Iridium がグローバルリーダーシップの課題に対処する方法

世界で最も革新的な業界の 1 つから得るインサイト

最高情報責任者、Manjula Srirum 氏との対談

グローバル組織でイノベーションを推進する経営幹部が最優先事項としているリーダーシッププラクティスとはどのようなものでしょうか? 間違いを認めること、実験を促進すること、および宇宙業界内で進化し続ける AI と IoT を含めたテクノロジーの環境に関する、Iridium の最高情報責任者、Manjula Sriram 氏と AWS の Enterprise Strategist、Tom Soderstrom との対談に参加しましょう。

AWS のリーダーとの対話ポッドキャストでは、このインタビューの音声バージョンもご利用いただけます。 以下にあるお気に入りのアイコンをクリックしてお聴きください。

リーダーが、あらゆるタイムゾーンにまたがって働く従業員に対して効果的にインスピレーションを与え、最もエキサイティングな新興テクノロジーを取り入れる方法に関する実践的なアドバイスについて学びましょう。

リーダーは自分の間違いを公に認める必要がある

顧客の信頼を育むデジタルエクスペリエンス

Manjula Sriram 氏 (00:10):
まずは、私の最も根本的な理念から始めたいと思います。それは、間違わなければイノベーションはあり得ないということです。イノベーションを実現させるには、人々が間違えることができるようにする必要があります。私が「間違いのカバン」から何かを取り出すとしたら、そこには私が犯した間違いがいくつか入っているでしょう。イノベーションは、人々が間違わなくなった瞬間に止まってしまいます。

Tom Soderstrom:
そのとおりですね。自分の弱さをどのように見せていますか? 例えば、自分の間違いから始めます。たくさんの間違いの中から選ぶことができますからね。そうすることで、他の人も間違ってよいと思えるようになります。

Manjula Sriram 氏:
間違いを犯したことを実際に認めることで、自分の人間的な面を見せるのです。私たちは毎日間違いを犯します。その間違いの痛みに立ち向かう必要があるのです。

Tom Soderstrom:
そうすることで、この実験文化が生み出されるのですね。私たちは、NASA のジェット推進研究所 (JPL) でオープンソースローバーを構築し、Alexa を使用して話したり、指示に従ったりするように教えました。このロボットを約 6,000 人の人々に紹介していたとき、私はロボットに「おはよう!」と言いました。すると、ロボットは Alexa の声で「おはよう」と言ったので 私は「よし、左を向いて」と言ったのですが 石のように動きません。「右を向いて。」 石のように動きません。私は途方に暮れてしまいました。リーダーの 1 人が観客席からステージに来て、「素晴らしいデモだったよ」と言いました。 私が「どういう意味ですか? 全然ダメでしたよ」と言うと、 彼は「1 秒くらいは機能したし、やってみる勇気があったじゃないか。あえて困難に立ち向かえ、だよ。」 これは、失敗しても大丈夫、実験するのみだということを将来のリーダーたちに実証していると思います。

実験とセキュリティのバランスを取る

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Tom Soderstrom:
JPL で身を持って学んだことの 1 つですが、多くの実験を行ったにもかかわらず、最初はサイバーセキュリティが関与していませんでした。サイバーセキュリティが関与したとたん、もともと成功していたかのようにプロトタイプがスムーズに進み、データが漏洩することもありませんでした。宇宙や衛星のような大規模なことをするとき、どのように対処していますか?

Manjula Sriram 氏:
これは非常に大きな質問であるとともに、私たちが答えるべき重要な質問でもあります。宇宙に対する人気は、この 18 か月で非常に高くなっています。これは、かなり長い間非常にあいまいだったので、セキュリティもあいまいさに基づくものでした。しかし、今ではそれが変わり、きわめて重要になっています。私たちは、セキュリティの脆弱性が今後存在することになるであろうことを認める一方で、グループとして取り組み、リスクを特定する必要があります。 リスクベースのアプローチです。セキュリティ脆弱性の中には、発生リスクがそれほど高くないため、問題ないと考えられるものもあります。

Tom Soderstrom:
リーダーシップに関しては、個人的な絆を築く必要があると感じました。当初、私と最高セキュリティ責任者は反発し合っていたからです。私が「おはよう、Wes。君の仕事は有効化による保護だということをお忘れなく」と言うと、 彼は「おはよう、君の仕事は変なものを持ち込まないことだからね」と言います。 私たちはそうしてフレネミーになったわけですが、これが実際にこの友好的なコラボレーション文化を作り上げました。

Manjula Sriram:
私たちは組織のためにこのタイプの機能を提供しており、重要な資産が格納されている環境と、その環境にアクセスできる人の分離を多数実装し続けています。私たちはそれらすべてに細心の注意を払っています。

最高の人材を採用する

顧客の信頼を育むデジタルエクスペリエンス

Tom Soderstrom:
宇宙は飛躍的に成長しています。新しい宇宙経済では、各コンポーネントのコストが 15 年前のコストの 5% になっています。ごく近いうちに、民間企業は政府を超える資金を提供するようになるでしょう。そのため、人材をめぐる激しい競争が繰り広げられています。どのように人材を採用していますか? トレーニングについてはどうでしょうか。

Manjula Sriram 氏:
Iridium には、宇宙業界に興味を持っている大学新卒者のための Orbit Program と呼ばれるプログラムがあります。参加者は、さまざまな部署で 6 か月間経験を積みます。ネットワークオペレーティングセンターに行く人もいれば、地上宇宙ステーションで働く人や、製品チームで働く人もいます。18 か月の終わりに、どのグループに親近感を持ったかを判断でき、そこからリーダーシップを提供します。Iridium には、非常に強力なインターンシッププログラムもあります。昨年は、約 49 人のインターンがいました。私たちは、最も優秀な人材を採用するよう努めています。スペース自体が非常に革新的で、社員は部署から部署へと移動することができます。私たちは、強力な教育プログラムも備えています。

Tom Soderstrom:
JPL で成功を収めた事柄の 1 つは、インターンに参加してもらうことでした。インターンは組織を活性化させましたが、彼らがすぐに参加して取り組めるプロジェクトが必要でした。

Manjula Sriram 氏:
Iridium には、Uplinks と呼ばれるプログラムがあります。経験の浅い新世代のチームと連携するためのものです。これは私たちシニアメンバーにとって、彼らがどのように管理され、どのように指導されたいかを学ぶ機会であり、同時に彼らが私たちの経験から学ぶ機会でもあります。1 対 1 の時間で、腰を下ろしてトピックを決め、話し合います。本を選んで、一緒に読みます。これは、私たちが考え方の多様性を取り入れる 1 つの方法です。多様性は多くの事柄の概念であることも事実ですよね。

組織に新しいテクノロジーを導入する

より優れた変革への道のり

Tom Soderstrom:
世界中のリーダーたちと話すときに見受けられる事柄の 1 つは、これらの新しいテクノロジーが次々と登場する一方で、既存のインフラストラクチャと変化に抵抗する人たちがいるということです。どのように新しいテクノロジーを組織に取り入れていますか?

Manjula Sriram 氏:
新しいテクノロジーについて考える必要があります。新しいテクノロジーが自分の立場、現在理解している事柄、仕事内容にどう影響するかを誰もが恐れています。私たちはリーダーとして、その不安感を理解し、スキルアップする機会を提供する必要があります。これが重要な部分です。スキルアップする機会を提供していることを確実にするのです。 別の道を選ぶかもしれませんが、その場合は別の道を進む機会を提供します。このようなシナリオでは、どの判断も悪い判断にはなりません。私たちは、社員のスキルを向上させ、トレーニングの機会を提供し、プロジェクトを提供して、励ましたいと考えています。

グローバルチームにおける文化的な違いに対応する

より優れた変革への道のり

Tom Soderstrom:
こういったグローバルチームから、どのように相乗効果、仲間意識、生産性を引き出していますか?

Manjula Sriram 氏:
実際に、私のノートパソコンには「目に見えるものは忘れられない」と書かれたポストイットが貼ってあります。

ボディランゲージと同じくらいシンプルなものです。例えば、腕を組んで座っているとしたら、相手にどう伝わるでしょうか。単に寒いから腕を組んでいるだけなのに、ビデオ通話の相手は「私の話を聞きたくないのかもしれない」と思ってしまいます。 小さなことに気を配る必要があるのです。あなたのボディランゲージは非常に重要になります。私はインドにチームを持っていますが、Iridium にはロンドンにもチームがあり、世界中にチームが存在します。共通の言葉、そして文化的な違いを理解しようとしながら、それらを尊重することが非常に重要です。

Tom Soderstrom:
グローバルチームを持っている人たちに対するアドバイスはありますか? 「これは絶対に実行すべきで、これはやめたほうがよい」という考えです。

Manjula Sriram:
決めてかからないことです。実行すべき重要な事柄の 1 つは、質問することです。何か考えているなら、質問するべきです。とてもシンプルな例を挙げましょう。私たちはレポートを作成しようとしていました。私は HTML 形式にしたかったのですが、もう 1 人は PDF 形式で提供しようと考えていました。きわめて簡単な質問でした。「HTML 形式にしたい」と言えたのです。

もう 1 つのアドバイスは、質問は単なる質問として捉えることです。例を挙げると、あなたが私に「これはこういう方法でやっているんだ」と言ったことに対して、 私が「なぜその方法でやったの?」と言ったとします。 これは、問題を解決しようとするあなたの判断に対して、私が疑問を感じていると捉えることもできますが、私は「なぜその方法でやったの?」と単にたずねているだけなのです。 この質問のように考えるだけで、グローバルな違いの多くは解消されると思います。

生成 AI とデータ戦略

より優れた変革への道のり

Tom Soderstrom:
私たちが発見した事柄の 1 つは、優れた生成 AI エクスペリエンスには、実践的な優れたデータ戦略が必要だということです。このジャーニーでは、どの段階にいますか?

Manjula Sriram 氏:
実質的には、データジャーニーの初歩的な段階にあります。サイロ化できるとすると、私たちには非常に大量のデータがあります。衛星で何が起こっているかを説明するテレメトリデータがあります。顧客が情報をどのように使用しているを示す請求データがあります。衛星に何かが起こった場合の対応方法を示す、その他のタイプのデータもあります。現在、これらを計算するには、数時間ではなく、数日かかります。そのため、データを一元化できるようになることが、私たちが現在進めているジャーニーです。データを一元化し、モダナイズして、データを中心に AI モデルを構築することです。AI をさらに重視して、社員がモデルのトレーニング方法とモデルの構築方法を把握していることを確実にする必要があると考えています。

Tom Soderstrom
AWS Enterprise Strategist

2023 年 6 月以来、Tom Soderstrom は Enterprise Strategist として、トランスフォーメーションとイノベーションの戦略とアクションにおける支援とコーチングを経営幹部のお客様に提供しています。2020 年から 2023 年にかけては、AWS 公共部門のために世界的な Chief Technologist チームを創設し、構築しました。このチームは、新興テクノロジートレンドの特定、複雑な技術的問題の大規模な解決の支援、公共部門の経営幹部 CTO や AWS リーダーへの助言に対する責任を担っています。Soderstrom は、2006 年から 2020 年まで NASA のジェット推進研究所 (JPL) で IT 最高技術兼イノベーション責任者を務め、革新的な宇宙ミッションや新たな IT トレンドの定義、サポート、実施を支援して、次世代の IT および宇宙の探求者にメンタリングを提供しました。JPL 以前は、小規模スタートアップ、大手民間企業、国際会議場、および米国政府で、大規模な IT テクノロジー、ベストプラクティス、ツール開発、変革取り組みで作業を行うチームを率いていました。

Manjula Sriram 氏
Iridium、最高情報責任者

2 年前に副社長兼最高情報責任者として Iridium に入社した Manjula Sriram 氏は、Iridium のテクノロジーロードマップの戦略的かつ戦術的な計画、開発、評価、および調整を実行し、同社の IT インフラストラクチャを将来に向けて推し進めるために必要なビジョンとリーダーシップを提供することに焦点を当てています。これには、Iridium が提供する電気通信サービスを支える企業全体のテクノロジー、セキュリティ、および請求システムすべての実装、保守、およびコンプライアンスの監督が含まれます。

14 年以上におよぶシニア IT マネジメント経験を持つ Sriram 氏 の経験を活かし、過去には The Joint Chiropractic の CIO としての副社長を務め、同社の企業およびクリニカルオペレーションのための商業およびエンタープライズ IT インフラストラクチャを担当し、約 700 の独立型カイロプラクティック医院にサービスを提供していました。それ以前は、金融システム企業である Early Warning Service の Director of Customer Implementation & Support として 4 年間勤務し、2,300 の金融機関、政府機関、および決済会社からなる多様なネットワークを通じてリスク管理ソリューションを提供していました。

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