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週刊AWS – 2024/7/29週

みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。今週も 週刊AWS をお届けします。

最近はスイカを 1 玉でよく購入しています。店舗でおいしいスイカを選ぶ技術を身に着けつつあり、ヘタの切り口の色、軽く叩いたときの音の高さを確認しつつ、好みに合いそうなものを選んでいます。音が高い方が、比較的硬めな食感でいただけることが多くて、個人的な好みに近いです。

それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。

2024年7月29日週の主要なアップデート

  • 7/29(月)
    • Amazon Pinpoint の一部の機能を AWS End User Messaging に名称変更
      Amazon Pinpoint の SMS、MMS (Multimedia Messaging Service)、プッシュ通知、テキスト音声メッセージングなどの機能群が、AWS End User Messaging という名称に変更しました。お客様にメッセージを送信する機能群を、よりシンプルに利用できるように切り出した形です。AWS マネジメントコンソールで、AWS End User Messaging の画面が新たに提供され、従来の Pinpoint に存在していた Project の概念を意識せず通知を送付できるようになっています。既存の Pinpoint を利用しているアプリケーションは、名称変更による影響はなく、今まで通り動作します。
    • Amazon Q Business で、クロスリージョンの AWS IAM Identity Center アクセスをサポート
      Amazon Q Business は、組織内のデータに基いた質問の回答、要約、コンテンツ生成などの機能を提供するフルマネージドな生成 AI 対話型アシスタントです。これまで、Q Business アプリケーションは、同じ AWS リージョンに存在する IAM Identity Center のみ連携可能でした。このアップデートで、Q Business アプリケーションとは異なるリージョンに存在する IAM Identity Center インスタンスと連携できるようになりました。日本側の視点で記載すると、Amazon Q Business はバージニア北部とオレゴンのみで提供されていますが、今回のアップデートで東京リージョンに存在する IAM Identity Center と連携できるようになったのがうれしいポイントです。
  • 7/30(火)
    • AWS Graviton ベースの EC2 インスタンスで、ハイバネーション機能のサポート
      AWS Graviton プロセッサを搭載した EC2 インスタンスで、ハイバネーション機能をサポートしました。Intel や AMD ベースのインスタンスで利用できていた機能が、Graviton に拡張された形です。ハイバネーション機能は、コストを削減しながら、起動時間を短縮する仕組みです。ハイバネーションを利用すると、EC2 が OS に対してハイバネーションを実行するよう指示し、インスタンスのメモリの内容を EBS に保存します。その後、インスタンスを再開するときに、メモリの内容を復元してインスタンスを再開します。メモリを保持することにより、OS やアプリケーションの初期化を省略し、再開の速度を向上しながらコスト削減ができるメリットがあります。
    • AWS IoT SiteWise Edge で Siemens Industrial Edge をサポート
      Siemens Industrial Edge 上で AWS IoT SiteWise Edge との連携をサポートしました。Siemens Industrial Edge は、OPC-UA、MQTT、Siemens S7、Modbus TCP、Profinet IO、サードパーティコネクタなどの Siemens の接続アプリケーションを使って産業機器からデータを収集できます。今回のアップデートで、産業機器から収集したデータを、AWS IoT SiteWise Edge を使って AWS に送信できるようになりました。Siemens に慣れているお客様が、AWS 連携をより加速できるようになった形です。
    • Amazon AppStream 2.0 で、Red Hat Enterprise Linux のアプリケーションとデスクトップのストリーミングを提供
      Amazon AppStream 2.0 で、Red Hat Enterprise Linuxアプリとデスクトップをユーザーにストリーミングできるようになりました。これまで利用できていた Amazon Linux 2、Microsoft Windows のラインナップに、RHEL が追加されました。利用例を上げると、これまで RHEL を使ってデスクトップアプリケーションを提供してきた企業が、Amazon AppStream 2.0 を利用することで、既存のアプリケーションをそのまま利用しながら SaaS 提供のビジネスモデルをやりやすくなります。
  • 7/31(水)
    • 大きなアップデートはありませんでした
  • 8/1(木)
    • Amazon WorkSpace で Microsoft Visual Studio 2022 をサポート
      Amazon WorkSpaces と WorkSpaces Core は、WorkSpaces Personal で Microsoft Visual Studio 2022 の一般提供を発表しました。これまでは AWS 上で Visual Studio を実行するために、EC2 で Visual Studio 用の AMI を利用する必要がありました。今回のアップデートで、WorkSpace 上でもライセンスに準拠した形で Visual Studio 2022 が利用できるようになりました。.NET や C ++ などを開発する際に、開発環境の選択肢が増えた形となります。
    • Amazon Bedrock が AWS GovCloud (US-West) で FedRAMP High 認証を取得
      日本では馴染みがないかもしれませんが、FedRAMP (Federal Risk and Authorization Management Program) は、米国連邦政府機関がクラウドサービスを調達する際の標準化されたセキュリティ評価、認定、継続的モニタリングのプログラムです。FedRAMP High は、FedRAMP で定められている 3 つのレベルのうち最も厳しい要件で、機密性が高く重要な情報に適用されるものです。Amazon Bedrock が、AWS GovCloud (US-West) リージョンで、FedRAMP High の認証を取得しました。
    • 新しい Amazon CloudWatch のディメンジョンが Amazon EC2 オンデマンド キャパシティ予約に追加
      Amazon EC2 On-Demand Capacity Reservations (ODCR) で、新しい CloudWatch のディメンジョンが追加されました。ODCR は、事前に EC2 インスタンス用のキャパシティを予約できる機能です。利用例をあげると、アクセスが増えそうな時期の前に予約することで、キャパシティが不足を回避できる仕組みです。今回のアップデートで、CloudWatch で ODCR の利用状況を分析する際に、アベイラビリティーゾーン、インスタンスの一致条件、インスタンスタイプ、プラットフォーム、テナンシーなどのディメンジョン (軸) が追加されました。「ODCR を購入したが、この AZ は利用率が低い」ですとか、「このインスタンスタイプは利用率が高い」といった確認がしやすくなりました。
  • 8/2(金)
    • AWS Payment Cryptography が東京を含む 4 リージョンで提供開始
      AWS Payment Cryptography が東京、フランクフルト、アイルランド、シンガポールで利用開始になりました。AWS Payment Cryptography は、Payment Card Industry (PCI) セキュリティ標準に従って決済処理で使用される暗号化機能とキー管理へのアクセスを提供するマネージドサービスです。決済系のサービスを提供しているお客様が、暗号化キーの管理負担を軽減するサービスとなります。詳細はこちらのサービスのページをご覧ください。
    • AWS Database Migration Service (DMS) は、同種のデータ移行機能 (homogeneous data migrations) を 29 の AWS リージョンに拡張
      AWS Database Migration Service で、同種のデータ移行機能 (homogeneous data migrations) を、東京と大阪を含めた 29 リージョンで利用できるようになりました。同種のデータ移行機能は、移行元と移行先が同じデータベースエンジンの場合に利用できる機能です。MySQL, PostgreSQL, MariaDB の 3 種類で利用できます。特徴は、データベースに備わっているネイティブのツールを利用してデータ移行を行う点にあり、データだけではなく、パーティション、関数、ストアドプロシージャーなどの二次的オブジェクトも移行対象にできます。詳細はこちらの Document や、英語になりますが AWS Online Tech Talk の YouTube 動画 をご参照ください。
    • Amazon DataZone が PCI DSS の認証を取得
      Amazon DataZone で、支払いカード業界データセキュリティ標準 (PCI DSS) の準拠認証を取得しました。これにより、クレジットカード決済を取り扱う金融・保険業界の顧客に求められる、支払いアカウントデータを安全に取り扱うための PCI セキュリティ標準評議会の要件を満たしていることが第三者によって証明されました。この認証には、2024 年の PCI 3D セキュア (3DS) 評価と共有責任ガイドが含まれています。AWS Artifact で、この認証に関する資料をダウンロードいただけます。

2024 年 8 月 8 日 14:00-16:00 に、AWS オンラインセミナーの「ベストプラクティスから学ぶクラウド移行の勘所セミナー」が開催されます。何千のお客様をクラウドに移行した経験に基づくベストプラクティスを共有するテーマで、成功事例や失敗事例を通じて、計画の立て方や実装方法などを学べます。参加費は無料ですので、ぜひこちらもご登録の上ご参加ください。

それでは、また来週お会いしましょう!

著者について

Suguru Sugiyama

杉山 卓(Suguru Sugiyama) / @sugimount

AWS Japan のソリューションアーキテクトとして、幅広い業種のお客様を担当しています。最近は生成 AI をお客様のビジネスに活かすためにアイデア出しやデモンストレーションなどを多く行っています。好きなサービスは仮想サーバーを意識しないもの全般です。趣味はゲームや楽器演奏です