Amazon Web Services ブログ
週刊生成AI with AWS – 2024/11/11週
こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの木村です。
みなさん、Rufus(ルーファス)という単語を聞いたことがありますでしょうか? Rufus(ルーファス)とは、生成 AI を搭載した Amazon の新たな対話型ショッピングアシスタントの名前です。Amazon.co.jp で「登山に必要なものは?」「5歳児と雨の日に遊べるゲーム」「この商品の耐久性はどう?」「電気カミソリの種類を比較して」などの質問に対応することができ、商品を見つけやすくなるようお客様をサポートします。先日、ベータ版の日本への導入を発表し、一部のお客様向けにリリースされています。買い物体験が変わると思うとワクワクしますね。ぜひアプリやサイトをチェックしてみてください!
11 月に入り AWS 公式ウェブマガジン、builders.flash の記事が公開されていますので生成 AI に関係するものをピックアップしてみます。承認・検索・エージェントなど色々なシーンで生成 AI が活用されておりユースケースの参考になりますね。
- 生成AI(Claude3.5 Sonnet)による次世代型レビュー承認システムの実現 (DMM.com合同会社様)
- 日本一のポイントモールへとグロースさせるための「生成AIを用いた検索体験向上」チャレンジ (株式会社オズビジョン様)
- AWS IoTと生成AIを使って自宅の消費電力を測定・予測してみよう
- AWS Summit Japan 2024 Game Industry Booth の舞台裏
また最近、SNS 等で AWS re:Invent 2024 に関する投稿が増えてきているように感じます。今年も楽しみですね。12 月 6 日(金) の 12:00-13:00 に毎年恒例の「新サービス・新機能の全てを1時間でサクッとお伝えするWebinar」を開催しますので、ぜひご参加ください。
「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」のお申し込みも募集しています。11 月 22 日が締め切りになりますので、検討されている方はお早めに意思表明をお願いします。
それでは、11 月 11 日週の生成AI with AWS 界隈のニュースを見ていきましょう。
さまざまなニュース
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- AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社ペライチ様、Amazon Bedrock を使用したホームページ自動生成サービスを開発
株式会社ペライチ様は、ホームページ作成サービス「ペライチ」を運営しています。ペライチは、誰でも簡単にホームページを作って運用できるように豊富なテンプレートが用意されていますが、イメージをホームページの形に落とし込むのが難しく公開まで至らないユーザーが存在するといった課題がありました。そこで、ユーザーが任意のサイトのURLを入力すると、そのサイトの特徴や用途に応じた情報を生成 AI が抽出し、それに基づいた最適なテンプレートを選択しサンプルのホームページを生成して提案する「ペライチクリエイトアシスタント」を開発しました。入力された URL 情報から WEB ページの情報抽出・説明・要約する処理は、AWS Step Functions と AWS Lambda そしてAmazon Bedrock を活用しています。現在、無料モニターを受け付けています。この取り組みは、ペライチ様に AWS ジャパン生成 AI 実用化推進プログラム に参加いただき、企画ワークショップ、プロトタイピングプログラムによる実装支援を AWS から提供しています。 - AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社 JPX 総研様、生成 AI を活用したタグ付により適時開示資料・銘柄検索における検索性の向上を実現
JPX 総研様は、JPX グループ等が保有するデータを網羅的にカタログ化するポータルサイト「JPxData Portal」の提供を行っています。200 種類を超える幅広いデータを提供する一方で、データの種類が多すぎて探しにくいといった課題を抱えていました。そこで、全ての適時開⽰資料の PDF をAmazon Bedrock に連携し、⽣成 AI (Claude) を活⽤してファイル内の文章からタグを生成して、キーワードを付与する取り組みを行いました。その結果、ユーザーは「持続可能性」や「グッドデザイン」といったタグ情報を利用して検索することができるようになり、目的の開示情報を容易に探せるようになりました。また AWS Lake Formation によるアクセス管理を導入したことで、生成されたタグ情報の他システムへの容易な連携や、運用の効率化といったメリットも享受されています。 - AWS生成AI国内事例ブログ: IQVIAサービシーズ ジャパン合同会社様、社内 RAG チャットシステムの構築により検索・調査に費やしていた時間を 93 % 削減
IQVIA 様は、ヘルスケアや人々の健康の進展に取り組むお客様を支援するグローバルリーディングカンパニーです。臨床試験などの業務においては、規制等が書かれているドキュメントを都度確認する必要があり、この検索・調査に費やす時間が多大にかかっているという課題がありました。そこで Amazon Bedrock のナレッジベースを用いた RAG ベースの AI チャット問い合わせ対応ソリューションを構築しました。この RAG チャットソリューションを IQVIA 様 全体に導入し、約 2 ヶ月で社内ユーザー 321 人の利用を達成。月あたりの検索・調査に費やしていた時間を 93 % 削減することができたそうです。また、RAG ソリューションの検証と構築は、担当者 1 名のみで実施し、約 2 ヶ月という短期間で実現されました。フルサーバレスな構成を採用することで、開発・運用コストの最適化も実現されています。 - AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社アーベルソフト様、 災害監視用の自社開発モデルの代わりとして Amazon Bedrock を活用することで、 約45 %の精度向上・年間コスト約 260 時間削減を達成
アーベルソフト様は、災害写真情報サービス「ビューちゃんねる(防災 DX)」を開発しており、複数の自治体に向けてサービスを提供しています。その中で自社で開発した画像認識モデルを用いて、冠水を自動判定する Web サービスを提供しているのですが、機械学習モデルの作成や精度改善にかかるコストに課題を抱えていました。そこで、Amazon Bedrock 上で利用可能なマルチモーダルモデルである Claude 3.5 Sonnet の導入を行いました。その結果、精度が従来から約 45 %向上、開発・運用コストが年間約 260 時間削減、さらに交通事故や火災などのこれまで行なっていないユースケースに対応することが可能になった、といった効果を得ることができました。削減できたコストはお客様に還元することを検討しており、最終的には約 40 %低減させた価格で提供できる見込みとなっているようです。 - ブログ記事「製造業における技能継承への生成 AI・音声・映像の活用とサンプルソースのご紹介」を公開
製造業における技能継承は、日本のモノづくりの競争力を維持する上で非常に重要な課題となっています。本ブログでは、生成 AI や音声・映像技術を活用した技能伝承支援ソリューションを紹介しています。Amazon Bedrock が過去のデータや膨大な資料から効率的に解決策を推測し、Amazon Chime の Chime SDK を利用してベテランエンジニアがリモートから映像や音声を通じて若手を支援するソリューションとなっています。こちらは GitHub にて公開しています。 - ブログ記事「Amazon Bedrock 上で基盤モデルのコストと利用状況を追跡できる社内 SaaS サービスを構築する」を公開
この記事では、マルチテナント環境で Amazon Bedrock を使用して基盤モデルにアクセスする社内 SaaS プラットフォームの構築方法について紹介しています。特に、テナントごとの使用量とコストの追跡、およびテナントごとの使用量制限などのコントロールに焦点を当てています。ソリューションは GitHub にて公開しています。社内で生成 AI の管理をされている方は是非ご覧ください。 - ブログ記事「AWS Supply Chain と Amazon Q を活用して製造業における運用の優秀性(オペレーショナルエクセレンス)を推進」を公開
製造業の企業は、生産計画や材料管理から可視性やデータ統合に至るまで、サプライチェーン業務全体でさまざまな課題に直面しています。このブログでは、 AWS Supply Chain と Amazon Q を連携させ、サプライチェーンの課題に対する解決策をどのように提供するのかを紹介しています。 - ブログ記事「【開催報告 & 資料公開】今から始める!Publisher 向け生成 AI」を公開
2024 年 10 月 10 日に、新聞・出版・メディア業界のお客様向けに、「AWS Media Seminar 2024 – 今から始める!Publisher 向け生成 AI」というテーマでセミナーを開催しました。このブログは、セミナーの開催報告記事です。コネヒト株式会社様からは mamari での生成 AI 活用による検索機能向上、株式会社朝日新聞社様からはコンテンツ制作支援サービス ALOFA における生成 AI 活用について登壇いただいています。資料と動画を公開していますのでぜひご覧ください。 - ブログ記事「Amazon Bedrock Guardrails を使用したモデルに依存しない安全対策を実装する」を公開
Amazon Bedrock Guardrails は現在、Amazon Bedrock 外で利用可能な LLM のユーザー入力とモデル応答を評価するための ApplyGuardrail API をサポートしています。この記事では、一般的な生成 AI アーキテクチャで ApplyGuardrail API を使用する方法について紹介しています。 - ブログ記事「IoT@Loft #25 進化するIoTカメラソリューション – 生成AIで拓く新時代」を公開
こちらは、2024 年 10 月 30 日に開催された 「IoT@Loft #25 進化する IoT カメラソリューション – 生成 AI で拓く新時代」の開催報告記事です。 AI/IoT ネイティブカメラを扱っているi-PRO 株式会社様の生成AI活用の取り組み、株式会社 USEN 様による店舗 DX をテーマにした IoT×AI カメラソリューションなどが紹介されています。また当日のデモ展示の様子も書かれています。
- AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社ペライチ様、Amazon Bedrock を使用したホームページ自動生成サービスを開発
サービスアップデート
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- Amazon Q Developer で、Datadog および Wiz 向けプラグインが一般提供開始
AWS マネジメントコンソールで Amazon Q とチャットする際、お客様は自然言語を使用して Datadog と Wiz サービスの情報にアクセスできるようになりました。例えば、「@datadog アクティブなアラートはありますか?」や「@wiz 今日のトップ3のセキュリティ問題は何ですか?」といった質問を投げかけることで情報をより速く見つけ、作業の高速化を図ることが可能です。詳細はブログを参照ください。 - Amazon Q Developer Pro にて、ユーザーアクティビティの閲覧が可能に
Amazon Q Developer Pro ティアで、管理者がサブスクリプションユーザーのアクティビティをより詳細に把握できるようになりました。管理者はユーザーの最終アクティビティ情報を閲覧することが可能です。これにより非アクティブなサブスクリプションを簡単に特定できるようになります。また送信メッセージ数や AI が生成したコード行数などが記載されたユーザー別アクティビティレポートも作成できるようになりました。 - Amazon Q Developerにて以下の新機能が追加されました
・Java 8/11 から 17 へのコード変換機能がエージェンティックワークフローにより強化されました
・Q Developer が全ての YAML ファイルと JSON ファイルに対してのコード提案をサポートするようになりました
・Ruby、Scala、SQL に対してより長い複数行のインラインコード提案をサポートするようになりました
・Dart、Lua、R、Swift、SystemVerilog、PowerShell、Vue に対してのインラインコード提案をサポートするようになりました - AWS B2B Data Interchangeにて生成AIベースのEDIマッピング機能を提供
AWS B2B Data Interchange は、EDI 規格のデータの変換をフルマネージドで行うサービスです。今回、AWS B2B Data Interchange にて生成 AI を使用した EDI マッピングコードを生成する機能が提供されました。この新機能により、双方向の EDI マッピングの作成とテストのプロセスが迅速化され、EDI ワークロードを AWS に移行する際の時間、労力、コストが削減されます。 - AWS CloudTrail Lake にて AI 機能で強化されたログ分析が可能に
AWS CloudTrail Lake は、アクティビティログや AWS Config の設定項目を保存し分析するためのデータレイクサービスです。今回、AWS CloudTrail Lakeに 2 つの AI 機能が追加されました。1 つは、自然言語によるクエリ生成機能です。この機能により「先週、権限不足で失敗したAPIイベントは何?」といったような質問で AWS アクティビティに関する情報が得られるようになりました。2 つ目は、クエリ結果要約機能です。この機能により、AWSアクティビティログから意味のあるインサイトを得るために必要な時間と労力が大幅に削減できるようになりました。現時点では英語のみのサポートとなっています。 - SageMaker Model Registry がモデルのリネージをサポートし、モデルガバナンスを向上
Amazon SageMaker Model Registry が機械学習モデルのリネージ追跡をサポートするようになりました。これにより、データ準備やトレーニングからモデル登録、デプロイメントまで、ML ワークフローの各ステップに関する情報を自動的に取得し保持することが可能になります。これによりモデルライフサイクル全体の可視性が向上し、モデルガバナンスが改善されます。 - Amazon SageMaker Model Registryが機械学習モデルのライフサイクルステージをサポート
Amazon SageMaker Model Registry が ML モデルのライフサイクルステージをサポートするようになりました。今回のリリースにより、モデルレジストリ内の ML モデルに対して、開発、テスト、本番環境などのカスタムステージを定義できるようになりました。これにより、トレーニングから推論まで、ライフサイクルの異なるステージ間でのモデルの遷移を簡単に追跡および管理できます。 - Amazon SageMaker ノートブックインスタンスが Trainium1 および Inferentia 2 ベースのインスタンスをサポート
Amazon SageMaker ノートブックインスタンスで、Trainium1 (Trn1) および Inferentia2 (Inf2) ベースの EC2 インスタンスの一般提供を開始しました。Trn1 は生成 AI モデルのトレーニング、Inf2 は 推論において低いコストで高いパフォーマンスを実現します。Amazon SageMaker 上で、コスト効率良く LLM などを扱うことができるようになりました。 - Amazon EC2 キャパシティブロックが新しいリージョンに拡大
EC2 キャパシティブロックとは、需要の高い GPU インスタンスを、必要な時間分予約することができる機能です。今回、P5 インスタンスの EC2 キャパシティブロックが 2 つの新しいリージョン(オレゴンおよび東京)で利用可能になりました。EC2 キャパシティブロックを使用すると、1〜64 インスタンス(512 GPU)のサイズで、最大 8 週間前から最大 28 日間の GPU キャパシティを予約することができます。
- Amazon Q Developer で、Datadog および Wiz 向けプラグインが一般提供開始