IoT@Loft ってどんなイベント ?
Author : 三平 悠磨
はじめまして、ソリューションアーキテクトの三平です。
この記事では、IoT@Loft という AWS が主催するデベロッパー向けイベントの概要や、過去の開催会のダイジェストをご紹介いたします。
この記事を読んで IoT に興味を持たれた方や IoT で解決したい課題をお持ちの方は、今後の IoT@Loft にご参加いただき、IoT に取り組むデベロッパーや AWS の IoT スペシャリストからの情報を学んでいただくことで、皆様の IoT プロジェクトを成功へ近づけていただければと思っております!
AWS Loft 現地で開催した際の雰囲気はこんな感じです!
IoT@Loft とは
IoT@Loft は、AWS が主催する、IoT 関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのためのイベントです。2019 年 6 月に第 1 回を開催してから (ほぼ) 毎月開催しており、次回で記念すべき第 10 回を迎えます。
IoT の分野は「総合格闘技」と呼ばれるほど、必要な技術分野が非常に多岐に渡るうえ、ビジネスモデルが複雑なケースが多く、全体を理解することは難しいと言われています。その結果、実証実験 (Proof of Concept : PoC) から製品への導入が進まないケースや、 PoC でさえ十分に実現できていないケースも多々あります。
IoT@Loft は、そういった IoT 特有の課題と向き合い、情報共有・意見交換を行う場として、参加者の事業や製品開発を成功に近づけることを支援しています。
この勉強会では、膨大な IoT 関連の情報の見通しを良くするために、各回でテーマを定め、それに沿った形で登壇者に事例や技術のご紹介を頂きます。テーマは、インダストリー、ソリューション、テクノロジー、開発フェーズなどを軸に、参加者の皆様のご要望を踏まえながら決めております。テーマのご要望については、Twitter #IoTLoft や参加時のアンケートへご記入いただくか、もしくは懇親会などの際に AWS のメンバーへお伝えいただいたものを、今後のテーマ決めの参考とさせていただいています。
過去の開催会のダイジェスト
IoT@Loft の概要について理解していただいたところで、続いて、過去の IoT@Loft でのテーマや登壇のダイジェストをご紹介したいと思います。また、登壇資料やレポート記事へのリンクもありますので、興味のある登壇については是非深掘りしてみてください。
IoT@Loft は随時アップデートしており、第 2 回以降はゲストスピーカーによるご登壇のスライドが公開されていたり、第 7 回以降は AWS メンバーによるレポート記事が書かれていたりしますので、都合が悪くて参加できなかった場合にも後からスライドやレポート記事を読んで学んでいただくことが可能です。
また、前回の第 9 回は初のオンライン開催となり、今までは Loft 現地へ足を運んでの参加が難しかった関東圏以外のお客様にも、気軽にご参加いただけるようになりました。今後も皆様からのフィードバックを取り入れながら、より良い方法で開催することを目指しております。
#1 実証実験(PoC)から抜け出せ!商品化にむけた開発のすすめ方
記念すべき第 1 回は、IoT における PoC から商品化への課題とそれを乗り越えるための開発の進め方がテーマでした。
ソニー様からは、MESH という IoT ブロックとその使い方、事例などをご紹介いただきました。アットマークテクノ様からは、Degu プロジェクトについてその特徴や Degu を用いて試作から量産までを行う方法をご紹介いただきました。エヌビディア様からは、Jetson やその活用事例、AI による課題解決方法についてお話いただきました。エスト・ルージュ様からは、AWS IoT を利用したソリューションやそれらを短期間で開発した方法についてご説明いただきました。また、AWS からは IoT のユースケースや IoT と機械学習を組み合わせた課題解決方法についてご説明しました。(資料)
第 2 回 : スマート工場(IIoT)に向けた課題と取り組み 〜見える化、予知保全、品質管理〜
第 2 回はスマートファクトリーをテーマに、工場の IoT 化の取り組みを扱いました。
ラピスセミコンダクタ様からは、Lazurite プラットフォームによる工場の見える化の方法や導入事例についてご紹介いただきました(資料)。i Smart Technologies 様からは、安価なセンサーを用いてアナログな工場をデジタル化した事例についてお話いただきました (資料)。ソニー様からは工場向けの IoT&ML プラットフォームの開発やその中で遭遇した様々なトラブルとそこから得られた Tips についてご紹介いただきました (資料)。アクロクエストテクノロジー様からは工場の生産ラインや設備におけるデータ分析について課題や注意点についてご説明いただきました (資料)。また、AWS よりスマート工場化に向けた AWS サービスの活用方法を紹介しました (資料)。
第 3 回 : IoT スタートアップ
第 3 回はスタートアップをテーマに、IoT のスタートアップにおけるプロダクト開発について話していただきました。
チカク様からはまごチャンネルというサービスでの AWS の活用方法や開発中に遭遇した問題についてお話いただきました (資料)。KDDI 様からは、KDDI DIGITAL GATE という開発拠点でのデザイン思考やアジャイル開発についてご紹介いただきました。ウミトロン様からは、養殖向けの自動エサやり機における AWS IoT の活用方法についてご説明いただきました (資料)。BCG Digital Ventures 様からは資源運輸線を対象にした IoT サービスを開発するための現場での取り組みについてご紹介いただきました (資料)。また、AWS より IoT サービスのご紹介やスタートアップを支援する取り組みについて説明いたしました (資料)。
第 4 回 : IoT のプロダクト開発 (セキュリティ、デバイス管理、量産化…)
第 4 回は IoT のプロダクト開発をテーマに、IoT 製品におけるセキュリティやデバイス管理などの課題を取り上げました。
スマートロックを開発されている Qrio 様からは生産工場における秘匿情報の取り扱いやモジュール選定における課題やノウハウをご紹介いただきました (資料)。DMM.com 様からは、ハードウェア量産化における事業の設計についてお話いただきました。LIXIL 様からは、スマートエクステリアの IoT システムのアーキテクチャやプロダクトレディにするために必要な開発手順についてご説明いただきました (資料)。AWS からは、IoT 製品の量産や量産後の運用を効率化させるための AWS サービスの使い方について紹介しました (資料)。
第 5 回 : クラウドとロボティクス、オープンソース活用による次世代ロボットの可能性
第 5 回はロボティクスをテーマに、ロボット開発におけるクラウド活用の取り組みをご紹介いただきました。
ネクスコム・ジャパン様からは NexCOBOT のロボット製品やロボット向けのコントローラ、AWS RoboMaker との接続方法などについてご紹介いただきました (資料)。ソニー様からは、aibo のハードウェアやソフトウェア構成、ROS の改善の取り組みなどをご説明いただきました (資料)。本田技術研究所様からは、Honda RaaS Platform やデモンストレーション、AWS と組み合わせたアプリケーション開発方法についてお話いただきました (資料)。アプトポッド様からは遠隔モニタリングのためのソリューションや RoboMaker との連携の取り組みについてご紹介いただきました (資料)。また、AWS からはアマゾンにおけるロボティクスの取り組みや AWS RoboMaker を紹介しました (資料)。
第 6 回 : re:Invent 2019 IoT Recap
第 6 回は、2019 年 12 月にラスベガスにて開催された、re:invent 2019 で発表された IoT サービスの新機能やアップデートや現地で展示されていたデモについて、re:Invent に参加した AWS メンバーより紹介しました (資料1、資料2)。
第 7 回 : オートモーティブ IoT
第 7 回のオートモーティブ IoT 回では、MaaS や自動運転などに取り組まれているエンジニアの方々に取り組みについてご紹介いただきました。
組込ソリューションプロバイダーのルネサスエレクトロニクス株式会社様からは、自動運転時代に向けてクラウドサービスから車両制御までエンドツーエンドのトータルソリューションを提供するコンセプトとコネクテッドカープラットフォームについてご紹介いただきました (資料)。株式会社ティアフォー様には自動運転を利用した配車サービスを展開するために必要な車両と Fleet Management System (FMS) 間の通信における AWS サービスの活用事例をご紹介いただきました (資料)。また、オートモーティブ分野における AWS サービスの活用方法について、AWS よりご紹介しました (資料1、資料2)。
また、この回では初の試みとして、AWS Loft と同じフロアにある Digital Innovation Lab にて、AWS のメンバーが開発し re:Invent の Builders Fair や CES などのイベントで展示したデモの展示を行いました。Digital Innovation Lab は AWS を活用したソリューションのプロトタイピングを行うスペースで、IoT や ML などの最新技術を駆使したデモが多数展示されており、様々なアイデアを生み出していただく場としても活用されています。
Digital Innovation Lab でのデモ展示の様子
第 8 回 : スマートホームのセキュリティ脅威と対策
第 8 回のテーマはスマートホームのセキュリティ脅威と対策でした。
Microchip Technology Japan 様には Microchip Trust Platform を利用し、AWS IoT Core にセキュアに接続する方法についてご紹介していただきました (資料)。昨今の何でもつながる IoT だからこそ、すぐにセキュリティの脅威にさらされるリスクがあることからシリコンレベルからどのように保護するかを考慮する必要があると説明して頂きました。ビットキー様にはスタートアップにおけるスマートロック製品開発において苦労した点に関するお話と、AWS のフルマネージドサービスを活用されたお話をして頂きました (資料)。AWS からは、セキュリティ脅威と対策についてデベロッパーの観点でどのように向き合い、対処していくべきかについて説明いたしました (資料)。
第 9 回 : IoT におけるカメラ・動画の扱い方
ハンズオン 第 1 回 : スマートファクトリー IoT 基盤構築プロトタイピング
IoT@Loft では、LT を中心とした勉強会だけでなく AWS サービスを実際に使ってみるハンズオンも実施しております。第 1 回のハンズオンでは、スマートファクトリー向けの IoT 基盤を構築するハンズオンを行いました。IoT デバイスからのデータ収集、可視化、データレイクへの保存や機械学習連携など、非常に多くの要素が登場するハンズオンとなりました。
ハンズオン 第 2 回 : Amazon FreeRTOS を用いた量産向け IoT マイコンデバイス開発プロトタイピング
ハンズオン第 2 回では、ST マイクロエレクトロニクス様にご協力いただき、マイコンの実機を用いたハンズオンを実施しました (資料)。マイコンを PC に接続し FreeRTOS をインストールしたり、マイコン上のセンサーや LED を制御したりといったハードウェア上での作業を行うため、クラウド完結のハンズオンとは違った難しさや面白さがありました。
さいごに
さて、これまでの IoT@Loft イベントのダイジェストをご紹介しました。皆様の IoT プロジェクトを進める上で参考となる情報はありましたでしょうか ? もしこの記事を読んで IoT や IoT@Loft のイベントにご興味を持った方は、是非次回以降の IoT@Loft でお会いできればと思います !
また、IoT@Loft に関してご意見、ご要望、登壇希望などがございましたら、Twitter のハッシュタグ #IoTLoft で呟いていただければと思います ! 皆様の意見を取り入れて、IoT@Loft をさらに良いイベントにしていけるよう取り組んでまいります。
次回の IoT@Loft は 5/20 (水) に「スマート工場(IIoT)に向けた課題と取り組み 〜見える化、予知保全、品質管理〜 vol.2」というテーマで実施予定です。是非ご参加ください。
筆者紹介
三平 悠磨 (みひら ゆうま)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
IoT スペシャリスト ソリューションアーキテクト
ソフトウェアエンジニアとして会話 AI やロボット開発を経験しました。AWS では IoT スペシャリストソリューションアーキテクトとして、お客様の IoT 関連案件を支援しています。趣味はバンドと作曲で、プログラミングやテクノロジーを駆使して音楽をもっと楽しくしたいと思っています。
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