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日常で楽しむクラウドテクノロジー

古い PC でも VTuber になりたい ! Amazon AppStream 2.0 で動画配信環境を作ってみよう ! ~後編

2023-02-02 | Author : 小林 大樹

1 ~ 5 までの手順

1 ~ 5 までの手順は前編をご覧ください。

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6. Streaming URL の作成

それでは、実際にアプリケーションをブラウザから使ってみましょう !

前提として、Fleet の Status が Running になっていることを確認します。

Stacks の画面に戻って、先ほど作成した Stack を選択します。

Action」ボタンをクリックして、「Create Streaming URL」を選択しましょう。

User ID として任意の ID を入力しましょう。ここでは VtuberUser としています。

そして、URL の有効期限を設定し、「Get URL」をクリックします。
※ 有効期限が超過した際は、こちらの手順を再度行うことで Streaming URL を再作成することが可能です

Copy link」ボタンをクリックして URL をコピーするか、「Launch in Browser」ボタンをクリックして、新しいタブでストリーミング URL を開きましょう。
※ こちらの URL は後でクライアントアプリから接続する際にも利用するため、控えておいてください。クライアントアプリをインストールした後に Launch in Client ボタンを押すと、直接クライアントアプリを立ち上げることができます

AppStream 2.0 の画面が立ち上がり、設定したアプリケーションが表示されています。

このアイコンをクリックすると、アプリケーションが起動し、ブラウザから 3tene や OBS Studio を操作することができます !

ただ、今回は配信を行うために Web カメラを利用する必要があるのでもう一工夫が必要です。ブラウザからでは Web カメラの入力を、ストリーミングセッションにリダイレクトすることができません。

AppStream 2.0 はブラウザからでも利用が可能ですが、Windows用の専用クライアントである AppSteam 2.0 クライアントを利用いただくと Web カメラを始め、より多機能で利用ができます。

では、AppStream 2.0 クライアントを利用して、配信環境を整えていきましょう。

7. AppStream 2.0 クライアントを利用する

7-1. AppStream 2.0 クライアントをインストールする

こちら から AppStream 2.0 の Windows用クライアントをダウンロードします。

ダウンロードしたファイルを実行し、「Next」をクリックしましょう。

Client logging」にチェックを入れて、 「Next」をクリックします。

Finish」をクリックします。

7-2. AppStream 2.0 クライアントでアプリケーションを操作する

クライアントアプリケーションを起動し、先ほど作成した Streaming URL を入力して、「Connect」をクリックします。

フリートインスタンスへの接続が行われ、Application Launcher が表示されました !

早速 3tene を起動してみましょう。
フリートの設定を On-Demand にしているため、起動まで 1-2 分かかります。

アプリケーションが表示されました !

3tene 画面から引用


画面左上のアイコンをクリックして、OBS Studio も起動しましょう。

3tene と OBS Studio が起動しました。

スペックが低いノート PCで実行していますが、動作は軽快です !

7-3. 3tene でフェイストラッキングを設定する

それでは、Web カメラと 3tene のフェイストラッキングを有効化して、カメラの前の私の動きに合わせて 3D アバターが動くようにしていきましょう。

クライアント のメニューバーに表示されている、カメラアイコンをクリックし、Web カメラを有効化します。

3tene 画面から引用


実際にカメラが有効になっているか確認しましょう。

右側のメニューの証明写真のようなアイコンをクリックすると、自分のリアルアバターを見ることができます。FPS も 30 ほど出ているようですね。

3tene 画面から引用


次に、フェイストラッキングを有効にしましょう。

3tene の右上にある人型のアイコンをクリックします。
トラッキングの開始ウインドウが表示されるので、フェイストラッキングの「開始」ボタンをクリックします。

3tene 画面から引用


これで、フェイストラッキングが有効化されました。

カメラの前で大きく首を傾げてみると・・・

動いた !!!!! やったあ !!!!!

7-4. OBS の設定

さて、ここまでの設定で 3Dアバターと自分の動きを連動させることができました。いよいよ VTuber らしくなってきましたね。

それでは、最後の仕上げとして画面を録画するために OBS Studio の設定を行なっていきましょう。

OBS Studio で録画や配信を行うために、どのウインドウをキャプチャするかを設定します。

Source ウインドウ下部の「」をクリックし、「Game Capture」を選択します。

OBS Studio 画面から引用


OK」をクリックします。

OBS Studio 画面から引用


次に、キャプチャするウインドウを選択します。以下の通り設定しましょう。

  • Mode : Capture specific window

  • Window [3tene.exe] : 3teneFREE

3teneのウインドウのプレビューが表示されたことを確認して、「OK」をクリックします。

3tene, OBS Studio 画面から引用


OBS Studio にキャプチャ対象の画面が表示されるので、3tene 側でズームしたり、OBS Studio 側でウインドウサイズを変更して、録画・配信用の画面サイズを調整しましょう。

3tene, OBS Studio 画面から引用


最終的にこのようになりました。

あとは OBS の機能を使って、画面を録画したり、ストリーミング配信したり、VTuberとしてコンテンツを作成することができます !

8. VTuber になってみる

8ー1. まずは録画してみる

「 VTuber です」と胸を張って言うためには、YouTube で配信をする必要があります。

ですが、いきなりライブ配信は怖いので、まずは試しに録画をしてみましょう。

ちゃんと音声も録音したいので、OBS Studio にマイクも認識させます。

Source から「Audio Input Capture」を選択します。

3tene, OBS Studio 画面から引用


Create new 欄に任意の名前を入力し、「OK」ボタンをクリックします。

OBS Studio 画面から引用


Device 欄で AppStream 2.0 の仮想マイクを選択しましょう。

OBS Studio 画面から引用


OBS Studio のダッシュボード画面に戻ったら、画面下の Audio Mixer 欄で Desktop AudioMic / Aux のスピーカーアイコンをクリックして、ミュートしましょう。この設定を忘れると、ハウリングしたような音声になってしまいます。

OBS Studio 画面から引用


次に、録画したファイルの保存場所を設定しましょう。

OBS Studio の画面右下にある「Settings」をクリックします。

OBS Studio 画面から引用


Settings 画面が開いたら、左メニューから「Output」を選択し、「Browse」ボタンをクリックしましょう。

Select Recording Direcotry 画面が開いたら、録画ファイルの保存先を指定します。
左側の This PC 内に表示される「Home Folder」を選択し、「Select Folder」ボタンをクリックします。

OBS Studio 画面から引用


Settings 画面に戻るので、設定が反映されていれば OK です。

Apply」をクリックし、「OK」ボタンを押しましょう。

OBS Studio 画面から引用


では、録画してみましょう !!

OBS Studio の「Start Recording」ボタンをクリックすると、「Stop Recording」ボタンに表示が変わります。

録画が終わったら、「Stop Recording」ボタンをクリックし、録画を停止してください。

3tene, OBS Studio 画面から引用


では、録画した動画をローカル端末側で再生してみましょう。AppStream 2.0 側からローカル端末にファイルをダウンロードします。

AppStream 2.0 のクライアントのメニューバーから、フォルダのアイコンをクリックしましょう。

Files Storage ウインドウが開くので、「Home Folder」をクリックします。

Home Folder の中を見ると、OBS Studio から出力された動画が表示されています。

ファイル名を選択し、「Download」をクリックします。

これで、ローカル端末側に AppStream 2.0 上のファイルをダウンロードすることができました。

AppStream 2.0 のクライアントのメニューバーから、通知ボタンをクリックしましょう。

Downloads タブを選択し、「Show In Folder」をクリックすると、ローカル端末側のダウンロードフォルダが開きます。

録画した動画

実際に私が録画した動画がこちらです ! ( アバターの表情の操作を忘れていました)

いかがでしょうか。問題なく録画ができることがわかりましたね。

それではいよいよ、真の意味で VTuber になってみましょう !!!

8-2. VTuber になってみる

AppStream 2.0 を使って YouTube でライブ配信をする

では、AppStream 2.0 を使って YouTube でライブ配信をしてみます。

※ ライブ配信には、Youtube アカウントの作成と、ライブ配信の有効化が必要となります。ライブ配信の有効化手順については、こちら をご参照ください。

なお、今回はテスト配信を行うため、ライブ配信の設定の際、公開設定では「非公開」を選択するようにしましょう。この設定を誤って「公開」にしてしまうと、全世界に私の VTuber 動画が配信されてしまいます。

ストリーミングソフトからの動画送信の待機状態になれば OK です。自分が好きな配信者のみなさんも同じ作業をしているのだと思うとなんだかワクワクしますね。

このあと、OBS Studio 側の設定をするので、その際に必要となる YouTube ライブの「ストリームキー」を控えておきましょう。

では、OBS Studio 側の設定を行います。

画面右下の「Settings」ボタンをクリックしましょう。

OBS Studio 画面から引用


左のメニューから「Stream」をクリックし、Service で「YouTube - RTMPS」を選びます。

そして、「Use Stream Key (advanced)」ボタンをクリックしましょう。

OBS Studio 画面から引用

先程 YouTube の配信画面からコピーした、ストリームキーを入力します。

入力できたら、「Apply」→「OK」ボタンを順番にクリックしましょう。

OBS Studio 画面から引用


ではいよいよ配信です !!

OBS Studio の「Start Streaming」ボタンをクリックします !

OBS Studio 画面から引用


開始後、少し待つと YouTube 配信管理画面で OBS Studio 側の画面が反映されましたでしょうか ?

では、実際に視聴者が見る動画の画面も見てみましょう。
YouTube 側の動画画面を右クリックし、動画の URL をコピーし、新しいタブで開きます。

いつも見ている YouTube の画面に自分 (アバター) が表示されたら成功です !!


実際に OBS Studio での動きと YouTube ライブでの動きを見比べるとズレがあるのがわかると思います。これは OBS Studio の動きがライブ配信側に反映されるまでに、数秒の遅延があるためですが、これは AppStream 2.0 でなく、ローカル端末からライブ配信を実施する際でも起こる遅延になります。配信後、アーカイブされた動画を YouTube で見てみると、アバターの動きや音声が問題なく録画されていることがわかります。

ということで、「古い PC でも VTuber になれました !!!!!

9. まとめ

いかがでしたでしょうか。AppStream 2.0 を利用することで、手元の端末のスペックに依存せず、サクサクとアプリケーションを実行することができました。

今回は OBS Studio と 3tene を動かしましたが、例えば Blender を動かしてどこでも 3D モデリングができる環境を整えたりと、色々応用することが可能です。

AppStream 2.0 について、もっと知りたい ! と感じていただけましたら、こちらの Amazon AppStream 2.0 入門 Workshop をぜひお試しください。

筆者プロフィール

小林 大樹
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト。

VTuber をこよなく愛するソリューションアーキテクト。普段は業種業界問わず、様々なお客様のプロダクト開発をサポートさせていただいております。悩みは推し VTuber が増えすぎて視聴時間を確保できないことです。

Profile headshot of an individual with short dark hair, wearing a collared shirt and sweater, photographed against a plain white background.