ENPICOM が AWS を使用して治療用抗体発見のためのより迅速なインサイトをサポート

オランダのバイオインフォマティクスソフトウェアエンジニアリング会社 ENPICOM は、免疫システムを解読して人間の健康を改善するための強力なデータ分析ソフトウェアとカスタマイズしたソリューションを提供しています。ここでは、通常何百万もの DNA 配列を生成するサンプルからの大量のデータを管理します。分析には大量の計算能力が必要であり、コストがかかる可能性があります。 安全なデータ管理と分析のスピードアップを実現するコスト効率の高いソリューションを求めていた同社は、クラウドベースの IGX プラットフォームを Amazon Web Services (AWS) に移行しました。 AWS を使用することで、ENPICOM はスケーラビリティとパフォーマンスを以前のシステムの 3 倍に向上させました。同社はまた、同社のイノベーション能力を高め、自社のプラットフォームで、新薬、ワクチン、抗体ベースの治療法につながるインサイトを開発する科学者のユーザーエクスペリエンスを向上させました。

ENPICOM はパートナーと協力して、免疫レパートリーシーケンシング (Rep-Seq) (個人の免疫システムに不可欠なさまざまな種類の抗体やタンパク質を理解する方法) と、適応免疫システムの理解を深めるためのインサイトとの間のギャップを埋めるツールを開発し、アプリケーションを検証しています。

これらのインサイトは、新しいワクチンを開発し、病気を予防し、病気や再発を早期に発見できる新しい治療分子を発見し、がん、免疫障害、その他の衰弱性疾患に苦しむ患者を対象とした治療法の選択肢を生み出すために必要です。

しかし、免疫 Rep-Seq データの管理は複雑であり、公開されているシーケンシングデータの量は増え続けています。ENPICOM のソフトウェア開発責任者である Vadim Galaktionov 氏は次のように語っています。「私たちのプラットフォームは、コンピューターの観点から、その実行には非常に重い負荷がかかります。「Rep-Seq のデータ分析スペースの利用を一般化するには、経済的に持続可能な方法でお客様にサービスを提供する必要があります。」

移行のもう 1 つの原動力は、ENPICOM の顧客の多くが既に AWS を使用しているという事実でした。つまり、よりシンプルで効率的に顧客がオンボードでき、データ共有ができるということです。

IGX プラットフォームの AWS への移行は迅速かつシームレスでした。このプロセス全体の所用期間は、AWS との最初の電話から最終的なカットオーバーまで合計 6 週間しかかからず、ENPICOM の少人数のチームだけで管理できました。移行中、開発作業は通常どおり継続され、わずか数時間のダウンタイムが発生しただけでした。

IGX プラットフォームは、今では Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) 上で動作するようになりました。これにより、安全でサイズ変更可能なコンピューティングキャパシティが提供されます。また、Kubernetes アプリケーションを実行し、スケーリングするマネージド型コンテナサービスである Amazon Elastic Kubernetes Service (Amazon EKS) と、Amazon Elastic Container Registry (Amazon ECR) を使用してコンテナソフトウェアを保存、共有、デプロイします。ENPICOM には、AWS が提供するサポートと高品質のドキュメントが移行時に非常に役立ちました。

Galaktionov は、すぐに AWS の優れたサポートレベルに気付きました。「AWS と初めて接触した瞬間から、AWS に私たちを参加させたいだけではなく、私たちのビジネスの成功にも興味を持っている、非常に有能なチームであることがわかりました」と彼は言います。「AWS は、移行を成功させ、その後のビジネスの成長を支援したいと考えていました。」

ENPICOM チームは、毎週、場合によっては毎日 AWS のアカウントマネージャーやソリューションアーキテクトと連絡を取っています。これらの担当者は、問題解決や新機能の提供について、いつでも適切な人材を紹介してくれます。

AWS の実装にはデータレイヤーのマネージドサービスが含まれているのでデータベースのパフォーマンスが向上すると Galaktionov 氏は言います。たとえば、Amazon Aurora リレーショナルデータベースサービスを使用すると、ENPICOM の PostgreSQL データベースは以前よりも最大で 3 倍高速に実行でき、処理時間が短縮されます。「エンジニアリングの仕事を増やさずにパフォーマンスを上げることができれば、どのエンジニアリングマネージャーにとってもメリットがあります」と Galaktionov 氏は言います。

AWS への移行のもう 1 つのメリットは、管理のしやすさです。毎日、AWS インフラストラクチャは ENPICOM IT チームの 1 人のメンバーによって管理されています。AWS への移行により販売パイプラインは強化されたにもかかわらず、対処すべきガバナンスの問題ははるかに少なくなりました。つまり、Galaktionov 氏は自分に与えられた役割の中でも、より価値の高い側面に時間を費やすことができるのです。「今では、実際にソフトウェア部門を率いて IGX プラットフォームを次の高いレベルに引き上げることに集中できます」と Galaktionov 氏は言います。

AWS での運用はイノベーションの促進にもつながりました。AWS の機能により、IGX プラットフォーム専用の新しいアプリケーションを開発することができました。このアプリケーションにより、研究者は抗体候補のプールを大幅に改善し、候補開発プロセスのリスクを軽減できます。

このアプリケーションでは、査読済みのアルゴリズムを使用して、抗体候補の関連性の高い特性 (配列の易罹病性と呼ばれる) を予測します。配列の易罹病性を評価することで、研究者は開発プロファイルが最も優れているどの抗体はどれか、すなわち製造時と臨床開発中に難題が生じるおそれが最も低い抗体はどれかについて、十分な情報に基づいて決定を下すことができます。発見プロセスの早い段階で配列の易罹病性をスクリーニングすることで、不適合な候補の捜索で無駄になる時間とリソースを減らすことができます。これにより、新しい治療薬の市場投入に成功する可能性が大幅に高まります。

AWS を使用することで、ENPICOM は必要に応じてスケールアップまたはスケールダウンできるようになりました。計算の面倒な作業は IGX プラットフォームのバックエンドで処理します。つまり、ENPICOM は、わずか数回のクリックで何千ものシーケンスの配列の易罹病性を評価できる、直感的で拡張性の高いワークフローを提供できるということです。

ENPICOM は次世代データレイヤーの開発にも取り組んでいます。このレイヤーでは Amazon Athena データクエリサービスを使用して、約 100 倍の DNA データを処理できるようになります。また、ENPICOM は、ビッグデータワークロードを実行する Amazon EMR や、機械学習モデルを構築、トレーニング、デプロイするための Amazon SageMaker などの機械学習サービスも組み込んで、製品の市場投入に役立てています。「ENPICOM が、いかに成長しようとも、AWS は私たちとともに成長すると信じています」と Galaktionov 氏は言います。