わずか1年間で延べ1,600人以上がAWSトレーニングを受講、1,000人以上がAWS認定資格を取得
大規模なリスキリングによりデジタル変革を加速

2022

凸版印刷株式会社(以下凸版印刷)は、これまでの経験から変化し続けることの重要性を十分理解しており、今まさに新たな事業変革に取り組まれています。1900年に印刷会社として設立された凸版印刷は、数々の事業変革を経て今や情報加工産業(デジタル産業)にも事業を拡大し、連結54,000人以上の社員を有するグローバル企業へと成長しました。更なる成長に向けて、2017年から全社的なDX推進に着手しており、2021年に発表した中期経営計画では、自社が保有するデジタル技術と高度なオペレーションを掛け合わせた独自のハイブリッドな DXビジネスを自ら展開していけるDX人財(凸版印刷では社員は財産との考えから、人材を「人財」と記述。)の育成を重点テーマの一つとして掲げています。DX人財の育成により事業変革を推進し、2025年度におけるDX事業の営業利益を全体の3割まで引き上げることを目標とされています。
DX人財の育成を実現させるために、凸版印刷はAmazon Web Service (AWS)のトレーニングを採用し、従業員にクラウド活用のスキルセットを身に付けさせるリスキリングに着手しました。3ヶ月間で延べ1,600人以上の社員(エンジニアおよび非エンジニアの営業・企画・管理部門等の社員)がAWSトレーニングを受講し、DX推進に不可欠なクラウド活用のベーススキルを習得しました。この取り組みで育成された人財の手により、デジタル関連のソリューションを拡充させることにも成功しました。

Toppan Head Office
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トレーニングは手段です。育成された人財が何を成すかが重要であり、その観点で、人財開発センターとDXデザイン事業部の連携した今回の取り組みは、会社の変革の大きな後押しとなりました。

大久保 伸一様
代表取締役副社長執行役員

DX推進におけるAWSトレーニングの必然性

凸版印刷は創業以来、120年以上にわたり印刷テクノロジーを進化させてきました。近年は印刷需要の減少からデジタルビジネスでの印刷テクノロジーの活用を促進しています。「当社では2025年までにDX事業の営業利益割合を全体の30%まで増加させることを目指しています」と語るのは、人事労政本部 人財開発センター 部長の村田誠氏です。「スピーディな新規DX事業の創出と規模の拡大を実現するうえではクラウド利用が必須の条件となるため、人財開発センターとしてはAWSを活用できる人財を早期に育成する必要がありました」
2015年頃から小規模なプロジェクトでAWSのサービスを使い始めて、今では自社工場でのスマートファクトリー化やIoTデータレイク、AI機械学習による外観検査自動化対応に加え、国内外の30社以上のグループ会社で利用する予定のSAPのプラットフォームなど、社内システムの重要なワークロードでAWSが採用されています。また、凸版印刷のエンドユーザ―向けサービス開発においては、年間100を超える新サービスや機能改善がリリースされており、その多くでAWSを採用頂いています。そうしたAWS利用の拡大に伴い、自らのアイデアやお客様のニーズをより効果的にソリューション開発に反映できるようにするために全社員のクラウドスキルを向上させる必要がありました。
2021年に人事労政本部の人財開発センターやDXデザイン事業部などで協議してAWSトレーニングの採用を決定し、人財開発センターが中心となって大規模なAWSトレーニングの展開を行いました。「社内アンケートで今後身に付けたいスキルを調査したところ、AWSに関するスキル習得のニーズが非常に高いことが分かりました。」とDXデザイン事業部 ICT開発センター 開発戦略部 部長の栁田賢祐氏は言います。また「アンケートで把握した自社のニーズに合わせて、体系的な知識を短期間で習得できるように定型トレーニングをカスタマイズして頂けたことも大きな成果に繋がった一因です。」と村田誠氏は言います。

AWSトレーニングにより成長を加速

2021年5月から8月にかけて、エンジニアや非エンジニアの営業・企画・管理部門等の社員及び管理職層を含む延べ1,600人以上の社員がAWSトレーニングを受講しました。社内の各部門にトレーニング受講者を募集したところ、多くの社員が自発的に応募し、想定以上の受講希望者が集まりました。
人財開発センターが中心となり、AWSトレーニングチームと共に自社のDX人財育成方針に合わせる形で大規模なリスキリングに向けた特別プログラムを設計し、社員の各ステージに応じて3つのトレーニングコースを用意しました。「トレーニング実施の際はAWSのトレーナーの方が受講者の理解度に応じて講義のペース配分を調整したり、説明の仕方も分かり易く工夫して頂けたので、非常に有意義な研修となりました。」と人財開発センターの佐々木澪奈氏は言います。
トレーニングコースの提供は、トレーニング対象者の職種やクラウドに関する知識レベル、個人または所属するチームの目標も加味した上で実施されました。非エンジニアやAWS利用未経験者の社員は、AWSクラウドの基礎知識の習得を目的としてカスタマイズされた AWS Cloud Practitioner Essentials コースをウェブ会議システムで受講しました。より理解を深めたい社員にはAWSでのクラウドコンピューティング、ストレージおよびネットワーキングの基礎を学べるAWS Technical Essentials 2(現在、AWS Practical Startup Workshopに名称変更)のコースも提供しました。
AWS利用経験者は、AWSのサービスを使って安全で可用性の高いシステム環境を構築する実践的なコースとしてのArchitecting on AWSを受講しました。各トレーニング受講者全員に対し、研修の成果を確認する場として、AWSの認定資格試験を受験する機会も提供しました。「AWS認定資格試験に際しAWSトレーニングチームからサポート頂いたこともあり、すべてのトレーニング受講者に認定資格試験の受験をチャレンジしてもらうことができました。そうした手厚いサポートにより、AWSトレーニングコースを提供して、たった1年でAWS認定資格取得者数を1,050人にまで増やすことができました」と村田誠氏は言います。トレーニングを受講した社員の満足度は高く、社内アンケートによると、Architecting on AWSの受講者の90%が研修内容に満足したと回答しています。
こうした取り組みにより、社員の間で積極的にクラウドを取り入れて、新規ソリューションを開発する意識が浸透しました。例えば、Architecting on AWSを受講したあるプロジェクトチームは、スクラム開発の方式を取り入れて、AI機械学習による文章校正の自動化サービス「AI校閲・校正支援システム」の開発を加速させることができました。印刷物や商品パッケージの制作において、制作物に表示する文章の記載ミスや誤った表現のチェックに際しては複数の担当者でダブルチェックすることが一般的ですが、非常に非効率で担当者にとって負荷の高い作業となっていました。こうした課題に対し「AI校閲・校正支援システム」は、これまで目視で行っていた印刷物や商品パッケージにおける記載文章の原稿と制作中のデザインデータの整合性チェックや文章校正をAI機械学習により自動化することで、作業負荷を大幅に削減するとともに、ヒューマンエラー防止の両立を可能としました。こうしたユニークなサービス開発は、印刷とデジタルの両面から解決策を導き出せる凸版印刷ならではのアプローチとなっており、習得したクラウドの知識を活用することで、ユーザーの要件を適切に反映しながら、ソリューションが迅速に構築されました。今では金融機関や製薬会社をはじめ、様々な業種でこのサービスの導入が進んでいます。

「AWSの豊富な権限設定機能やセキュリティ制御機能によりセキュアな環境で開発作業を行うことができ、開発工程における管理工数を削減することができました。また、AWSを活用することでスクラム開発の有効性を最大限発揮することができました」と栁田賢祐氏は語っています。システム開発に際しては、アーキテクチャーのベストプラクティスに基づいて設計されたAWS Well-Architected Toolを活用して、AWS上のアプリケーションやワークロードをレビューしました。このToolの活用により、プロジェクトチームはシステム環境の品質を担保し、コストの最適化を効果的に進めることができました。
エンジニアをはじめ非エンジニアの営業・企画・管理部門等の社員にもAWSトレーニングを提供したことで、社内の職種を超えたコミュニケーションも改善することができました。「初級レベルの受講者については、クラウドの基礎知識を習得できたことで、お客様や社内のエンジニアとのクラウドに関する会話に際して不便を感じることがなくなりました。また、Architecting on AWS受講者については、実際のシステム開発のプロジェクトにおいてトレーニングの実践的な知識を活用することで、より迅速な環境構築が可能となりました」と栁田賢祐氏は言います。

継続したクラウドスキルの改善

AWSトレーニングを通じて社員のリスキリングを成功させたことで、凸版印刷は2025年の目標達成に向け着実に前進しています。社員はAWSサービスに関するより深い知識を得たことで、AWSを活用して新しいことにチャレンジしてみようという意識が芽生えています。凸版印刷では、2022年も引き続きAWSトレーニングを社員に提供し、DX事業の拡大に向けた人財育成を推進していきます。
「AWSトレーニングは我々のDX推進の目標達成に際し非常に有効な手段となりました」と栁田賢祐氏は言います。「AWSトレーニング受講とAWS認定資格試験受験の取り組みを通じて、社内外に対し自社がDXを積極的に推進しているというメッセージを発信することができました。引き続きAWSサービスを活用し、お客様の高い期待に応えて参りたいと思います」

大久保 伸一 氏

代表取締役副社長執行役員
大久保 伸一 氏

栁田 賢祐 氏

DXデザイン事業部
ICT開発センター
開発戦略部 部長
栁田 賢祐 氏

村田 誠 氏

人事労政本部
人財開発センター 部長

村田 誠 氏

佐々木 澪奈 氏

人事労政本部
人財開発センター

佐々木 澪奈 氏


カスタマープロフィール:凸版印刷株式会社

資本金:1,049億8,600万円 (2022年3月末現在)
設立:1900年
社員数:連結 54,336名 (2022年3月末現在)
事業内容:印刷テクノロジーをベースに「情報コミュニケーション事業分野」、「生活・産業事業分野」および「エレクトロニクス事業分野」の3分野にわたり幅広い事業活動を展開。

AWS 導入後の効果と今後の展開

  • 延べ1,600人以上の従業員がAWSトレーニングを受講
  • わずか1年間で1,050人の従業員がAWS認定資格を取得
  • AWSトレーニングにより全社的なDX推進を加速
  • クラウドを活用したDX推進により、自社のブランド認知度を向上
  • クラウドスキルの習得により効果的なソリューション開発を推進
  • 部門や職種を超えてコミュニケーションが活発化

ご利用中の主なサービス

AWS トレーニングと認定

デジタルトレーニングとクラスルームトレーニングの両方を提供しています。デジタルトレーニングでは、自分のペースでオンラインで学習できます。クラスルームトレーニングでは、エキスパートのインストラクターからベストプラクティスを学ぶことができます。

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Architecting on AWS

一連のユースケースシナリオと実践的な学習を通して、AWS クラウドで回復力があり、安全で、可用性の高い IT ソリューションを構築するためのサービスや機能を特定する方法を学びます。エキスパート AWS インストラクターは、AWS Well-Architected Framework を使用したベストプラクティスを強調し、実際のシナリオに基づいて、最適な IT ソリューションを設計するプロセスをガイドします。コースの最後には、ソリューションの構築を実践し、学んだことを自信を持って適用することができます。

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AWS Technical Essentials

この入門コースでは、AWS の製品、サービス、および一般的なソリューションについて学習します。受講者は、ビジネス要件に応じて IT ソリューションに関する情報に基づいた判断を行うことができるように、AWS のサービスを特定するための基礎を学びます。

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