お客様事例/ソフトウェア & インターネット

2023 年
Classi 株式会社

Classi、中高生向け教育プラットフォームの運用に AWS のコスト最適化プログラムを活用し、取り組むべきタスクの優先度を明確化

インフラコストの妥当性を明確化

コスト削減施策の正しさをチームで共有

課題を整理し、次のアクションへ

概要

中高生向けのオンライン教育プラットフォーム『Classi(クラッシー)』を提供する Classi 株式会社。同社ではコロナ禍における需要急増に対応するためのサービス増強を進めてきました。さらなるサービス品質向上を目指す一方、インフラ基盤のコスト最適化にも組織的に取り組んでおり、アマゾンウェブ サービス(AWS)が提供するコスト最適化支援プログラム Cloud Financial Management(CFM)の第三者評価も活用。自社環境の機能×コストバランスの健全性を確保しながら、サービス改善に力を注いでいます。

ビジネスの課題 | サービスの利用急増に伴い、運用体制とインフラコストが課題に

学校教育の現場では、文部科学省の「GIGA スクール構想」に基づく ICT 化が進み、1 人 1 台のデジタルデバイスを使った学習が急速に普及しています。そのため、生徒と先生、双方がスムーズにデジタル環境を利用できるオンラインプラットフォームの重要性が高まっています。

そうした中 Classi 株式会社では、中学生・高校生に特化したオンライン教育プラットフォーム『Classi』を通じて、教育現場のデジタル活用を支援。具体的には、生徒が目標とする希望進路を実現するために、目標から逆算した行動がとれるようにするための学習記録機能や、生徒の学習状況や成績、進路情報を蓄積できる生徒カルテ機能、生徒のあらゆる活動を一元管理することで、多面的・総合的な評価にもとづく指導をサポートするためのポートフォリオ機能など、生徒や教員の日常に寄り添い、さまざまな場面で利用できる機能を豊富に備えています。2023 年 6 月には新たに「学習トレーニング」機能をリリースし、生徒一人ひとりの特性や学習到達度に合わせて最適化された問題を AI が分析して推奨するなど、効率のよい学びを支援しています。

AWS 上で運用してきた Classi のシステムに大きな転換点が訪れたのは、2020 年 1 月に国内で初めて感染者が確認されその後爆発的に感染が広まった新型コロナウイルスの流行でした。緊急事態宣言が発出されて対面授業が制限されると、学校現場からの Classi へのアクセスが急増してシステムに大きな負荷が発生。つながりにくいという問題に最優先で対応するため、サーバー数やデータベースなど、インフラの増強に追われました。このとき、サービスの安定稼働とともに、システムのエラーや処理遅延などの問題に誰がどう対処するかといった、運用体制の課題も浮き彫りになりました。

「このようなアクセス急増という事態を、組織全体で想定できていなかったことは反省すべき点です。安定稼働には開発組織全体で取り組むことが共通認識となりました。一方、システム増強によってコストも増加してきたため、経営陣からはサービスの品質とインフラコストのバランス調整も求められました」と、プロダクト本部 プラットフォーム部の笠井 啓太氏は振り返ります。

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インフラコストには絶えず削減のプレッシャーがかかりがちですが、本来やるべきことに時間やリソースを割けるという意味で、CFM の利用は良い機会になりました”

笠井 啓太 氏
Classi 株式会社 プロダクト本部 プラットフォーム部

ソリューション | AWS Cloud Financial Management(CFM)でコストの妥当性を検証

クラウドの最大の利点は、サービスや事業の状況変化に対して、瞬時にシステムを適応することができる柔軟性にあります。Classi の基盤インフラチームでは利用中の AWS サービスの状況をモニタリングし、その指標をもとに 2022 年頃からコストの最適化に取り組みました。 プロダクト本部 プラットフォーム部の遠藤悠大氏は「インフラコストの最適化は、当社の SRE (Site Reliability Engineering:サイト信頼性エンジニアリング)チームのメンバーが主導して進めました。実施したのは Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)のインスタンスサイズ調整、コストパフォーマンスの高いリザーブドインスタンスや AWS Graviton プロセッサへの切り替え、ログの保存期間の見直し、未使用リソースの停止/削除などです」と語ります。

これらの取り組みを通じて、コストを最適化できているという手応えはあったものの、エンジニアではない経営陣や経営企画部門などの理解を得るには苦心しました。AWS のリソースや設定内容、細かい粒度の改善内容がビジネスにどのような意味を持つかを説明することは容易ではありません。「開発メンバーなら指標を伝えることは簡単ですが、経営層に向けて妥当性を示すことは難しく、『本当に、これ以上削減できるコストはないのか』と疑問を抱かれる場面も少なくありませんでした」と笠井氏は語ります。また、インフラコストの最適化ばかりに注力していては、新たなアプリケーションの開発支援など、サービス自体の価値を向上させる施策が後回しになってしまうおそれもあります。

そこで、AWS の担当者の勧めもあって、AWS Cloud Financial Management(CFM)を利用することにしました。CFM は、継続的なコスト最適化を目指すために AWS の専門チームが調査を行い、AWS 環境を可視化、コスト構造を分析したうえで、アーキテクチャの最適化や今後の費用支出計画をレポートします。Classi は 2023 年の 2 月に CFM を依頼し、約 1 か月後に調査結果を受領しました。このレポートによって、新たなコスト削減の余地はわずか 1% であるということが判明しました。

導入効果 | 判断材料を示すことで、取り組むべき課題が明らかに

CFM の調査結果によって、基盤インフラチームが行ってきたコスト最適化の取り組みが間違っていなかったことが明確になったと遠藤氏は語ります。「経営部門などにもインフラが最適な状態であることを示せたのは大きな一歩でした。これによって、アプリケーションの改善や新機能の開発などに自信をもって取り組むことが可能になりました」

AWS が調査を行った客観的なレポートを示すことで、組織内のあらゆるメンバーからも納得感を得やすいというメリットがあります。単にコスト削減を目指すのではなく、組織全体でサービス品質の改善に努め、利益を最大化するためのアクションを考える際の指針としても利用できます。CFM で示された指標は、組織全体の共通言語となり、サービス改善の新たなトピックを生み出すきっかけにもなりました。コストの最適化を進めることで、インフラの運用エンジニアが、直接的にビジネスに貢献できる人材としても位置付けられたため、自身が事業に貢献できていることをより実感する機会が増えました。

「使用しているリソースの金額が明確に見え、節約できた額も実感できます。コスト最適化は、社員一人ひとりの給与や待遇にも影響を与えます。このような取り組みを通じて働く環境をより良くしていけば、新たな人材獲得にもつながります」(遠藤氏)

AWS に調査をすべて任せられるのも CFM のメリットです。「社内で手間を掛けることなく、経営層からも理解されやすいレポートが提供されて助かりました。インフラ部門はエンドユーザーから離れた位置にいて、事業への貢献度が見えにくいため、今回 CFM を実施したことで社外からの定量的な評価を示せたのはとても喜ばしいことです。インフラコストには絶えず削減のプレッシャーがかかりがちですが、本来やるべきことに時間やリソースを割けるという意味で、CFM の利用は良い機会になりました」(笠井氏)

Classi では、さまざまな事業課題に対して、次のアクションの方向を定めるためにも CFM が役に立つと考えています。今後の展望について遠藤氏は「これからも新たな機能をリリースして、生徒さんのまなびの支援とともに、多くの業務を抱える先生方の作業負担を軽減して生徒さんと向き合える時間を増やすなど、Classi をもっと活用していただけるようさらにサポートしていきたいです」と語っています。

カスタマープロフィール: Classi 株式会社

2014 年にベネッセホールディングスとソフトバンク株式会社の合弁会社として設立。中学・高校向けオンライン教育プラットフォーム『Classi』では、コミュニケーション、学習動画、学習記録などの機能を通じて、先生の指導と生徒の成長を支援している。2022 年 3 月現在2,300 校以上に採用され、累計 210 万人以上に利用されている。ほかに、小中学校を対象とした保護者連絡サービス『tetoru』も提供している。

笠井 啓太 氏

笠井 啓太 氏

遠藤 悠大 氏

遠藤 悠大 氏

ご利用中の主なサービス

AWS Cloud Financial Management

クラウドを使えば、固定支出 (データセンターや物理サーバーなど) を変動費の支出に置き換え、消費した分の IT サービスに対してのみ支払うことができます。

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Amazon Elastic Container Service

Amazon Elastic Container Service (Amazon ECS) は、コンテナ化されたアプリケーションのデプロイ、管理、スケーリングを容易にするフルマネージドコンテナオーケストレーションサービスです。

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Amazon Aurora

Amazon Aurora は、組み込みのセキュリティ、継続的なバックアップ、サーバーレスコンピューティング、最大 15 のリードレプリカ、自動化されたマルチリージョンレプリケーション、および他の AWS のサービスとの統合を提供します。

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Amazon S3

Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。

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