2012 年にベイルートで設立された Anghami は、無料および有料のオーディオストリーミングサービスを提供しています。そのプレミアムサービスには、トラックをダウンロードしてオフラインで再生したり、音楽を巻き戻したり早送りしたり、歌詞を表示したりする機能などがあります。

最近、ライバルの音楽サービスが台頭する中、Anghami は、顧客の好みに合ったアーティストやコンテンツに顧客を誘導することの重要性が高まっていることに気付きました。プラットフォーム上で利用できるアラビア音楽や国際音楽のコレクションが充実し、拡大していることを考えると、これはさらに重要な意味を持つことになりました。これらの音楽レコメンデーション機能は、新しい顧客を引き付け、ユーザーのロイヤルティを高めます。同社によると、おすすめの曲が追加で表示されると、ユーザーがサイトで過ごす時間が長くなることが確認されています。

Anghami の以前のレコメンデーション生成ソリューションでは、レガシーコードを使用していたため、チームが機能を拡張するのが困難でした。Anghami は、AWS 上に新しいクラウドネイティブソリューションを作成することにしました。新しいプラットフォームにより、古いコードを管理する手間が省け、エンジニアが顧客のために新しい機能を構築する時間が増えました。また、インタラクティブなログ分析、リアルタイムのアプリケーションモニタリング、ウェブサイト検索を簡単に実行できる Amazon OpenSearch Service などの多彩なツールを利用することも可能になりました。

同社は、顧客向けの新しい機能やサービスの作成を促進しながら、拡大するユーザーベースに対応できるように拡張できる最先端のレコメンデーションプラットフォームの開発を目指していました。

創業以来 AWS を利用している Anghami は、将来的な計画に基づいてテクノロジーオプションを検討するため、AWS のソリューションアーキテクトに連絡を取りました。いくつかの綿密なワークショップを経て、シンプルでパワフルで、メンテナンスと開発が容易な新しいアーキテクチャが立案されました。

AWS での最初のアーキテクチャワークショップから 6 か月も経たないうちに、Anghami は増え続ける曲やポッドキャストのカタログに対応するクラウドベースのレコメンデーションエンジンを立ち上げました。
サービスのレコメンデーションプラットフォームが Amazon OpenSearch Service で実行されるようになりました。Anghami は、ユーザーの行動データとオーディオコンテンツを場所に制限されることなく任意の量のデータを取得できるよう構築されたオブジェクトストレージである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存しています。

同社は大規模なデータワークロードを実行するために、Amazon EMR を使用しています。これにより、Apache Spark、Hive、Presto、その他の大きなワークロードを簡単に実行およびスケーリングできます。これらのワークロードには、ストリーミング音楽サービスを毎日使用している何百万もの顧客から収集された約 10 年分の顧客データのトレーニングが含まれます。おすすめの音楽を生成する機械学習モデルをトレーニングするために、Anghami は ML モデルの構築、トレーニング、デプロイに役立つ Amazon SageMaker を使用しています。

AWS でプラットフォームを構築することで、有能なエンジニアや DevOps スタッフを見つけやすくなったため、会社の技術リスクが軽減されました。Anghami の Vice President (VP) of Machine Learning である Kevin Williams 氏は、「テクノロジー企業としては、才能あればこそ優れている、と言わざるを得ません」と述べています。「OpenSearch は広く使われている技術なので、OpenSearch のスキルを持った候補者や、OpenSearch を学ぶ意欲のある候補者をすぐに見つけることができます。また、技術スタッフは AWS サービスに関する既存のドキュメントにアクセスできるので、トレーニングも迅速に行えます」。

Anghami のデベロッパーは、製品チームからの新機能のアイデアのプロトタイプをすばやく作成したり、ユーザーにコンテンツを推奨するためのクエリをすばやく作成したりできるようになりました。検索クエリの作成とプロトタイプの作成には、以前のシステムでは約 2 週間かかっていたのに対し、AWS では 1～2 日しかかかりません。AWS でのローンチ以降、チームはサービスのランディングページに、単に曲を提案するのではなく、アーティストや関連するプレイリストを顧客に聴いてもらうための新しい機能を作成しました。

Anghami は、新しい音楽をほぼ即座にファンにリリースすることもできます。新しいトラックがリリースされると (通常は金曜日)、ファンは公式リリースから 1 分以内にそれらにアクセスできます。以前のソリューションでは、技術チームはカタログに 1 曲のトラックをすばやく追加できませんでした。しかし、OpenSearch を使うことで、チームは曲のリリース直後から機械学習アルゴリズムを使って曲を挿入して提供することができます。「これは、ライバルと比べて私たちを本当に際立たせる重要な機能です」と Williams 氏は言います。「新作に対するファンの興奮をさらに盛り上げていくというのは、やりがいのある事です」。

Anghami は、今後何年にもわたって築き上げることができる技術基盤を手に入れました。「開発スプリントを実施して、最高のカスタマーエクスペリエンスをタイムリーに発見できることにワクワクしています」と Williams 氏は言います。

Anghami は、引き続きオーディオカタログを拡大し、中東およびその他の地域でのユーザーベースを拡大する予定です。「私たちは、ポッドキャスト、オーディオブック、音楽など、事業を展開する地域のオーディオを所有したいと考えています」と Williams 氏は付け加えます。「AWS を使用すると、それを実現するために必要なものがすべて揃います。当社のプラットフォームは柔軟で信頼性が高く、スケーラブルかつメンテナンスが容易なため、私たちはメンテナンスではなく、顧客に利益をもたらす貴重な作業に労力を費やすことができるのです”