わずか数分で WordPress サイトを構築できる「Amazon Lightsail」をグラレコで解説
Author : 安田 茂樹
※ 本連載では、様々な AWS サービスをグラフィックレコーディングで紹介する awsgeek.com を、日本語に翻訳し、図の解説をしていきます。awsgeek.com は Amazon Web Services, Inc. プリンシパル・テクニカル・エバンジェリスト、ジェリー・ハーグローブが運営しているサイトです。
WordPress (Webサイト & ブログ作成ツール) をサーバーにインストールして Web サイトを公開してみたいけど、敷居が高そうだなぁ・・・と思われたことはありませんか ?
AWS が提供する仮想プライベートサーバー (VPS) の Amazon Lightsail を使う事で、数回クリックするだけで、WordPress がインストールされた Web サーバーを起動・公開することができます。Amazon Lightsail は、インフラ部分を AWS が管理する「フルマネージド型サービス」のため、Web サーバーの構築に関する知識は不要で、どなたでもお使いいただけます。
本記事では、Amazon Lightsail を使って WordPress サイトを起動・公開するまでの流れをご紹介します。
AWS マネジメントコンソールから「Amazon Lightsail」サービスページに移動し、「インスタンスを作成する」ボタンをクリックすると、以下の 3 つの項目を選択する画面になります。
- インスタンスロケーション
- インスタンスイメージの選択
a) プラットフォームの選択
b) 設計図の選択 - インスタンスプランの選択
上記の項目について、それぞれ説明します。
1. インスタンスロケーション
インスタンスロケーション では、AWS リージョン (13 のリージョンから選択可能) とアベイラビリティゾーンを選択します。日本から接続される場合は、「東京、ゾーン A (ap-northeast-1a)」などをお選びください。
2. インスタンスイメージの選択
インスタンスイメージの選択 では、2 つの小項目を選択します。
a) プラットフォームの選択 では、「Linux / Unix」または「Microsoft Windows」 を選択します。デフォルトでは「Linux / Unix」が選択されています。
b) 設計図の選択 では、「アプリ + OS」または「OS のみ」を選択します。デフォルトでは「アプリ + OS」が選択され、アプリには WordPress が選択されています。
なお、プラットフォームに「Linux / Unix」を選択した場合、アプリは WordPress / Joomla / Ghost / LAMP / MEAN など 15 のアプリまたはスタックの中から 1 つ選択することができます。
一方、プラットフォームに「Microsoft Windows」 を選択した場合には、アプリは SQL Server 2016 Express のみ選択可能となります。
3. インスタンスプランの選択
月額プランを選択します。デフォルトでは月額 3.50 USD のプランが選択されています。月額プランの料金は、3.50 USD (Linux / Unix の最小構成プラン) 〜 240 USD (Microsoft Windows の最大構成プラン) となっています。月額料金には、メモリ / CPU / ストレージ / 月間データ転送枠が含まれており、オールインワンパッケージとなっているため、料金の予測が立てやすくなっています。
なお、月間データ転送枠を超えた場合の追加料金に関しましては、こちらをご覧ください。
上記 3 つの項目を選択後、「インスタンスの作成」ボタンをクリックすると、数分以内に Web サーバーが起動します。
アプリに WordPress を選択した場合、Lightsail インスタンスに割り当てられたパブリック IP アドレスに Web ブラウザからアクセスすると、WordPress の初期状態のページが表示されます。
なお、Web サーバーの起動後に、オプションで以下の機能を追加することもできます。
- ブロックストレージ
- データベース
- スナップショット
- ネットワーキング
それぞれの項目について説明します。
1. ブロックストレージ
起動した Lightsail インスタンスに追加でディスクをアタッチしたい場合にこのオプションを使用します。1 GB あたり 0.10 USD の月額料金が発生します。最大 16 TB までアタッチ可能です。
Lightsail インスタンスの月額プランに含まれているシステムディスクは、インスタンスが削除されると同時に削除されてしまうため、Lightsail インスタンスのライフサイクルから独立したストレージを使用したい場合に役立ちます。
2. データベース
Lightsail インスタンスとは別に、マネージド型 DB インスタンスを起動し、Lightsail インスタンスから接続することができます。MySQL または PostgreSQL が選択可能です。メモリ容量やストレージ容量、高可用性オプション等により月額料金が異なってくるため、必要に応じてオプションを選択します。
後述するスナップショット (バックアップ) 機能を利用することも可能です。
3. スナップショット
Lightsail インスタンス、マネージド型データベース、ブロックストレージのデータのスナップショット (バックアップ) を作成できます (自動または手動で作成可能)。1 GB あたり 0.05 USD の月額料金が発生します。
スナップショットを作成することで、万が一データが破損した場合に、スナップショットから別のディスクとして復旧することができます。また、Lightsail インスタンスのスナップショットを作成した場合、「Amazon EC2 にエクスポート」ウィザードを使用することで、スナップショットを Amazon EC2 にエクスポートすることができます。将来的に、特定のワークロード (例:機械学習) に特化したインスタンスタイプに移行したい場合などに便利です。
4. ネットワーキング
ロードバランサー / コンテンツ配信ネットワーク (CDN) ディストリビューション / 静的IP (EC2 の Elastic IP に相当) / DNS ゾーンの作成 ができます。
複数の Lightsail インスタンスが起動している場合に、ロードバランサーを作成することで、複数の Lightsail インスタンスに負荷を分散させることができます。ロードバランサーを使用し、負荷分散された WordPress ウェブサイトを作成する方法に関しましては、こちらのチュートリアル をご参照ください。
コンテンツ配信ネットワーク (CDN) ディストリビューションを作成することで、世界中に設置されている「エッジロケーション」と呼ばれるキャッシュサーバーを使い、コンテンツの配信を高速化できます。CDN の基盤には、Amazon CloudFront が使用されています。
なお、Lightsail インスタンスから、Amazon S3 など、その他の AWS リソースに接続したい場合には、「VPC ピア接続 (VPC Peering)」機能を使って接続することが可能です。
また、2020 年 11 月より、Amazon Lightsail コンテナサービスの提供が開始されました。
Lightsail コンテナサービスを使う事で、コンテナ化されたアプリケーションをわずか数クリックでデプロイ、実行、スケールできます。
最後に、全体の図を見てみましょう。
今回は、WordPress サイトの構築が数回のクリックで簡単に実現できる「Amazon Lightsail」の概要についてご紹介しました。
サービスの詳細に関しましては、こちら をご覧ください。
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筆者プロフィール
安田 茂樹
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
テクニカルコンテンツマネージャー
2014 年にアマゾンジャパン合同会社に入社後、デバイス試験部門にて発売前の数多くの Amazon デバイスの試験に携わる。2019 年より現職。
趣味は新しいガジェットを試すこと、旅行、食べ歩き。
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