お客様事例/レンタルサービス

2023 年
株式会社 SS マーケット

SS マーケット、パソコンレンタル事業のデータ分析基盤をエンジニア 1 人でわずか 4 か月で構築

4 か月

データ分析基盤の開発期間

1 名

開発者数

出荷量、工程状況の可視化

概要

パソコンを中心とした IT 機材のレンタルサービスを展開する株式会社 SSマーケット。コロナ禍でパソコンレンタルの需要が急増する中、業務システムが分散しているために出荷台数を一元的に確認がしづらいという課題を抱えていました。そこでアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用し、出荷量、売上状況等を可視化する基盤を構築しました。データ分析基盤は 1 名のエンジニアが自力で学習しながら、わずか 4 か月で構築して運用を開始しています。

株式会社 SS マーケット

ビジネスの課題 | コロナ禍で事業が急拡大、属人的な運用でトータル出荷量の把握が困難に

高校時代を同じラグビー部で過ごした社長と専務の 2 人が、地元の東京・八王子で「おもしろく、やる。」をスローガンに掲げ 2012 年に設立した SS マーケット。「当時、不動産業界にいた私と、中古パソコン業界にいた専務がアイデアを出し合う中で、パソコンのレンタルに着目しました」と語るのは、代表取締役の星山常進氏です。

とはいえ、経営は初めての 2 人。当初は仕入れ方法もわからず、東京・秋葉原の電気街で中古パソコンを買ってきてはレンタルに回す日々でした。しかし、事業を進める中で業者から仕入れることを学び、取引業者と顧客を増やしていきます。徐々にレンタル事業が軌道に乗る中、2015 年から 2017年にかけて新規事業を立ち上げ、IT 運用管理サービスやドローンレンタルサービスなどを始めました。

事業拡大の転機となったのはコロナ禍でした。リモートワークの拡大で企業のパソコン需要が急増する一方、大手のレンタル会社や工場は緊急事態宣言下で休業を余儀なくされていました。そこを柔軟な対応でカバーしたのが SS マーケットでした。

「コロナ禍前までに取引業者の数を増やし、在庫を確保しておいたことが功を奏しました。結果として、年間 5 億程度だった売上が年 10 億のペースで伸び続け、25 人だった従業員数も 3 年間で 150 人まで増えました」(星山氏)

一方、業務を支える販売・在庫管理、会計などのシステムは、必要に応じて増強を重ねてきたものの整備が遅れがちでした。こうした状況下において中途入社したのが、業務改善室の金泰源氏です。元フリーランスエンジニアで、「会社の理念やベンチャーの気風に憧れて入社した」という金氏は、同社の倉庫業務や営業業務を把握していく中で、データ活用が属人化されていることに着目し、改善が必要と判断しました。

「当時、一番遅れていたのが倉庫部門です。当日出荷すべき台数は案件単位で把握しているものの、トータルの出荷量が可視化されていませんでした。実は何百台もの大量出荷を予定していることが現場で当日判明し、急いで対応するということもありました。これまではマンパワーで何とか対応できてもいずれは限界が来ると思い、データ分析基盤の導入を提案しました」(金氏)

提案を受けた星山氏も即座に判断。「さらなる成長を目指すためにもデータを集約し、数値に基づいて業務を行うことが必要とゴーサインを出しました」と語ります。

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Amazon QuickSight などの導入により、マネジメント層をはじめ、倉庫部門や営業部門など現場のメンバーも、データをチェックしてから動くデータドリブン体質へ進化しました”

星山 常進 氏
株式会社 SS マーケット 代表取締役

ソリューション | エンジニア 1 人でデータ分析基盤を わずか 4 か月で構築

早速検討を開始した金氏は、開発スピードを優先してクラウド環境上に自分自身で構築することを決断し、AWS の採用を決めました。

「クラウドの開発経験が初めてでしたので、検索した時の情報量が最も多い AWS に決めました。開発時には調べる作業が大量にあるため、情報は多いに越したことはありません。すでに社内の別部門にて AWS アカウントを持っていたこともきっかけとなりました」(金氏)

その後、2022 年 7 月にアカウントを正式契約して本格的に開発に着手。4 か月後の 11 月にはデータ分析基盤をリリースしました。金氏は、AWS マンガ(なな転び八起の AWS 開発日記)や AWS の関連書籍を読み解き、AWS のハンズオンを利用しながらクラウドの知識を吸収。AWS の無料相談会ではアーキテクチャに関するアドバイスを受け、有償の AWS サポートプランも使いながら、自力で構築を進めていきました。

「無料の相談会では、散在しているデータを集約して可視化するまでの構成を何案か提示いただきました。無料の相談会で、ここまで親身になって対応いただけるとは思いませんでした。AWS サポートでも、メール、チャット、電話を使ってあらゆる質問、確認をしました」(金氏)

AWS 上に構築したデータ分析基盤は、用途にあわせて 3 つの連携方式を採用しています。出荷や契約情報などがあるメインの基幹システムのデータは、時次・日次の定期で Amazon Simple Storage Service (Amazon S3)へ取り込み、タスク管理などの各種 SaaS は Amazon API Gateway を介して随時取り込みます。本社や支店で利用している Excel データは、月次・年次に手動でデータレイクに取り込んでいます。

加工済みのデータは Amazon Redshift(DWH)へ転送し、ユーザーは Amazon QuickSight(BI ツール)でデータにアクセスします。ダッシュボードはサンプルとして出荷量(倉庫)、売上達成状況(営業)、タスク消化状況などを作成。現場でも一部の担当者が業務にあわせたダッシュボードを作成し、現在は全体で約 40 種類が活用されています。

アーキテクチャ

導入効果 | 業務の可視化により、データに基づく効率化が実現

データ分析基盤の構築により同社が得られた一番の効果は、倉庫部門や営業部門などの現場がデータを見ながら業務ができるようになったことです。倉庫部門では、物流センター内に大型ディスプレイを設置して、日々の出荷量とキッティング作業などの工程状況を、現場で働く社員全員が見られるようにしています。営業部門には日々の売上達成状況が見られるダッシュボードを提供。管理者レベルの担当者が確認するほか、朝礼などで全社にシェアして従業員全体のモチベーションアップに活用しています。その他、レンタル機器の返却時に発生する欠品対応などの付帯作業のタスクの消化状況も担当者に配信しています。

「倉庫部門の社員からは、工程状況が見られるようになって助かったという声が寄せられています。営業部門の社員からも、これまで毎日手作業で行っていた売上の報告書を作成する手間から解放されたと感謝されました。付帯作業のタスクも、これまでは営業部門と倉庫部門の連携が必要なために、進まないことが多かったのですが、これらを可視化したことで促進できました」(金氏)

経営面での効果測定はこれからになるものの、社員の中に業務でデータを活用するという意識や息吹が芽生え始めたことが大きいといいます。

「Amazon QuickSight などの導入により、マネジメント層をはじめ、倉庫部門や営業部門など現場のメンバーも、データをチェックしてから動くデータドリブン体質へ進化しました」(星山氏)

今後は、会計関連の請求データやマーケティング部門のデータなど、データ分析基盤と連携するシステムを増やし、さらなるデータの集約と業務の可視化を進めていく予定です。将来的には、データ活用のレベルを一段階高めて、AI や機械学習などのサービスを活用した需要予測や、顧客ごとに個別化したサービスの提供、価格の最適化なども検討しています。さらには、倉庫業務において IoT 技術を活用した DX を推進し、在庫管理の効率化、生産性の向上、入出庫の自動化などの実現を目指していく考えです。

「現在は目の前の課題解決で手一杯ですが、5 年以内に年間売上 100 億円を実現するためにはパソコンレンタルだけでなく、さまざまな事業にチャレンジしていく必要があります。そのためにも IT 環境の整備を、全社をあげて取り組んでいきます」(星山氏)

企業概要 : 株式会社 SS マーケット

「おもしろく、やる。」を理念に 2012 年に設立。1 台から大量台数まで幅広く利用できる法人向けパソコンレンタルと、個人での利用に特化した個人向けパソコンレンタルを主力に事業を展開。その他、IT システムの運用に関係する広範囲な業務をトータルサポートするアウトソーシングサービス「LCM サービス」と、ドローンの提供からパイロットの派遣、国土交通省への飛行申請を代行する「ドローンレンタル」の事業も手がける。

星山 常進 氏

星山 常進 氏

金 泰源 氏

金 泰源 氏

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