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DataFarming、Amazon ECS を使用して 3,500 万エーカーのデータを処理

2022 年

オーストラリアの精密農業企業 DataFarming は、衛星画像から得られる高品質なデータを、迅速かつ効果的に農家に届ける能力を高め、農家の作物の生育を最適化したいと考えていました。同社は、帯域幅がごく限られている農場でも、農家がモバイルデバイスでデータを閲覧できるようにしたいと考えていました。企業やその顧客のコストを増やさずにこれらの目標を達成するために、DataFarming は Amazon Web Services (AWS) のソリューションに目を向けました。DataFarming は、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、管理、スケーリングを簡単に行えるフルマネージド型のコンテナオーケストレーションサービスである Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) と AWS の他のサービスを利用して、オーストラリアの穀物市場における衛星画像の使用をわずか 4 年で 900 パーセント増やしました。

Farmers and their advisors Is monitoring the growth of trees in the plots
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Amazon EC2 スポットインスタンスは、コスト最適化で、私たちに多くの成果をもたらしてくれました。受注量に合わせてスケールアップし、計算するインスタンスを用意できます。」 

Paul Grambauer 
DataFarming、シニアソフトウェアエンジニア

 

スケーラビリティを念頭に置いた構築

2017 年に設立され、オーストラリアのクイーンズランド州に拠点を置く DataFarming は、農家が作物や土壌の変化に対応して農業の生産性を高めるデジタルソリューションを提供しています。DataFarming は、当初から、そのデジタルソリューションには、従来のソフトウェアやデータベースよりもクラウドサービスの方が優れていると判断しており、常に AWS のサービスを利用してきました。DataFarming のシニアソフトウェアエンジニアである Paul Grambauer 氏は、「AWS のおかげで、ソリューションを迅速に実装し、現場の人々からの変化する要求に応じて、迅速に対応できるようになりました」と述べています。

同社のデジタルソリューションでは、衛星画像を使用して、農家が害虫や病気の発生率や肥料コストの増加などの課題に対処できるよう支援しています。さらに、この画像は、農家が作物の水分量や成熟度などの要因を把握し、理想的な収穫時期を決定するのに役立ちます。これらの変数はすべて、農家の収益性と生産性に影響します。DataFarming の創設者たちは、2003 年にオーストラリアの農業業界に初めて高解像度リモートセンシング衛星を導入しました。その過程で、同社は農業業界による、より低コストで、より高品質で、より頻繁な衛星画像へのアクセス拡大に、重要な役割を果たしてきました。

当初、DataFarming は、高解像度の衛星画像データを定期的に処理していましたが、1 日に処理できる時間数には制限がありました。俊敏性を高め、農家にデータをより早く届けたいと考えていた同社は、2021 年にイベント駆動型の処理に変更することを決定しました。同時に、同社は、帯域幅が限られている地域でも、農家が簡単にアクセスできるように、可能な限り小さなパッケージでデータを配信したいと考えていました。DataFarming は、AWS を使用してきた長い歴史の中で、その目標達成のためにあらためて AWS ソリューションに目を向けました。

Amazon ECS を使用して顧客のニーズを満たす

DataFarming は、AWS Lambda のコンテナ化された設定で概念実証の開発を開始しました。これは、サーバーレスのイベント駆動型のコンピューティングサービスであり、ユーザーはサーバーのプロビジョニングや管理をしなくても、事実上あらゆる種類のアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行できます。しかし、特定のニーズには、Amazon ECS の方が適していることがわかりました。同社はすでに AWS でコンテナを使用していたため、Amazon ECS への切り替えはスムーズでした。「AWS でコンテナを実行する環境では、ごく簡単にソリューションを選択できます」と Grambauer 氏は言います。「Amazon ECS は私たちにとって最適ですが、AWS Lambda も同じように利用できます。ニーズに合った適切なサービスを選択できることが、AWS を使用してソリューションを開発するうえで気に入っている点です。」

同社は現在、Amazon ECS を主要なコンピューティング環境として使用しており、このサービスを利用して、デジタルソリューションのユーザーインターフェイスをサポートするバックエンド API の機能を提供しています。このコンテナ化された環境のプロセスを実行するために、DataFarming は Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) スポットインスタンスを使用します。このスポットインスタンスは、ビッグデータ、コンテナ化されたワークロード、テストおよび開発ワークロードなど、ステートレス、耐障害性、または柔軟性を備えたさまざまなアプリケーションに使用できます。「Amazon EC2 スポットインスタンスは、コスト最適化の面で多くの成果をもたらしてくれました。受注量に合わせてスケールアップし、計算するインスタンスを用意できます」と Grambauer 氏は言います。「Amazon EC2 スポットインスタンスを使用すると、オンデマンドの Amazon EC2 料金と比較して 70% 節約できます。」

DataFarming ではスポットインスタンスを使用して費用対効果の高いスケーリングが行われる一方で、データストレージのスケーラビリティも最適化されています。DataFarming は、その画像ベースのデータのほとんどを、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、パフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存しています。DataFarming のマネージングディレクターである Tim Neale 氏は次のように語っています。「農場のデータを収集すれば、そのデータはユーザーのために永久に保存できるので、ユーザーは数年前を振り返ってパフォーマンスを比較できます。「大事なのは、ユーザーがそのデータにアクセスできることです。したがって、データを効果的に保存する必要があります。それこそ Amazon S3 が私たちに与えてくれる能力です。」 DataFarming は Amazon S3 と Amazon ElastiCache を併用しています。Amazon ElastiCache は、柔軟でリアルタイムのユースケースをサポートするフルマネージド型のインメモリキャッシュサービスです。DataFarming は Amazon ElastiCache を一時的なデータストレージとして使用して、配信状況を改善し、モバイルフレンドリーで低帯域幅の方法でデータを最適化して、農家への迅速かつ効率的な配信を実現しています。

DataFarming は AWS のサービスを利用して、28,000 箇所の農場を対象に、3,500 万エーカーの農地のデータを処理するソリューションを構築しました。「DataFarming は、4 年でオーストラリアの穀物市場の 40% を占有しましたが、それ以前は、衛星画像を使用していた農家はわずか 4% でした」と Neale 氏は言います。「これは、私が今までに見た中で最大規模のテクノロジー導入です。」 DataFarming の進歩は、同社が AWS のサービスを利用して実現した、ポジティブなユーザーエクスペリエンスを提供するスケーラブルなソリューションによって拍車がかかっています。

農業の展望

今後、DataFarming は、ユーザーベースを国際的に拡大し続ける予定です。農家による衛星画像の使用を世界中で増やすことを目指して、同社は現在、西ヨーロッパ、アフリカ、南北アメリカ、東南アジアの農家の数が多い国を取り組みの対象として捉えています。

さらに、農家は気候変動の増大に直面しているため、DataFarming は、潜在的な気候関連の問題を予測し、作物のストレス、害虫、病気の早期発見を改善するための機械学習ソリューションにも取り組んでいます。「早期発見には機械学習が必要です」と Neale 氏は言います。「空間情報を扱っていると、通常の機械学習では対処できない課題が増えます。私たちは将来に夢を持っており、AWS が提供する機械学習ツールについてもっと探求したいと思っています。」


DataFarming について

DataFarming は、オーストラリアのクイーンズランド州トゥーンバに拠点を置く精密農業会社です。デジタルソリューションと衛星画像データを世界中の農家に提供し、農産物や農業データの精度を向上させています。

AWS の利点

  • 4 年間でオーストラリアの穀物市場の 40% を席巻
  • Amazon EC2 スポットインスタンスの使用により、オンデマンド価格と比較して 70% の節約を実現
  • 3,500 万エーカーの農地のデータを処理
  • 国際市場向けのスケーラビリティを向上
  • 顧客のニーズを満たすモバイルフレンドリーなソリューションを提供
  • 農業従事者による衛星画像の採用率が 900% 増加

使用されている AWS のサービス

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS)

Amazon ECS は、コンテナ化されたアプリケーションを簡単にデプロイ、管理、スケーリングするのに役立つ、フルマネージドコンテナオーケストレーションサービスです。また、AWS プラットフォームの他の部分と密接に統合され、クラウドや Amazon ECS Anywhere が備わったインフラストラクチャで、コンテナワークロードを実行する安全で使いやすいソリューションを提供します。

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AWS Lambda

AWS Lambda は、サーバーレスでイベント駆動型のコンピューティングサービスであり、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、事実上あらゆるタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行することを可能にします。200 を超える AWS のサービスや Software as a Service (SaaS) アプリケーションから Lambda を起動することができ、お支払いいただくのは使用した分の料金のみです。

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Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) スポットインスタンス

Amazon EC2 スポットインスタンスでは、AWS クラウドで未使用の EC2 キャパシティーを利用することができ、オンデマンド料金よりも最大 90% コスト削減できます。スポットインスタンスは、ステートレス、耐障害性、または柔軟性を備えたさまざまなアプリケーションでご利用いただけます。これには、ビッグデータ、コンテナ化されたワークロード、CI/CD、ウェブサービス、ハイパフォーマンスコンピューティング (HPC)、テストおよび開発ワークロードが含まれます。

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Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界随一のスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、パフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。あらゆる規模や業種のお客様が、データレイク、クラウドネイティブアプリケーション、モバイルアプリケーションなど、事実上あらゆるユースケースで、あらゆる量のデータを保存および保護できます。

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開始方法

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