ワンダープラネット株式会社

ワンダープラネット株式会社

人気スマートフォンゲームのデータベースにAWS Graviton プロセッサを採用アクセス集中時の処理能力向上とコスト削減を両立

2022

スマートフォン向けゲームの企画・開発・運営を行うワンダープラネット株式会社。多くのユーザーに支持されるパズル RPG『クラッシュフィーバー』のインフラには以前からアマゾン ウェブ サービス(AWS)を利用してきましたが、需要の拡大を想定し、より処理能力が高く、コストパフォーマンスに優れた AWS Graviton プロセッサを採用したマネージドデータベース Amazon Aurora に移行。アクセス集中時にもストレスなくプレイできる環境を実現しています。

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AWS Graviton プロセッサを採用した結果、クラッシュフィーバーでは明確に負荷対応の軽減とコスト削減ができました。移行のハードルもないため、安心してほかのプロダクトへの導入を考えられます

開 哲一 氏
ワンダープラネット株式会社 執行役員 VPoE 兼 EDMO 室長

ゲーム内イベントによるアクセス集中などのパフォーマンスに課題

「楽しいね!を、世界中の日常へ。」をミッションに掲げ、誰もが楽しめるプロダクト・サービスを提供するワンダープラネット。同社が展開する、ブッ壊し!ポップ☆RPG『クラッシュフィーバー』は、仮想世界をモチーフとした世界観を舞台に、魅力的なキャラクターや、簡単な操作でパネルを破壊することで得られる爽快感、サウンドが世界中で支持され、2022 年 9 月に 1,400 万ダウンロードを達成した人気タイトルです。

クラッシュフィーバーのサービス開始は 2015 年で、変化が激しいスマートフォンゲームの業界においては歴史のあるタイトルとなっています。当初から AWS 環境で運用していたものの、年数を経て技術的負債や、アクセス集中時のパフォーマンス、運用体制、コストなど、よりハイスペックでコストパフォーマンスに優れたシステムへの移行が求められるようになりました。

「ゲームは負荷の波が激しいため、データベースのキャパシティプランニングが難しく、性能の限界によってお客様にご迷惑をおかけしないようにしなくてはなりません。スケールアップ対応など運用面での柔軟性も課題に感じていました」と、ワンダープラネットの執行役員VPoE 兼 EDMO室長 開哲一氏は振り返ります。ゲーム内イベントの告知やプロモーション直後などにはアクセスが集中するため、データベースなどの処理能力の問題からログイン数を制限することもあったといいます。

また、クラッシュフィーバーのインフラを担当するユニバーサルゲーム事業部開発グループ サーバーエンジニアの五田満紘氏は「イベントのたびに、データベースのインスタンスタイプをより良いものに変えるためにサービスを止めてメンテナンスするといった運用も課題でした。全体のコストのうちデータベースが占める割合が高くなり、コストパフォーマンスを良くしたいという課題もありました」と語ります。

Graviton プロセッサに注目しマネージドデータベース環境へ移行

そしてワンダープラネットでは、高いコストパフォーマンスを持つ AWS Graviton2 プロセッサに注目します。「当初はコンピューティング環境である Amazon EC2 への導入を検討していましたが、既存システムの再構築が必要なためハードルが高いと考えました。AWS の担当者から、マネージドデータベースである Amazon Aurora にも AWS Graviton プロセッサが利用できると聞き、移行を検討しました」(五田氏)

こうして、2021 年春頃からクラッシュフィーバーのデータベース移行プロジェクトが始まりました。同社はクラッシュフィーバーのグローバル展開を機に、インフラ構築・管理を APN パートナーである株式会社シーズに委託しています。シーズには AWS Graviton プロセッサの導入経験があり、そのメリットや特徴に関する知見を持ち合わせていました。

データベース移行に際して、CPU アーキテクチャ変更によるアプリケーションへの影響はないと考えられました。しかし、システムの根幹部分であることからバックアップ・復元も含めた検証用にサンドボックス環境を用意して、事前テストを入念に実施。シーズは各種パラメータ調整など、高いパフォーマンスを出せるようチューニングを施しました。

「サンドボックスでは従来のインスタンスと AWS Graviton を使ったインスタンスを混合して、運用面の課題が解消できるか試しました。本番環境においても従来のタイプと AWS Graviton のインスタンスを併用して負荷の上がり方を見ました。比較した結果、AWS Graviton のインスタンスが優位に働いたため、コストパフォーマンスが高いと判断し、導入を決断しました」(五田氏)

処理能力の向上と高いコストパフォーマンスを実現

クラッシュフィーバーにおける Amazon Aurora(AWS Graviton2)導入は 2021 年 6~7 月の検証を経て、年次でリザーブドインスタンスを更改する 12 月までに完了しました。

導入効果の 1 つは課題であったコストで、五田氏は「サーバーの負荷は旧インスタンスと遜色ないにも関わらず、年約 13% コスト削減できました」と語ります。

またマネージドサービスに移行したことで、大きなイベントのたびにデータベースのインスタンスタイプを変更するなど、月 1~2 回、1~2 時間ほどサービスを止めていたメンテナンス作業の頻度も数か月に 1 度まで減りました。

かねてより課題となっていた、アクセス集中時のユーザーのログイン制限も緩和されています。五田氏は「従来はイベント告知のためにプッシュ通知をすると、ログイン制限状態にしなければならないこともたびたびありました。しかし現在は円滑にさばいてくれるので、非常にありがたいです。イベント開始時はユーザーさんの熱も高まっていますので、パフォーマンスが原因で離脱につながるような機会損失を減らせたと思います」と語ります。さらに、イベント開始前のメンテナンスだけでなく開始後のサーバー監視の負担も軽減し、他の業務に注力できるようになっているといいます。

AWS Graviton のインスタンスの効果は、ワンダープラネットにて月 1 回行われている社内のエンジニアが全員集まる技術交換会でも情報共有されました。そして開氏は他のプロダクトへの導入も検討しています。「AWS Graviton プロセッサを採用した結果、クラッシュフィーバーでは明確に負荷対応の軽減とコスト削減ができました。移行のハードルもないため、安心してほかのプロダクトへの導入を考えられます」(開氏)

AWS のサービスを有効活用して
世界中のユーザーに楽しみを届けたい

クラッシュフィーバーにおける今後のチャレンジは、アプリケーションが動作する Amazon EC2 環境への AWS Graviton プロセッサ適用です。五田氏は「7 年運営しているタイトルですので、技術的な負債も課題になってきています。Amazon EC2 環境の移行は大変な作業になると感じていますが、一方で、エンジニアとしてはワクワクする感覚もあります」と展望を述べています。コンテナ向けのサーバーレスコンピューティングサービスである AWS Fargate も AWS Graviton プロセッサに対応しているため、シーズからはコンテナ化の提案も受けています。

ワンダープラネットが 2022 年 7 月に全世界同時リリースした新たなパズル RPG『アリスフィクション』では、Amazon Aurora には当初から AWS Graviton プロセッサを採用しています。

開氏は、「AWS Global Accelerator も利用して、全世界同時配信、同時運用という初めてのチャレンジを成功できました。当社はこれからも AWS を活用していきます。いま気になっているのは、柔軟なスケーリングができる Aurora Serverless v2 です。AWS の新サービスを導入することによって課題が解消されるのは、お客様にとっても、当社にとってもすごく幸せなことです」と話しています。

開 哲一 氏

開 哲一 氏

五田 満紘氏

五田 満紘氏


カスタマープロフィール:ワンダープラネット株式会社

  • 設立年月:2012 年 9 月 3 日
  • 従業員数:199 人(2022 年 8 月末時点)
  • 事業内容:エンターテイメントサービス事業

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • アクセス集中時のパフォーマンス向上
  • 年間約 13% のデータベースサーバーコスト削減
  • 新規タイトルにも AWS Graviton を採用

AWS アドバンストティア サービスパートナー

株式会社シーズ

京都を拠点とする AWS 専業クラウドインテグレーター。AWS アドバンストティア サービスパートナーとして、クラウドサービス運営企業様への AWS 構築運用保守や内製化支援、またセキュアでスケーラブルな WEB サービス開発に多くの実績がある。

株式会社シーズ

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