通常のベンダーのサポートでは、自分たちの製品に問題がなければ『製品には問題がありません』と回答して対応は終わります。一方 AWS サポートの場合は、AWS のサービスに原因がないと分かっていても、『ここを確認してみてください』と、AWS 以外の部分についてもアドバイスをくれます。こういった対応は、本当の意味で顧客目線のサポートを提供してくれていると実感しています。
池本 修幸 氏 株式会社 千趣会 経営企画本部 情報システム部 システム管理チーム

1955 年に創業し、「ベルメゾン」ブランドの通販ビジネスを展開する千趣会。同社は、紙のカタログから始まり EC サイト、カタログサイトなど多チャネル化を進めており、オムニチャネルにも積極的に取り組んでいます。

ベルメゾンの通販ビジネスの顧客は、30 代から 50 代の女性が中心です。それに対して千趣会では新たにブライダル事業や保育園事業などを展開して、顧客層のさらなる拡大も図っています。千趣会はこれら施策で、女性の毎日に笑顔を届けることを通じ世の中をしあわせにしていく「ウーマン スマイル カンパニー」を目指しています。

紙のカタログの活用から EC サイト中心へと、通販ビジネスを取り巻く環境は大きく変化しています。さらに、顧客が EC サイトを利用する方法も、PC からスマートフォンなどのモバイル端末へと一気に拡大しています。このような市場の変化に柔軟に対応するため、IT システムにもこれまで以上に柔軟性と俊敏性が求められています。

素早い適応力が必要な時代には、自社でハードウェアや OS、ミドルウェアのような IT 資産を持ってしまうと、絶え間なく変わる需要に対して迅速に応答することが難しくなります。
長期間のライセンスやサポート契約をコミットしていた以前のモデルは、私たちの能力や迅速な適用への妨げとなる可能性がありました。

そこで、千趣会では、柔軟性と俊敏性という新たな IT システムの要件に応えるには、クラウドコンピューティングのような新しい技術を活用すべきだと考えるようになりました。また成否の予測が難しい新たなビジネスチャレンジをする際にも、初期投資を小さく始められるクラウドは有効だと考えました。

一方で千趣会では、堅牢で信頼性の高いさまざまな IT の仕組みをオンプレミス環境に構築し運用してきました。そのため「全面的にクラウドに移行するのではなく、顧客の利便性向上を目的に緩やかにクラウドを活用することを考えました。」と言うのは、株式会社 千趣会 経営企画本部 情報システム部 システム基盤チームの池本 修幸 氏です。千趣会では既存の IT 資産も活かしつつ、クラウドを段階的に導入する必要があったのです。

千趣会では 2010 年 に、まずはプライベートクラウドの導入からクラウド化を進めました。このプライベートクラウド化は順調に進められましたが、プライベートクラウドには無限のリソースがあるわけではないため、拡張性は限定されます。拡張性の限界がビジネスのリスクになる前に、千趣会では新たなクラウドのサービスの利用を検討を開始しました。そして国産を含めていくつかのクラウドサービスを比較した結果、AWS クラウドが選択されました。

「AWS クラウドを選んだポイントの 1 つがコストメリットです。単に利用料が安価なだけではなく、システムを利用していない時間帯には止めておけば課金されないなど、柔軟な対応が可能な点を評価しています。Amazon Virtual Private Cloud、AWS Direct Connect を使うことで、AWS クラウド上でプライベートな環境を構築できる点も安心材料となりました。」(池本氏)

また、Amazon EC2 のようなサーバーリソースだけでなく、Amazon S3、Amazon ElasticCache、AWS CloudFormation、Amazon RDS などさまざまなサービスを組み合わせることで容易に必要な仕組みを構築できる点も評価されました。

千趣会では本格的に AWS を活用するようになり、IT インフラの導入時間が明らかに短縮されました。プライベートクラウドでも SIer に見積もりを依頼しエンジニアを確保して新しい環境を整えるには 2 週間ほどの時間が必要でした。それが AWS クラウドならば承認プロセスを入れても 1 日か 2 日で開発が始められます。千趣会では、2016 年までに AWS クラウドを中心とした IT インフラへの移行を完了しました。

「最初の頃は、AWS にするのかプライベートにするのかを悩むこともありました。今では AWS クラウドの信頼性が社内でも積み上がり、AWS クラウドの利用がごく当たり前になりました。」(池本氏)

千趣会では、AWS の利用が普及したことで、AWS のさまざまなサービスを活用して自動化をしたい、といったさらなる要求も出てきています。IT 部門の少ないメンバーでも大規模なシステムを運用し、さらに、障害検知などにもいち早く自動で対処するため、クラウド活用の第 2 ステップへ移行が進んでいます。このように AWS の利用が進んだことで、アプリケーション開発のメンバーも、IT インフラを意識するようになるなど、エンジニアにも変化が訪れています。

こういった千趣会のさらなる AWS クラウドの活用に貢献しているのが、AWS サポートです。千趣会では、クラウドの運用を他社に任せるのではなく、基本的には自分たちの手で運用する方針をとっています。そのため、トラブルに迅速に対処するために、AWS サポートのビジネスプランを利用しています。

「AWS サポートの場合は障害対応はもちろん、それ以外にも自分たちのやりたいことを相談できます。なので、通常はシステムを導入してからサービスを利用しますが、AWS サポートなら構築の段階から相談できます。AWS サポートは、障害発生時のサポートだけではないところに、大きなメリットを感じています。月額で 100 ドルという金額だけを見れば、格安ではないとも思う方もいるかもしれません。しかし、技術力の高い人が対応してくれレスポンスも速いことを考えれば、十分にサービスの価値は高いと言えます。仮に AWS のスキルがある技術者 1 人に常駐してもらうコストと比べれば、遙かに安価となるでしょう。」(池本氏)

その上で、AWS サポートは組織として対応しているため、人に依存しない点も評価されています。

「通常のベンダーのサポートでは、自分たちの製品に問題がなければ『製品には問題がありません』と回答して対応は終わります。一方 AWS サポートの場合は、AWS のサービスに原因がないと分かっていても、『ここを確認してみてください』と、AWS 以外の部分についてもアドバイスをくれます。こういった対応は、本当の意味で顧客目線のサポートを提供してくれていると実感しています。障害発生時には急いでいることもあり、断片的な情報をサポート窓口に連絡してしまうこともありますが、AWS サポートは情報の裏に隠れている部分まで見てくれ、そこから派生する問題まで考慮してくれます。こういった対応をしてくれることもあり、何か困ったらサポートにメールや電話をするようになりました。AWS のサポートには、何を聞いても良い懐の深さがあると思います。」(池本氏)

更に千趣会では、リザーブドインスタンスを新たに購入するような際はまずカスタマーサービスへ相談しています。こういった場合は導入支援窓口に相談する事も可能ですが、担当者がいつでもすぐに対応できるとは限りません。

「いち早く使い出せばそれだけコストメリットがあるリザーブドインスタンスや請求金額について確認ができるカスタマーサービス窓口は、レスポンスも良く重宝しています。その上できちんとサポート担当、導入支援担当が連携しフォローしてくれるので、安心して AWS と付き合えます。またサポートに連絡する際には、状況に応じ方法を選べる点も評価しています。通常はメールで連絡しますが、夜間などでも急いでいる際には電話を使います。今はそれほど利用していませんが、リアルタイムな対応を求める際には Chat も効果的な方法だと考えています。」(池本氏)

そしてもう 1 つ千趣会では、AWS サポートが提供しているツールの 1 つである AWS Trusted Advisor も便利に利用しています。AWS Trusted Advisor の内容を定期的に確認し、セキュリティ対策やコスト削減を考える際、情報を参考にし検討材料にしています。

千趣会では AWS クラウドの利用が社内でも信頼性を得たこともあり、今後はオンプレミスに一部残っているメインフレームのクリティカルなシステムの AWS 移行や、エンタープライズサポートの利用も検討されています。

「IT 部門がコスト部門からプロフィット部門に変わり、ビジネス発展に寄与するためにも AWS を最大限に活用ていきたいです。たとえば、AWS の VDI の仕組みである Amazon WorkSpaces を活用して働き方改革を進めるのもその 1 つとなります。また、情報系を強化するために Amazon Redshift で分析環境を再構築する構想もあります。その上でサーバーレースの AWS Lambda や、AI 機能など新しい AWS のサービスを活用していくことも千趣会では考えています。これらをスムースに実現するためにも、さらなる提案や手厚いサポートを、AWS には期待しています。」(池本氏)

- 池本 修幸 氏(株式会社 千趣会 経営企画本部 情報システム部 システム管理チーム)

AWS サポートのビジネスサポートプランに関する詳細は、ビジネスサポート の詳細ページをご参照ください。