Siemens は、AWS 上でスタートアップに類似した環境で Junelight Smart Battery を構築

2019 年

企業のデジタルトランスフォーメーションには多くのメリットがありますが、その中には、新しい市場に参入し、新しい顧客価値を発見して提供する能力の向上があります。大規模で戦略的な目標を慎重に計画することは不可欠ですが、スタートアップのように実験や方向転換を行う意欲も重要です。

電化、自動化、デジタル化の世界的リーダーである Siemens に「スタートアップ」という言葉が使われることは期待できません。しかし、170 年の歴史を持つこの巨大企業は、実際にスタートアップのような社内チームを使って新製品を市場に投入しています。その中には、Amazon Web Services (AWS) を使用しているチームもあります。

例えば、Siemens Corporate Technology (CT) の Research in Energy and Electronics (REE) ユニット内にある同社の Software Defined Inverter (SDI) 研究部門を考えてみましょう。SDI は、パワーエレクトロニクスに対する世界的な需要の高まりから生じる新しい製品機会を模索するために 2016 年に設立されました。Siemens の Smart Infrastructure Low Power (SI LP) ビジネスユニットと SDI は最近、家庭でソーラーパネルからの電気エネルギーを蓄えるための消費者向けバッテリー製品である Junelight Smart Battery をリリースしました。

Junelight は、個人消費者向けの比較的数少ない Siemens 製品の 1 つです。個人消費者向けは、Siemens にとって重要な新しいセグメントです。同社は従来、企業間販売に重点を置いてきましたが、Junelight システムのような「ビハインドザメーター」のデバイスやサービスをターゲットにすることが増えています。SDI チームは AWS を使用することで、Junelight を 2 年足らずでホワイトボードに描いたアイデアから製品化して市場に投入できました。

SDI の コントロール、アーキテクチャ、ソフトウェアに関する研究グループの責任者である Friedemann Paulini 氏は、「AWS の使用は、プロトタイピングと設計変更の初期段階で特に役に立ちました」と述べています。「AWS の俊敏性と柔軟性を活用することで、当初のアイデアから正式な Siemens 製品にして、マーケティングと販売のためにビジネスユニットに引き継ぐことができるようになるまで、わずか 18 か月しかかかりませんでした」。

An abundance of tubes used for oil and gas industry placed in factory warehouse
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AWS のサービスは非常にシンプルなので、製品アイデアのテストをほぼ即座に開始できます"

Andreas Groeger 氏
Siemens、Head of Software Defined Inverter Department

AWS での迅速な実験

現在ドイツとオーストリアでのみ利用可能な Junelight は、住宅所有者がエネルギー調達コストと CO2 排出量を最小限に抑えるのに役立つリチウムイオン蓄電システムです。この製品は AWS を使用して、家計の消費プロファイルに関連するデータを保存、分析、視覚化します。ユーザーは、同じく AWS 上で動作するモバイル Junelight Smart App を使用して、エネルギーの流れをリアルタイムで監視します。

Junelight バッテリーユニットは AWS IoT Core 経由で AWS クラウドに接続します。これにより、接続されたデバイスとクラウドアプリケーション間の非常に安全な通信が可能になります。このソリューションでは、Amazon Kinesis を使用してストリーミングデバイスのデータをソリューションのデータレイクにロードします。データレイクは非構造化データを Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存し、AWS Glue を使用してスキーマを作成します。データ分析は、従量課金制のサーバーレスでインタラクティブなクエリサービスである Amazon Athena を利用しています。

安全でスケーラブルな API を顧客インターフェイスに接続するために、Junelight は、数十万の同時 API コールをモニタリングできる Amazon API Gateway と、数億のユーザーにまで拡張できる安全性の高いユーザーディレクトリを提供する Amazon Cognito を使用しています。チームは、分散トレースサービスである AWS X-RayAmazon CloudWatch メトリクス機能を利用して、マイクロサービスのインタラクションを監視、分析、デバッグしています。

Junelight のアイデアは、SDI チームのメンバーだけでなく、SI LP ビジネスユニットのプロダクトマネージャーも参加した初期のブレインストーミングセッションから生まれました。チームは、プロジェクトの最初の週に Junelight を AWS で実行することを決定しました。「IoT、分析、クラウド接続など、さまざまなシステムの数を考えると、幅広いサービスだけでなく、簡素な統合も提供するパブリッククラウドプロバイダーが必要でした」と、SDI 部門のチームリーダーである Susanne Forster 氏は言います。「このようなクラウドベースの IoT プラットフォームを構築するには、AWS が明確な選択肢でした」。

また、AWS はチームのスタートアップのような迅速な実験サイクルの鍵でもありました。SDI 部門の責任者である Andreas Groeger 氏は次のように語っています。「AWS を使用することで、非常に迅速に行動できるようになりました。これは当社にとって極めて重要なことでした」。

このプロジェクトの過程で、SDI チームは AWS を使用して CACTUS (Control and Converter Technologies for Universal Systems) と呼ばれるアプリケーションプラットフォームも作成しました。これは、ハードウェアマイクロコントローラー、組み込みファームウェア、アップデート、データレイク、データ API、基本メンテナンスサービスなどの IoT 機能を含む IoT コントローラーベースの製品の再利用可能なエコシステムです。CACTUS は、IoT に制約のあるデバイス向けのソリューションをすぐに開始することを目的としています。

AWS が製品のアイデアを「ほぼ即座に」テスト可能に

AWS に頼ることの最も重要な利点の 1 つは、簡単に始められることでした。「特にプロトタイピングの段階では、AWS での学習期間は非常に短いものです」と Groeger 氏は言います。「もちろん、本番環境に移行し、すべてを最適化して調整する必要が生じるにつれて、学習曲線は上昇しますが、AWS のサービスは非常にシンプルなので、製品アイデアのテストをほぼ即座に開始できます」。

SI LP が Junelight を市場にリリースした今、Groeger 氏は、Siemens が引き続き Junelight に関する製品とその領域のノウハウに集中できるように、差別化につながらない重労働を AWS に任せることに価値を見出しています。「当社の AWS 使用量の約 80% はマネージドサービスです。つまり、ビジネスの中核ではないインフラストラクチャの運用に集中する必要がないということです」。

詳細については、aws.amazon.com/iot-core を参照してください。

 


Siemens について

Siemens AG は、電化、自動化、デジタル化のグローバルリーダーです。同社は、エネルギー効率の高い省資源技術を生み出す企業でも最大手に数えられます。

AWS の利点

  • Junelight スマートバッテリーのわずか 18 か月での市場投入を支援
  • 迅速なプロトタイピングと設計変更を実現
  • さまざまなサービスを容易かつ簡単に統合
  • 新しいサービスや機能の迅速なリリースをサポート

使用されている AWS のサービス

AWS IoT Core

AWS IoT Core は、コネクテッドデバイスから、クラウドアプリケーションやその他のデバイスに簡単かつ安全に通信するためのマネージドクラウドサービスです。AWS IoT Core では数十億個のデバイスと数兆件のメッセージをサポートしており、それらのメッセージを AWS エンドポイントや他のデバイスに確実かつセキュアに処理してルーティングします。

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Amazon Kinesis

Amazon Kinesis でストリーミングデータをリアルタイムで収集、処理、分析することが簡単になるため、インサイトを適時に取得して新しい情報に迅速に対応できます。Amazon Kinesis は、アプリケーションの要件に最適なツールを柔軟に選択できるだけでなく、あらゆる規模のストリーミングデータをコスト効率良く処理するための主要機能を提供します。

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Amazon API Gateway

フルマネージドサービスの Amazon API Gateway を利用すれば、デベロッパーは規模にかかわらず簡単に API の作成、公開、保守、モニタリング、保護を行えます。AWS マネジメントコンソールで数クリックするだけで、アプリケーションがバックエンドサービス (Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) で実行されるワークロード、AWS Lambda で実行されるコード、ウェブアプリケーション、リアルタイムのコミュニケーションアプリケーションなど) からデータ、ビジネスロジック、機能にアクセスするための「玄関」として機能する REST API および WebSocket API を作成できます。

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Amazon Cognito

Amazon Cognito を使用すれば、ウェブアプリケーションおよびモバイルアプリケーションに、ユーザーのサインアップ/サインインおよびアクセスコントロールの機能を、すばやく簡単に追加できます。Amazon Cognito は、数百万のユーザーにスケールし、Facebook、Google、Amazon などのソーシャル ID プロバイダー、および SAML 2.0 によるエンタープライズ ID プロバイダーを使用したサインインをサポートします。

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