投稿日: Jun 22, 2023

  • グループ企業約 900 社が AWS のサービスを迅速かつ安全に活用し、ビジネス変革を推進するための新たなデジタル基盤を AWS 上に構築
  • 日本有数の規模の SAP 環境の移行とモダナイゼーションにより、AWS 上の新デジタル基盤と連携し、データドリブン経営を加速
  • 機械学習により、同社のブルーカーボン事業を推進

Amazon.com, Inc. の関連会社であるアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下、その関連会社も含み総称して「AWS」)は本日、住友商事が世界 66 か国・グループ企業 約 900 社のビジネス変革を AWS のクラウドサービスを活用して加速していることを発表しました。 同社はこの取組の一環として、AWS 上にグループ共通のクラウド利用基盤となる「SC デジタル基盤(SCDP)」を構築し、さらに、同社 SAP 環境の AWS への移行を開始しました。

同社は住友商事のグループ企業であり、 AWS プレミアコンサルティングパートナーである SCSK の支援により、本 SCDP 上で AWS サービスを迅速かつ安全に活用し、グループ全体のデジタル変革を推進し、デジタルソリューション総合商社の実現を目指します。SCDP では、東京と大阪の 2 つの AWS リージョンを活用し、高い可用性と低遅延なアクセスを同時に実現し、事業継続性を確保しています。また、AWS Well Architected フレームワークのベストプラクティスに基づき、Amazon GuardDutyAWS Security Hub などのクラウドネイティブなサービスを活用してグループ全体のセキュリティガバナンスの強化を図っています。さらに、基盤だけでなく、SCDP 上の各システムが共通して利用する機能(監視・データ連携・データ管理)をメニュー化して提供することで、各事業部門やグループ企業でのクラウド利用検討時の時間短縮によるコスト削減と全体のセキュリティ向上を目指しています。この SCDP は今後、オンプレミスで稼働していたリスク管理システム、統合 ID 管理システムなどの 60 以上の業務システムを順次移行するとともに、グループ企業での活用を進める予定です。

日本で有数の規模のSAP環境を移行

住友商事はまた、同社の基幹システムである SAP 環境を、既存環境である SAP HANA Enterprise Cloud から AWS 上の RISE with SAP へと移行しています。同社は、SAP のクラウド ERP である SAP S/4 HANA Cloud と SAP Business Technology Platform などを中核とするクラウドオファリングである RISE with SAP を利用し、RISE with SAP の基盤として、世界で数千に及ぶ企業・組織が SAP ソリューションを構築する AWS を活用します。

同社は営業、会計、経営情報システムなどの 16 以上のアプリケーションを支える約 60 インスタンスに及ぶ日本でも有数の規模の SAP 環境を、国内拠点・グループ会社については 2024 年末までに、海外については 2026 年中旬までに移行を完了予定です。これにより、同社はグループのビジネスデータをつなぐモダンで、パフォーマンスの高いシステムを構築します。

将来的には、これらの SAP 環境と、住友商事やグループ企業が SC デジタル基盤上で新たに構築、または移行する業務システムとを連携し、AWS のアナリティクスや機械学習サービス、さらには AWS パートナーのソリューションを活用して、ビジネスデータからより深いインサイトを得ることで、データドリブン経営を加速させることを目指しています。

機械学習によるブルーカーボン事業の推進

住友商事は同社のカーボンニュートラルに向けた目標の一環として、同社グループ会社の Insight Edge およびナイルワークスとともに、 AWS を活用してブルーカーボン事業も推進しています。近年、マングローブ、海草藻場といった海洋生態系によって隔離・貯留された二酸化炭素(CO2)由来の炭素であるブルーカーボンは気候変動対策として注目を集めています。同社は、画像、テキストファイル、動画などの未加工データに簡単にラベルを付けることができる AI サービスである Amazon SageMaker Ground Truth を活用して、カーボンクレジット量を正確に算定するための高品質なラベルデータセットを構築しました。 これにより、ドローンで空撮した海草藻場の多数の写真にラベルを付けて藻場面積を計測し、ブルーカーボン量を算定することで、地域の自治体がカーボンクレジットを申請できるよう支援しています。同社は現在、グループの SCSK や DX 技術を専門とする Insight Edge と生成 AI の事業活用を進めており、今後、Amazon Bedrock を含む AWS の生成系 AI サービスの活用も予定しています。

住友商事株式会社 理事 IT 企画推進部長 DX・IT 統括責任者補佐の塩谷 渉氏は、次のように述べています。「住友商事は最先端のテクノロジーを活用した DX を推進しており、AWS はこれをグローバル規模でさらに加速する上での重要なエンジンです。大幅に強化したセキュリティガバナンスを備えた SC デジタル基盤の構築により、当社グループ約 900 社のスピーディな新規事業創造、既存事業の価値向上を可能とします。また、SAP や業務システムの AWS への移行により、クラウド上のさまざまなサービスとの連携がスムーズに実現でき、データに基づいた迅速な意思決定と業務プロセスの最適化を進めるとともに、生成系 AI などの最新のクラウドテクノロジーを活用した社会課題の解決にも取り組んでいきます」

SCSK 理事 ソリューション事業グループ  クラウドサービス事業本部 副本部長  佐藤 利宏氏は次のように述べています。「住友商事が進める幅広い事業分野でのデジタル変革を加速するには、AWS の拡張性と信頼性が不可欠です。当社は AWS が 2011 年に東京リージョンを開設すると同時に AWS パートナーネットワークに参画し、800 社・団体に及ぶ日本のお客様の AWS を活用したイノベーションや事業目標の達成を支援してきました。この実績を活かし、住友商事グループの加速するデジタル変革を引き続き支援していきます」

アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 代表執行役員社長 長崎 忠雄は、次のように述べています。「住友商事様は過去 100 年にわたり、ビジネスを革新し続けています。同社が世界中のお客様から信頼される企業であり続ける理由はここにあります。AWS の長年のパートナーである SCSK 様のサポートにより、住友商事様は最も重要な業務アプリケーション群を AWS に移行し、データをビジネスの中心に据える土台を築かれました。今後これにより、プロセスを安全に自動化することで、事業運営コストを削減し、また、幅広い事業を支える従業員、ならびにステークホルダーの皆様の体験も向上していくと確信しています」