医療のためのAWS

クラウドは病院などの医療機関やヘルステック領域での活動を加速させ、効率化させます。
このページでは医療機関における AWS の取り組みをご紹介します

医学・医療を推進し、社会に貢献する仕組みはどうすれば実現できるのか

-帝京大学 澤智博教授に聞く、今の医療従事者に求められる姿勢とは-


医療サービスは、専門分野における十分な知識と経験を有し、必要な医療資格を取得した人が提供できるようになっています。安心・安全な医療のために担保されるべき仕組みですが、日本の医療をよりよくしていくためには、従来とは異なる取り組み姿勢や行動が求められると言います。医療業界の中からこの問題を提起する帝京大学 医療情報システム研究センターの澤智博教授に、今後の医療従事者に求められる姿勢についてお話を伺いました。

医療 医者

今は、すべての医療施設が、クラウドを活用することで新たな取り組みにチャレンジできる時代

医療従事者の方々は安心・安全な医療を担保するために一歩ずつ、着実に医療のキャリアを積み上げていく必要がありますが、医師としてだけでなく、システムエンジニアとしても豊富な経験を持つ澤先生は、今後医療業界全体が新しい取り組みに積極的にチャレンジしていくためには、もう1つ、別の視点からの取り組みが必要になると指摘します。

「私は元々麻酔科医としてキャリアをスタートしましたが、その後米国でも経験を積み、考え始めるようになったのが“医療が社会全体の役に立つとはどういうことなのか”ということです。そんな問題意識と並行して、米国でドットコム企業の台頭を目の当たりにし“これから先、医療もコンピュータ無しではやっていけないだろう”という思いも強くしました。MIT に入ったのも、そうした理由からです」。

麻酔科医とシステムエンジアという 2 つの経験を通して医療業界を改めて俯瞰した時、澤先生は医療業界のさらなる発展を可能にする取り組みに思い至ったと続けます。

「今は中小規模の病院や個人の開業医の先生方が、規模の大小や国立・私立といった別とは関係なく様々なことにチャレンジできる時代だと考えています。むしろ、このような先生方は施設のオーナーシップを持っていることが多く、自らの考えで迅速に組織をリードできるという点で圧倒的な強みがあります。そのチャレンジを支える取り組みの 1つが機能進化を続けるクラウドサービスを活用することです。人工知能や機械学習、IoT といった最新のテクノロジーを思い立った瞬間に活用することができます。従来の大規模サーバー室や膨大な設備投資は不要になり、柔軟な発想と最新テクノロジーを理解し使いこなすスキルが重要な推進力になります。まさに、個々の医療施設、そして個人が活躍し、医学・医療、更には社会に貢献できる時代になりました。」

もちろん、大規模施設や学術団体もクラウドサービスを活用することでその価値をより高めることができます。クラウドサービスは大規模データベースや複雑なサーバーの維持や管理を簡便にし、「人」に依存せず安定したシステム運営を可能にします。例えば、日本麻酔科学会では累計 1000 万件を超える手術・麻酔症例の大規模データベースを長年にわたり運営しています。集計結果は日本麻酔科学会の会員向けに公開されていますが、ここに、クラウドサービスのAmazon Web Services(AWS)が活用されています。大規模データの活用について、長期に安定した運営をクラウドサービスが支えているのです。

AWS 担当者コメント

「いきなりご自身で必要な仕組みを作り上げるのは敷居が高いと思われるかも知れません。AWS 上では既に多くのヘルスケアテック企業様のサービスが動いております。 まずはAWS 上で動いているサービスに触れ、使ってみるところから始めてみてはいかがでしょうか」。

クラウドを介して医療施設が繋がることで、現場から新たな知見が見つかる可能性がある

ひと昔前までのクラウドサービスのメリットと言えば、時間や場所を問わずに情報共有ができる、利用料金はコンピュータの処理能力を使った分だけでいい、というものでしたが、澤先生は、現在クラウドを利用するメリットは、以前とは次元の全く異なるレベルだと強調します。

「クラウドは、通信によって単にデータをやり取りする、というレベルを超えて、医学知識など高度で複雑な情報を処理しながら、必要としている医師などの専門職に的確に提示できる、という可能性を有しています。例えば、日々の診療に欠かせない診療ガイドラインのコンテンツについて、それを必要とするタイミングで提示することで、より精度の高い診療を可能にするのです。クラウドは、患者さんにも新たな価値を提供します。お薬手帳や処方箋の電子化が進んでいるところですが、PHR(パーソナルヘルスレコード)という患者さん自身が管理する医療記録の基盤にはクラウドが適しています。クラウドの活用によって、医療側も、患者さんの側も、両方がレベルアップし、より便利で効果的な医療サービスを可能にするのです。」

今後医療業界では AI などの利活用がさらに進んでいくと思われますが、AWS はそうした最新テクノロジーにも随時対応しています。少しずつでも AWS を使っていくことで、基本機能から最新テクノロジーにまで触れることができるでしょう。将来的には AWS を道具としてフル活用し、必要な仕組みを自分たち自身の手で作り上げていくことも決して不可能ではないと思われます。

能動的なクラウドへのコミットが、医療を前進させるための第一歩

さらに澤先生は、クラウドを媒介として新たなチャレンジが生まれてくる可能性は、医療業界内だけのものではないと続けます。

「クラウドを活用することで、医療機器や医療サービスを提供する企業、あるいは製薬会社とも共同研究したり、研究成果や情報を共有することが効率よくできるようになります。医療界、産業界、そして市民との連携がより一層進むことで、過去にはない新たな仕組みが生まれてくる可能性は十分にあると思います」。

online medical consultation - doctor working on laptop computer in clinic office. copy space

ただしこうした連携に向けた道づくりのためには、医師を始めとする医療従事者の人たちのクラウドに対する認識が変わっていくことが必要だといいます。

「ここ暫く、研究をリードする立場の方々から“ITを使いこなせる現場の人間がいない”という話を非常によく聞きます。人材不足を嘆く研究者の方たちに私がお伝えしたいことは、まずは自らクラウドに触れてみて、クラウドがどのようなものかを自分で体感することが大切だということです。そうすることで、クラウドの性質を把握し、適切な活用方法を見出せます。そして、その時には、他人に頼る必要なく自らITを駆使して研究を進めることができるようになっているかもしれませんね。」

AWS ではインターネット上で多様なコンテンツをラインナップしており、文字だけでなく動画で提供しているものも数多くあります。

「現在は IT スキルを獲得するための教材にアクセスすることは非常に簡単です。まずは能動的にクラウドという“道具”に触ってみようという姿勢が重要です。それが医療をよりよくし、社会の前進へと繋がる第一歩となるでしょう。」

AWS 担当者コメント

AWS では、ヘルスケア領域でクラウド活用を検討されている医療機関や医療系サービス提供事業者の皆様を対象にした「 AWS ヘルスケアクラウドセミナー」などのウェビナーも随時開催しています。是非一度ご覧いただければと思います。


帝京大学 医療情報システム研究センター
教授

澤智博氏

“麻酔科医×システムエンジニア”のキャリアが現活動のベース

1993 年、札幌医科大学 医学部を卒業後に麻酔科医としてキャリアをスタート、ハーバード大学マサチューセッツ総合病院の麻酔集中治療科でレジデントの経験を積み、2001 年にマサチューセッツ工科大学(MIT)大学院で理学修士過程を修了。帰国後は、大学病院をはじめとした医療施設で電子カルテシステムの企画や構築、学会等での大規模システムの設計構築に携わる。医療ITの標準規格に造詣が深く、医学研究から臨床現場までITを駆使した医学医療の推進を目指している。

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