お客様事例/製造業

2023 年
株式会社イクヨ

イクヨ、Amazon QuickSight よるレポート管理システムにより、不良品の発生原因を詳細に分析し、品質改善活動を推進

3 時間

月次レポート作成工数の削減

約 1 週間

環境構築とダッシュボードの作成期間

5 分の 1 以下

オンプレミスで導入した時とのコスト差

概要

自動車やトラックの内装や外装の樹脂部品、装備品の開発・製造・販売を手がける株式会社イクヨ。毎月の不良品実績を Excel で管理していた同社は、業務の効率化に向けてアマゾン ウェブ サービス(AWS)の Amazon QuickSight を活用したレポート管理システムを構築。これにより毎月 3 時間要していたレポート作成工数がなくなり、品質管理部門の負担が軽減されました。詳細なレポートは品質改善活動に活かされ、不良品の発生削減にも貢献しています。

株式会社イクヨ

ビジネスの課題 | Excel のマクロを利用した集計システムからの脱却

1947 年に設立されたイクヨは、神奈川県厚木市に本社を置き、厚木、名古屋、岡山の 3 工場で自動車やトラック向けの合成樹脂製品の製造加工を手がけています。Tier1 企業として、大手自動車メーカーやトラックメーカーと直接取り引きし、ありとあらゆる樹脂成形品にフレキシブルに対応しています。

樹脂製品を製造する同社の場合、金型に樹脂が十分に充填されずに不完全な形状となる不良や、成形樹脂の表面の焼け、塗装の色違いといった不良、出荷伝票と異なる部品を取引先に納品してしまう事態がまれに発生します。こうした場合、品質保証部の担当者が Excel のマクロを使って集計した後、PDF 形式で月報を作成していました

そのため、月報を作成する担当者の負担は大きく、PDF 形式のファイルで受け取った工場や協力メーカーなども、簡略化された報告書を見るだけで原因を深掘りできない状況が生まれていました。さらに、Excel のマクロを駆使していた集計担当者が退職することになり、業務が滞る事態が発生しました。

「このタイミングで、品質保証部から情報システム部に“助けて欲しい”という依頼があったのが、レポート管理システムを開発するきっかけです。そこでまずは実績を管理するデータベースを Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)上に構築しました」と語るのは、同社のシステム開発を担当する経営企画室の菊池匡洋氏です。

データベース化により、集計処理が滞る事態は回避することができました。イクヨではさらなるデータの活用を目的にセルフサービス BI の導入を検討しました。

「将来性を考慮した結果、情報システム部からフォーマットを提供するのではなく、品質保証部の担当者自身が分析しながら気付きが得られるセルフサービス BI を導入するのがベストであると判断しました」(菊池氏)

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集計やグラフの作成といった業務から解放された結果として、不良の発生原因を深く追及し、不良を発生させない改善活動に時間を費やすことが可能になりました”

菊池 匡洋 氏
株式会社イクヨ 経営企画室

ソリューション | 約 1 週間で環境構築とダッシュボードの作成を完了

セルフサービス BI の導入を決定した同社は、さまざまなサービスを検討した中から Amazon QuickSight を採用しました。開発を担当した菊池氏が Amazon QuickSight を知ったのは、同様の悩みを解決した AWS の導入事例でした。しかも、調べてみると Amazon QuickSight はリリースから 2 年で大きく機能が強化されており、そのスピードの速さに驚いたといいます。モバイル端末からもアクセスができるため、将来的に活用の可能性がある AWS IoT サービスとの連携にも期待がありました。

「決め手は、初期費用がかからないことと、安価なライセンス体系です。パッケージ製品の場合、見積りを取ってみたところ初期費用が 500 万円ほどかかり、しかも管理コストの負担も大きいことが判明しました。Amazon QuickSight なら初期費用は不要です。閲覧者の料金もセッション単位の従量課金で、使わなければ無料、最大でも 1 ユーザー月額 500 円なので、他の選択肢はありませんでした」(菊池氏)

採用決定後、約 1 週間で環境構築とダッシュボードの作成を完了し、2021 年 4 月より品質保証部での利用を開始しました。

開発は菊池氏が 1 人で担当し、独学で学びながら構築しました。Amazon QuickSight から Amazon Aurora に直接クエリーを投げることで、簡易な連携を実現。ユーザーに対する Amazon QuickSight へのアクセス管理は、すでに同社が導入していた Amazon EC2 上で稼働する Active Directory との連携によって実現しました。DB にはパフォーマンスが高く、運用負荷が軽減できるフルマネージド型の Amazon Aurora を採用しています。

「AWS の開発は初めての経験でしたが、インターネット上に公開されている技術情報を参照することで、容易にダッシュボードの作成から、Active Directory との連携、AWS Direct Connect によるデータセンターとの接続まで自力で対応することができました」(菊池氏)構築後は、品質保証部のキーマンが、約 15 名の部員に対してユーザー教育を実施し、操作マニュアルを整備したうえで、ユーザーからの質問にも答えながらスムーズな利用を促しました。「多忙な上司に代わり、菊池から Amazon QuickSight を活用した不具合集計を見せられましたが、即座にこれは使えると確信しました。データ分析と更新の手間が大きく簡略されているので、IT リテラシーが決して高くない当社でも容易に扱えると上長に報告、部内教育を提案しました」と品質保証グループの東端佑允氏は当時を振り返ります。また、同グループの井上竜冴氏は「使っているうちに操作にも慣れ、徐々に分析したり、月報を作成したりすることができるようになりました」と語ります。

アーキテクチャ

アーキテクチャ

導入効果 | レポートを活用した改善活動により、不良品の発生を抑制

Amazon QuickSight の導入により、3 つの工場でそれぞれ毎月約 30 分~ 1 時間かけて入力し、約 1 時間かけて取りまとめていた作業工数がなくなり、品質保証部の負荷は削減されました。月に 1 回だった集計も、現在は Amazon QuickSight 上にほぼリアルタイムに実績が反映されていくため、毎日チェックして不具合の発生状況を把握することができます。

「集計やグラフの作成といった業務から解放された結果として、不良の発生原因を深く追及し、不良を発生させない改善活動に時間を費やすことが可能になりました」(菊池氏)

現在は、Amazon QuickSight で作成したレポートやダッシュボードで不良品の発生状況を見ながら品質改善活動を進め、納品先のメーカーに対しても改善の結果を伝えています。

「毎月のデータから不良品の発生傾向を追ったり、ダッシュボードをドリルダウンで深掘りしたりしながら、工場の製造責任者と改善活動を進めています。協力メーカーに対しても Amazon QuickSight で作成したレポートをもとに、毎月の会議で不具合の発生原因などを議論して改善活動に取り組んでいます。一部の工場では異品混入などの不具合や、協力メーカーの原因による不良品の発生が大幅に削減された事例も出てきています」(井上氏)

AWS の利用料金に関しても、導入から 1 年半以上経った現時点で、パッケージ版で見積もった初期費用の 5 分の 1 以下と、安価な利用が実現しています。

今後は、今回の対象とした納品後に報告された不良品だけでなく、製造現場で検知された不良データも可視化の対象とすることを検討しています。

「そのためには上流工程でデータを収集し、分析する仕組みが必要です。そこで、AWS IoT などのサービスを活用して設備のデータを取得し、機械学習サービスを使って学習させながら事前に不良品の発生を予知予測して、それらを Amazon QuickSight 上に表示することにもチャレンジしていきたいと思います」(菊池氏)

現在は、基幹システムを AWS に移行するプロジェクトも進行中で、将来的には受注データや売上データなども Amazon QuickSight のレポート対象とすることで、従業員全体の工数削減に取り組んでいく考えです。

カスタマープロフィール: 株式会社イクヨ

1947 年に株式会社イクヨ商会として設立。1974 年に現社名に改称。現在、合成樹脂製品の製造加工および販売を手がけ、営業品目は、自動車の内装・外装部品を中心に各種樹脂成形部品を取り扱っており、製品設計(CAD/CAM)から試作品製作、量産金型製作手配から量産までの一貫した生産システムを確立し、キャップのような小さな成形品からバンパーなどの大型成形品、特殊構造の成形品まで幅広く対応している。

菊池 匡洋 氏

菊池 匡洋 氏

井上 竜冴 氏

井上 竜冴 氏

東端 佑允 氏

東端 佑允 氏

ご利用中の主なサービス

Amazon QuickSight

Amazon QuickSight を使用すれば、組織内のすべての人が自然言語で質問したり、インタラクティブなダッシュボードを探索したり、機械学習を利用したパターンや外れ値を自動的に探したりすることで、データを理解できます

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、組み込みのセキュリティ、継続的なバックアップ、サーバーレスコンピューティング、最大 15 のリードレプリカ、自動化されたマルチリージョンレプリケーション、および他の AWS のサービスとの統合を提供します。

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Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、500 以上のインスタンスと、最新のプロセッサ、ストレージ、ネットワーク、オペレーティングシステム、購入モデルを選択でき、ワークロードのニーズに最適に対応できる、最も幅広く、最も深いコンピューティングプラットフォームを提供しています。

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