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IoT@Loft #21 モビリティでのIoT活用
こんにちは。プロトタイピング ソリューション アーキテクトの市川です。
2021/8/18に開催されたIoT@Loftの21回目である、「モビリティでのIoT活用」の紹介をしたいと思います。
IoT@Loft とは ?
IoT 関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのためのイベントです。IoT の分野は、「総合格闘技」と呼ばれるほど、必要な技術分野が非常に多岐に渡ること、ビジネスモデルが複雑なケースが多く、全体を理解することは難しいと言われています。その結果、実証実験 (Proof of Concept : PoC) から商品への導入が進まないケースや、PoC でさえ十分に実現できていないケースも多々あります。
IoT@Loft は、そういった IoT 特有の課題と向き合い、情報共有・意見交換を行う場として、参加者の事業や製品開発を成功に近づけることができれば幸いです。この勉強会では、膨大な IoT 関連の情報の見通しを良くするために、各回ごとにテーマを定め、それに沿った形で登壇者に事例や技術のご紹介を頂きます。テーマは、インダストリー、ソリューション、テクノロジー、開発フェーズなどを軸に決めていきます。
IoT@Loftについて詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
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モビリティでのIoT活用
近年、発売される自動車では最初からネットワークに接続する機能を持っているものがあることに加え、自動車にとどまらず、レンタル自転車、電動キックボードなど、小型のモビリティもネットワークに接続されています。また、アフターマーケットで発売されるようなドライブレコーダーもネットワークに接続して利用するものも登場しています。今回のIoT@Loftでは、そのようなIoT化を進めている会社様にに登壇していただき、AWSをどのように活用されているのか、ハードウエアの課題をどのように解決してきたかについて紹介していただきました。
各セッションの紹介
ここからは各セッションについての簡単なサマリを紹介します。
MaaS アプリでのサーバーレスな位置情報処理システムの開発
MONET Technologies 株式会社
太田 氏
MONET Technologies 様ではMasS事業を提供していますが、その中のオンデマンドバス配車で利用されているAWS IoT Coreを使った位置情報のシステムについてお話をいただきました。このサービスでは、ユーザーがMONETアプリを使って予約リクエストをすると、運行スケジュールに合わせていつまでにピックアップポイントに行けば、バスに乗れるという機能を提供しています。このシステムは今後の展開も考えられており、1)柔軟な拡張性、2)スピーディーな開発、が必要と考えたことから、AWS IoT Coreを採用されたとのことでした。ポイントとしては、入力(スマフォアプリ、自動車)と出力(クラウドサイドの処理)の部分での拡張性やシステムの機能に合わせたアーキテクチャが柔軟に作れるという点となっています。
MONET Technologies 様はAWS Summit Online 2020にも登壇いただいており、その登壇の際のセッションのスライドも公開されていますので、興味がある方はぜひご覧ください。
Q&A
Q. ドライバーアプリの車両の位置データはどれくらいの頻度で送信するのでしょうか?LTEを利用すると結構データ転送量がありそうだなと思いました。
A. 2秒ごとに情報を送っています。走行速度に応じて接近通知のために特定の範囲で必要な回数だけ位置情報を取得できるか検証した所、2秒がニーズを満たせると判断したので、そのようにしています。データ転送量に関しても1ヶ月で多くて数GB程度の範囲になります。
Q. 到着判定処理に必要なデータはAPIサーバーから直接取得できるものなのかと思ったのですが、Amazon DynamoDBをキャッシュに使っている理由はどういったものなのでしょうか?
A. Amazon DynamoDBで十分要件を満たせたというのが理由になります。マネージメントコンソール上でデータを見ることができるのも良い点です。Amazon ElastiCacheも候補に上がると思いますが、今回の用件ではAmazon DynamoDBで足りました。
Q. エッジ側で到着判定をするアーキテクチャは検討しなかったのでしょうか?
A. 今後複数端末をつなげていく想定かつ内部にロジックを組み込めない位置情報専用端末も検討しているためバックエンドで処理しています。
Q. シミュレータで利用する車両の位置データはどのように用意していますか?
A. 予約に従って車両の移動するポイントの開始位置と終了位置を決めて、経路検索で得られたルートを元にした座標を送信しています。
IoT Coreの活用によるデータ連携アーキテクチャの実現
パナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社
今田 氏
小林 氏
自動車の保険会社でドライブレコーダーを活用したサービスを提供しているのですが、その中でドライブレコーダーとデータを受け付けるクラウドのサービスを開発した時の経験について話をいただきました。数十万台繋がるサービスとなるため、高可用性が求められており、AWS IoT Coreやマネージドサービスを組み合わせたアーキテクチャとなっています。セキュアな接続を実現する為にクライアント証明書を埋め込む必要があるが、対象となるデバイス数が大量となる為、Fleet Provisioningを利用した個別の証明書の発行をする仕組みを利用することで、運用の負荷を減らすことができたとのことです。ドライブレコーダーからは、動画のような大きなサイズのデータも送信する必要がありました。テレメトリーのようなデータはAWS IoT Core経由で送り、大きなサイズのデータはS3の署名付きURLを取得する仕組みを作成し、直接S3に書き込む方式を採用しているとのことです。
このセッションいついてもっと詳しく知りたい場合は、資料を公開していただきましたので、ぜひご覧ください。
Q&A
Q. ドラレコの故障等の監視等はどのように行っていますか?
A. 本発表では説明の都合上省略しましたが、ネットワークエラー以外の故障はAWSでデータを受信します。一時的なネットワークエラーもネットワークが復旧したタイミングでデータを受信します。
Q. 5分毎と決めた理由はありますか?
A. データの性質とトラフィック総量等を考慮した結果となります。
Q. 動画データ通信の際に、通信量削減、負荷低減のために動画を軽量化する処理など、エッジ側で工夫はされてますか?
A. データ圧縮(コーデック)や必要最低限でのデータ転送としています。
Q. 可用性はどの程度担保されていますか?マルチリージョン構成で作成されましたか?フェイルオーバー等はどのようにされていますか?
A. 基本的にマネージドサービスや要所の冗長化等により、可用性を確保する構成としております。
Q. 署名付きURLの返却以外に下りの通信はありますか?もしくは用いる予定はありますでしょうか?
A. ビジネスロジックまで完了したことを通知するために、AWS Lambdaまでメッセージを受け取ると、AWS IoT Coreを通してデバイス側に受信通知を送っています。また、契約状況によってドラレコ側の動きを変えるために契約情報をドラレコに連携してます。
Q. ユーザーのドラレコ動画を管理/保存する際に、プライバシーやセキュリティ観点で気を付けている点はございますでしょうか。
A. 専用線でのデータ転送等、第三者がアクセスできない仕組みにしています。また動画の送信には、署名付きURLを利用して動画データを送信しております。
Q. AWS IoT CoreのVPC エンドポイントが出てきましたが、今後対応する予定はありますでしょうか?
A. 将来的なシステム拡張の際に検討予定です。
シェアサイクルサービスの概要および新たなIoTデバイスの活用について ~シェアリング用新アタッチメントローンチに向けた取り組み~
株式会社 NTT ドコモ
藤井 氏
濱本 氏
最後のセッションは、シェアサイクルで利用しているデバイスについてのお話をいただきました(AWS事例ページ)。株式会社ドコモ・バイクシェア社のシェアサイクルのサービスは2011年から開始しており、年々利用回数が増えてきておりおります。今後はシェアサイクルだけではなく、その他の小型モビリティーでの活用を考えられており、新しくアタッチメント(通信モジュール、GPS、認証などの機能を備えたデバイス)を開発してローンチしたとのことです。今までの利用者のフィードバックにより、デザインも大きく刷新され、初めて利用する方でもわかりやすい作りになりました。それ以外にも、耐久性の向上や、低消費電力化、自転車以外のハードへの取り付けを想定したものとなっているとのことです。このIoTデバイスの開発では、数回の試作や実機での検証、さらに試作を経て、量産モデルが作られたとのことです。期間としては3年近く要しており、IoTデバイスの開発の大変さがよくわかるセッションとなっていました。
このセッションいついてもっと詳しく知りたい場合は、資料を公開していただきましたので、ぜひご覧ください。
株式会社ドコモ・バイクシェア 様はAWS Summit Online 2020に登壇いただいており、その登壇の際のセッションのスライドも公開されていますので、興味がある方はぜひご覧ください。
Q&A
Q. 返却するポートはユーザーが自由に選べるわけですが、ポートごとの利用数などを分析して、ポートに配置しておく自転車の数の最適化などは行なっているのでしょうか?
A. 現状でもリアルタイムで自転車台数を監視しており、車両不足/超過のポートへの再配置を行っております。今後は一層の効率化を目指しAIを活用した再配置システムの運用に向けて準備を進めております。
Q. 経験のなかったハードの開発を始めるにあたって、どのように技術キャッチアップなどをされましたか?
A. 社外も含め、各ジャンルのエキスパートからの協力を仰ぎました。メカ・エレキ・ソフトの各分野に加え、今回はUI設計に関しても工業デザイナーの知見や協力を得ながら進めました。
Q. バッテリーの充電はどのような運用にしているのでしょうか?ステーションでの充電は難しいのでしょうか?
A. ごく一部の試験ポートを除きポートでは給電機能を有しておらずポート設備での充電を行うことはできません。自転車の再配置時にスタッフがバッテリーの交換を行っております。またエリアにより再配置とは別にバッテリーの交換のみ行う体制も組んでおり電池残量の適正化に努めております。
Q. 新システムを設計されるにあたり、今後台数が増加する事を見越した、設計上工夫された点はありますか?
A. 新型アタッチメントは、ドコモ・バイクシェアがサービス提供するシェアサイクルへの搭載のほか、今後拡大が想定されるマイクロモビリティなどの自転車以外のモビリティへの搭載も想定して、設計・開発を行いました。例えば、アタッチメントとモビリティの間のIF仕様や物理的な接続方法を汎用的な設計にする等の工夫をしています。
Q. 事故など起きたらどんな対応されるのですか?保険等あるのですか?
A. ご利用者様向けの保険を付帯しております。
ご参考)https://docomo-cycle.jp/about ページ下部に補償内容を記載しております。
著者
市川 純
プロトタイピングソリューションアーキテクト
AWS では IoT に関連するプロトタイピングを支援する、プロトタイピング ソリューション アーキテクトとして、お客様の IoT 関連案件を支援しています。