JAWS-UG で僕らの世界は広がった。ふたりのAWS ヒーローによるコミュニティ活用のススメ

2021-06-02
インタビュー

吉江 瞬氏 (AWS COMMUNITY HERO)
丸本健二郎氏 (AWS DATA HERO)
沼口 繁 (アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社 コミュニティプログラムマネージャー)

皆さん「 AWS ヒーロー」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。世界に広がる AWS コミュニティのなかで、とりわけ情報発信やコミュニティ運営などを通じて、その発展に寄与している個人に贈られる国際的な称号です。今回は、2021 年 3 月に「ヒーロー」に加わった、7 カ国、9 名の方々のなから、吉江瞬氏と丸本健二郎氏のおふたりをお迎えし、AWSヒーローに選ばれた感想や選定後の変化、またコミュニティ活動が人生やキャリアに与えた影響などについてうかがいます。聞き手は候補者選定に関わった、AWS コミュニティプログラムマネージャーの沼口繁です。

<AWS ヒーローとは ?>
AWS ヒーロー (AWS HEROS) は、AWS コミュニティの発展に寄与したデベロッパーに贈られる AWS 認定の国際表彰プログラムです。AWS ヒーローは、JAWS-UG (AWS Users Group – Japan) が独自に企画、選出を行っている年間 MVP の表彰プログラム「AWS Samurai」をヒントにつくられ、2014 年にプログラム開始以来、今日までに 210 名の「ヒーロー」を選出。毎年、各国から推薦された候補者のなかから、毎年、AWS コミュニティへの広範な貢献を評価する「コミュニティヒーロー」のほか、各技術分野における専門性を評価する「カテゴリーヒーロー」(コンテナヒーロー、データヒーロー、 DevTools ヒーロー、 IoT ヒーロー、機械学習ヒーロー、サーバーレスヒーロー) が選ばれ、コミュニティメンバーから賞賛を集めています。
AWSヒーロー日本語公式ページ »


2021 年、AWS ヒーローにふたりの日本人デベロッパーが選出 !

沼口
「2021 年 3 月、JAWS-UG メンバーから、新たな AWS ヒーローが誕生しました。吉江さんと丸本さんのおふたりです。改めまして今回はおめでとうございました !」

吉江氏・丸本氏
「ありがとうございます !」

沼口
「丸本さんは 2018 年、吉江さんは 2018 年と 2019 年の AWS Samurai でもあり、その活躍は JAWS-UG 界隈に留まらず、クラウド業界では非常によく知られた存在です。今回は AWS ヒーローになられたことを記念し、AWS コミュニティとの関わりのなかで、実力を高めていかれた経緯や、コミュニティ活動がご自身のスキルやキャリアに与えた効果などについてお話をうかがえればと思っています。まずは AWS ヒーローに選ばれた率直な感想から聞かせていただけますか ? 吉江さんからお願いします。

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吉江氏
「沼口さんから『おめでとうございます』というメッセージをいただいたのが、3 月 5 日でしたね。「米国の AWS からメッセージが来ているはずだから読んで」と言われ『遂にこの日がきたか』と思ったことを覚えています。ただ、その直後、あちらの担当者の方から「3 日以内に英語でプロフィールを送くるように」と言われて、アワアワしてしまったので、喜びも束の間という感じでしたけど (笑)。

沼口
「AWS Samurai に選ばれた時と今回 AWS ヒーローに選ばれた時では、やはり印象は違いました ?」

吉江氏
「うれしいのは一緒。でも、会場で表彰された時に感じた気持ちとは少し違うかも知れません。友だちや知り合いがたくさんいる場所で祝福されるのは、特別な経験ですから。いまとなっては大切な思い出です。」

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沼口
「とくに AWS Samurai 2018 の時は、発表会場の JAWS DAYS 2019 の実行委員長をされていましたからね。」

吉江氏
「はい。当日は終始裏方としてせわしなく動き回っていたので、受賞コメントも満足に準備できず、トロフィーを高く掲げるだけで精一杯でした。受賞者の集合写真に写る時にも笑顔を浮かべる余裕すらなかったくらいで (笑)。でも今回は、会場で皆と盛り上がることは出来ません。どちらかというと、喜びが後からじわじわこみ上げてくる感じでしたね。会社が出してくれたプレスリリースをご覧になった方が、続々とメッセージをくださったり、リツイートやメンションを飛ばしてくださったりしたのがとてもうれしかったです。」

沼口
「丸本さんも AWS Samurai 2018 を経て、AWS ヒーロー選出です。感想を聞かせてください。」

丸本氏
「率直に言うと、最初は『えっ、なんで僕が ?』という感覚でした。吉江さんと同じレベルで活動出来ているとは思っていなかったので意外でした。ただ改めて、ここ数年間の活動を振り返ってみると、Amazon QuickSight や Amazon Redshift の事例紹介などで、かなり頻繁にお話する機会がありましたし、AWS 以外の場でも、たとえば広島県のデータ分析セミナーの講師をさせてもらったり、ビッグデータについてお話する機会も結構たくさんあったなと。それでようやく、『ちゃんと自分の活動を評価してくださって、ありがとうございます』という気持ちが湧いてきました。」

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沼口
「AWS ヒーローは、大きくわけて 2 つの区分があります。AWS に関する網羅的な知識があり、コミュニティに貢献されてきた方を顕彰する「コミュニティヒーロー」と、6 つの技術領域ごとに選出される「カテゴリーヒーロー」です。今回、吉江さんはコミュニティヒーロー、丸本さんはカテゴリーヒーローのなかのデータヒーローに選出させていただきました。それぞれお名前で検索するとたくさんの記事がヒットするほど、コミュニティ内外での活動が際立っており、コミュニティメンバーの認知も高いことが選出の理由です。」

丸本氏
「AWS Samurai は、前年の活動が評価されるのに対して、AWS ヒーローはこれまでの継続的な活動を評価してくださるものですよね。それはある意味、その道の第一人者であり、周囲に対して、いい影響を与え続けている存在だと公に認めてもらえているということでもありますよね。そういう意味では AWS Samurai とはまた違った種類のうれしさがあります。」

沼口
「AWS ヒーローは、ただ単に優れた技術や知見を持っているから、前年に大活躍したからというだけで与えられる称号ではないというのがポイントです。コミュニティやマーケットに対してどれだけ、いい影響を与え続けてこられたかが重視されます。つまり量的にも質的にも優れたアウトプットを出し続けていることが選出の条件になるわけです。専門性と影響力の面で卓越した実績をお持ちの吉江さん、丸本さんだからこそ、今回の選出につながりました。」


AWS ヒーローに選ばれてよかったことは ?

沼口
「AWS ヒーローは、現時点でまだ世界に 210 名しか存在しない希少な称号です。AWS ヒーローに選出されたことで、何かいい変化はありましたか ?」

吉江氏
「広報が告知してくれたおかげで、他部署の方からの AWS に関する質問や相談が格段に増えました。『AWS のセキュリティに関して分からないことがあったら吉江に聞け』という雰囲気が生まれたのは、よかったことかも知れません。」

沼口
「社外からの反応はいかがですか ?」

吉江氏
「最近はずっとリモートワークなのと、選出されてからまだ日が浅いこともあって、正直に言うと、ツイッター以外の反響はそれほど大きくはありません。ただ、以前 AWS Samurai に選んでいただいた直後に、あるお客様から『AWS Samurai に選ばれた人と技術的に踏み込んだ話が出来てよかった』と言われたことがありました。いずれそういう機会が増えてくれたらいいなと期待しています。」

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沼口
「丸本さんは広島を拠点にご自分でビジネスを展開されていらっしゃいますよね。ビジネスへの影響を聞かせてください。」

丸本氏
「いま東広島で、システム開発や CIO のサポートを行う会社を経営していることもあって、会社のブランディングに使わせてもらっています。人づてに案件を紹介していただく時など『AWS Samurai や AWS ヒーローに選ばれたことがある丸本さん』と紹介していただくことで、初対面でも信頼してもらえるので、営業的にもマーケティング的にも非常に助かっています。」

沼口
「すでにそうした目に見えるメリットがあって嬉しい限りです。もっと AWS ヒーローの存在や価値が知られるようになれば、目標にされる人も増えて、注目度もいま以上に高まるはず。みなさんにもその効果をお返し出来ると思うので、これから一層、認知度向上に向けたプロモーションに力を入きたいと思います。」

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コミュニティへの参加が成長の基盤に

沼口
これまでに触れてきたように、AWS ヒーローは AWS コミュニティとの関わり方と深く関連する称号です。一方『アウトプットしないのは知的な便秘』と言われるほど、エンジニア界隈では自己開示や情報発信が推奨されるカルチャーがあります。私の認識だと、このふたつは決して別のものではなく、関心や興味が重なる人たちが集まるコミュニティを舞台に発信するからこそ、情報がシェアされやすくなったり、課題解決に役立ったりするのではないかと感じます。おふたりはアウトプットとコミュニティとの関係について、どのように捉えていらっしゃいますか ?」

吉江氏
「僕がはじめて JAWS-UG の空気に触れたのは、JAWS DAYS 2013 でした。セキュリティ製品調査のつもりであるセッションに参加したら、思いがけず AWS の虜になってしまったんです。いまでは当たり前になりましたが、当時、オートスケール機能から受けた衝撃はすさまじいものがありました。でもその一方で、セキュリティに関しては『もうちょっと頑張らないとな』という印象も持ったのも確か。あの当時はまだ、公式には Amazon EC2 インスタンスに適用可能な AWS 標準のファイアウォール機能しか実装されていなかったので、これだとクリティカルなシステムを預けるにはハードルがあるなと思ったからです。それで、JAWS-UG の皆さんからのアドバイスや意見を参考にしながら『WAF (Web Application Firewall) 管理サービス for AWS』を開発しました。AWS の可能性に気付かず、JAWS-UG の皆さんとも知り合えなければ、おそらく開発に着手することも、短期間でリリースすることもできなかったでしょう。さらに僕らがサービス開発の過程で得た気づきや知見を共有する場としても、コミュニティは機能してくれました。僕自身のスキルやキャリアの面でも JAWS-UG は、とてもいい影響を与えてくれています。」

沼口
「丸本さんはいかがですか ?」

丸本氏
「僕にとって JAWS-UG は、自分が『井の中の蛙』だったことを気付かせてくれた存在ですね。AWS を知るまでは、データベースは Oracle で充分だと思っていましたが、JAWS DAYS 2016 に参加して変わりました。AWS と出会い、まったく異なる世界があることを知ったからです。それ以来、JAWS DAYS に登壇することが自分にとって大きな目標になり、コミュニティ活動に積極的に取り組むようになったのは、吉江さんや僕が受けた衝撃を多くの人に伝えたかったから。JAWS DAYS で話したいという目標は 2018 年に叶いましたが、それはいまにして思えば、むしろゴールというよりむしろスタートでしたね。今度は周囲からお声掛けいただく機会がとても増え、活動幅が一気に広がったからです。一時活動が止まっていた JAWS-UG 広島支部をリブートして、運営に携わるようになったのも、自分が感じた驚きを伝えようと思わなければ、関わることはなかったかも知れません。JAWS-UG との出会いが僕の活動の原点なんです。」

沼口
「丸本さんが JAWS DAYS 2018 で発表されたサーバレス環境の構築事例は、かなり大きな反響がありましたよね。セッション内容がいろいろなところで採り上げられ、テック系の Web メディアに丸本さんの記事が毎月載るような状態が続きました。こうした動きが、やがて AWS Samurai や起業、そして今回の AWS ヒーローの選出にもつながるわけですから、人生はわからないものですね。」

丸本氏
「そう思います。もちろんこうした状態になることを狙ってコミュニティに加わったわけではありません。ただ、水面に落ちた水滴から波紋が広がるように、自然と新しい出会いや知見を得て、別の活動へと広がっていきました。自分から積極的に働きかけなくても、まわりから声を掛けていただく機会が格段に増えたのは、もしかするとコミュニティに参加した一番のメリットかもしれません。」


失敗や、失敗を経て成長していく過程もコンテンツに

沼口
「ありがとうございます。では最後に AWS ヒーローのおふたりから、若手デベロッパーの皆さんにメッセージをお願いします。」

丸本氏
まずはやってみる。これに尽きると思います。JAWS-UG に限ったことではありませんが、一般的なコミュニティは会社の上司と部下のような序列はなく人間関係はとてもフラット。ですから、何も怖がることはありません。頭ごなしに否定されることは絶対にないし、1 与えると 10 返ってくるのがコミュニティです。最低限必要なのは、勇気を出して一歩前に進むこと。その勇気がなければいつまで経っても何も起こりません。自分のなかにある思い込みや先入観が『やらない理由』になっていたらとてももったいないことだと思います。」

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吉江氏
「丸本さんが言うように、まず自分から一歩を踏み出すというのはとても大事なことです。まずは、その勇気さえあれば大丈夫ということは、僕からもお伝えしたい点です。以前、僕らと同じく AWS Samurai の山﨑奈緒美さんが、ご自分のブログに『やってみなはれ』と書かれていましたが、すべてはその言葉に集約されているのではないでしょうか。イベントや勉強会への参加をきっかけに、登壇したり、運営に携わったりすれば、世界はさらに広がるはず。こうした機会を使って成長してほしいと願っています。」

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沼口
「私も実際に飛び込んでみたら『何でそんなに怖がったり、気負ったりしていたんだろう』と思ったという方に何人もお会いしたことがあります。おふたりの活動を見てもわかるように、イベントや勉強会への参加の先にとても大きな可能性が広がっています。私も皆さん同様、こうしたチャンスをぜひ生かすべきだと思います。」

丸本氏
「『僕のレベルじゃまだまだ』と思う必要も全くありませんよね。」

吉江氏
「それは本当にそうですね。参加すれば必ず得るものがあります。参加するハードルなんて設けていないので、ぜひ気になるイベントや勉強会に参加してほしいですね。」

丸本
未熟さゆえの失敗や、失敗を経て成長していく過程も大事なコンテンツですからね。僕らももっと気軽に JAWS-UG に参加してもらえるような、雰囲気作りに努めないと思っています。」

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沼口
「与えられる前に与える。ギブファーストの精神でやってみると新たな展開が生まれるかも知れません。改めましてこの度は、AWS ヒーローへの選出、おめでとうございます ! 皆さんのこれからの活躍が楽しみです。これからも一緒に JAWS-UG を盛り上げていきましょう。本日はありがとうございました !」

吉江氏・丸本氏
「こちらこそ、ありがとうございました !」


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プロフィール

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吉江 瞬 氏 (AWS COMMUNITY HERO)

2008 年、野村総合研究所入社とともに、NRIセキュアテクノロジーズへ出向。セキュリティおよびインフラエンジニアとして同社が提供するマネージドセキュリティサービスの運用に従事。後に金融サービスを専門とするセキュリティコンサルタントとなる。2018 年に出向解除となり、野村総合研究所に転籍。2020 年に NRI セキュアテクノロジーズに復帰。現在は主任セキュリティコンサルタントと活躍している。コミュティ活動歴は JAWS DAYS 2013 から。2016 年には、Security-JAWS の立ち上げ、2017 年には X-Tech JAWS の開催に尽力。こうした活動の数々が高く評価され AWS Samurai 2018、2019 に 2 年連続で選出される。2019 年から JAWS-UG 東京支部を運営に携わり、同年 2 月の JAWS DAYS 2019 では実行委員長を、2020 年 9 月の 24 時間オンラインの JAWS SONIC 2020 / MIDNIGHT JAWS 2020 では実行委員長を務めた。

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丸本 健二郎 氏 (AWS DATA HERO)

2005 年、大阪の SIer に就職し人事パッケージの導入支援コンサルティングに携わる。2008 年、日本オラクルに移り人事給与システムなどの構築に従事。2012 年、故郷の東広島市に本社を置く大創産業の情報システム部門に転職し、AWS による発注システムや Amazon Redshift を用いた自動発注システム、Amazon QuickSight による BI 環境の内製化に尽力。AWS Cloud Roadshow 2017 広島での登壇を機に、 JAWS-UG 広島支部の運営に関わるようになり、現在は同支部と JAWS-UG のビッグデータ支部の運営に携わっている。AWS Samurai 2018 に選出。2019 年、オプターク合同会社を創業し、代表社員として顧客の DX を支援している。

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