FICO は AWS を使用して、迅速なイノベーション、コストの削減、グローバル展開の拡大を行っています

スピードとイノベーションが FICO のすべてです。予測分析および意思決定管理ソフトウェア企業は、人気の高いクレジットスコアリングサービスやその他の分析ソフトウェアとツールを、米国最大手クラスの金融機関の 95% に提供しています。業界のリーダーであり続けるためには、迅速にデプロイされた最先端のソリューションを顧客に提供する必要があります。

しかし長年にわたり、FICO は主力製品である FICO Decision Management Suite (DMS) などのソリューションを迅速に開発しデプロイする俊敏性に欠けていました。DMS は、予測分析、ビジネスルール管理、最適化を通じて、顧客のビジネス変革の推進を支援するものです。 「当社は長い間、オンプレミスのソフトウェア企業でしたが、ソリューションを作成して顧客に提供するには、何年もかかることがありました」と、FICO の製品開発担当副社長、Joshua Prismon 氏は述べています。「当社は、顧客の市場投入までの時間を短縮させる必要がありました。そこで、顧客の IT 組織がソリューションの基盤となるインフラストラクチャをプロビジョニングして構築するのを待つのではなく、当社はソフトウェアの実装に専念したいと考えました」

この問題を解決してイノベーションの機会を築くため、FICO は DMS と他のソリューションをクラウドに移行することを決めました。「当社はもっと前向きになり、より多くのイノベーションを市場にもたらしたいと考えました。そのためには、クラウドにすべてを移行する必要があることに気づきました」と、FICO のエンジニアリング担当副社長、Jeet Kaul 氏は述べています。しかし、クラウドプロバイダーを選択する前に、FICO は強力なセキュリティを提供することや、ペイメントカード業界 (PCI)、一般データ保護規則 (GDPR) およびその他の規制に確実に準拠にしたいと考えました。Prismon 氏は、「金融サービス業界で会社経営するには多くのビジネス要件があるため、コンプライアンスをクラウドの決定の最優先事項とする必要がありました」と述べています。

「AWS Lambda は自動的にプロビジョニングしてくれるので、開発者のイノベーションのポテンシャルから、障害となるものを完全に取り除くことができました」

FICO、エンジニアリング担当副社長、Jeet Kaul 氏

  • FICO について
  • FICO は、金融機関が資金融資や、顧客へのクレジット発行を決定する際に使用する主要な消費者クレジットスコアサービスを提供する、予測分析および意思決定管理会社です。FICO は、米国最大手クラスの金融機関の 95% に分析ソフトウェアとツールを提供しています。

  • 利点
    • 開発者のイノベーションの障害を取り除く
    • 数週間ではなく 1 日でソフトウェアサービスを提供
    • 規制コンプライアンスを確保
    • コストを削減
  • 使用する AWS のサービス

サーバーレスアーキテクチャに移行する

FICO がクラウドプロバイダーとしてアマゾン ウェブ サービス (AWS) を選択した理由は、セキュリティ機能が AWS に統合されているからです。Kaul 氏は、「金融サービス企業とそのコンプライアンス要件に投資している企業が必要でしたが、AWS は競合他社よりも一歩先を行っていました」と述べています。 FICO は AWS Lambda にも関心を持っていました。これは、お客様がサーバーをプロビジョニングまたは管理することなくコードを実行できるように、サーバーレスコンピューティング機能を提供するサービスです。Prismon 氏は、「サーバーレスに移行すれば、開発者は機能、特徴の創出に専念できると考えたのです」と述べています。AWS Lambda は、開発者がコードを入力しなくてもコンピューティングリソースをプロビジョニングできるため、完璧なソリューションでした。おかげで、アプリケーションに集中できます」

FICO は DMS および顧客対応ウェブサイト myFICO.com を AWS に移行し、Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) インスタンスで実行し、サーバーレスコンピューティングで AWS Lambda に大きく依存しています。「DMS のコアビジネスロジックは完全に AWS Lambda 上で実行されています」と Prismon 氏は言います。「つまり、顧客ひとりひとりのために手動でコンピューティングインスタンスを管理したりスケーリングしたりする必要はありません」

FICO はその機械学習モデルをすべて AWS Lambda 上で実行します。決定アセット、つまりトレーニング済みモデルは、Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) バケットに保存されています。DMS をトリガーするイベント (例: ローンの申し込み) が Amazon API Gateway を経由して、AWS Lambda 関数による決定の実行を促します。Amazon Kinesis Data Stream も AWS Lambda から決定を渡されると、追加の Lambda 関数をトリガーして DMS データストアを更新します。これ以降、決定は保存され、ユーザーは Amazon Elastic MapReduce (Amazon EMR) を使用してクエリできます。

セキュリティおよびコンプライアンスの管理においては、FICO は自社の内部セキュリティプラクティスのほかに、AWS CloudTrailAWS Identity and Access Management (IAM) といったサービスに依存しています。

イノベーションの解放

FICO が AWS Lambda および AWS の他のサービスを使用してコンピューティングインスタンスを管理しているため、同社の開発者はサーバーのプロビジョニングおよび管理ではなく、新しいソフトウェアの開発や DMS の拡張にもっと注力できます。「AWS Lambda が自動的にプロビジョニングするため、ポテンシャルを発揮するのに障害となるものが完全に排除され、開発者はイノベーションを進められるようになりました」と Kaul 氏は言います。

「当社の開発者が新しいものを試してアプリケーションデザインの限界を押し広げることは、以前よりも簡単になりました」 Prismon 氏は付け加えます。「内部顧客、たとえば戦略アナリストやデータサイエンティストたちは、着想から自社ソフトウェア上で実行するまでを、IT の関与なしに実現できるようになりました。彼らは必要な時に、必要な場所でリソースをデプロイできます。これができるのは、AWS Lambda の使用で可能になったアジリティのおかげです」

ソリューションの提供が数週間ではなく、わずか 1 日で

DMS を SaaS (Software-as-a-Service) ソリューションとして AWS から提供することで、FICO は新しいサービスおよびソフトウェア機能をよりすばやく顧客に提供できます。「以前は開発に多くの時間を費やしていましたが、数週間かかっていた作業が今や自動化され、たった 1 日で完了できます。AWS Lambda がもたらすあらゆるサポートと非常に高いフレキシビリティのおかげです」と Prismon 氏は言います。「今では、製品を作って、デプロイするだけです。たとえば、顧客はマルチテナントアーキテクチャを持っているか、といったようなことを確認する必要もありません。あらゆることが AWS Lambda でパーフェクトに処理されます」

AWS Lambda のフレキシビリティを活用する FICO の DMS 開発チームは、開発プロセスにおいてソフトウェアの問題解決を高速化できました。「ソフトウェア更新の提供開始まであと数週間に迫って、うまく機能しない部分があったときのことです」と Prismon 氏は言います。「AWS Lambda と他のサービスを使用することで、本番前に新しい問題解決法が見つかり、まったく新しいデザインを作成することができました」

コンプライアンス確保とコスト削減

FICO は、DMS を AWS クラウドで実行することにより、セキュリティおよびコンプライアンスの厳格な要件を満たしています。「どのコードが本番環境に入るのかということに細心の注意を払う必要があるため、当社はマネージド型ソフトウェア開発ライフサイクルを使用して財務データのコンプライアンスを確保しています」と Prismon 氏は言います。「このために、自社のセキュリティツールに加え、AWS のサービスを使用して規制要件を完全に満たしています」

FICO はアプリケーション環境がオンプレミスだった従来よりも運用コストを削減しましたが、この理由は需要に合わせたコンピューティングリソースのデプロイ、および開発プロセス全体における時間短縮にあります。「サーバーレスコンピューティングにより運用コストが劇的に削減され、その分を顧客に還元できます」と Kaul 氏は言います。「これに当社の持つフレキシビリティとアジリティが加わって、ビジネスの成長に貢献してくれています」


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