Indivumed が AWS で構築された強力な分析でがん研究を後押し

2022 年

ハンブルクを拠点とする Indivumed は、極めて高い品質の生物検体と包括的な臨床データを利用して、精密腫瘍学の研究開発を推進することを専門としています。同社の IndivuType ディスカバリーソリューションは、AWS を利用してデータを保存し、がんの複雑さを解読するための分析をサポートしています。Indivumed は AWS インフラストラクチャを改善することで、IT の総コストを 50% 超節約し、処理できるサンプル数は 1 週間に 20 から 500 に増加しました。これは 2,400% の増加です。

Indivumed
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当社は、極めて高度に自動化されたマルチオミクス処理施設を有しています。そして、最終的には人々の命を救い、寿命を延ばす新しい治療法の創出を後押ししています。それは誇るべき仕事だと思います」。

Rene Steen 氏
Indivumed、IT 担当バイスプレジデント

Indivumed が AWS で構築された強力な分析でがん研究を後押し

ハンブルクを拠点とする Indivumed は、20 年間にわたってバイオバンクを専門としており、がんの研究開発のためのインフラストラクチャ、専門知識、テクノロジーを提供してきました。その顧客やパートナーのほとんどは学術研究機関や製薬企業です。これらの組織は、Indivumed が得たインサイトを活用して、新薬の発見と検証、そして最終的には生命を脅かすがんの新しい治療法を開発することに取り組んでいます。

ライフサイエンス分野と製薬業界がよりデータ駆動型になりつつある中、Indivumed はマルチオミクスデータの分析を通じてこれらのインサイトを生み出す機会を見出しました。Indivumed は、自社で保存している何千もの組織サンプルを利用して、がんに関する詳しい分子情報の独自のリポジトリを作成することにしました。

しかし、データセットは複雑で広範囲にわたります。この複雑さを管理するために、同社は Amazon Web Services (AWS) に目を付け、クラウドベースのハイパフォーマンスコンピューティング (HPC) を利用して、世界初で極めて広範な独自のマルチオミクスデータベースを構築しました。

AWS でマルチオミクスデータベースを起動

その結果、多様な分子生物学的情報と、欧州、米国、アジアの何千名もの患者の臨床情報を組み合わせたマルチオミクスデータベースである IndivuType が生まれました。がんの各サンプルのデータセット (疾患のマーカーを検出する分子アッセイからの未加工の読み取り値を含む) のサイズは 200 GB に達することがあります。

Indivumed は、自社のコンピューティング要件が非常に大きなものとなることに気付いていました。そこで、巨大なデータセットを処理できるだけでなく、必要な処理量に基づいてリソースを自動的にスケールアップおよびスケールダウンできる HPC クラスターを構築することにしました。

同社はそのビジョンの実現に取り組むに際して、AWS にサポートしてもらうことにしました。「当社のスケールをサポートしてくれる企業として、AWS は最良の選択でした。AWS は安全で信頼性の高い、サーバーレステクノロジーを幅広く提供し、当社はそれを基盤として構築できるのです」とIndivumed のアドバンストアナリティクスおよび AI 担当バイスプレジデントである Jonathan Woodsmith 博士は述べています。

当初、Indivumed は、安全かつサイズ変更可能なコンピューティングキャパシティを提供する Amazon Elastic Compute Cloud (EC2) と、ファイルの追加と削除に応じて自動的に拡大縮小する Amazon Elastic File System (EFS) を利用して HPC クラスターを構築しました。

クラスターのモダナイズにより処理能力が 2,400% 向上

会社の成長に合わせて、Indivumed は処理できるデータの量を増やし、それによって毎年処理できるサンプルの数を増やす必要がありました。これを実現するために、Indivumed はクラスターをリファクタリングする必要がありました。「当社はクラウドネイティブなテクノロジープラットフォームの構築にかなりの時間を費やしました」と Woodsmith 氏は述べています。

Indivumed と AWS は、クラスターをモダナイズするために、Multi-Omics for Cancer and Clinical Analytics (MOCCA) プロジェクトを開始しました。これは、Kubernetes を実行およびスケールするためのマネージドコンテナサービスである Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) を基盤としています。また、Indivumed は、高性能のワークロードを低コストで提供するために、インテルベースのコンピューティング最適化 Amazon EC2 スポットインスタンスを利用しました。

コストをさらに最適化するために、新しいクラスターではいくつかの Amazon EFS ワークロードを Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) が提供するオブジェクトストレージに置き換えました。Amazon S3 は、どこからでも任意の量のデータを取得できるように構築されています。MOCCA クラスターを利用することで、Indivumed は以前の AWS セットアップと比較して、IT の総コストを 50% 超節約し、サンプルあたりのコストを約 41% 削減しました。

また、並行して処理できるサンプルの数も増えました。IndivuType は、Amazon EKS を利用して 1,000 インスタンスにスケールアップすることで、1 週間あたり 500 サンプルを処理できるようになりました (以前は 20 サンプル)。これは、以前のシステムの処理能力と比較して 2,400% の増加です。

Indivumed は、Amazon S3 Glacier を利用して、不要になったデータの保存をさらに強化しました。Amazon S3 Glacier は、データアーカイブ用に安全かつ耐久性のある長期的なストレージクラスを提供します。「ビジネスの成長に合わせて事業活動を推し進め、その成長に遅れを取らないようにするためのパイプラインがあることを知っていることは重要です」と Woodsmith 氏は述べています。

AI と ML を利用して救命機会を開拓

IndivuType を稼働させる中で、Indivumed は、顧客やパートナーが新しい治療法の開発に利用できるように、がん生物学に関する新しいインサイトを生み出したいと考えていました。これらのインサイトを生み出すために、Indivumed は機械学習 (ML) をマルチオミクスデータ分析に使用しました。これに加えて、大規模なマルチオミクス臨床データセットや医療画像を含むライフサイエンスアプリケーション向けにカスタマイズされた自動 ML システムである JADBio も利用しました。

JADBio は AWS 上で動作する Software as a Service プラットフォームで、API を通じた IndivuType との統合を容易にします。JADBio テクノロジーは、腫瘍データに含まれる情報のパターンを認識して学習することにより、Indivumed の nRavel® 人工知能 (AI) プラットフォームをサポートします。

nRavel® には、包括的な生物学データベースから厳選された疾患モデルのデータを利用して Indivumed が構築および検証した特注ツールが含まれています。高度な分析アルゴリズムと ML を組み合わせることで、Indivumed はがんの生物学、治療、転帰をより良く理解できるようになります。

これらの新しい機能により、Indivumed は新しいつながりやパートナーシップを確立することができました。同社は現在、IndivuType と nRavel® を利用した高度な組織サンプル分析をいくつかの大手製薬組織や多くの中小バイオテクノロジー企業に提供しています。

Indivumed のテクノロジーを利用する組織による進歩は、がん患者の人生を変える可能性があります。「当社は、極めて高度に自動化されたマルチオミクス処理施設を有しています」と Indivumed の IT 担当バイスプレジデントである Rene Steen 氏は述べています。「そして、最終的には人々の命を救い、寿命を延ばす新しい治療法の創出を後押ししています。それは誇るべき仕事だと思います」。


Indivumed について

ハンブルクを拠点とする Indivumed は、極めて高い品質の生物検体と包括的な臨床データを利用して、精密腫瘍学の研究開発を推進することを専門としています。同社は 20 年前に設立され、本社はドイツのハンブルクにあります。

AWS のメリット

  • 医学研究用の何千もの組織サンプルを保存するマルチオミクスデータベースを開発
  • 得られたインサイトをがんの新しい治療法の創出に活用
  • IT の総コストを 50% 削減 
  • サンプルのデータ処理能力が 2,500% 向上

利用されている AWS のサービス

Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能をクラウド内で提供するウェブサービスです。デベロッパーがウェブスケールのクラウドコンピューティングを簡単に利用できるように設計されています。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界随一のスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、パフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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Amazon EKS

Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) は、クラウドまたはオンプレミスで Kubernetes アプリケーションを実行、スケールするマネージドコンテナサービスです。

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Amazon EFS

Amazon Elastic File System (Amazon EFS) は、ファイルの追加や削除に応じて自動的に拡張したり、縮小したりします。管理やプロビジョニングは不要です。

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