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クライアントデバイスからのポート443でのTLSクライアント認証によるMQTTの実装方法(Python)
アプリケーション レイヤ プロトコル ネゴシエーション(Application Layer Negotiation:ALPN)は、TLSの拡張機能として、TLSサーバに接続しているクライアントがProtocolNameListという追加パラメータを渡すことを可能とします。ProtocolNameListは、クライアントが通信に使用したいアプリケーションプロトコルの優先順位付きリストです。
AWS IoT Coreでは、ALPN TLS extensionを使用して、ポート443でTLSクライアント認証を使用してMQTT経由でデバイスを接続できるようになりました。なぜこれが便利なのかについては、このブログ記事を参照してください。
方法1:PahoクライアントをOpenSSLを利用する場合
OpenSSLとmbedTLSを含む最も一般的なTLSは、ALPN をサポートしています。 この例では、Paho-mqttクライアントとOpenSSLライブラリを使用して、デバイスをAWS IoTエンドポイントに接続します。
前提条件
デバイスを接続する前に、PythonとOpenSSLのバージョンがALPN をサポートしているかを確認してください。
- Python 2.x: you need version 2.7.10 or later
- Python 3.x: you need version 3.5 or later
- OpenSSL: you need version 1.0.2 or later
1. OpenSSLのバージョンチェックの方法
2. Pythonのバージョン確認方法
3. Pythonが参照しているOpenSSLのバージョンチェック方法
このサンプル・スクリプトでは、PahoをMQTTライブラリーとして使用してメッセージをパブリッシュします。 Paho-MQTTクライアントの最新の安定版は、Python Package Index(PyPi)で入手できます。 pipを使用してインストールします。
接続された各デバイスには、メッセージブローカーまたはデバイスシャドウサービスにアクセスするための認証情報が必要です。 サンプルスクリプトでは、認証メカニズムとしてX.509証明書を使用して、AWS IoTエンドポイントに接続します。 AWS IoTコンソールまたはCLIを使用してAWS IoT証明書を作成できます。 詳細については、「AWS IoT開発者ガイド」の「AWS IoTデバイス証明書の作成と登録」および「AWS CLIコマンドリファレンス」の「create-keys-and-certificate」を参照してください。
以下のサンプルスクリプトは単純に、AWS IoTへの接続を行ない、メッセージパブリッシュを行っています。実行するには、以下をコピーしalpn_mqtt.pyなどとファイル名を付けて保存してください。
Pythonスクリプトの実行
以下のコマンドを実行します。
実行結果として “connect success”と”publish:<クライアントの送信時刻タイムスタンプ>”がコンソールに表示されていれば接続、パブリッシュともに成功しています。
もしエラーが表示されていれば、AWS IoTのエンドポイント情報や証明書情報などスクリプトの書き換え部分を確認して見てください。
AWS IoTでのメッセージ到達確認
AWS IoTがクライアントメッセージを受信しているかを確認するには、AWS IoTのコンソールにログインし、メニューの”Test”を選択し、Subscribeを選び、トピックに “test/data”を入力します。
Subscribeを設定したのちに、画面のようにクライアントからパブリッシュされたメッセージが毎秒間隔で表示されます。
もしクライアントがLinuxで動いていればtcpdumpコマンドで確認することも出来ます。
方法2 AWS IoT Device SDK for Pythonを使う場合
Python用のAWS IoT Device SDKは、開発者がデバイスを使用してAWS IoTにアクセスするためのPythonスクリプトを作成することを可能にします。現時点では、ポート8883でTT over MQTTを、ポート443でWebSocketプロトコルでMQTTを選択できます。現時点では、ポート8883でTT over MQTTを、ポート443でWebSocketプロトコルでMQTTを選択できます。ポート443でのMQTTのサポートは、デフォルトでは提供されていません。そのために、この機能を有効にするためには、Device SDKを変更する必要があります。
Device SDKで構築されたOpenSSLライブラリはALPN拡張をサポートしているため、ポート443でのMQTT通信を可能にするには、SSLライブラリの設定方法を変更する必要があります。 この例では、ポート443のMQTTを介してAWS IoTエンドポイントに接続するためにDevice SDKで行う必要がある変更を示します。
Python用AWS IoT Device SDKは、変更されたPaho-MQTT Pythonクライアントライブラリの上に構築されています。
AWSIoTPythonSDK /core/protocol/paho フォルダー内のclient.pyファイルを変更します。
例:/usr/local/lib/python2.7/site-packages/AWSIoTPythonSDK/core/protocol/paho/client.py
変更内容は次のとおりです。
変更を加えた後、AWS IoTへメッセージをパブリッシュするための単純なスクリプトを作成します。このスクリプトの名前をaws-iot-with-alpn.py とします。AWS IoT Device SDK for Pythonについての詳細はこちらをご参照ください。
スクリプトの実行
スクリプトを作成したら、以下のコマンドを実行します。
”Connected”の表示がコンソールに表示されれば、AWS IoT Coreへの接続が成功し、メッセージのパブリッシュが成功した事となります。もしなにかエラーが表示された場合は、証明書、証明書に紐付けたポリシーでAWS IoTへの接続が許可されているかなどを確認してください。
Summray
本投稿では、AWS IoTへMQTTをport443で接続する2つのやり方を紹介しました。企業ファイアウォールでポート8883を開くのが難しいなどの制約がある場合にはHTTPS標準で使われるポート443を使用して、AWS IoTへメッセージ送信ができることになりました。
AWS IoT Coreに関する詳細情報などについては、AWS IoT Core開発者ガイドをご参照ください。
筆者:Rahul Sareen / 小梁川貴史
原文はこちら
翻訳はSA 小梁川が担当しました。