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小売業に IT 部門は本当に必要か?
最近の WSJ の記事で、 MIT スローン経営大学院の Joe Peppard は、 IT 部門の有用性は失われたと主張しました。多くの企業の IT 部門は、それ無しで企業が存在することが想像できないほど強力な力を持つまでに成長しています。それでも、私はこの記事を読んで、小売業はどのように組織化されているのか、 IT 部門が小売の企業でどの様な役割を担っているのかを考えさせられました。
私は複数の小売業向けのソリューションプロバイダを含め、小売の IT 部門でキャリアを積んできました。振り返ってみると、「ビジネス部門と確認する」や「ビジネス部門と完全に合意している」といった文脈で「ビジネス」という言葉はとても頻繁に使われていました。これは、小売の企業の多くがビジネス部門と IT 部門の組織で分離されている事を意味しています。これが、私には間違っている様に感じるのです。
テクノロジーの急激な普及に伴いサーバの維持管理という、専門的な作業に専念するチームが必要となりました。どういうわけか、この専任でサーバを維持管理するための役割はマーチャンダイジング(MD)、マーケティング、店舗運営といった様々な事業部門をサポートする一つの部門に形を変えました。これにより、動きは遅くなりました。同時に、レポートや新しい機能、アプリケーションの更新が必要な時には、 IT 部門とスケジュールを立て、早く対応してくれるように願うことになりました。機敏であるとも、効率的であるとも見えないですよね?
テクノロジーが小売の組織の隅々まで染み渡る以前には、この特殊な機能を一元管理することは理にかなっていました。現在、小売業にとってデジタルトランスフォーメーションは特に重要になってきており、 IT 部門だけに留まりません。プロセスを技術的に効率的な形に革新していくという考え方は、全ての部門に影響を与えています。特に、高度なアプリケーションとインフラストラクチャーが組織に浸透している場合はなおさらです。ここで、なぜ小売業は中央集権的な IT 部門に固執するのか、という疑問が出てきます。
小売業におけるデジタルコマースのビジネス部門は通常、 IT 部門への依存度が低く、他の「ビジネス」部門とは異なる独自の技術力を備えています。最高デジタル責任者(CDO)はオンラインビジネスとテクノロジを一緒に管理します。したがって、調整に関する問題がありません。他のすべての小売の組織でもこのモデルになるはずです。
クラウドコンピューティングが従来の、レガシーで旧式のテクノロジーから、差別化にならない重労働の負担を軽減したため、クラウドベースのインフラストラクチャを使用する小売の企業では日々のサーバ管理に集中する必要がなくなりました。これにより、最新のクラウドアーキテクチャをつかう小売の企業は、 IT の人員とスキルを、マーチャンダイジングやマーケティングといった、ビジネス業務部門の現場へ配備し、「ビジネス」と IT が完全に一体となった、コラボレーション、実験、ノベーションを促進することができます。例えば、 MD システムを担当する IT 担当者がMDの部門に移ること、もしくは、 POS を管理する IT 担当者が店舗運営に異動するなどは理にかなっています。このアプローチはより効率的で、ビジネス志向のチームとテクノロジーに特化したメンバーが協力して問題を解決することで、創造性を発揮することができます。
このモデルによって、さらなる創造性を発揮し、より早く、より良い、ビジネスの成果を出せると信じています。あなたの組織の経験を、是非聞かせてください。似たような進化が起きていますか?そうであれば、より多くのイノベーションにつながっていますか?
是非、この投稿にコメントを残していってください。 AWS はこのゴールを達成することをいつでもお手伝いします。今日にでもアカウントチームに連絡して、クラウドトランスフォーメーションのプロジェクトについて議論してください。
著者について
David Dorf
David Dorf は AWS のワールドワイドリテールスペシャリストで、小売業者向けのソリューションの提供に注力しています。 David は以前、インフォア・リテール、オラクル・リテール、360 コマース、サーキット・シティ、 AMF ボウリング、シュルンベルジェのリテール&バンキング部門で、さまざまなテクノロジーを使用したリテール・システムの開発を担当していました。デイビッドは、 NRF-ARTS で技術標準に取り組み、リテール・オーファン・イニシアチブの慈善団体を引き続き支援しています。彼はバージニア工科大学とペンシルベニア州立大学で学位を取得しています。
翻訳は Solutions Architect 多田が担当しました。原文はこちらです。