Redhill Games が Amazon GameLift と Amazon EKS を使用してゲームを大規模に運営

2019 年、多国籍ゲーム会社の Redhill Games (Redhill) は、個人の反射神経よりもチームのコラボレーションが重要な新しい種類の FPS ゲームである Nine to Five を発表しました。Nine to Five では、3 つのフェーズにわたって展開する、スピード感のある 3v3v3 バトルが行われるため、同時に多くのプレイヤーに対応するための水平方向のスケーラビリティを実現することが最優先事項でした。多数のゲームサーバーに高速でスケールするために、Redhill は、効率的なリソース使用とコスト最適化を可能にする信頼性の高いコントロールプレーンとソリューションを必要としていました。

Redhill は、当初から Amazon Web Services (AWS) で構築を行ってきました。パフォーマンスを向上させ、世界中のプレイヤーに低料金で回復力の高いゲームホスティングを提供するために追加の AWS ソリューションを探していました。AWS でコンテナ化されたアプリケーションのスケーラビリティを実現するマネージドサービスである Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) は、Redhill が水平方向にスケールすることを可能にし、ユーザーが AWS で未使用のコンピューティング性能を活用できるようにする Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) スポットインスタンスは、Redhill がコストを最適化するのに役立ちました。

Redhill は、マルチプレイヤーゲーム用のクラウドサーバーをデプロイ、運用、スケーリングする、専用のゲームサーバーホスティングソリューションである Amazon GameLift も使用しました。また、クラウドベースのゲームホスティング用のスポットインスタンスの使用を最適化する Amazon GameLift FleetIQ を使用することで、Redhill はインスタンスが中断されるリスクを軽減しました。「AWS にはさまざまな問題を解決するためのツールが多くあります」と、Redhill の最高技術責任者兼共同創設者である Mikko Uromo 氏は述べています。「それらが相互に機能するようにするのは簡単で、当社は多くの時間を節約できました」

Redhill は、AAA PC のタイトルの開発に豊富な経験を持つチームによって設立され、新しいことに挑戦することにしました。それは、協力プレイ用のオンラインゲームエクスペリエンスを作成し、プレイヤーテストと初期フィードバックを重点的に組み込んでプレイヤー中心の開発を推進することでした。その結果である Nine to Five では、3 人のプレーヤーからなる 3 つのチームが速射ラウンドで交戦します。また、ゲームは問題を解決するためのさまざまな方法を提供します。「ゲームでは、ポジションを守るために取ることができる複数の経路と複数の方法が用意されています」と Uromo 氏は述べています。「自由に操作して試すことができます」

Unreal Engine for Windows 上に構築された Nine to Five は、AWS で実行されている Linux サーバーも使用します。Nine to Five の水平方向のスケーラビリティの重要性とゲームの複雑さのため、Redhill はコンテナサービス、具体的には Amazon EKS を使用することにしました。また、ゲームサーバーの寿命が短いため、Amazon EKS クラスターノードの基盤となるコンピューティングモデルとしてスポットインスタンスを使用しました。Redhill は、スポットインスタンスを使用して実行するすべてのバトルサーバーのコストを 30% 節約できると推測しています。

Amazon GameLift FleetIQ は、Redhill チームが、クラウドで安全でサイズ変更可能なコンピューティング性能を提供する Amazon EC2 のホスティングリソースと、安定した予測可能なパフォーマンスを維持するために容量を自動的に調整する AWS Auto Scaling を直接制御することを可能にします。また、Amazon GameLift FleetIQ は特にスポットインスタンスに適用されますが、Redhill は、ゲームサーバーにコンテナを使用できるようにするため、Amazon GameLift FleetIQ が Amazon EKS クラスターノードの自動スケーリンググループも管理できるようにする革新的なソリューションを開発しました。

全体として、このソリューションは、Amazon EKS のコントロールプレーンの回復力と迅速なスケーリング、およびスポットインスタンスの再利用とサービスの中断を減らすことができることなどの Amazon GameLift FleetIQ の利点を組み合わせたものです。「私は、現在のアーキテクチャにおいて、プレイを希望するすべてのプレイヤーをサポートできると確信しています」と、Redhill のリードバックエンドプログラマーである Vinicius Suarez 氏は述べています。「このように言うことができるのは、AWS のサポートがあるおかげに他なりません」

2020 年 5 月、Redhill は、Nine to Five のトライアルへの参加のために、約 50,000 人の初期アルファテスターを招待しました。同社にとって、プレーヤーがテスト中に中断することなくゲームをプレイできるように、世界中のどこでもサーバーを効率的に実行できることが重要でした。Redhill は開発の初期段階でその目標を達成し、チームは、プレイヤーのフィードバックの収集と組み込みをすぐに開始することができました。インフラストラクチャが整備されていることで、Redhill は、ダウンタイムなしでサーバー側のパッチをプレイヤーに適用できます。同社はまた、AWS を使用してコストを抑えつつ新機能をテストし、リアルタイム分析 (プレーヤーがターゲットを倒すのに要するショット数など) を実行して、プレイヤーエクスペリエンスを理解し、改善しました。これを実現するために、Redhill は分析用のクラウドデータウェアハウスである Amazon Redshift を使用して、データレイク内のデータをクエリしました。これはゲームプレイからインサイトを得るための鍵であり、Redhill チームは AWS Glue (サーバーレスの抽出、変換、ロードサービス) を使用して、受信した JSON データをデータベーステーブルに変換し、オブジェクトストレージサービスである Amazon Simple Storage Service (Amazon S3) に保存しました。最後に、API を管理するためのフルマネージドサービスである Amazon API Gateway により、Redhill はデータにアクセスしてモニタリングできるようになりました。Redhill はリアルタイムのデータを使用して、バグを早期に発見し、迅速に修正できます。「例えば、当社では、プレイヤーキャラクターのために堅牢な防具システムを用意しています。しかし、プレイヤーがショットガンでそれらを撃ったとき、何も起こりませんでした」と Uromo 氏は説明します。「当社では、ショットガンから各ペレットを追跡していたので、分析から、実際にヒットしていたペレットは 1 つだけだったことがわかりました」

次のフェーズは、2020 年 6 月に Nine to Five の限定的な「クローズドアルファ」リリースを行うことでした。リリース中、ゲームのインフラストラクチャは、スポットインスタンスの大きな中断や再利用もなく、2 時間未満でゼロから数千ノードまでスケールできました。「当社では、スケーラビリティに関する問題は生じませんでした」と Uromo 氏は述べています。「当社では、すべてが滞りなく実行されていることを確認するために、常に誰かを待機させておく準備をしていましたが、初日を過ぎてからは、睡眠をとることができると感じることができるようになっていました」。AWS では、Redhill チームは独自のサーバーを管理する必要はなく、コードパイプラインからプレイヤーアイデンティティやマッチメイキングサービスまで、あらゆることに AWS ソリューションを使用しています。チームは、サーバーのメンテナンスについて心配することなく、新しい修正と機能のイテレーションを迅速に行うことに注力できます。

Redhill は、アルファテスト中に北米地域と欧州地域用にサーバーを分割し、2021 年 2 月に、欧州、米国東部、米国西部、アジア、オーストラリアの 5 つの地域の約 100,000 人のプレイヤーを対象に Steam で限定ベータウィークエンドを開催しました。グローバル API により、世界中のゲーマーがスムーズに一緒にプレイできるようになりました。Redhill のチームは、Amazon GameLift FleetIQ と Amazon EKS を使用して開発したカスタムソリューションを採用し、ゲーム業界のすべての人がそのテクノロジーにアクセスできるようにオープンソースにすることも計画しています。

AWS で Nine to Five を開発およびテストすることで、Redhill は、バックエンドアーキテクチャの基礎部分ではなく、革新的なソリューションとエクスペリエンスの作成に注力し、プレイヤーのフィードバックに迅速に対応できるようになりました。「すべてをゼロから構築しなければならなかったとしたら、タイムラインを守ることはできなかったでしょう」と Suarez 氏は述べています。「構築するだけで、はるかに多くのエネルギーと労力を費やしていたことでしょう。しかし今、当社はゲームを楽しいものにすることに注力できます」