約 1,600 万円
約 200 名
約 76,000 アイテム
概要
100 円ショップ『ダイソー』を展開する株式会社大創産業(以下、DAISO)。同社は 2013 年よりクラウド化に舵を切り、アマゾン ウェブ サービス(AWS)を採用しました。2018 年には売上データを処理する POS データ処理集中システムをサーバーレスで構築し、データ分析のためのツールを新たに導入しました。現在は全従業員にダッシュボードを提供し、商品仕入、製品開発などの用途で活用しています。
ビジネスの課題 | 大量の商品データを処理する POS データ集中処理システムを構築
文具、コスメ、食器、生活グッズなどのオリジナル商品を開発し、『ダイソー』『THREEPPY(スリーピー)』『Standard Products』などのブランドで販売する DAISO。約 6,000 店舗、76,000 アイテムもの商品を取り扱う同社では、システム開発の効率化に向けて 2013 年にクラウドシフトを決断し、AWS を採用して発注システムを構築しました。2014 年には Amazon Redshift を用いて自動発注システムを構築。次のステップとしてサーバーレス化に取り組みました。商品管理システムの一部を AWS Lambda で構築した後、2018 年に各店舗から取得した商品売上データを処理する POS データ集中処理システムを AWS Lambda などを用いて構築しました。
新たな POS データ集中処理システムでは、膨大な件数のデータが集中してもスケーラブルにリソースを拡張できるため、ピーク時間に左右されることなく安定した処理を実現。さらに従来環境では 2 年分のデータしか保持できなかったものが、Amazon Simple Storage Service(Amazon S3) の活用により長期保管が可能となりました。グローバル拠点のデータと合わせて需要と供給の分析が可能になったことは、グローバル展開を推進する同社にとって大きなビジネスインパクトをもたらしました。現在、POS データの収集は、日本のほかアメリカ、シンガポール、マレーシア、インドなどに拡大し、今後も順次収集エリアを拡大していく予定です。
分析に必要な長期間のデータが保持できること、セッション単位の従量課金体系でコストメリットが高いこと評価して Amazon QuickSight の採用を決めました”
神﨑 貴也 氏
株式会社大創産業 経営企画本部 情報システム部 システム企画課 係長
ソリューション | Amazon QuickSight を活用し、部門別ダッシュボードを開発
次のステップとして DAISO がサーバーレス化に取り組んだのが、データを可視化するビジネスインテリジェンス(BI)ツールです。これまでは QlikView を利用していましたが、分析に必要な期間のデータをデータベースで保持することができないという課題がありました。そこで、2018 年に東京リージョンでローンチされた Amazon QuickSight を採用しました。「決め手は、店舗在庫データの保持期間が、従来の 1 日から 2 年間へと大幅に伸びることです。これにより、売上高、販売数、店舗在庫、倉庫在庫などの推移をアイテムごとに参照することが可能になります。セッション単位の従量課金体系も魅力的でした。Amazon QuickSight は、ライセンス形態がダッシュボード作成者用の Author と、閲覧者用の Reader の 2 種類があり、Reader ライセンスの場合は利用しなければ課金は発生しません」と語るのは、経営企画本部 情報システム部 システム企画課 係長の神﨑貴也氏です。
最初の Amazon QuickSight の導入 は 2 か月で終え、本社の商品部のバイヤー 35 名が利用を開始しました。BI ツールのランニングコストは大幅に削減され、サーバー構成を含めると月に 130 万円以上、年間 1,600 万円近くの低減効果が得られています。
2020 年には、本社の社員全員がデータを活用することを見据えて、情報システム部が主体となって部門別ダッシュボードを構築することにしました。
「IT リテラシーが異なる社員に対して、最初から『Amazon QuickSight を駆使してください』とお願いするのも難しい話です。そこで、まずはデータが目に見えるようにダッシュボードを提供することにしました」(神﨑氏)
ダッシュボードの構築に際しては、経営層、店舗運営部、商品部など各部署のキーマンを中心にヒアリングを実施して、可視化したい情報を確認しました。約半年後の 2022 年 1 月には第 1 弾として経営層向けのダッシュボードを公開、その後、部門向けのダッシュボードを順次公開していきました。
「経営層からは、経営判断に必要な原価情報、予算比、前年比、長期間のデータが見たい、朝 7 時には前日のデータが見たいといったさまざまな要望が寄せられ、議論しながら構築していきました。業務部門からも、店舗開発部は新店の動向や 10 日間の簡易な売上動向、店舗運営部ならコロナ前後の売上比較や予算達成状況、商品部ならジャンル別、地域別の売上が見たいといった要望があり、リクエストに応じてダッシュボードを構築していきました」(神﨑氏)2022 年 12 月現在、全社で約 40 種類のダッシュボードを公開中で、各部門が活用しています。ダッシュボードの公開により、ユーザーは必要なデータが参照できるようになり、モチベーションも向上しました。現在も「こんな指標が見たい」といったリクエストが多く寄せられているため、継続的にユーザーのキーマンと意見交換しながら必要に応じてアップデートしています。
2022 年 4 月にはアメリカとシンガポールの 2 拠点にダッシュボードを展開し、現地の商品管理担当や店舗管理担当者がアメリカで約 100 店舗、シンガポールでは約 50 店舗の売上動向等を確認しています。
アーキテクチャ
導入効果 | 全社でデータの利活用が実現
2022 年 12 月現在、Amazon QuickSight は、ほぼ全従業員が利用できる状況にあります。「直近の調査では、全従業員に積極的に利用されているようです。メインの利用層である経営層、商品部、店舗開発本部のほか、物流部が WMS システムと連携して国内倉庫、海外倉庫の在庫状況を可視化しながら、サプライチェーンを最適化する動きも出ています。店舗運営本部では店舗ブランド別の売上動向や、電子決済の利用比率などを可視化しています」(神﨑氏)今後は全社員によるデータ活用やデータドリブン経営の推進に向けて、Amazon QuickSight のユーザーを全国の店舗まで拡大し、店舗の特徴に応じて店長の判断を支援していくことを見据えています。BI ツールについては、アクセス数の増加を見据えて、一部のバックエンドで利用していた Amazon Athena を、よりコストパフォーマンスが高い Amazon Redshift へ移行する計画です。
さらに今後は、AWS の 機械学習サービスを用いた予測や、リアルタイムに近いデータ連携を構想しています。
「マーケティング分野でいうなら、合わせ買い商品や、店舗ブランドの相乗効果など、人力で難しい分析で 機械学習の活用を検討しています。グローバルレベルで調達が難しくなっている現在、EC サイトも含めて在庫の動きを正確に把握することで、在庫の最適化や売上げ拡大に貢献することができます。AWS には引き続き、Amazon QuickSight の機能強化や UI の改善から機械学習の領域まで最新の情報提供と支援を期待しています」(神﨑氏)
カスタマープロフィール: 株式会社大創産業
100 円ショップ『ダイソー /DAISO』を国内と世界 26 の国と地域に 6,000 店舗以上展開。アイテム数は約 76,000 にのぼり、毎月約 1,200 の新商品を開発する。近年は 300 円ショップ『THREEPPY』、新業態『Standard Products』を展開。2020 年に EC サイトを開設するなど販路拡大を進めている。
神﨑 貴也 氏
ご利用中の主なサービス
Amazon QuickSight
Amazon QuickSight を使用すれば、組織内のすべての人が自然言語で質問したり、インタラクティブなダッシュボードを探索したり、機械学習を利用したパターンや外れ値を自動的に探したりすることで、データを理解できます。
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Amazon Athena
Amazon Athena は、オープンソースフレームワーク上に構築されたサーバーレスのインタラクティブな分析サービスで、オープンテーブルとファイル形式をサポートしています。
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AWS Lambda
AWS Lambda は、サーバーレスでイベント駆動型のコンピューティングサービスであり、サーバーのプロビジョニングや管理をすることなく、事実上あらゆるタイプのアプリケーションやバックエンドサービスのコードを実行することができます。
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Amazon S3
Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) は、業界をリードするスケーラビリティ、データ可用性、セキュリティ、およびパフォーマンスを提供するオブジェクトストレージサービスです。
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