AWS トレーニング活用事例 - 2020
株式会社みずほフィナンシャルグループ
みずほ情報総研株式会社
「金融を巡る新たな価値創造」を目指し、マネジメント層を中心に AWS トレーニングを実施
1 年で 400 名を超えるクラウドエンジニアを育成
株式会社みずほフィナンシャルグループでは、2019 年度より「5 ヵ年経営計画 ~次世代金融への転換」を掲げ、構造改革に取り組んでいます。その実現に向けて特に注力していることが、デジタル技術の活用です。そこで、IT 戦略の要となるグループ会社みずほ情報総研株式会社を中心に、ミドルマネジメント層への AWS トレーニングを実施。わずか 1 年で 400 名を超える AWS 認定資格保持者を輩出し、IT 活用による「金融を巡る新たな価値の創造」を推進しています。
大規模な AWS トレーニングによって、グループ全体の変革への意識が高まりました。
今後はクラウド活用によって、グループの資産をオープンに活用できる
新たなプラットフォームを提供していきます。
高橋 達浩 氏
株式会社みずほフィナンシャルグループ 執行役員 Chief Information Security Officer(Group CISO)
みずほ情報総研株式会社 代表取締役副社長 兼 プロジェクトデザイン本部長
ミドルマネジメント層の受講により、クラウド重視の姿勢をグループ全体に浸透
株式会社みずほフィナンシャルグループ
執行役員 Chief Information Security Officer(Group CISO)
みずほ情報総研株式会社
代表取締役副社長 兼 プロジェクトデザイン本部長
高橋 達浩 氏
IT・デジタル活用によって、金融業界にもさまざまな革新が起きています。みずほフィナンシャルグループでは、新勘定系システム『MINORI』へ移行するという一大プロジェクトを実施した 2019 年度から「5 ヵ年経営計画 ~次世代金融への転換」が進行中で、経営基盤の改革促進のため、デジタル技術の活用を進めています。その一環として、クラウドエンジニア育成に注力すべく、グループ全体にAWS トレーニングを実施しました。
「クラウド活用のニーズは 2017 年ごろから高まっており、新勘定系システムの開発が一段落した後は、クラウド人材育成に注力しています。パートナー企業だけに依存せずに、自ら技術を理解して実装できる部隊を作りたいという思いがありました」と語るのは、株式会社みずほフィナンシャルグループ執行役員であり、みずほ情報総研株式会社の代表取締役副社長 兼 プロジェクトデザイン本部長である高橋達浩氏です。
みずほ情報総研は、グループ内の IT 戦略支援のほか、民間企業や官公庁からの研究・コンサルティング業務を手がけています。今回のグループ全体での AWS 人材育成プロジェクトは、同社の人事部、ならびにクラウド推進チームに加え、株式会社みずほフィナンシャルグループの IT・システム企画部との協働によって展開されました。
将来のクラウド活用を見据えて、AWSエンジニアの目標育成人数を 300 名に設定。変革を促進するため、対象者は現場で影響力のある課長クラスを中心とし、人事部から指名する形としました。
みずほ情報総研株式会社の人事部 調査役の椎野洋介氏は、「対象者の多くは多忙で調整が難しいこともありましたが、組織だけでなく個人的にも将来のために必要な技術を得られる好機であることをしっかり説明して理解いただきました」と語ります。パブリッククラウド推進チーム次長である児島浩太郎氏は「期初の 4 月に会議で、人事部担当の役員が クラウド活用とそのための AWS エンジニア育成の重要性について全社に周知したことで、クラウドを重視する経営層の意思が伝わったはずです」と当時を振り返ります。
人事部からの指名とは別に、意欲の高い任意の参加者も受け付け、当初の計画よりも規模が拡大していきました。また、開発者だけでなく、活用する側もクラウドの特性を理解する必要との考えから、グループの銀行各社でも研修を実施しました。その結果、みずほ情報総研から受講目標 300 名に対して 435 名、みずほ銀行やグループ各社からも 196 名が AWS トレーニングを受講しました。
きめ細かな学習支援で AWS 認定 417 名を達成
AWS エンジニア育成のカリキュラムは、公式の AWS トレーニングでコアとなる考えを効率良く学んだ後、実践スキルを身に付けるためのハンズオン課題によって、通常業務と並行して2ヶ月程度で習得できるよう構成されました。ハンズオン課題は、パブリッククラウド推進チームが作成したオリジナルコンテンツで、現場で使えるノウハウが含まれた実践的なものになっています。その他、AWS に関する対面相談会、AWS 認定試験対策オンライン Q&A の仕組み、AWS 認定試験対策講座の実施など、様々な補完施策も実施されました。
椎野氏は、19 回にわたる研修すべての冒頭で、研修の意義を再啓蒙することで、受講者のモチベーションアップに努めたといいます。「ミドルマネジメント層を中心とした研修により、組織としてクラウドを積極的に活用していきたい、現場の風土を変えていきたいという期待を改めて伝えました」(椎野氏)
こうした活動の結果、2019 年度の AWS 人材育成プロジェクトでは、AWS 認定 ソリューションアーキテクト – アソシエイトの取得者 335 名を輩出、さらに、自主的に取り組んだ社員 82 名も合わせて 417 名の資格取得を達成しました。
受講者のアンケートでは、およそ 9 割がクラウドの知識・スキルを今後の業務へ活用できる実感を得られたといいます。
技術検討の質が向上、提供できる価値も高まる
AWS エンジニアが増えたことにより、グループ内にクラウドへの理解が浸透しました。サービスを企画する側と技術側が同じ視点でクラウドを語れるようになったことは、グループにとって大きな効果だといいます。
パブリッククラウド推進チームマネージャーの宮岡広寿氏は「ここ1年くらいでパブリッククラウドの利用を前提とする案件が、公共系を中心に急増しています。以前は案件担当からパブリッククラウドが全く分からないので助けて欲しいという、レベルの相談が当部に来ることも多々ありました。しかし、現在は案件担当側と技術側がお互いにクラウドの特性を理解した上で、一歩踏み込んだ議論ができるようになってきました」と話します。
みずほフィナンシャルグループの IT ・システム企画部 IT 人材マネジメントチーム調査役の目黒陽子氏は、「今回、グループ全体の取り組みとして推進し、みずほフィナンシャルグループ・みずほ銀行を中心にIT企画・案件推進部門でも同様にクラウド研修を展開したことで、案件企画側の理解も進み、クラウドが実案件に活用できる技術として浸透してきました。今後グループ内のクラウド知見をさらに高めていくため、好きな時間に学べるEラーニングコンテンツも提供していく予定です」と語ります。
自由な発想を育むクラウドから新しいビジネスを創出
みずほフィナンシャルグループでは、次のステップとして 400 名を超えるAWS 人材がより一層活躍できるよう、実案件の推進や組織の改革を進めていく予定です。
また、新しい勘定系システムではオープンにサービスを提供できる機能も備えており、メガバンクとして保有するビッグデータを BI ツールや AI システムなどの外部サービスと連携して活用することを構想しています。「エンジニアとして、インフラとしての AWS 活用だけでなく、PaaS、SaaS など、よりアプリケーションに近い環境に移行していく必要性を実感しています。新しい技術をより早く、安全に活用できるようにしていきます」(児島氏)
また、デジタル技術の専門人材のスキルもさることながら、活躍するためのキャリアパスの設計も重要であると考えています。「自由な発想でどんどん試せるのはクラウドの良い面です。ビジネスにおいては、外部サービスと連携するエコシステムを創造できることを期待しており、エンジニアがグループ内で末長く活躍できるような体制も整えていきたい。また、AWS は、次の社会をつくる重要なプレイヤーであり、パートナーであると捉えています。社会が抱える課題の解決のため、ともに向き合っていきたいと考えています」(高橋氏)
みずほ情報総研株式会社
技術企画部
パブリッククラウド推進チーム
次長 児島 浩太郎 氏
みずほフィナンシャルグループ
IT ・システム企画部
IT 人材マネジメントチーム
調査役 目黒 陽子 氏
みずほ情報総研株式会社
人事部
調査役 椎野 洋介 氏
みずほ情報総研株式会社
技術企画部
パブリッククラウド推進チーム
マネージャー 宮岡 広寿 氏
カスタマープロフィール
株式会社みずほフィナンシャルグループ
- 設立年月日: 2003 年 1 月 / 従業員数:1,677 人(みずほフィナンシャルグループおよび連結子会社就業者数合計 57,264 人)
- 事業内容:銀行持株会社、銀行、証券会社、その他銀行法により子会社とすることができる会社の経営管理およびこれに附帯する業務
みずほ情報総研株式会社
- 設立年月日: 2004 年 10 月 / 従業員数: 4,225 人
- 事業内容:民間企業や官公庁・政府機関からの研究・コンサルティング業務、システムインテグレーションの受託や、みずほフィナンシャルグループの情報戦略立案支援、構築、運用の推進
ビジネスの課題
- 経営資源を有効活用するための IT ・デジタル活用促進
- 年々増え続ける顧客のクラウド活用ニーズへの対応
- クラウドを含めた最新テクノロジーの実装力強化
受講した AWS トレーニング
- AWS Technical Essentials 1
- AWS Technical Essentials 2
- Architecting on AWS
- Developing on AWS
- Systems Operations on AWS
- Advanced Architecting on AWS
- Security Engineering on AWS
AWS トレーニングを選択した理由
- グループ内に、クラウド活用により変革可能なビジネス領域が多数ある
- サービス数/機能数が多く、最新テクノロジーを活用したシステムを早く、安く、安全に提供できる
- グローバルで実績が多く、活用ナレッジや学習コンテンツも充実している
AWS トレーニング導入後の効果と今後の展開
- わずか 1 年で 400 名以上の AWS 認定取得者を輩出
- クラウドを前提とする顧客の要望に対し、柔軟な対応ができるようになった
- グループ全体のクラウド活用意識が高まった
- グループ資産を活用したクラウドネイティブのシステム提供により、あらたなエコシステムを構築するための人材基盤ができた