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ANA : AWS を活用したアジャイル型開発によりスマートフォンアプリで CX を向上、お客様の快適な旅をサポート

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ANAアプリのスピーディな機能追加は、AWS のさまざまなサービスとアジャイル型の開発スタイルによって実現しています。今後もお客様にストレスのないスムーズな旅をご提供できるよう、さらに機能を進化させていきます

村上 岳史 氏
全日本空輸株式会社
デジタル変革室 イノベーション推進部

日本を代表する航空会社で、国内線・国際線合わせて年間約 5,233 万人(2019 年度)に利用されている全日本空輸株式会社(ANA)。 同社のスマートフォンアプリ『ANAアプリ』は、快適な旅をサポートするため進化を遂げてきました。 2017 年にはアマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用して大幅にリニューアル。 開発体制もアジャイル型にシフトし、チェックインなどの新機能を数か月という短いサイクルで実装しながら、さらなる旅のサポートを追求しています。

顧客体験の向上に向けて アプリのプラットフォームを AWS 上に構築

『ANAアプリ』は、以前から提供していた旅行情報アプリと国際線予約アプリの機能を統合する形で、2013 年にリリースされました。スマートフォンの操作性を活かしたシンプルなデザインで利便性と快適性を追求したアプリは、ビジネスユーザーを中心にユーザー層を拡大し、2022 年 6 月現在、累計 1,000 万ダウンロードを突破しています。2017 年にはさらなる利便性向上に向けて大幅なリニューアルを実施。航空券の予約状況のホーム画面表示や、予約した便の遅延や欠航など運航情報のプッシュ通知など、ご搭乗にあたってのサポート機能を強化しました。バックエンドのプラットフォームを AWS 上に構築し、旅客系基幹システムと接続してクラウドネイティブアーキテクチャを実現。開発スタイルもアジャイル型へと転換を図りました。

「リニューアル当時、ANA グループでは中期経営戦略の 1 つに One to One コミュニケーションによる顧客満足度の向上と販売力の強化を掲げていました。そこで、普及が急速に進んでいたスマートフォンを、顧客体験価値を提供する重要なデジタル接点と位置付け、予約から搭乗までをアプリ内で完結できる世界を目指しました」と語るのは、ANA デジタル変革室イノベーション推進部の村上岳史氏です。

アジャイル型開発により 新機能を 2~3 か月で実装

ANAアプリではリニューアル以降も、AWS のさまざまなサービスとアジャイル型開発で、顧客ニーズに合わせた既存機能の強化や機能の追加実装を行っています。デジタル変革室で機能の企画を行ってから、平均で 2~3 か月という機能実装期間で素早いリリースを実現しています。

アジャイル型開発の代表例が、2019 年 5 月にリリースした『国際線チェックイン』の機能です。チェックインから搭乗券の発行までがスマートフォンのみで完結し、空港到着後はスムーズに搭乗することができます。開発を担当した ANAシステムズ株式会社 マーケティングソリューション部の槇亮祐氏は、「国際線チェックインのメイン機能は、Amazon API GatewayAWS LambdaAmazon S3 で構成しました。チェックインに必要なロジックはサーバレスの AWS Lambda、マスターデータはストレージの Amazon S3 に集約して開発効率を高めています。また、これによりアプリに機能を自動で反映させることができ、ユーザーによるアプリ更新の負担を軽減しています。セキュリティ面では、Amazon VPC 経由による社内システムへのセキュアな接続や、Amazon API Gateway の API キー認証によるアクセス制御などを実現しました。運用管理面では、Amazon CloudWatchAmazon SNS と組み合わせた自動アラート検知機能を実装しています」と語ります。

国際線チェックイン機能の導入後、ANAアプリからのチェックインは 1 か月で 2 倍に増加しました。空港内のチェックインカウンターの混雑緩和にも貢献し、顧客満足の向上につながっています。またデジタル体験を楽しんでいただけるよう、オンライン搭乗券の背景写真の着せ替え機能や、パスポートの自動スキャン機能も実装しています。

「搭乗券の背景写真の着せ替え機能は、旅の思い出の保存や、旅のワクワク感を感じていただきたいという思いから生まれました。この機能は顧客体験の価値向上を目的に、社内で公募したアイデアから実現したものです」(村上氏)

旅の計画から搭乗までをアプリで完結 ストレスのないスムーズな旅を提供

他にも ANAアプリに追加された機能に、2021 年 7 月リリースの『旅のしおり』があります。これは国内線・国際線を問わず航空券の予約情報と関連付けて、旅行の予定や Web で見付けた観光スポット、行きたいレストランなどの情報を追加して、旅行プランやタイムスケジュールを一括管理できる機能です。

「『旅のしおり』サービスは、最初は必要最小限の機能でリリースし、翌月、翌々月と短サイクルで機能を拡充しながら、理想に近づけていくスタイルで開発を進めていきました。今後もお客様の声をもとに機能追加や改善を行いながら、サービスを成長させていきます」(槇氏)飛行機に搭乗する前の移動計画から、航空券の予約・購入、チェックイン、搭乗券の発行等の機能を ANAアプリ上に集約することは、顧客体験の向上と同時に、お客様に早めに保安検査場を通過してもらい、スムーズに搭乗ゲートまでご案内することで、遅延のない定時運航を実現することにもつながります。そこで ANA では 2022 年 5 月にスマートフォンを活用した新サービスモデル『ANA Smart Travel』を発表。搭乗準備、チェックイン、搭乗手続き、機内エンターテインメントなど、人とデジタルを融合させながら、はじまりから終わりまで、お客様の旅を”スマホがおもてなし“し、これまでの飛行機の旅体験をお客様の価値観の変化に合わせて、大きく進化させていくことを明確にしました。

「ANA Smart Travel のコンセプトは、空港のチェックインカウンターに立ち寄ることなくスマートフォンなどのモバイルデバイス 1 台で搭乗から予約変更などのあらゆる手続きを実現し、機内でもくつろいで過ごしていただくことにあります。いつもご利用いただいているお客様にも、飛行機の旅が久しぶりのお客様、初めてご利用いただくお客様にも、すべての方々にストレスのないスムーズな旅をご提供できるよう、AWS のサービスを活用しながら ANAアプリをさらに進化させていきます」(村上氏)

ANA はアプリを通じて、今まで以上にお客様の動線に寄り添って快適な旅をサポートしていきます。

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