Amazon Web Services ブログ

IoT@Loft #7 – オートモーティブIoT

こんにちは、AWSソリューションアーキテクトの渡邊 です。1月30日の IoT@Loft 第7回目のテーマは、「オートモーティブIoT」でした。MaaSや自動運転などに取り組まれているエンジニアの方々にその取り組みについてご紹介いただきました。また、オートモーティブ分野におけるAWSサービスの活用方法について、AWSよりご紹介しました。

IoT@Loft とは ?

IoT 関連ビジネスで開発を担当するデベロッパーのためのイベントです。IoT の分野は、「総合格闘技」と呼ばれるほど、必要な技術分野が非常に多岐に渡ること、ビジネスモデルが複雑なケースが多く、全体を理解することは難しいと言われています。その結果、実証実験 (Proof of Concept : PoC) から商品への導入が進まないケースや、PoC でさえ十分に実現できていないケースも多々あります。

IoT@Loft は、そういった IoT 特有の課題と向き合い、情報共有・意見交換を行う場として、参加者の事業や製品開発を成功に近づけることができれば幸いです。この勉強会では、膨大な IoT 関連の情報の見通しを良くするために、各回ごとにテーマを定め、それに沿った形で登壇者に事例や技術のご紹介を頂きます。テーマは、インダストリー、ソリューション、テクノロジー、開発フェーズなどを軸に決めていきます。

LT セッション

ルネサスのコテクテッドカーソリューション

組込ソリューションプロバイダーのルネサスエレクトロニクス株式会社様からは、自動運転時代に向けてクラウドサービスから車両制御までエンドツーエンドのトータルソリューションを提供するコンセプトとコネクテッドカープラットフォームについてご紹介いただきました。
CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric) 時代へのアプローチ課題としてデータの活用が必須だと考え、クラウド側にデータを一方的にあげるだけだったものから、これからはクラウドに集約したデータを利用し判断し車両を制御することが必要であり、R-Carに代表されるハードウェアとルネサス・コネクテッドカー SDKなどのソフトウェアどちらも用意することでエンドユーザーが開発に注力できるとお話されていました。
クラウドサイドは AWS が提供する Connected Vehicle Reference Architecture(CVRA) (https://aws.amazon.com/jp/solutions/aws-connected-vehicle-solution/) を採用し、車両の状況をクラウドで再現することを目指し、CVRA はテンプレートからすぐに展開可能なコネクテッドカーバックエンドのリファレンス実装で、トリップ情報の蓄積、ドライバースコア算出、センサーデータの異常検出、通知などの機能が全てサーバーレス(サーバー管理が不要な抽象度の高いサービス群)で構成されています。デバイスゲートウェイとしての AWS IoT Core、車両内デーモンとしてオフライン対応やエッジ処理に対応する AWS IoT Greengrass がコアコンポーネントとなっており、ビジネスロジックに AWS Lambda、ストリーム収容に Amazon Kinesis Data Streams, データ保存に Amazon DynamoDB, Amazon S3 などが活用されています。

発表資料:https://awsj-iot-loft.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/presentation/7/renesas_20200130.pdf

自動運転サービスとIoTの活用

株式会社ティアフォー様では、Autoware という Linux と Robot Operating System(ROS)をベースとした自動運転用オープンソースソフトウェアの開発を主導されています。本セッションでは 自動運転を利用した配車サービスを展開するために必要な車両とFleet Management System(FMS)間の通信におけるAWSサービスの活用事例をご紹介いただきました。エッジデバイスで動作する AWS IoT GreengrassからデータをAmazon Kinesis Data Stream→AWS Lambdaを利用して車両のIDごと処理を行い、車両の状態に応じてAWS Fargate → Lambda → AWS IoT Greengrassの構成で車両に対して制御をされています。
加えて、車両に搭載されているソフトウェアの更新を遠隔で行いたい場合のOTA (Over The Air)対応にAWS RoboMaker OTAとIoT Jobを利用したOTAの比較についてもお話して頂きました。AutowareはROSをベースとしていることからcolcon pluginを利用できればすぐにAWS RoboMakerでOTAを利用できると説明いただきました。

株式会社ティアフォー様の資料は後日追加予定です。

オートモーティブにおけるAWSの最新活用事例

セッション後半では AWS SAの奥野より自動車業界におけるAWSの最新活用事例をCES2020の展示内容を交えて紹介しました。今、世界の自動車業界が“100年に一度”と言われるほど、急激かつ大きな変革期を迎えています。移動における新たな価値提供が、自動車関連企業やIT系企業の枠にとらわれず、さまざまな業種に波及していて、保険業界に向けたドライバーの運転スコア機能や車両付近の不審行動、事故のイベント検知が行われていたり、AWS Data Exchangeを利用して、他業種にConnected Carのデータを販売する取り組みも行われています。
そんな中で自動車業界に置いてなぜクラウドを使うのかというと既存の車両開発領域と比較して短い周期で小さく始め改善していく考え方が有効であること。機械学習や量子コンピューティングなど最新の技術を活用することができること。マネージド・サービスを利用してビジネスのコア領域に集中することができることを紹介しました。
実際の活用例としてLevel4の自動運転によるロボタクシーサービスを提供してるWeRide様で自動運転用の機械学習モデルの開発パイプラインをAWSへ移行され何週間もかかっていた機械学習のモデル作成を数時間に短縮した例、単眼カメラでの衝突事故防止・軽減を実現する高度運転支援システムを提供するMobileye様ではAmazon Sagemakerを使用してセグメンテーションや、物体認識のモデルを作成されている例を紹介しました。
その他にもAmazonエコシステムと連携した事例や、CASE領域における様々なAWSの活用事例が存在し、自動車業界のイノベーションにAWSやAmazonが提供するサービスを利用いただけたケースの最新情報が次のページでご参照できます。

Automotive最新情報:https://aws.amazon.com/jp/automotive/
発表資料:https://www.slideshare.net/AmazonWebServicesJapan/20200130-iotloftautomotiveusecase

オートモーティブ開発でのAWS IoTの使い所

AWSでIoTを担当しているプロトタイピングSAの市川よりオートモーティブ開発でのAWS IoTの使い所について紹介しました。オートモーティブのキーとなるアプリケーションとして、車の自動ブレーキ機能や、ドライバーの運転アシスト機能を代表とした先進運転支援システムや故障予知のソリューション、GPS機能を備えた車載機を搭載して、車両の運行状況を把握するテレマティクスサービスがあります。これらのアプリケーションを実現するための要素として、大きく3点あり、1,車両のデータをクラウドにあげる。2,車両上で何らかの判断を行う。3,車両に対してリモートから指示をするということが必要です。これらの要素全てをAWS IoTで実現することができます。
車両のデータをAWS IoTで実現するアーキテクチャでは、車両に搭載されているシステムにオフライン対応、エッジ処理に対応する AWS IoT Greengrass 、低電力小型エッジデバイスのプログラミング、デプロイ、保護、接続、管理を簡単にするAmazon FreeRTOSを導入してテレマティクスデータをAWS IoT CoreやAmazon Kinesis Firehose配信ストリームに送信することができます。このストリームは、生の車両テレマティクスデータを暗号化してAmazon S3バケットに保存したりDynamoDBのテーブルに追加することができます。車両がネットワークに接続できないときは、Stream Manager for AWS IoT Greengrassを利用してLocalにデータを蓄積してオンラインになったら帯域を決めてAWS IoT AnalyticsやKinesis Data Streamへ簡単に送ったり、時系列データに変換してローカルのシステム内で解析することができると説明しました。
AWS IoTを利用してデータの送受信を行ったり、エッジデバイスで利用できるサービス、ソフトウェアが用意されているのでビジネスにおける価値を生み出す部分にのみ集中することができます。

発表資料:https://www.slideshare.net/AmazonWebServicesJapan/20200130-iotloftautomotiveiot

デモ展示

イベント後半はAWS Loftと同じ階にあるDigital Innovation Labにてデモの展示を行いました。AWSがCESで展示した車両のフリート管理のデモや、re:invent 2019のBuilders Fairで展示した、IoT Eventsを用いて農地の水位管理と水やりの自動化を行うデモなどをお客様に見ていただきました。実際に動いているデモを見ていただいたことでAWS のIoTサービスの動作イメージを掴んで頂けたかと思います。

次回 IoT@Loft

次回のIoT@Loftは2月19日に行われます。第8回目のテーマは、「スマートホームのセキュリティ脅威と対策」です。スマートホームのソリューションにおいて、セキュリティは重要な検討事項の一つです。一方で、対策として「何を、どこまでやればよいか」については様々な観点があり悩ましい問題です。この回では、商品開発を行うエンジニアの方々に発表頂き、実際にどのように商品に落とし込んでいるかについて、事例をお話頂きます。また、AWSからは、クラウド側およびエッジデバイス側での対策方法について、簡単なデモを交えてご説明させて頂きます。以下のサイトでお申し込みが可能です。

IoT@Loft ウェブサイト
https://aws.amazon.com/jp/start-ups/loft/tokyo/iot-loft/

IoT@Loft Connpass
https://iot-loft.connpass.com/

 


著書について

渡邊 翼

AWSのソリューションアーキテクトです。好きなサービスはAWS IoT Coreです。好きな食べ物はプロテインです。

 

 

飯田 起弘

AWS プロトタイピングソリューションアーキテクト
電機メーカーでソフトウェアエンジニアとしてIoT関連の新規事業の立ち上げを経験の後、AWSにてプロトタイピングソリューションアーキテクトとして、IoT関連案件のPoC, 本番導入などの支援に携わる。