AWS 有償トレーニングをもっと楽しむために

2022-05-02
How to be a Developer

Author : 吉田 慶章

builders.flash 読者の皆さん ! こんにちは ! シニアテクニカルトレーナーの吉田慶章です。

私はトレーナー (AWS 認定インストラクターとも言います !) として、主に有償トレーニングを通して、お客様の学びを支援しています。本記事は「How to be a Developer」というカテゴリーに所属しています。AWS を学ぶために「まずは有償トレーニングに参加するぞ !」というお客様もいらっしゃるのではないでしょうか !

さて、私は有償トレーニングを担当するだけではなく、有償トレーニングの受講に悩んでいるお客様に対してコース提案をさせていただく機会もあるのですが、よく聞かれる共通的な質問があります。大きく分類すると以下の 3 つでしょうか !


それぞれの質問に対する回答を、私自身の個人的な見解も含めて、builders.flash の記事としてまとめます。これまでの 2 記事では「どのコースを受講すれば良いですか ?」「有償トレーニングのメリットは何ですか ?」という質問にフォーカスしました。読んでいただけましたでしょうか。今回の記事では、3 番目の「コースを申し込んだけど学習効果を高めることはできますか ?」という質問にフォーカスします。連載も最終回です !

Here We Go ===┌(・_・)┘

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もっと楽しむために

そもそも「学習効果を高める」ってどういう意味だろう、と思われるかもしれません。表現を変えると、せっかく有償トレーニングコースを申し込んだのであれば「とことん学びたい ! もっと楽しみたい !」と感じるのではないでしょうか。有償トレーニングをもっと楽しんでもらうための Tips を紹介します。「なんとなくコース開催日になったから 3 日間受講して、気付いたら終わってた・・・」だと、実は学習効果の面でもったいないこともあるんです。

今回紹介する Tips は大きく 3 種類のフェーズに分割できます。順番に見ていきましょう。

  • 受講前
  • 受講中
  • 受講後

受講前

「一部のメンバーは技術的にスキル不足なので何を予習しておけば良いでしょうか。」という質問は、個社向けに開催する「プライベートトレーニング」の企画を担当されているお客様 (人事担当やクラウド推進担当など) によく聞かれます。もちろん予習も重要ですが、他にも受講前に準備をしておくと有償トレーニングをより楽しめる Tips があります。

1. 受講理由を言えるように準備しておこう

誰しも、何かしら有償トレーニングを受講する理由があるはずです。本当に簡単で良いと思います。受講理由を言えるように準備をしておきましょう。トレーニング初日の自己紹介タイムでトレーナーから受講理由を教えてー ! と聞かれることも多いでしょうから、悩まずにすぐ回答できて便利です。

  • (例) AWS の代表的なサービスの役割をそれぞれ説明できるようになるためです !
  • (例) AWS で可用性の高いサービスを構築するための設計スキルを獲得するためです !
  • (例) 今まで苦手意識があって学ぶのを避けていた AWS サービス○○に入門するためです !
  • (例) 社内にいるエキスパート○○さんと技術的な話ができるようになるためです !
  • etc

💬 皆さんはどんな理由で有償トレーニングを受講されますか ?

2. わからないことを洗い出しておこう

独学をしながら、もし腹落ちせずもやもやしていることがあったら洗い出しておきましょう。有償トレーニングでドンピシャな説明があるかもしれませんし、もしなかった場合にはトレーナーに質問しましょう。

  • (例) AWS サービス○○と AWS サービス○○の使い分けがわかりません !
  • (例) AWS サービス○○の新機能を使うと何が嬉しいのかわかりません ! 
  • (例) もし○○な課題があったときにどう AWS サービスを活用して解決すれば良いのかわかりません !
  • (例) 公開されている資料○○を読んだけど理解できませんでした !
  • (例) 公開されているハンズオン○○を試したけどどういう仕組みで動いているのか紐解けませんでした !
  • etc

💬 皆さんはどんなことにわかりにくさを感じましたか ?

3. 関連情報を “少し” 予習してみよう

受講前に、有償トレーニングで学ぶ予定の AWS サービスなどを予習しておきましょう。もちろん学ぶために有償トレーニングを受講するのですが、少しでも関連情報を見ておくだけで、トレーナーの話が理解しやすくなったり、受講中の「情報量の多さ」に圧倒されて頭を悩ませる可能性を減らせます。そして、自分自身の受講前の立ち位置を整理するためにも繋がります。

予習をしながらわからないことが出てきたら「2. わからないことを洗い出しておこう」に戻って、洗い出しておきましょう。

ポイントは “少し” です。予習する範囲を広げすぎてしまうと、受講前に疲れてしまうこともあるでしょう。以下に挙げるコンテンツの中から気になったものを 1, 2 個眺めてみるだけでも十分です。ご飯を食べながら YouTube を流し見するレベルでも良いでしょう。なお、コース情報に「前提知識」「関連デジタルトレーニング」が載っている場合もありますので、あわせて確認してみましょう。

💬 皆さんはどのぐらい気持ちの余裕を持って受講したいですか ?


受講中

「どうしたら受講中にもっと楽しめますか。」という質問は、正直言ってあまり聞かれたことはありません。聞かれたら嬉しいな ! という私の気持ちも込めて質問を捏造してみました (笑) それでもトレーナーからコース中に紹介する受講中の Tips は多くあるため、まとめてみたいと思います。

1. 気軽に質問をしてみよう

有償トレーニングはインタラクティブな場です。e-Learning のようにただ話を聞くだけではなく、トレーナーに質問をすることによって、より「立体的に」学べます。講義を聞きながら疑問を感じたら質問してみると良いでしょうし、受講前の「2. わからないことを洗い出しておこう」で洗い出したことが解決できなければ、そこから質問するのも良いでしょう。また質問というのは機能や仕様を確認するためだけにあるのではなく、決まった答えはないとしても「トレーナーの○○さんだったらどう考えますか ?」という個人的な見解を引き出すためにも使えます。

なお、オンライントレーニングで気軽に質問をする Tips も紹介します。私の担当するコースを受講されたことがあれば、きっと聞いたことがあるでしょう。「“今から質問しまーす!” とチャットに仮投稿をする Tips」です。教室でコースを開催していたときは、手を上げればすぐに質問できますし、休憩時間に雑談をしながら疑問を解消することもできました。しかし、オンライントレーニングでは、チャットに質問文を投稿すること自体が少し大変であるという課題があります。「疑問が浮かんだら → 質問文を考えて → 入力して → 最低限の日本語を確認して → 投稿する」となり、気付いたらその間に講義が進んでしまったということもあるでしょう。そこで、とりあえず「質問しまーす!」と仮投稿をすれば、トレーナーは質問が来ることを認識できて、じっくりと待てます。お客様はその間に質問を書けます。こういう Tips を知っておくと、より質問しやすくなるのではないでしょうか。

もちろんミュートを解除して音声で質問することもできます。トレーナーとしてはウェルカムです。しかし、これまで 2 年以上オンライントレーニングを担当していますが、実際に音声で質問される方はそこまで多くありません。体感でも 5~10% ほどでしょうか。私のデリバリースタイルに問題がある可能性もありますが、それでも多くの場合はチャットを中心に活用されていると思います !

💬 皆さんは受講中の質問に抵抗はありますか ?

2. 気軽につぶやいてみよう

気軽に質問をしよう、とは言ったものの、質問をするためにはまず疑問を抱く必要があり、実は難しかったりします。「何となくわかった気はするけど疑問は特にない」という状態でしょうか。あるあるですね。そこで、質問ではなくても、受講中に気軽につぶやいてみるのはいかがでしょうか。私のコースでは積極的に推奨しています。以下に例を挙げます。

とても簡単なのは「リアクション」です。現在有償トレーニングで使っている Webex というツールには 👍 などリアクションを送る機能がありますし、チャットに気軽に投稿することもできます。リアクションがあるだけでも、雰囲気が良くなりますし、気軽に質問などをしやすくなるかもしれません。トレーナーもお客様からのリアクションがあると嬉しくなります。

  • (例) へー!知らなかったです !
  • (例) ちょっと使ったことあります !
  • (例) わかりやすい !
  • (例) 気になります !
  • (例) www

そして「経験談」をつぶやくのも重要です。基本的に有償トレーニングは「成人教育」となるため、お客様の持つ「経験」「バックグラウンド」を活用して、コースを「立体的に」仕上げていきます。

以下のようなつぶやきをすると、トレーナーはそこから脱線をして話を広げますし、他のお客様の経験談をさらに融合することもできます。実はこの「脱線」というのが、ある意味有償トレーニングの醍醐味でもあるんです ! トレーナーとお客様が一丸となって「唯一無二のコース」を作り上げることで、より記憶に残りやすく、実践的な学びを実現できます。

  • (例) 前のプロジェクトでは○○ではなく△△を使ってました !
  • (例) ○○って使ったことないんですけど皆さん使ったことありますか ?
  • (例) 前に検証したときは○○ってできなかった気がするけど最近はどうなんだろう

💬 皆さんの経験談を共有してみませんか ?

3. メモを取るバランスを見直そう

講義中に学んだことをメモに残すことは本当に重要です。そして、漏れなく書く派、キーワードだけを書く派、グラレコのように絵を描く派などなど、さまざまなスタイルがあります。どれも素晴らしいと思います。優劣をつけたいわけではありません。

しかし、3 日間の有償トレーニングになると、テキストだけでも 500 ページを軽く超えます。また、完全にテキストに沿っているわけではなく、関連情報やテキストに載っていない新情報などもお伝えしています。そして、テンポ良く話すこともあるため、トレーナーの発言を全てメモするというのは非現実的で、書くことに夢中になってトレーナーの話を聞きそびれてしまうという可能性もあるのではないでしょうか。よって、あくまで一例ではありますが、以下をおすすめします。

  • テキストに書いてあることはメモを取らず、テキスト閲覧アプリケーション (VitalSource Bookshelf) のブックマーク機能を活用する
  • 関連情報や新情報で、ブログ記事など URL で残せるものはメモを取らず、URL をブックマークしておく
  • それ以外に重要だと思ったことや、トレーナーが口頭補足をしている情報などを中心にメモを取る

💬 皆さんのメモを取るベストプラクティスはありますか ?


受講後

「3 日間で理解が深まりましたが、このままだと忘れてしまいそうです。明日以降どのように学習を続けたら良いでしょうか。」という質問は、実際にコースを受講されているお客様から最終日によく聞かれます。技術に限った話ではありませんが、学びを止めてしまうと、そのまま時間経過とともに忘れてしまいます。また、業務ですぐに学んだことを実践できる環境があれば良いですが、まだ AWS を導入する前だったりすると、より忘れやすくなってしまいます。そういったお客様にも参考になる Tips を紹介します。

1. 受講前に決めた受講理由を振り返ろう

まずは、受講前に決めた受講理由を振り返ってみましょう。目的を達成できたでしょうか。もしくは一部達成できなかったところもあるでしょうか。振り返った結果から、追加で学ぶ必要がある項目を洗い出し、独学の学習サイクルをぐるぐると回していきましょう。

💬 皆さんの期待に沿うコースでしたか ?

2. 受講前に予習した関連情報を見直してみよう

受講前に “少し” 予習をするという Tips を紹介しました。そのときに使った関連情報をもう 1 度見てみましょう。きっと、同じ資料なのに「違う資料のように感じられる」はずです。有償トレーニングで学んだことにより、情報に対する解像度が変わるからです。「受講前は読んでも理解できなかったですが、読み直してみると完全に理解できます !」「読み直してみるとまた違う疑問が出てきました !」といったコメントをいただいたこともあります。時間を取って,見直してみましょう。

💬 皆さんはどんなことに自己成長を感じますか ?

3. 社内のメンバーと技術雑談をしてみよう

有償トレーニングを受講して良かった ! と実感するのは感覚的な側面も多く、同じ資料なのに「違う資料のように感じられる」という話は既に紹介しました。他に私がおすすめするのは、社内のメンバーと「技術雑談」をしてみることです。

有償トレーニングで学んだことをネタに話したり、現在のアーキテクチャに至った理由を聞いてみたり、今までよりも技術雑談が楽しくなるはずです。そこから新しいアイデアが生まれることもあるでしょう。「技術雑談が楽しくなった」というのも感覚的ではありますが、有償トレーニングによって得られる効果の一つなんです。

💬 皆さんは知識不足のために技術雑談を避けていた経験はありませんか ?

4. 次の目標に向けて学び続けよう

最後はシンプルです。次の目標を決めて、学び続けましょう。目標は自由に決めて良いと思いますが、具体例を挙げておきます。できる限り「インプット」「アウトプット」のバランスを意識して学び続けるのがおすすめです。

  • (例) 社内の AWS を使った新規開発プロジェクトに立候補してみる
  • (例) 個人プロジェクトの開発を開始してみる
  • (例) AWS 認定資格 を受験してみる
  • (例) JAWS-UG (AWS User Group - Japan) などコミュニティに顔を出してみる
  • (例) 学んだことをテックブログにまとめるなどアウトプットをしてみる
  • etc

💬 皆さんの次の目標はなんですか ?


まとめ

今回は、トレーナーとしてよく聞かれる共通的な質問の「コースを申し込んだけど学習効果を高めることはできますか ?」に回答するべく記事にまとめてみました。せっかく申し込んだ有償トレーニングですし、とことん学んで欲しいと思っています。とことん楽しんでもらいたいと思っています。そんな気持ちでこの記事を書きました。


本記事で 3 回の連載は終了です。ありがとうございました。

では、有償トレーニングでお会いしましょう !

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筆者プロフィール

吉田 慶章
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
AWS トレーニングサービス本部 シニアテクニカルトレーナー

ウェブエンジニア/プログラミング講師などの経験から AWS テクニカルトレーナーに。教えることを本職とし、効果的な学習メソッドを考え続けている。教えることは最高の学習である。Keep on Learning 👍

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