ハンズオン “作成” のススメ - 前編:ハンズオンは作り手が一番成長できるって本当 ?

2021-05-07
How to be a Developer

Author : 金澤 圭

テクニカルソリューションアーキテクトの金澤 (@ketancho) です。ゴールデンウィークが終わってしまいましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか ? 5 月というと、4 月に立てた目標の高さに目がくらみがちな時期 (実体験) ですが、記事を読んでいただいている方に少しずつでも着実に前に進んでいただける、そんな記事を書いていきたいと思っております。

そんな背景で、今月と来月の 2 回に渡って「ハンズオンを作る側になってみませんか ?」という記事を書いていきたいと思います。「ハンズオン」と書いていますが、ここはアウトプットであれば何でもいいかなとも思っており、皆さまの作りたいコンテンツに読み替えていただいてもいいかもしれません。

まず今回の記事では、なぜこの記事を書いているのかという背景からスタートし、私の実体験、そしてネタ探しの Tips までお伝えできればと思います。その後、来月の記事ではハンズオンを作成する際の、私なりの Tips を紹介できればと考えております。この記事を読んでいただき、来月の記事が出るまでに、ネタを探したりハンズオンの構想を練ったりしていただける方がいれば、著者冥利に尽きます。何か考えていただける方は、その過程を #AWSウェブマガジン タグとともに呟いていただければ嬉しいです。


「教えること」はとてもいい学び

「ラーニングピラミッド」という考え方をご存知でしょうか ? 私の登壇の際によく紹介しているので、もしかしたらご覧になったことがある方もいるかもしれません。こちらの資料は私が昨年 2 月頃に行ったセッション冒頭で使ったものです。

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ラーニングピラミッドは、学習方法と定着率に関する研究から生まれた考え方で、どのような方法で学ぶと頭に定着しやすいかを表したものです。Web で調べると、より細かい定着率が数値で書かれているページもありましたので、よければ調べてみてください。簡単にお伝えすると、受動的に学習するだけでなく、ディスカッションしたり自分でやってみたりすることで、より頭に残りやすくなるぞ ! ということだと私は理解しています。

この話を聞いて、皆さまはどう思われますか ? 実体験としてご理解いただける方も多いのではないかと思います。私も学生時代の経験からこの考え方には賛同で、何か人に教えるときには、なるべく実体験を伴うものにしたいと考えています。(余談ですが、子育てにおいても同じだと思っていて、色々なものに触れさせてあげたいと日々思っています。)

ラーニングピラミッドの絵をよく見ると、最も定着しやすいアクションは「他人に教える」となっています。周りの人に何かを教える過程で実は教え手が一番勉強になっている、という話です。これも実体験として経験されたことがある方も多いのではないでしょうか ?「できる」と「教える」の間にはそれなりのハードルがあり、曖昧な理解のままだと「教える」ことはできません。準備過程でそれをクリアにしていくことで、教え手側の成長にも繋がっているということですね。

「教える」も様々だと思っています。

  • PC 操作のショートカットを同僚に教える
  • AWS のセキュリティグループとアクセスコントロールリストの使い分けを教える

のように、知っているかどうかだけのものもあれば、選択肢があるものや背景によって取りうる選択肢が変わるものがあり、その「考え方」を教えるには自身の理解の深さが問われてきます。これまでの経験からこの「考え方」を伝えるにはハンズオン形式がいいなと思っています。「考え方」を伝えるには、実体験が伴っている方が伝えやすく、ハンズオン形式だと「使う」→「考え方を知る」の流れを作りやすいからです。このあたりの Tips は来月書く内容でも触れたいと思っています。

「ハンズオンを作る」と聞くと、「え、ハードル高い..」と思われる方もいるかもしれません。そんな方は、5 分で済むような小ネタハンズオンで十分ですので、スモールスタートでコンテンツを作り、それを同僚の方に披露してみてください。実体験を伴うので、ハンズオンの後の議論が盛り上がると思います。そして、作り手側もハンズオンの作成過程で成長を実感できるはずです。

長々と書いてきましたが、ここまでの内容をまとめると、ハンズオンは手を動かした人の実体験に繋げられ、作った人自身の勉強にもなる素晴らしいコンテンツだということです。ここまで読んでいただいた方は、きっと「うおー、ハンズオン作りてー !」「これでハンズオン作らない人なんているの ?」「5 月中にハンズオン作ってみるぞ」と思い始めてきたのではないでしょうか ?


私のハンズオン作成歴

先ほど少し触れましたが、私がこれまでハンズオンをどのように作ってきたかを簡単に紹介したいと思います。社会人になった後、初めてハンズオンを作ったのは新卒 2 年目の頃だったと記憶しております。「社内の勉強会をやろう !」とひとつ上の先輩から声をかけていただき、その方は JavaScript 関連の話を、私は AWS やインフラ面の話からスタートした記憶があります。

当時、私は AWS を触り始めたばかりの頃で (私はアプリケーションエンジニアからキャリアをスタートしています)、学んだことをつたない資料に整理し、それを使って同じ部のメンバーに手を動かしてもらうという形で勉強会を開催しました。おそらく当時は「ハンズオン」という言葉すら知らず、もくもく会のような名称だった気がします。忘れました。

途中、声をかけてくれた先輩が転職するというハプニングがあったものの、

  • Amazon VPC、Amazon EC2、Amazon RDS、Elastic Load Balancing を使ったハンズオン (今のスケーラブルハンズオンに近いもの)
  • Python から AWS を操作してみようハンズオン
  • Chef 勉強会

といった内容で社内勉強会を開催していました。

Close-up on discussion. Close-up of people communicating while sitting in circle and gesturing

この活動には色々なお声をいただいたのですが、一番やってよかったと思ったのは、部内で AWS をやっている人、という認識を持ってもらえたことです。AWS 案件にアサインしてもらえたり、とても恐いと思っていた先輩社員から「AWS の構成のレビューしてくれない ?」と声をかけてもらえたりと (その先輩は恐いままでした)、自分がやりたい、あるいはやるべきと思っている技術を近くの人に伝えることで、さらにそれを使う機会に恵まれるという好循環が生まれたと思っています。

これをきっかけに「教える」ことの楽しさが再熱し、自分の中で「教える」ことが自分の強みにしていきたいと考えるようになりました。(誰も興味ないと思いますが「再熱」と書いたのは、私は大学生のときに、教師になるか IT エンジニアになるかを迷うくらいには「教える」ことが好きだったという過去があります。)

その後、お客さんとの勉強会をしたり、サイドワークとしてオンデマンドのハンズオン動画を作ったりということをしてきました。そして、現在はソリューションアーキテクトとして日々お客様とアーキテクティングの話をしつつ、AWS Hands-on for Beginners 企画を通して AWS の使い方を皆さまにお伝えしています。たまたま「勉強会をやろう」と声をかけてもらったことが、今の自分の活動に繋がっていると思っています。この記事を通して、今度はきっかけを作る側になれれば嬉しいです。


何を作ればいいの問題

さて、きっと今、読者の方はやる気に満ち溢れていると思いますので、その熱が冷めないうちに「何を作るか」を考えていきましょう。基本的には皆様が好きな技術をハンズオン化するのがいいと思うのですが、他の人にもやってもらえるかという観点も大切かなと思っています。この記事の最後に、ハンズオンネタを選定する際の私なりの Tips を紹介したいと思います。

個人的なオススメは「よく聞かれること」を題材にするのがいいと思います。

例えば、私の場合はお客様との個別相談会がハンズオンの元ネタになることが多いです。たまに 1 週間で同じような話を 2 度 3 度としていることに気が付くことがあります。これは多くのお客様がそのサービス (あるいは機能) を使いたいと思っているが、現状のドキュメントや解説だけでは理解が追いついていない、ということだと思います。その部分をサポートするハンズオンを作ることで、作って終わりではなく、実際に使ってもらえる需要に沿ったハンズオンにすることができると考えています。

question marks written reminders tickets on yellow vintage paper background

皆さまの場合も同じで、例えば部内で利用している技術やツールについて、周囲のメンバーよく質問されることはないでしょうか ? もしそのような対象があれば、それはコンテンツの種と言えます。その技術を題材にしたコンテンツを作ることで、属人化を避けることにも繋がりますし、周りの人にスキルトランスファーすることで、その分違うことに時間を割くことができるかもしれません。

もうひとつ観点があるとすると、部内、あるいは社内に広めたい技術を取り上げるのがいいかと思います。勉強会などで新しい技術を知り、かつ、みなさまのビジネスにおいて「それを使うべきだ」と思ったものがあったとします。それを使った方がいいかを判断するためには、ご自身だけがその技術を知っているだけ、よりもチームの方も知っており、全員でディスカッションできる方がいいはずです。そのためにも、その技術に関するハンズオンを作り、勉強会を開催するのはどうでしょうか ?「それを使うべきだ」という熱量がある方が、ハンズオン作成のモチベーションが継続するのではないかと思います。

もし、何を題材にするかを迷われた方は AWS Hands-on for Beginners を題材にしていただいて構わないです。例えば、AWS Lambda の入門ハンズオン があるのですが、このシリーズでは Python を使って開発を進めています。しかし、社内で Java を使うことが多いのであれば、同じネタを Java 版でハンズオン化するのはどうでしょうか ? 社内の傾向を取り入れることで、オリジナルなハンズオンにパワーアップさせてもらえれば私も嬉しいです。

また、Hands-on for Beginners シリーズでは、動画を 10 分前後に細かく分けていますので、その一部を切り取るのもおすすめです。AWS の AI/ML サービスを学ぶはじめの一歩的なハンズオン では 5 つのサービスを紹介しています。各サービスは 1 つか 2 つの動画で完結するので、ご興味を持たれたものをひとつピックアップし、そのデータは皆さまの実務に近いサンプルデータに変更していただき、チームでハンズオンをするというのも面白いと思います。

少し宣伝っぽくなってしましましたが、初めてハンズオンを作る場合は、作り手が好きで、周りの方も興味があるものであれば何でもいいかなと思います。ぜひ身近にハンズオンネタがないか見渡してみていただければと思います !


まとめ

以上で、ハンズオンを作る側になりませんか ? 記事の前編を終わりたいと思います。今回は、

  • なぜハンズオンは学び手、作り手ともに学習効果が高いのか
  • ハンズオンを作ってよかったこと
  • ハンズオンのネタ探し

について書きました。次回の記事では作成 Tips を書いていきたいと思いますので、それまで何を作るかを考えておいていただければ幸いです。

春にチームや部署が変わり、新しいことにチャレンジしやすい環境におられる方も多いのではないかと思います。同時に、新しい技術に触れる機会が多い時期でもあるはずです。そう、春はハンズオンを作るのにもってこいな時期なんです。私も新しいものを作っていきたいと思いますので、皆さまもぜひ考えてみてください ! そして私にもそのハンズオンをやらせていただけると嬉しいです😊

それではまた次の記事でお会いしましょう !


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筆者プロフィール

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金澤 圭 (@ketancho)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン株式会社
技術統括本部 ソリューションアーキテクト

サーバーレスが好きなテクニカルソリューションアーキテクト。業種業界問わず、お客様のプロダクト開発をサポートさせていただいています。「AWS Hands-on for Beginners」というオンデマンドで視聴できるハンズオンも企画・推進しており、楽しく学べるコンテンツを日々考えています。好きなサービスは AWS Lambda と AWS Amplify で、好きな休日の過ごし方は娘ふたりと川の字になって昼寝です👧👧

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