顧客を起点に考えるマーケティングの未来

顧客を起点に考えるマーケティングの未来

顧客を起点に考えるマーケティングの未来には、実験と新しいテクノロジーの試行が必要です。AWS バイスプレジデント兼最高マーケティング責任者の Rachel Thornton の話をお読みください

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AWS、バイスプレジデント兼最高マーケティング責任者、Rachel Thornton

Rachel Thornton
AWS、バイスプレジデント兼最高マーケティング責任者

世界中のビジネスリーダーは、パンデミックの継続的な影響に適応し続け、同時に急速な技術革新にも対応しようとしています。マーケティングリーダーとそのチームは、急速な変化とそれがカスタマーエクスペリエンスに与え続ける影響という「ニューノーマル」にも適応しています。

過去数か月間、さまざまなイベントにおいて、このトピックについて数人の同業者とディスカッションする機会がありました。例えば、1 月に、私は Intel の最高マーケティング責任者である Karen Walker 氏のグローバルマーケティングタウンホールに参加しました。ディスカッションの内容を記録することができたため、その対話の抜粋をこの投稿に含めました。これらのディスカッションと、お客様やパートナーとの間で日々行われるディスカッションに基づき、私は、2022 年のマーケティングとテクノロジーが交わる領域の今後について楽観視しています。過去 2 年間でさらに重要性が増した 3 つの事項と、それらが今年の計画をどのように形作っているかを次に示します。

  1. 顧客を起点に考えるマーケティングには、実験と新しいテクノロジーの試行が必要です
  2. お客様やパートナーとのより緊密なエンゲージメントを推進し続けるために、ハイブリッドイベントモデルは今後も継続します
  3. リモートチームおよび対面で作業するチームにとって何が機能するのかを再考し続けます
顧客を起点に考えるマーケティング

顧客を起点に考えるマーケティング: 実験、学習、スケール

AWS のマーケティングエンジンのバックボーンはデータです。これにより、お客様により優れたサービスを提供し、お客様の変化するニーズを予測し、より良い明日のために持続可能なビジネスを構築することができます。顧客を起点に考えることは AWS の中核を成しており、当社が行うすべてのことにおいてデータ駆動型であることは、当社がお客様を中心として事業を進める方法の一部を構成しています。私のチームは毎日、お客様 (またはパートナー) を起点として考え始め、お客様の課題と機会を深く理解するために目標から遡って業務に取り組んでいます。その後、クラウドで実現できることについてお客様を教育し、インスピレーションを与えるマーケティングプログラムをお客様のために開発します。マーテックスタック、リード管理エンジン、キャンペーンおよびイベント制作の領域におけるテクノロジー投資は、よりターゲットを絞ったプログラム、お客様とのより緊密なつながり、より良いエンゲージメント率を実現するより効果的なキャンペーンを生み出すための重要な基盤を構築するのに役立ちました。試験運用のすべてが機能するわけではありませんが、迅速に失敗して学習することで、次の試験運用に向けてより良く準備を整え、最終的に最も成功した試験運用を本番稼働環境に迅速に移行できるようになります。

The Wall Street Journal (WSJ) | Barron’s Group Intelligence の 2021 CXO Tech Agenda – The Post-Covid Landscape によると、「回答者の 55% が、破壊的なエンタープライズとみなされることを目指している」と述べており、お客様中心のイノベーションを促進できるテクノロジーに組織が投資する必要性を強調しています。機械学習 (ML) や人工知能 (AI) などのテクノロジーをマーケティングの領域で実験することで、カスタマーエクスペリエンスの新しい機会を開拓するのに役立つとともに、ビジネスにより大きな影響をもたらすことができる可能性があります。

動画を見る: AWS CMO の Rachel Thornton は、Intel のマーケティングタウンホールで、Intel の CMO である Karen Walker 氏と、お客様向けの機械学習の背後にある価値と AWS Marketing の価値を共有しています。

機械学習や AI などのテクノロジーを活用して、キャンペーンに対する応答率を高めたり、インテリジェントな検索で関連コンテンツをより迅速に提供したりすることにより、お客様は自社の顧客向けのエンゲージメントエクスペリエンスを改善しています。より魅力的なカスタマーエクスペリエンスを作成するために新しいテクノロジーを試験的に導入する好例として、PGA TOUR が Every Shot Live と連携して行ったことが挙げられます。つまり、PGA TOUR ファンがトーナメントのすべてのプレイヤーのすべてのショットにライブでアクセスできるようにする、AWS を利用したオーバーザトップ (OTT) ストリーミングプラットフォームです。AWS のテクノロジーを利用することで、PGA TOUR はコンテンツを迅速に変換し、ファンのお気に入りのゴルフプレイヤー、ショット、スコアに関するより豊富な情報を含んだ詳細をそれらのファンに提供することができました。ファンのお気に入りは、リーダーボードのランキングに影響を与えるプレイヤーとショットを深く理解できる機能です。

The WSJ | Barron’s Group Intelligence の 2021 CXO Tech Agenda 調査では、「回答者の 51% が、新技術の試験運用と採用を、今後数年間における変革のための最大の取り組みとしてランク付けした」という結果が報告されています。

 

より身近なもう 1 つの例は、AWS マーケティングチームが、当社における機械学習モデルの使用を増やして次についてどのようにサポートしているかということです。

  • より意図的でカスタマイズされた、より高いエンゲージメント率を実現するカスタマーエクスペリエンスを設計する
  • プログラムの結果を測定するためのより洗練されたマーケティングエンゲージメントスコアリングモデルを作成する
  • Amazon Translate などのツールを使用して、テクニカルドキュメント (ユーザーガイド、チュートリアルなど) をグローバルにすばやくスケールする
 
当社における AI と機械学習サービスの使用を増やすことは、マーケティングの非常に多くの側面で当社に本当に役立ちました。当社が目の当たりにした結果に基づき、私は、機械学習が今後数年間で最も変革的なテクノロジーの 1 つになると信じています。私は、2022 年のすべてのマーケターに、強力なカスタマーエクスペリエンスを生み出すために機械学習を活用する方法について考えることをお勧めします。
お客様への適応

お客様への適応: ハイブリッドイベントモデルは今後も継続

新型コロナウイルス (COVID-19) により、現在まででほぼ 3 年間、誰もが現代史で最も破壊的な時代の 1 つを体験してきました。非常に多くのことが変化しました。マーケティングの観点から、当社が目にした最大の変化の 1 つは、ライブイベントです。これは、2020 年に一旦休止し、デジタルエクスペリエンスとして完全に再考する必要がありました。

直近数年間の実験から当社が知り得たことが 1 つあるとすれば、それは柔軟でハイブリッドなお客様/パートナーエンゲージメント戦略の必要性が今後も継続するということです。このパンデミックにより、オンデマンドまたは「常時オン」にすることができるバーチャルコンテンツを作成することや、バーチャルプラットフォームに実践的な学習を組み込んで顧客の関心を維持する方法についての考えが加速しました。私たち全員がバーチャルイベントモデルに移行することを余儀なくされましたが、お客様が週に数日、エキスパートとともに学びながら数時間を過ごすことができるバーチャル Immersion Labs のように、お客様はテクノロジーが実際に動作しているのを見る機会を好ましく思っていることがわかりました。これらのカスタマイズされたインタラクティブなセッションにより、当社のエキスパートは、お客様がクラウドジャーニーを完了するために必要な内容に焦点を当てることができます。

動画を見る: AWS CMO の Rachel Thornton が、Intel の最高マーケティング責任者である Karen Walker 氏とともに、Intel のグローバルマーケティングタウンホールで、お客様および社内の AWS チームとのハイブリッドエンゲージメントの重要性について語ります。

私のチームにとって最大の課題の 1 つは、毎年恒例の実地開催のカスタマーカンファレンスである re:Invent を完全にデジタル形式で再現することでした。パンデミックが発生した最初の年、すべてのイベントがバーチャル形式に移行したとき、当社はバーチャル形式の re:Invent がどうなるかを再考しました。チームは、実地開催の re:Invent のあらゆる側面を検討し、基調講演、ブレイクアウトセッション、ラボ、ワークショップの水準を高く保ちながら、それをバーチャルエクスペリエンスに変換する方法を見つけました。私たちはその結果に勇気づけられました! 30 万人を超える人々がバーチャル形式の re:Invent に参加し、実地開催のイベントで期待されるすべてのイベントに参加し、当社の全体的な CSAT スコアである 4.0 (5 点満点中) を超えることができました。2021 年には、26,000 人のお客様がラスベガスで実地参加し (厳格な新型コロナウイルス (COVID-19) 安全プロトコルを使用しました)、数十万人のお客様がバーチャルエクスペリエンスに参加するハイブリッド re:Invent エクスペリエンスを創出しました。カンファレンスのオンデマンドのリソースと記録が利用可能な状態とされ、お客様がどこにいても、バーチャルまたは実地で参加する野と同様の価値を感じていただくことができました。

デジタルエンゲージメント戦略におけるこれらの要点と、新しいプログラムをテストすることにより、世界中のより多くのお客様やパートナーとつながり、お客様がいる場所でユニークなエクスペリエンスを生み出すことができました。また、重要な教訓を取り入れて、将来に向けてエンゲージメントプログラムを最適化するためにそれらを適用することができました。それがパンデミック後の世界であっても同様に適用できます。

何が機能するのかを再考する

ハイブリッドチームにとって何が機能するのかを再考する

最後に、リーダーたちと私が 2022 年に注力しているもう 1 つの重要な領域は、ハイブリッドチーム全体で強力なコラボレーション環境の促進を継続することです。The WSJ | Barron’s Group Intelligence の 2021 CXO Tech Agenda 調査では、「回答者の 87% が、リモートワークは今後も継続すると信じている」旨が報告されており、チーム間の継続的かつ改善されたつながりの必要性はさらに高まっていると言えます。私のチームが一堂に会するとき、対面でミーティングを実施する理由、そして達成しようとしている結果をメンバーが認識していることが非常に重要です。私の最大のアドバイスの 1 つは、特にハイブリッドな勤務環境を継続する場合には、適切な社内会議に注力することです。誰もが忙しいのです。したがって、ミーティングの目標と目的を明確にすることで、全員の時間を尊重し、全員の生産性を維持することができます。

 

The WSJ | Barron’s Group Intelligence の 2021 CXO Tech Agenda 調査では、「回答者の 87% が、リモートワークは今後も継続すると信じている」と報告されています。

 

生産性に加えて、ビジネスではスピードが重要です。したがって、スピード感のある意思決定が必要で、かつ、バーチャルでつながるチームを率いている場合には、リーダーシッププリンシプルの 1 つである「Have Backbone; Disagree and Commit」(バックボーンを持つこと。異議を唱え、コミットすること) は特に有意義な原則となります。このリーダーシッププリンシプルは、異なる意見を尊重しながらなされる活発な対話を支持するものであるため、一度決定が下されると、全員が完全にコミットし、一致団結して前進します。ハイブリッドの勤務環境では、これが基本となり、戦略的決定を行う際のスピードを維持することができます。

動画を見る: AWS CMO の Rachel Thornton が、Intel の CMO である Karen Walker 氏とともに、ハイブリッド環境がワークフォースにとってどのように重要であるかについて語ります。

ますます複雑でエキサイティングになる世界で活躍し続けるためには、チームがアジャイルになるための力を持てるようにする必要があります。当社では、一貫性のあるデータ駆動型の意思決定を迅速に行うために、継続的に十分な情報がチームに提供されるようにすることによって、これを実現します。これは、お客様にとってより優れたプログラムを作成するのに役立ちます。アジャイルであり続けることは、人材を惹き付けて維持するために、また、お客様やパートナーの成功をサポートするために重要です。このような実験と規模の時代を乗り越えていく中で、マーケティングの未来に期待せずにはいられません。テクノロジーは、マーケターがよりスマートに作業し、柔軟性を維持し、卓越したカスタマーエクスペリエンスを提供し続けるための重要なイネーブラーであり続けると信じています。

顧客を起点に考えるマーケティングに関する重要なポイント

顧客を起点に考えるマーケティングに関する重要なポイント


著者について

AWS、バイスプレジデント兼最高マーケティング責任者、Rachel Thornton

Rachel Thornton
アマゾン ウェブ サービス、バイスプレジデント兼最高マーケティング責任者

Rachel Thornton は、世界で最も包括的で広く採用されているクラウドサービスを提供するアマゾン ウェブ サービス (AWS) の CMO です。Thornton は、製品マーケティング、フィールドおよびパートナーマーケティング、顧客獲得および顧客セグメントマーケティング、デベロッパーリレーションズ、グローバルイベント、エグゼクティブエンゲージメント戦略およびプログラムを含む、AWS のマーケティングのあらゆる側面を統括しています。Amazon に入社する前、Thornton は、Salesforce、Cisco Systems、Microsoft などのさまざまなテクノロジー企業で指導的な立場を幅広く担ってきました。

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