Amazon Web Services ブログ
AWS を活用して持続可能な水管理のためのデータの力を解き放つ
このブログは 2024 年 11 月 9 日に Ganesh Shenoy によって執筆された内容を日本語化したものです。原文はこちらを参照して下さい。
イントロダクション
水の不足は、広範囲に及ぶ影響を伴う緊急のグローバルな課題です。人口の増加、気候変動の影響、そして都市化の進行により、多くの地域で淡水資源への需要が供給を上回り続けています。効率的な水管理は、長期的な持続可能性とレジリエンスにとって極めて重要です。
水効率の重要性
水は、エネルギー生産、農業から製造業、家庭での利用に至るまで、現代社会の事実上あらゆる側面を支える重要な資源です。しかし、水の使用効率が悪いと、次のような重大な経済的および環境的コストにつながる可能性があります。
- 水供給の逼迫と水不足のリスク
- 水を大量に消費する産業の運営費の増加
- 水の処理と配水のためのエネルギー消費量の増加
- 生態系の劣化と生物多様性の損失
- 干ばつと気候変動の影響の深刻化
水の使用量を最適化し、効率化対策を実施することで、組織は水の使用量を削減し、コストを削減し、環境管理に貢献できます。
水を大量に使用するインダストリーにフォーカスする
特定のインダストリー、例えば発電、石油・ガス抽出、公益事業の運営などは、特に水を大量に使用します。例えば、熱電発電所は冷却システムに膨大な量の水を必要とします。2020 年の米国では、電力セクターは 47.5 兆ガロンの水を使用しました。同様に、石油・ガス産業の採掘で岩盤を破砕する手法でも、大量の水が必要です。米国で最も生産性の高い油田の 1 つであるパーミアン盆地は、この傾向を示しています。そこでのフラッキング用の水使用量は、2011 年の 1 つの井戸あたり約 120 万ガロンから 2016 年には1井戸あたり約 1,100 万ガロンに増加しました。これらのセクターで水使用効率を改善することで、大きな経済的および環境的利益を得ることができます。
水使用効率に関する AWS ガイダンスの紹介
組織の水使用効率化の取り組みを支援するため、Amazon Web Services (AWS) は、クラウドベースのテクノロジーを使用して水使用量データを収集、監視、最適化するための包括的なガイダンスを作成しました。このガイダンスは以下の詳細なフレームワークを提供します。
- インダストリー活動や水道事業において、IoT デバイスやゲートウェイを使用して水使用量のテレメトリデータを収集します。
- AWS IoT SiteWise または AWS IoT Core を使用してデータを取り込み、Amazon Timestream や Amazon S3などのホットおよびコールドデータストアに生のテレメトリデータを保存します。
- AWS Lambda や AWS Glue などのサーバーレスサービスを使用してデータを処理および変換します。
- 可視化とレポート用に最適化されたデータストアに処理済みデータを保存します。
- 水の使用量と効率を監視するためのリアルタイムダッシュボードとカスタムアプリケーションを構築します。
- 予測や異常検出などの高度な分析を可能にし、水の消費を最適化し、潜在的な問題を特定します。
- 積極的な水管理のための通知とアラートを設定します。
AWS のデータ管理、分析、および機械学習 (ML) 機能の力を活用することで、水を多用するインダストリーは以下のような利点を引き出すことができます。
- 運用コストの削減 : 水の使用を最適化することで、企業は水の調達、処理、廃棄に関連する費用を最小限に抑え、大幅なコスト削減につながります。
- 環境の持続可能性の向上 : 効率的な水管理は、業界の水のフットプリントを削減し、より持続可能な未来に貢献し、水不足のリスクを軽減します。
- 規制遵守の改善 : 環境規制の増加に伴い、このガイダンスは企業が水管理基準を遵守し、規制当局に透明性を提供することを支援します。
- データドリブン型意思決定の利用 : このガイダンスは、企業が予測や予測モデリングなどの高度な分析の力を活用し、水の使用と最適化に関する情報に基づいたデータドリブン型の決定を下せるようにします。
AWS の水使用効率ガイダンスは、発電、石油・ガス抽出、公益事業運営などの水を多用する産業が持続可能な水管理の実践を実施するためのロードマップを提供しています。
まとめ
効率的な水の使用は、長期的な持続可能性、コスト削減、環境管理にとって極めて重要です。AWS の水使用効率ガイダンスは、組織がクラウドコンピューティングとデータドリブン型の技術の力を活用して、水管理の実践を最適化するのに役立ちます。
次のリンクにアクセスして、AWS Guidance for Water Use Efficiency をご覧ください。
参考情報
翻訳はソリューションアーキテクトの Yoshinori Sawada が担当しました。