Rika さん ~ シニア スペシャリスト ソリューションアーキテクト

前職は外資系のベンダー / SIer です。AWS へは初めての転職となりました。
前職では、SI 部門で大半のキャリアを過ごしてきました。入社当時は製造業を担当するアカウント担当の SE で、スキルはインフラレイヤーからスタートし、サービス指向アーキテクチャ(SOA)全盛期の時代に、Web サービスやエンタープライズ・サービス・バス(ESB)レイヤーを担当する特定の技術領域にフォーカスする部門に異動しました。その後役員のエグゼクティブアシスタントを経て、アプリケーションや上流コンサルを担当する部門に異動し、IT スペシャリストから、インテグレーションアーキテクトにロールを変更し、その後の技術者としてのキャリアを歩んでいます。その後はマネージャーを兼務し、インテグレーション、API、アプリケーションモダナイゼーションといった部門を担当してきました。ライフイベントとしては、マネージャーになった年に出産し、10 ヶ月の産休/育休を経て、同じくマネージャーポジションで復帰しました。経験が浅い中でのマネージャーとしての復帰は不安もありましたが、むしろマネージャーのほうがワークライフバランスを取りやすいのでは?という上司の後押しに勇気づけられました。産前は遅くまで残業をして働く生活が定常化しており、保育園も 22 時まで預かってもらえるところを探したくらいですが、産後に考え方が大きく変わり、家族や自分が心身ともに健康でいられること、限られた時間内に終えること(計画する/逆算する)を最優先に生活するスタイルに変わりました。とはいえ、仕事もチャレンジングでやりがいのある内容を変わらず経験させていただきました。乳腺炎になりやすい体質で、授乳中の海外出張はミーティングの合間に搾乳しないといけなかったり、パンデミックのなかで保育園が 3 ヶ月弱休園するなど、仕事に多少のハードルはあったものの、上司や同僚のサポートを得ながら、その後アソシエイトパートナーというポジションに昇進しました。

いえいえ、順調なことばかりではなかったですよ、特に入社当初ですね。文系出身で、SE という職種さえ正確に認識しない状態で、営業で内定をもらって入社しました。当時 SE のための研修は半年以上に及ぶ壮大なプログラムだったため、これはぜひ受けたいと思い、入社までに SE に職種変更し、研修受講後に営業に戻ろうと思っていました。が、Java のプログラミング研修など、ここで大きな試練に立ち向かい、上司や先輩から特別指導をうけるなど、多いに手厚いサポートを受けました。また、OJT 開始後も、インフラの設定作業で重要なミスをするなど、何度もご迷惑をおかけしました。悔しさもありましたが、もう少し恩返しできるまでは SE としてがんばろう、という思いが強く芽生え、結果、営業に転向することなくこのままキャリアを歩み続けることになります。私より技術力のある社員はたくさんいるので、「自分の苦手なことで勝負するより、得意分野を活かそう」をモットーにキャリアを歩んできました。アーキテクトとしてインテグレーション領域を選んだのも、マネージャーを兼務したのもその考え方がベースにあります。(インテグレーション領域のアーキテクトとは、企業内/間のシステム間連携や統合のアーキテクティングを専門にするロールなのですが、アプリケーションやインフラ、データなどと比較すると多少ニッチなエリアであるという感覚があります。)その結果、担当しているチームや上司、同僚たちのサポートもあり、前職でここまでキャリアを積めたことには感謝しかありません。一方で、今後パートナーになるための経験をこのまま積んでいくのがいいのか、これが自分のやりたいことなのか、を自問自答していたところ、AWS のカジュアル面談のお声掛けがあり、私の経験で貢献できそうなポジションをご紹介いただくことになります。また、残りのキャリア期間が、これまでのキャリア期間のほぼ同じくらい残っていることにふと気づき、走馬灯のように新入社員からの思い出を振り返るとともに、このタイミングで違う場所で、マネージャーではなくプレイヤーとして、自身のスキルや経験の幅を広げるための再スタートを切ってもまだ時間はある、という思いに至りました。昨今のIT業界の転職を取り巻く環境や、子供が小学校に上る前というタイミングも意識しました。そして、周りにはとても驚かれましたが(自身が一番驚きましたが)、AWS にスペシャリスト ソリューションアーキテクト(SA) として入社しました。

SA には多くのポジションがありますが、所属するチームを大きく分類すると、①案件対応中心の アカウント SA、②特定の技術領域を担当するスペシャリスト SA、③パートナー様対応中心のパートナー SA の3つに分かれています。
スペシャリスト SA は、②の特定の技術領域を担当するスペシャリストになります。また特定の技術領域にも種類があり、AWS の各サービスに関連性のある Serverless、Storage、Compute、Container、Data などのサービスに紐付いたスペシャリスト領域の他に、私が所属するデジタルトランスフォーメーション統括本部は、最新のテクノロジーや方法論を駆使し、お客様の IT ビジネスの変革、および保有する IT 資産のマイグレーション、モダナイゼーションを加速する スペシャリストグループになっています。当部門にも様々なスペシャリスト SA が所属していますが、その中でも私のロールは、Migration & Modernization SA(MMSA)になります。MMSA は、お客様のクラウド移行の戦略立案からクラウドマイグレーション&モダナイゼーションに関する個別課題に対応するための各種プログラムを、プリセールスでお客様に展開する活動を行っています。私は MMSA のなかでも、Strategic Cloud Architecture(SCA)チームに所属し、モダナイゼーションの戦略立案のプログラムを担当するミッションで入社しました。入社後にワークショップを開発し、今はそのワークショップをお客様に提供する活動を実施しています。

私は心身共に健康に働けることを重要視しているので、ワークライフバランスが実現しやすい制度や風土がある会社かどうかは転職先の条件として気にするポイントでした。が、イメージが違ったということはなく、むしろ予想以上でした。AWS ではミーティングの予定は相手のカレンダーを見てセットしていいことになっているので他の方のカレンダーをよく見るのですが、女性に限らず、男性社員も子供のお迎えやその他の用事などをオープンに記載されています。非公開でいれるのではなく、オープンに入れるところが社風を表してるのではないかなと思います。会議はカレンダーをブロックせずとも 18 時以降には基本セットしないルールですし、自分のチームでは毎月の最終金曜日は Wellness Day に設定されており、ミーティングは極力減らし、自分の Wellness のために充ててもいい日と設定されています。子供が小学校にあがるタイミングでもあるので、毎月最終金曜は学童へのお迎えを早め、宿題をみながら仕事ができたらいいなと思っています。また、特に SA という観点でみると、より女性にとって働きやすいロールなのではないかと思います。SA はプリセールスの立場で、大きく軸にあるのは「技術力」を使ってお客様やパートナー様を支援することです。日本では、女性の育児/家事負担率は相変わらず高く(本来そうあるべきではないのですが)、「長時間」や「一定または固定の時間」に働くことが求められる仕事では女性が不利になりがちで、業務の調整であったり、時短勤務を選択せざるを得ない場合があります。ですが、SA の業務は「技術力」を使って信頼を得ることなので、その点では性別問わず平等と捉えていいのではないかなと思います。もちろん、常に技術力をアップデートするための時間は確保する必要がありますが、ぜひもっと女性 SA が増えてほしいなと思います。

前職にいたときに決断していたようなキャリアパスのレールは一旦白紙にし、今はまっさらな気持ちで仕事をしていますので、その初心に戻った気持ちをまずは大切にしたいです。短期的な観点では、自分が取り組んでいる技術テーマに真摯に取り組み、もっと知見を増やしていきたいです。また、私は主に上流フェーズのご支援をメインにしているので、時に AWS の社員という立場は一旦忘れてお客様にアドバイスすることもありますが、一方で、もっと AWS のサービスの良さや知識を深めることで、AWS に相談する付加価値を今後つけていきたいと思っています。中長期的な観点では、入社当初の自分を思うと、ここまでこの業界に携わって仕事をしてきたことは感慨深いことですし、縁があって携わってきた業界なので、もう少し楽しみたいと思っています。ここまでの IT 業界の激動を考えると、この先またどんな激動を経験できるのだろうとワクワクします。IT のスキルを使うかどうかを別にして、キャリアの終盤はもう少し社会貢献や自分の持っているスキルで世の中になにか還元していくことに主軸をおけるとよいなと思っています。転職をして改めて思うのは、やはり、私は今まで人に支えられて仕事をしてきたんだなということです。前職の同僚やお客様との交流は続いていますし、そしていろいろなバックグランドを経て AWS で働いてる新たな同僚との出会い、また立場を変えてのお客様との出会いがまた新鮮です。これからも人との出会いを大切にする気持ちを忘れずに、今後のキャリアを歩んでいきたいと思います。