMed には、非常に大量の患者の睡眠データを介して推論を安全に実行するための、自動化された統合 AI/ML セルフサービスソリューションがありませんでした。これは、同社の 2025 年の目標を達成するために必要なソリューションでした。IHS の最初のバージョンは、AWS パートナーである Manifold と共同で構築されました。ResMed と Manifold には、共同でイノベーションを実現した強力な実績がありました。概念実証としては成功しましたが、コンテナベースのフレームワークはデータサイエンティストによって開発されたものであり、それぞれが異なるツールを利用していたため、そのインフラストラクチャについての責任を永続的に負わなければなりませんでした。「個人のデベロッパーに独自のツールボックスの構築を任せるのはスケーラビリティに欠けており、当社が最終製品に求める厳格な品質保証にも資するものではありません」と ResMed の AI および ML 担当バイスプレジデントである Badri Raghavan 氏は述べています。

ResMed は、一元化および標準化された AI/ML ソリューションを構築するために Amazon SageMaker を選択しました。なぜなら、Amazon SageMaker はグローバルにスケールでき、同社がデータストレージのために既に利用していたソリューションとうまく接続できるためです。2018 年、ResMed は地域のデータ規制に準拠したデータレイクを AWS 上に構築しました。Amazon SageMaker は AWS Glue を通じて、このデータレイクにシームレスに接続します。AWS Glue は、分析、ML、アプリケーション開発のために、容易にデータを検出、準備、結合できるようにするサーバーレスデータ統合サービスです。

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Amazon SageMaker は、数か月ではなく、数日または数週間で ML モデルをデプロイすることによって、グローバル組織全体で ML 機能を採用するという重要な目標を達成するのに役立ちました”

Badri Raghavan 氏
ResMed、AI および ML 担当バイスプレジデント

ソリューション | Amazon SageMaker で AI/ML プラットフォームを 1 年以内に構築する

Manifold との協力と並行して、ResMed は 2022 年初頭に、次世代 ML ソリューションである IHS の 2 つ目のバージョンの構築を開始しました。ガイダンスを得るために、チームは AWS データラボに参加しました。AWS データラボは、お客様と AWS の技術リソースの間における、高速な共同エンジニアリングエンゲージメントを提供し、データ、分析、AI/ML、アプリケーションのモダナイゼーションの取り組みを加速する具体的な成果物を生み出すことを可能にします。「AWS データラボはすばらしいサービスでした」と ResMed の ML および AI 担当シニアマネージャーである Philomena Lamoureaux 氏は述べています。「デベロッパーがこの概念実証のための開発と教育だけに集中できるように時間を設けました」。 AWS データラボを利用するようになってから、ResMed での Amazon SageMaker の採用は 3 か月間で 2 倍超に増加しました。プロトタイプソリューションは、ResMed が AWS データラボチームとの協力を開始してからわずか 2 か月後の 2022 年 4 月にロールアウトされ、Amazon SageMaker 上の IHS ソリューションの基本的な AI/ML 機能は 6 か月以内にデプロイされました。

ResMed の AI/ML ソリューションは、フルマネージドインフラストラクチャで前処理、後処理、およびモデル評価のワークロードを実行するために Amazon SageMaker Processing を利用しています。ResMed は、Amazon SageMaker の多くの機能を活用して、モデルとパイプラインをトレーニングし、ほぼリアルタイムの推論やバッチ推論などのデプロイタイプを選択しています。(ResMed のソリューションアーキテクチャの詳細については、図 1 をご覧ください。) これらの ML モデルは、myAir アプリケーションにほぼリアルタイムの予測を提供します。その後、myAir アプリケーションはコンテンツをカスタマイズして myAir ユーザーに配信します。各 ML モデルは、1 日あたり最大 200 万件の予測を作成します。アプリ内通知に加えて、myAir は Amazon Pinpoint を利用して、パーソナライズされた E メールキャンペーンも顧客に送信します。Amazon Pinpoint は、柔軟でスケーラブルなアウトバウンドおよびインバウンドのマーケティングコミュニケーションサービスです。

「以前は、myAir の全ユーザーがアプリから同じようなメッセージを受信していました」と ResMed の最高技術責任者である Urvashi Tyagi 氏は述べています。「IHS は、患者が利用する ResMed デバイス、起床時間、追加のコンテキストデータに基づいて、myAir を通じて患者とのパーソナライズされたやり取りを円滑にしました」。 現在、1,850 万人を超える患者が、カスタマイズされたコンテンツとパーソナライズされた体験の恩恵を享受しています。「当社のチームには、当社が持つすべてのデータの恩恵を、患者が確実に享受できるようにする能力があります」と ResMed のデータエンジニアリング担当ディレクターである Prakhar Shukla 氏は述べています。

ResMed のデータサイエンティストは、より多くの時間を持ち、柔軟に作業できるようになりました。「データサイエンティストが自ら構築するインフラストラクチャに縛られることなくモデルを作成できるように、当社では、デプロイ、提供、モニタリングを可能な限り合理化および自動化しています」と Lamoureaux 氏は述べています。「これらのデータサイエンティストは、さらなる高みを目指し、創造的になることができます」。 ResMed のデータサイエンティストは、Amazon SageMaker を利用して、以前は数か月かかっていた ML モデルのデプロイを数日から数週間で完了し、AI/ML パイプラインの処理にかかる時間を数時間短縮することで、より迅速な市場投入を実現しています。

アーキテクチャ図

ResMed の AI/ML Intelligent Health Signals プラットフォームのフロー図

クリックすると、拡大して全画面表示になります。

結果 | AWS を利用して何百万人もの睡眠障害を抱える患者の治療をパーソナライズ

ResMed は、Amazon SageMaker を利用して、世界中の 1,850 万人を超える患者のためにパーソナライズされた睡眠療法をサポートする AI/ML IHS ソリューションを迅速に構築しました。「Amazon SageMaker を採用する前、すべての myAir ユーザーは、その状態にかかわらず、アプリから同じメッセージを同時に受信していました」と Raghavan 氏は述べています。「Amazon SageMaker は、ResMed ユーザーのために、よりパーソナライズされた治療を円滑に提供するのに役立ちました。当社は Amazon SageMaker の機能を利用して、モデルパイプラインをトレーニングし、デプロイタイプを選択しました。これには、カスタマイズされたコンテンツを myAir ユーザーに提供するための、ほぼリアルタイムの推論やバッチ推論が含まれます」。 さらに、Raghavan 氏は次のように述べています。「Amazon SageMaker は、数か月ではなく、数日または数週間で ML モデルをデプロイすることによって、グローバル組織全体で ML 機能を採用するという重要な目標を達成するのに役立ちました」。

ResMed について

ResMed は、睡眠時無呼吸、慢性閉塞性肺疾患、その他の慢性疾患を抱える人々のケアを変革するデジタルヘルステクノロジーおよびクラウドに接続された医療機器、ならびに介護者をサポートする院外ソフトウェアプラットフォームを提供しています。これらのソリューションは、140 を超える国々の消費者と医療システムのために、生活の質の改善、慢性疾患の影響の緩和、コスト削減を実現してします。

使用されている AWS のサービス

AWS Glue

AWS Glue は、サーバーレスなデータ統合サービスで、分析、機械学習 (ML)、アプリケーション開発用に、複数のソースからデータを検出、準備、移動、統合することをより容易にします。

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Amazon SageMaker

Amazon SageMaker は、製品のレコメンデーション、パーソナライズ、インテリジェントショッピング、ロボット工学、音声支援デバイスなど、実際の機械学習アプリケーションの開発における Amazon の 20 年の経験に基づいて構築されています。

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AWS データラボ

AWS データラボは、お客様と AWS の技術リソースの間における、高速な共同エンジニアリングエンゲージメントを提供し、データ、分析、人工知能/機械学習 (AI/ML)、サーバーレス、コンテナのモダナイゼーションの取り組みを加速する具体的な成果物を生み出すことを可能にします。

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Amazon Pinpoint

Amazon Pinpoint は、マーケティング担当者とデベロッパーに、チャネル、セグメント、キャンペーン全体で大規模なカスタマーコミュニケーションを実現するためのカスタマイズ可能なツールを提供します。

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