導入事例 / 情報・通信

2024
BIGLOBE

BIGLOBE、数百万の会員を支えるバックオフィスシステムを AWS へ移行

データセンターを完全撤廃して約 13% の運用コスト削減へ

高コストなデータセンターからクラウド への完全移行

13%

トータルコスト削減(2024 年試 算)

可用性

サービス基盤を東西リージョン に冗長

安全性

マネージドサービスでセキュリ ティを強化

概要

インターネット黎明期からサービスを広く提供してきたビッグローブ株式会社(以下、BIGLOBE)は従来型のデータセンター運営を見直し、より良いサービスの実現に向けて全面的なクラウド化を決定。アマゾン ウェブ サービス(AWS)の専任チームを活用して、大きなトラブルの許されないバックオフィスシステム移行プロジェクトを4 か年計画で完了。データセンターを完全撤廃し、運用コストを 13 % 削減しました。エンジニアもモダンなクラウド技術を活かした新しいサービスの創出に意欲的です。

ビッグローブ株式会社

ビジネスの課題 | 自社運営データセンターの運用負荷の軽減

BIGLOBE は、黎明期から日本のインターネット普及に大きく貢献してきたインターネットサービスプロバイダーです。KDDI グループ企業となった現在も、光接続やモバイル接続など、どこでも快適・安全につながるインターネット接続をベースに、多様なサービスやアプリを展開しています。近年は生活習慣や社会環境の変化を受け、持続可能な社会と未来づくりを目指す『SDGs Action by BIGLOBE』を推進しています。

なかでもユニークな企業向けサービス『ONSEN WORK(おんせんワーク)』では全国の温泉宿と提携し、ワーケーションやチームビルディング研修、新規事業ミーティングなど幅広い企業活動をサポートします。「当社はトラベル事業も展開しており、コロナ禍で厳しい状況に置かれた温泉宿への恩返しやまちづくり支援として企画しました。快適なインターネット環境での健康的なビジネスをサポートします」と、執行役員常務 CNO プロダクト技術本部 副本部長の高宮展樹氏は語ります。

一方で同社は、長年オンプレミス環境で継続してきたバックオフィスシステムの運用を見直し、クラウドの活用に乗り出しました。エネルギー効率や資源保全という SDGs の視点からも、自社でデータセンターを保有し続けるよりシェアード型のサービスを活用したほうがよいという考えです。インターネットサービスプロバイダーとしては先進的な取り組みですが、プロダクト技術本部 クラウド技術部 グループリーダーの穂積裕樹氏は、競争力強化や人材育成においても重要な施策と強調します。

「従来は自社ビルでデータセンターを運営し、多様なサービスを展開してきました。しかし、ファシリティの整備・運用負荷が高く、このままでは競争力を維持することが難しい状況でした。また当社の強みであるエンジニアのスキル向上のためにも、高いモチベーションを維持して先進的な技術に取り組める環境を整え、オンプレミスもクラウドも両方サポートできる体制が望ましいと考えました」

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AWS の手厚くプロフェッショナルなサービスのおかげで、数百万の BIGLOBE 会員を支えるミッションクリティカルなシステムを安心して移行することができました"

高宮 展樹 氏
ビッグローブ株式会社 執行役員常務 CNO プロダクト技術本部 副本部長

ソリューション | 基幹系システムをプロフェッショナルなサービスの支援で安定移行

BIGLOBE は 2016 年頃からクラウド活用の検討を開始し、複数のサービスから AWS を選定しました。

「AWS は当時からグローバルシェアが高かった上、機能・サービス・セキュリティとコストのバランスもよく、新しいサービスが次々と登場していくのも画期的でした。AWS のアーキテクチャと BIGLOBE の技術との相性がよく、導入のハードルが低いこともわかりました。

KDDI グループでもAWS のノウハウが貯まっていましたので、最終的にはデータセンター撤収を目標として、2018 年ごろから“AWS ファースト”で長期戦略を推進しました」(穂積氏)BIGLOBE の多彩なサービスを支えるシステムを、オンプレミス環境から AWS へ移行する際の懸念事項は、やはりパフォーマンスでした。数百万の会員情報をはじめ膨大な情報を格納したデータベースは、特に遅延にセンシティブなシステムです。だからといって、データベースだけデータセンターに残すとクラウド化の効果が期待できません。そこで AWS のエンジニアチームによるプロフェッショナルなサービスとして、ソリューションアーキテクト、テクニカルアカウントマネージャ、カスタマソリューションマネージャ、エンタープライズサポートなどが連携し、BIGLOBE のセンター オブ エクセレンス(Center of Excellence、CoE)立ち上げから移行プロジェクトの推進まで、長期にわたって幅広くサポートしました。データベースの問題ではパフォーマンスの維持や移行方法を AWS と検証し、最終的に Amazon Relational Database Service(Amazon RDS)への移行を決定しました。

こうしてバックオフィスシステムの移行は 4 か年計画で進められ、2023 年 9 月にレガシーなデータセンターからの完全撤退を実現しました。 

導入効果 | トータルコスト 13 % 減、エンジニアのスキル向上にも活用

BIGLOBE では、従来のデータセンター運営にかかっていたファシリティやハードウェアの維持費・人件費などが削減されたことで、AWS の利用料を差し引いても、2024 年には約 13 % のコスト削減を実現できると試算しています。また、従来は固定費だったものを変動費に置き換えることもできました。

「サービスの可用性向上はクラウド活用の大きなメリットです。極めて重要なサービスである認証基盤を AWS の東京/大阪リージョンに冗長化したことで、常に安定的な稼働が期待できるようになりました。セキュリティについても申し分なく、すでに KDDI グループで運用していた基盤を参考に、当社のポリシーにしっかり活かすことができました。脆弱性の可視化や情報漏洩対策として仮想デスクトップサービスである Amazon Workspaces を介した個人情報へのアクセスなど、自社では困難な取り組みが容易に実現できたのも効果の 1 つです」(穂積氏)プロダクト技術本部 基盤系システム部 グループリーダーの阪野公秀氏は、障害対応など運用チームの負担軽減も高く評価しています。「従来、サービスの障害発生時には保守担当とデータセンター担当が協議して現場対応していたため、昼夜を問わず作業が発生していました。またアップデートなどのメンテナンスも、あらかじめ人員と日程を調整して、リスクを減らす必要がありました。AWS であれば、トラブルをポータルサイトで把握できますし、アップデートも容易です」

BIGLOBE では、新しいサービスの創出やエンジニアの育成にも積極的に AWS を活用しています。システムをすばやく作り、試せることのできるクラウドの特性が、アイデアを出しあう社内イベントや新人研修・インターン研修などに効果を発揮しています。エンジニアチームも独自に勉強会を開催するなど熱心に AWS を学んでいるとのことです。

同社のクラウド移行は、適材適所で Amazon Elastic Container Service(Amazon ECS)や Amazon CloudFront などのマネージドサービスを活用しているものの、全体的にはクラウドリフトが完了したばかりです。今後も AWS サービスの特性を活かしてクラウドネイティブ化を図り、またエンジニアのモチベーションを高める体制と環境を整えて成長を促し、より良いインターネットサービスを提供していく方針です。

「AWS には、計画当初から細やかな支援を提供いただきました。インターネットサービスはもはや社会インフラであり、お客様にご迷惑をおかけしないことが絶対条件ですが、AWS のプロフェッショナルなサービスで安心して移行を推進できました。当社のようなミッションクリティカルなシステムの移行と運用に欠かせない、質の高いサポートだと実感しています。BIGLOBE のいつでもつながるインターネットサービスを、これからも AWS に支えてほしいと願っています」(高宮氏)

企業概要: ビッグローブ株式会社

パソコン通信の時代から日本のネットワークサービスを支え、インターネット普及の一翼を担う。光回線やモバイルなど、どこでも快適・安全につながるインターネット接続をベースに、ニュースやトラベル、ファッションなど多様なサービスを展開する。SDGs にも注力しており、地方創生や CO2 削減などのほか、既存サービスに楽しさを加えた「ONSEN WORK」のような独自の取り組みも注目されている。

高宮 展樹 氏

高宮 展樹 氏

穂積 裕樹 氏

穂積 裕樹 氏

阪野 公秀 氏

阪野 公秀 氏

ご利用中の主なサービス

Amazon RDS

Amazon Relational Database Service (Amazon RDS) は、クラウド内でデータベースを簡単に設定、運用、スケールできるようにするマネージドサービスを集めたものです。

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Amazon EC2

Amazon Elastic Compute Cloud (Amazon EC2) は、極めて幅広く、奥深いコンピューティングプラットフォームを提供します。

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Amazon ECS

Amazon ECS は、あらゆる規模で、コンテナ化されたアプリケーションを AWS 上で構築、デプロイ、管理するための極めて簡単な方法を提供します。

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AWS Enterprise Support

AWS エンタープライズサポートでは、事前対応型の計画、アドバイザリーサービス、自動化ツール、コミュニケーションチャネル、24 時間 365 日対応のエキスパートによるサポートなど、包括的なリソースを提供しています。

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