ENGIE、AWS 上に Common Data Hub を構築してゼロカーボンへの移行を加速

2021 年

フランス最大の公益事業プロバイダーの 1 つであり、ゼロカーボンでのエネルギー移行の世界企業である ENGIE は、電気、ガス、およびエネルギーサービスを生産、輸送、販売しています。世界中に 16 万人の従業員を擁する ENGIE は分散型組織であり、25  のビジネスユニットを運営して、それぞれに高いレベルの委任および権限委譲を適用しています。ENGIE の分散型グローバル顧客ベースには大量のデータが蓄積されています。世界中のビジネスユニット間で、取り込み、整理、管理、共有、利用が可能なデータを提供するとともに、さまざまな取り組みを調整するには、よりスマートな独自のアプローチとソリューションが必要でした。 

2018 年、ENGIE はデータ駆動型の企業になることで、データとイノベーションによるデジタルトランスフォーメーションを加速させることを決定しました。まず、ENGIE には、Common Data Hub という名前のエンタープライズデータリポジトリを構築し、同じソリューションで顧客とビジネスユニットを連携させたいという要望がありました。Common Data Hub により、ENGIE のビジネスユニットでは、統合プラットフォームと厳重にセキュリティ保護された環境を通じて、データセットを簡単に取り込み、保存し、共有し、利用できるようになりました。さらに最終的には、生産性を高め、エネルギー生産予測を正確に行い、新しいサービスを顧客に提供できるようになりました。 

ENGIE は、Amazon Web Services (AWS) を利用して、グローバル分散データレイクと AWS の分析ソリューションを用いて構築されたカスタムソリューション Common Data Hub を構築しました。Common Data Hub は、データへのアクセスを簡素化し、包括的な分析ツールを提供することで、チームに革新をもたらします。AWS Professional Services は、ENGIE のソリューションの設計と実装をサポートし、Common Data Hub プラットフォームの進化と運用を担当する社内サービスチーム (data@ENGIE チームと呼ばれる) を整備しました。

ENGIE はカーボンニュートラル化のために AWS データと分析を活用

スマーターデータのニーズの特定

ENGIE の顧客層は、地方自治体、小売顧客、大企業など、多岐にわたっています。同社では、ソーラーパネルや風力発電所などの分散型資産を使用して顧客が自家発電するための支援を進めています。ENGIE がさらに分散化を進める中、同社で使用しているエンタープライズリソースプランニングソフトウェアである SAP (Systems, Applications, and Products in Data Processing) の更新が必要であることがわかりました。また、自社のバリューチェーンを管理できるように顧客を支援するうえで、データを収集および分析するための統一された方法が必要でした。「例えば、天気予報に応じて消費量を測定して発電量を予測するには、データを使用する必要があります」と、ENGIE のデータプログラムの開発と配信を率いるテクノロジーチームリーダーの Gregory Wolowiec 氏は述べています。また、Wolowiec 氏は、国と国との間での不統一や孤立に関する問題についても言及しています。「ソリューションはすべて、国によって異なっており、組織の部門間での共有もありませんでした。地球上のどこにいても、合理的な方法でデータを収集し、共有できることが非常に重要になりました」。 

ENGIE のチーフデジタルオフィサーである Yves Le Gélard 氏は、同社の目的を次のように説明しています。「ENGIE にとって持続可能性は、すべてのアルファでありオメガです。これこそ、私たちの存在理由なのです。私たちは、大企業や地球上の大都市ができるだけ早くゼロカーボンに移行しようとする試みを支援していますが、それは実際に今日の人類にとって一番の問題だからです。 

また、ENGIE のグループチーフデータオフィサーである Gérard Guinamand 氏は、次のように述べています。「データに関する私たちの戦略は、実は私たちの目的に直結しています。ゼロカーボンへの移行を推進して実現するには、まず、現状を把握するためのデータを収集する必要があります。これには、どこで何かが燃やされ、その燃焼でどの程度の二酸化炭素が排出されるか、また、そのすべてが天気、気温、人口などの環境トピックとどのように相関するかに関するデータが含まれています。これらすべてのデータを保存し、収集し、計算することで、進捗状況を測定し、ロードマップに従うことができます」。 

どのような方法を ENGIE が採用したとしても、高いレベルのセキュリティを備え、世界中の規制に準拠している必要がありました。同社は概念実証をまとめるにあたり、地元および世界のクラウドプロバイダーと共に、さまざまなソリューションを検討しました。「AWS は、コストモデルを含めた多くの理由で、特にデータストレージの観点から、優れたソリューションであると確信していました」と Wolowiec 氏は言います。このため ENGIE では 2018 年半ばに、AWS を使用した大規模なデータプロジェクトに着手しました。

Common Data Hub の開発と世界中への展開

Wolowiec 氏は、Common Data Hub とは「ENGIE でのデータ保存、データ共有、データによる価値の創造を可能にしてくれる、共同作業に適した分散型のデータレイク」であると説明しています。 Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) を使用して構築されていて、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。また、このソリューションでは、フルマネージド型ペタバイト規模のクラウド型データウェアハウスサービスである Amazon Redshift を使用しており、Amazon S3 データレイク内の半構造化データを照会することができ、データウェアハウジングへのレイクハウスアプローチを実証しています。 

本ソリューションは、Amazon Redshift を使用しているため、お客様は Common Data Hub 環境にデータウェアハウスを安全にデプロイし、分析を活用することができます。会社のビジネスユニット管理者は、Common Data Hub で Amazon Redshift クラスターを管理することで Common Data Hub プロジェクトに参加し、Amazon S3 データレイクのデータセットに簡単にアクセスして、Common Data Hub の豊富なデータセットカタログから価値のあるインサイトを構築できます。Common Data Hub では、2 つの異なるタイプのデータアクセスに Amazon Redshift を使用しています。Common Data Hub の S3 バケットへの直接的なクエリには Amazon Redshift Spectrum を使用し、独自の内部ストレージを備えたプロビジョニング済みデータウェアハウスとして Amazon Redshift が使用されています。「Common Data Hub が管理する Amazon S3 データレイクと Amazon Redshift のデータウェアハウスとの間のリンク構築は、Amazon Redshift Spectrum の機能に依存しています」と Wolowiec 氏は言います。

Common Data Hub に関わるその他の AWS のサービスには、大規模なスケーラビリティと耐久性を備えたリアルタイムデータストリーミングサービスである Amazon Kinesis Data Streams (Amazon KDS) があります。Amazon KDS を使用することで、ENGIE は IoT デバイスからのストリーミングデータをリアルタイムで簡単に収集、処理、分析することができ、ENGIE はインサイトの開発に必要な情報を迅速に収集することができます。AWS Glue は、メタデータリポジトリ用のフルマネージドな抽出、ロード、変換 (ETL) サービスであり、データの転送とクリーニングをさらに支援します。Amazon Athena は、標準的な SQL クエリを使用して Amazon S3 のデータを簡単に分析できるインタラクティブなクエリサービスで、ENGIE のビジネスユニットがデータを見ることができます。ENGIE は、データからさらなるインサイトを収集するために、すべてのデベロッパーやデータサイエンティストが機械学習モデルを迅速に構築、トレーニング、デプロイできるようにするフルマネージドサービスである Amazon SageMaker を利用しています。

世界中で Common Data Hub をスムーズかつ容易に導入するために、ENGIE はビジネスユニットの管理者が収集したデータの価値を理解し、分散型データレイクのデータにアクセスできるように、加速テンプレートとドキュメントを提供しました。Common Data Hub では、高いレベルでのデータガバナンスとセキュリティも可能です。データ生産者はデータセットやワークフローを共有してアクセスを制御し、消費者はデータへのアクセスを要求して消費することができます。

AWS のサービスを統合することで、ENGIE にセキュアで、アジャイルで、スケーラブルなソリューションを提供しました。こうして、各ビジネスユニットでは、オペレーションに不可欠な要素を断念することなく、必要な形でフレームワークを使用できるようになったのです。ENGIE ビジネスユニットは、AWS で Common Data Hub ソリューションを構築してから短期間で、その使いやすさと自動化により、生産性を向上させています。環境へのプラスの影響もあります。ENGIE はデータを使用して、風力発電所から取得可能な最大量のエネルギーの提供を受けることで、この重要な再生可能エネルギー源の有効利用に貢献しています。「私たちは、技術的な問題に対処するために時間をかける代わりに、エンティティが価値の創造に集中できるよう適切なツールを提供しています」と Wolowiec 氏は述べています。これまでに ENGIE は、200 TB のデータを収集し Common Data Hub にセットアップしています。

標準化されたトップダウンアプローチの推進

Common Data Hub は、情報技術ユーザーとビジネスユーザーとの間のデータコミュニティを実現することで、ENGIE のデータ駆動型戦略のバックボーンを形成しています。これにより、ENGIE のあらゆるレベルでのデータリテラシーの強化が加速し、内部プロセスの最適化や新しいデータ駆動型サービスの作成に役立っています。現在はすべてのビジネスユニットで、データ駆動型アプリケーションをより迅速に構築するために、独自のソリューションが活用されています。ENGIE の Common Data Hub には現在、世界中で進行中の 1,000 を超えるプロジェクトがセットアップされています。Common Data Hub は、サイロを排除し、すべての部門が共通のフレームワークに平等にアクセスして利益を得ることができるため、真にまとまったソリューションを提供しています。 

ENGIE は、データの収集と共有の新しい方法によって、ビジネスのやり方を変える機会を得たと考えていて、同社はそのための垂直データハブの構築を進めています。ENGIE ではこれまでボトムアップアプローチを使用し、それぞれの地域の顧客には、各ビジネスユニットがサービスを提供していました。ただし、このようなエネルギーサービスの多くは同じものであるため、不必要な作業の重複が生まれます。「当社で行う発電業務、特に再生可能エネルギーの産生は、基本的にどの企業でも同じようなものです」と Wolowiec 氏は言います。「Common Data Hub を使用すると、世界中で共通するユースケースを構築できます。次は、特に風力発電所について、より多くのトップダウンアプローチを導入する予定です」。 

ENGIE では、AWS のサービスを利用して Common Data Hub を構築し、世界各地のビジネスユニットで従来より生産性の高い方法でデータを収集、共有、分析できるようになったことで、大きな価値を見出しました。ENGIE の各ビジネスユニットでは依然自律性を維持しながらも、データの一元化から便益を受けることができており、類似したユースケースから重要なインサイトを獲得することで、より新しく、より効率的な方法を取り入れながら世界に電力を供給しています。


ENGIE について

グローバルなエネルギー企業の ENGIE は 25 のビジネスユニットを世界中で運営しています。何百万もの顧客への電力の供給、バリューチェーン全体を対象にした統合ソリューションの構築など、企業や地方自治体のゼロカーボン移行をサポートしています。

AWS の利点

  • 1,000 のプロジェクトで 200 TB のデータを収集
  • エネルギー予測の自動化
  • ビジネスユニットの生産性向上
  • 風力発電所のエネルギー生産量を最大化

使用されている AWS のサービス

Amazon Kinesis Data Streams (KDS)

Amazon Kinesis Data Streams (KDS) は、大規模にスケーラブルで持続的なリアルタイムのデータストリーミングサービスです。KDS では、数十万のソースから 1 秒あたり数ギガバイトのデータを継続的にキャプチャできます。収集データはミリ秒で入手でき、リアルタイム分析をリアルタイムダッシュボードやリアルタイム異常検知、ダイナミックな価格設定などの事例に利用可能です。

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Amazon Redshift

Amazon Redshift は世界で最も高速なクラウドデータウェアハウスで、その速度は年を追うごとに向上しています。 Redshift は、Fortune 500 の企業からスタートアップに至るまで、あらゆる企業の分析ワークロードを強化します。

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AWS Glue

AWS Glueは、分析、機械学習、アプリケーション開発のためのデータの検出、準備、結合を簡単に行える、サーバーレスデータ統合サービスです。AWS Glue はデータ統合に必要なすべての機能を備えているため、数か月ではなく、数分でデータを分析し、使用可能にします。

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Amazon Athena

Amazon Athena はインタラクティブなクエリサービスで、Amazon S3 内のデータを標準 SQL を使用して簡単に分析できるようになります。Athena はサーバーレスなので、インフラストラクチャの管理は不要です。実行したクエリに対してのみ料金が発生します。

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