メインコンテンツに移動
デベロッパーのためのクラウド活用方法

Amazon EC2 と NICE DCV を使って、 コンテンツ制作環境を構築してみた

2024-07-02 | Author : 濵野 栞

はじめに

みなさん、こんにちは!ソリューションアーキテクトの濵野栞です。

近年、映画やエンターテイメント業界では、コンテンツ制作環境を AWS に移行して、スケーラブルかつ安全に制作を行っています。そこで本記事では、AWS のリソースを使用したコンテンツ制作環境の構築方法をご紹介します。

こちらの環境は、日本最大級のメディア総合イベントである InterBEE 2023 の AWS ブースで展示していたデモとほとんど同じものです。展示ではこの環境に Epic Games 社の Unreal Engine AWS Thinkbox DeadlineAdobe Premiere Pro などを乗せていました。
もちろん制作に他のソフトウェアをお使いの方でも、一度この環境を作成していただいたら、ローカル環境と同じようにインスタンス内で様々なソフトウェアをインストールしてお使いいただけます。

はじめに、どのような環境を構築していくのかご紹介します。


X ポスト » | Facebook シェア » | はてブ »

builders.flash メールメンバー登録

毎月提供されるクラウドレシピのアップデート情報とともに、クレジットコードを受け取ることができます。 
今すぐ特典を受け取る »

1. 構築するアーキテクチャ図の紹介

以下の図は本記事で構築する環境のアーキテクチャ図です。

ご自身の端末にインストールしたリモートディスプレイプロトコルの、 NICE DCV を使用してリモート環境にアクセスし、インスタンス上の動画編集ソフトをお使いいただけます。

大まかな実装の流れは以下の 3 ステップです。

  1. 実行環境の作成と、リモートディスプレイプロトコルの設定

  2. 共有ストレージの設定

  3. ソフトウェアをインストール

なお、このサンプルは東京リージョンを使用して構築していきます。

それでは、実際に環境を作っていきましょう !

アーキテクチャ図

2. リモートデスクトップ環境を作成する

はじめに、NICE DCV Client から Amazon Elastic Compute Cloud (以降、Amazon EC2) へ UDP でアクセスできる環境を作成します。

2-1. Amazon Virtual Private Cloud を作成

まずは、プライベートな仮想ネットワークを Amazon Virtual Private Cloud (以降、VPC) で作成します。

検索欄に「VPC」と入力し、サービス欄にある「VPC」を選択します。

AWSマネジメントコンソールで「vpc」を検索した際に表示されるVPC(独立したクラウドリソース)とAWS Firewall Managerを含むサービス一覧の日本語インターフェース画面を示しています。

VPC を作成

VPC ダッシュボードの左上にある「VPC を作成」を押します。

AWSのVPCダッシュボード画面(日本語UI)で『VPCを作成』ボタンがハイライトされた状態を示すスクリーンショット。

VPC の設定

VPC の作成画面が表示されるので、「VPC など」を選択します。

名前タグの自動生成の欄に任意の名前を入力します。今回は、「content-production」と入力します。

AWSコンソールのVPC設定画面を示す日本語のスクリーンショット。作成するリソースとして「VPCなど」が選択され、自動生成タグに「content-production」と入力されている様子が表示されています。

アベイラビリティゾーンの設定

今回はデモ環境のため、1 つのアベイラビリティゾーンに 1 つのパブリックサブネットを作成していきます。

  • アベイラビリティゾーン(AZ)の数 : 1

  • パブリックサブネットの数 : 1

  • プライベートサブネットの数 : 0

  • NAT ゲートウェイ : なし

  • VPC エンドポイント : なし

設定が完了したら、画面を一番下までスクロールし、「VPC の作成」を押します。

AWSのVPC構成設定画面(日本語)で、アベイラビリティゾーン、パブリック/プライベートサブネット数、NATゲートウェイ、VPCエンドポイントのオプション選択を示したスクリーンショットです。選択値が赤枠で強調されています。

2-2. Amazon EC2 インスタンスを作成

先程作成した VPC の中に Amazon EC2 インスタンスを起動させていきます。

マネジメントコンソールの検索窓から「EC2」と検索し、サービス欄にある EC2 を選択します。

Screenshot of the AWS Management Console in Japanese, displaying the search and selection process for EC2 (クラウド内の仮想サーバー) and related services after entering 'ec2' in the search bar.

インスタンスを起動

左側のサイドバーで「インスタンス」を選択し、「インスタンスを起動」を押します。

AWS管理コンソール(日本語)でEC2インスタンス一覧にインスタンスが存在しない場合の画面。『インスタンス』メニューと『インスタンスを起動』ボタンが強調表示されている。

各種設定

任意の名前を設定します。今回は「Content Production」としました。

Application and OS Images は、クイックスタートの「Windows」を選択します。

Amazon マシンイメージ (AMI) は「Microsoft Windows Server 2022 Base」を選択します。

インスタンスタイプは「g5.2xlarge」を選択します。

g5 インスタンス は NVIDIA GPU ベースインスタンスで、グラフィック集約型のユースケースや機械学習のユースケースに幅広く使用することができます。

今回は g5.2xlarge を選択しましたが、ワークロードに合わせてインスタンスタイプを選択してください。

Screenshot of the AWS EC2 instance launch console in Japanese, highlighting settings for Content Production, Microsoft Windows Server 2022 Base AMI, and g5.2xlarge instance type. Displays instance type options, pricing information, and AMI details in the AWS Management Console.

キーペアの作成

続いて、キーペアの作成を行います。

キーペア名の右側にある「新しいキーペアの作成」を押します。

AWSのインスタンス起動時に表示される、キーペア(ログイン)設定画面のスクリーンショット。日本語インターフェースで「新しいキーペアの作成」リンクが強調表示されている。

キーペア名の設定

キーペアを作成するポップアップが表示されるので、キーペア名を「content production key」と入力します。

他の設定はそのままにして、「キーペアを作成」を押します。

自動的にプライベートキーがダウンロードされるので、安全な場所に保管しておきましょう。

AWSコンソールのキーペア作成画面。『content production key』という名前を入力し、RSAタイプ、および.prem形式を選択する操作例が表示されています。右下には『キーペアを作成』ボタンがあります。

ネットワーク設定

ここから、ネットワーク設定を行います。
設定欄の右にある「編集」を押します。

AWSマネジメントコンソールのネットワーク設定画面に表示されているVPCやサブネット情報(日本語UI)、右上に『編集』ボタンが強調表示されているスクリーンショット。

セキュリティグループルールを作成

VPC は先はど作成した「content-production-vpc」を選択、パブリック IP の自動割り当ては「有効化」を選択、セキュリティブループ名は「content production SG」とします。

説明にも、セキュリティグループの用途がわかるような名前をつけます。ここではセキュリティーグループ名と同じものを入力しています。

インバウンドセキュリティーグループのルールで、インスタンスに NICE DCV を使用した接続と、RDP 接続をすることができるように設定を行います。

タイプを「カスタム TCP」、ポート範囲を「8443」、ソースタイプを「自分の IP」、説明には「TCP for NICE DCV connection」と入力します。

その後、「セキュリティグループルールを追加」を押します。

AWSの日本語コンソール画面で、VPCやサブネット、セキュリティグループ、TCP設定などを含むネットワーク設定画面のスクリーンショットです。NICE DCV接続用にカスタムTCPルールが設定されている例が表示されています。

カスタム UDP の設定

NICE DCV で UDP を使用して高速に接続できるように設定していくため、UDP のポートも開けておきます。また、NICE DCV をインストールする際に RDP を使用するため、ポートを開けておきます。

タイプを「カスタム UDP」、ポート範囲を「8443」、ソースタイプを「自分の IP」、説明には「UDP for NICE DCV connection」と入力します。

タイプを RDP、ソースタイプを自分の IP、説明には「RDP」と入力します。

Screenshot of AWS security group rule settings showing the configuration for UDP port 8443 for NICE DCV connection and TCP port 3389 for RDP, with source type set to 'My IP' in Japanese and English descriptions.

ストレージの設定

最後に、ストレージの設定を行います。

ボリュームサイズを「40GiB」に増やし、ボリュームタイプを「gp3」に変更します。

AWS管理コンソールのストレージ設定画面を示す画像。ルートボリュームとして40 GiBのgp3タイプが選択されている日本語インターフェースの例。

インスタンスを起動

高度な詳細はそのままにして一番下までスクロールし、「インスタンスを起動」を押します。

インスタンスの作成 / 起動には 2 ~ 3 分程掛かりますが、インスタンスの状態が実行中に変わり、ステータスチェックに合格したら作成は完了です。

AWSコンソールの日本語インターフェースで、インスタンスを起動するボタンが強調表示されている画面。『概要』セクション内に『キャンセル』と『インスタンスを起動』ボタンが見える。

2-3. NICE DCV でインスタンスへ接続

NICE DCV Serverをインストールする際に、今回はリモートデスクトップを使用してインスタンスに接続します。

Amazon EC2 インスタンスの画面で、Contents Production のインスタンスにチェックをつけ、「接続」を押します。

AWSマネジメントコンソールでEC2インスタンスの一覧画面(日本語表示)。インスタンスのステータス、インスタンスID、タイプ、接続ボタン、ステータスチェックなどが表示されています。

リモートデスクトップファイルのダウンロード

RDP クライアント」を選択し、リモートデスクトップファイルのダウンロードから RDP ファイルをダウンロードします。

パスワードを取得」を押します。

AWSマネジメントコンソールで、Windowsインスタンスへリモートデスクトップ(RDP)クライアントを使って接続する手順を示す日本語UIのスクリーンショット。RDPショートカットファイルのダウンロードやパスワードの取得方法などがハイライトされています。

Windows パスワードを取得

プライベートキーファイルのアップロードを押して、2-2. で作成したキーペア (content production key.pem) を選択します。

パスワードを複合化を押すとパスワードが表示されるため、コピーしておきます。

macOSを使用してインスタンスへリモートデスクトップ接続を行うためには 専用ソフトのインストール が必要です。

Amazon EC2インスタンスのWindowsパスワード取得画面。プライベートキーファイルのアップロードや貼り付け、パスワードの復号化ボタンなどが表示されている日本語インターフェイスの例。

パスワードを入力

ダウンロードした RDP ファイルを開くと、Password が聞かれるため、コピーしておいたパスワードを貼り付けて「Continue」を押します。
(Windows の方は画面が異なります。)

Screenshot of a dialog box prompting for username and password to connect to an Amazon EC2 remote PC instance, with the 'Continue' button highlighted.

リモートデスクトップ接続成功

こちらのような画面が表示されたらインスタンスへのリモートデスクトップ接続は完了です。

Screenshot of a Windows Server desktop running on an AWS EC2 instance, featuring the default blue Windows wallpaper, desktop shortcuts, and system information overlay including instance type, availability zone, architecture, total memory, and network speed.

NICE DCV のインストール

使用されている PC には NICE DCV Client を、Amazon EC2 インスタンスには NICE DCV Server をインストールします。

ご自身の使用している OS のインストール手順をご確認ください。

  • Windows の NICE DCV Client のインストール手順は こちら

  • macOS の NICE DCV Client のインストール手順は こちら

  • NICE DCV Server のインストール手順は こちら

Screenshot of the NICE DCV download page showing options to download the NICE DCV 2023.1 Client and NICE DCV 2023.1 Server.

2-4. インスタンスへ NVIDIA ドライバーをインストール

NVIDIA 製のグラフィックカードを正常に動作させるには、NVIDIA ドライバーは欠かせません。
NVIDIA GPU が搭載されたインスタンスにはインストールする必要があります。

今回は、3D モデルや高解像度動画などのコンテンツをレンダリングするアプリケーションに最適な GRID ドライバーをインストールします。

詳しいインストール方法は こちら をご覧ください。オプション 3: GRID ドライバー (G5、G4dn、および G3 インスタンス) のみ実行します。

~ ドキュメントの補足 ~

ドキュメントのオプション 3 : 手順 2では、AWS Tools for Powershell の認証に、IAM ユーザーで発行するアクセスキーを指定します。IAMユーザーでアクセスキーを発行していない場合、こちら から使用するユーザー名をクリックし、セキュリティ認証情報の下にあるアクセスキーから作成を行ってください。

AWSのIAMコンソールで、ユーザー「content-production-user」の詳細とセキュリティ認証情報、アクセスキー作成、多要素認証(MFA)設定を管理する日本語表示画面のスクリーンショット。

認証情報を設定

以下のコマンドを実行することで、default として認証情報を設定できます。

powershell

保存した認証情報を確認

以下のコマンドを実行することで、保存した認証情報を確認できます。認証情報を登録できたら、手順 3 のコマンドをコピーして、実行してください。

powershell

パフォーマンスの確認

オプション 3 の手順が完了したら、Windows アイコンを右クリックし、Task Manager を開きます。

More Details」をクリックし、Performance を確認すると、GPU が使用されていることを確認できます。

Screenshot of the Windows Task Manager Performance tab displaying GPU 0 (NVIDIA Tesla T4) activity, utilization, temperature, and memory usage statistics.

2-5. データ転送に QUIC (UDP) が接続されるように設定

NICE DCV では、デフォルトで TCP に基づく Websocket プロトコルがデータの転送に使用されます。さらに低レイテンシの通信を行いたい場合、UDP に基づく QUIC プロトコルを使用するように設定を行うことができます。

詳しい設定方法は こちら をご覧ください。

~ ドキュメントの補足 ~

レジストリエディタを開く際は、タスクバーから検索ボックスをクリックし regedit と入力します。

[enable-quic-frontend] パラメータが見つからない場合は、右クリックしてパラメータの作成を行います。

Screenshot of Windows Registry Editor showing the path for configuring NICE DCV connectivity settings. The context menu to create a new DWORD (32-bit) Value is highlighted under the 'connectivity' key, useful for end-user computing setup and software customization.

設定完了

画像のようにパラメータが表示されたら、設定完了です。

Screenshot of the Windows Registry Editor showing the path to NICE DCV connectivity settings with the 'enable-quic-front-end' REG_DWORD parameter set to 0x00000001 (1). Useful for reference in configuring NICE DCV for end-user computing environments.

NICE DCV を使用して接続する場合

NICE DCV を使用して接続する場合、お使いの PC で NICE DCV Client を開きます。

Hostname or IP. Address に Amazon EC2 インスタンスのパブリック IPv4 アドレスを入力します。

Screenshot of the DCV Viewer application connection prompt, displaying fields for entering a hostname or IP address and a connect button.

ログイン

Username には Administrator と入力し、Password には Amazon EC2 インスタンスの key を複合化した文字列を使用します。(リモートデスクトップ接続を行った時に使用した Password と同じです。)

Login」を押して Windows のデスクトップが開かれたら接続成功です。

Screenshot of the NICE DCV login interface, showing fields for entering administrator credentials and a login button.

3. 共有ストレージを作成する

3-1. AWS Managed Microsoft AD を作成

マネジメントコンソールの検索窓から「Directory Service」と検索し、サービス欄にある Directory Service を選択します。

Screenshot of the AWS Management Console in Japanese showing a search for 'directory Service' with 'Directory Service' and 'Service Catalog' highlighted in the results. The Directory Service entry includes an explanation in Japanese about hosting and managing Active Directory.

ディレクトリのセットアップ

左側のサイドバーで「ディレクトリ」を選択し、「ディレクトリのセットアップ」を押します。

Screenshot of the AWS Directory Service console in Japanese, showing the Active Directory section and prompting to set up a directory. The highlighted buttons indicate where to view directories and where to initiate directory setup.

ディレクトリタイプの選択

ディレクトリタイプはデフォルトの「AWS Managed Microsoft AD」が選択されていることを確認し、「次へ」を押します。

Screenshot of the AWS Directory Service setup interface in Japanese, showing directory type selection options such as AWS Managed Microsoft AD, Simple AD, AD Connector, and Amazon Cognito user pool, with a description of AWS Managed Microsoft AD on the right and step navigation on the left.

ディレクトリ情報を入力

続いてディレクトリ情報を入力します。

今回は「Standard Edition」を選択します。従業員数が 5,000人を超える場合は Enterprise Edition の使用を検討してください。ディレクトリの DNS 名には「contentproduction.com」と入力します。

Admin パスワードは下に書かれている条件に一致した任意の文字列を設定します。設定したパスワードは後ほど使用するため、忘れないようにメモしておきましょう。

設定が完了したら「次へ」を押してください。

Screenshot of the AWS Directory Service setup page in Japanese, showing configuration fields for Microsoft Active Directory domain information, edition selection (Standard or Enterprise), DNS and NetBIOS names, directory description, and admin password entry.

ネットワークの設定

続いて、ネットワークの設定を行います。

VPC は先ほど作成した「content-production-vpc」を選択します。サブネットは最低二つ設定する必要があるので、追加のサブネットを作成します。

新しいサブネットを作成」を押します。

AWS管理コンソールの日本語UIでVPCとサブネットを選択する画面のスクリーンショット。『新しいVPCを作成』『新しいサブネットを作成』等のオプションと、VPCやサブネット選択などのフィールドが強調されている。

サブネットの作成

新しいタブが開かれるので、そこでサブネットの作成を行います。

VPC ID に「content-production-vpc」を選択します。サブネット名には「content-production-subnet-public1-ap-northeast-1c」と入力します。アベイラビリティーゾーンは「ap-northeast-1c」を選択します。IPv4 サブネット CIDR ブロックに「10.0.16.0/20」と入力します。

設定が完了したら「サブネットを作成」を押します。

作成が完了したら、サブネットのタブは閉じて Directory Service の画面へ戻ります。

AWSマネジメントコンソールでVPCのサブネットを作成する日本語の手順画面。VPC ID、サブネット名、アベイラビリティゾーン(ap-northeast-1c)、CIDRブロック(10.0.16.0/20)等が入力された例を示す。

ディレクトリの作成完了

これで、content-production-vpc は二つのサブネットを持っている状態になったため、どちらもサブネットに設定します。

次へ」を押し、確認画面の下の「ディレクトの作成」を押すとディレクトリの作成が行われます。

完了まで 20 分ほど時間がかかるので、ステータスがアクティブになるまでしばらくお待ちください。

AWSコンソールのVPCとサブネットの選択画面のスクリーンショット。VPCと2つのパブリックサブネット(ap-northeast-1aおよびap-northeast-1c)がハイライトされ、「次へ」ボタンが強調表示されている。

3-2. Amazon FSx を作成

準備として、Amazon FSx に使用するセキュリティグループを作成します。

検索欄に「ec2」と入力し、サービス欄にある「EC2」を選択します。

左側のサイドバーで「セキュリティグループ」を選択し、「セキュリティグループを作成」を押します。

AWSマネジメントコンソールで日本語表示のセキュリティグループ管理画面。画面右上に「セキュリティグループを作成」ボタンが強調表示され、リストにはリソースが存在しません。

セキュリティグループを作成

セキュリティグループ名を「content production FSx SG」として、説明にも「content production FSx SG」と入力します。VPC は「content-production-vpc」を選択します。インバウンドルールには、SMB Client と Administrator が使用する 2 つのポートを開放します。

インバウンドルールの「ルールを追加」を押し、タイプをカスタム「TCP」、ポート範囲を「445」、ソースを「Anywhere-IPv4」に設定します。

もう一度、インバウンドルールの「ルールを追加」を押し、タイプをカスタム「TCP」、ポート範囲を「5985」、ソースを「Anywhere-IPv4」に設定します。

設定が完了したら「セキュリティグループを作成」を押します。

AWS EC2コンソール上でセキュリティグループを作成する画面の日本語UIのスクリーンショット。基本情報の入力欄やインバウンドルール(カスタムTCP 445, 5885, ソース Anywhereなど)、アウトバウンドルールの設定、画面下部の「セキュリティグループ作成」ボタンが表示されている。

FSx を開く

検索欄に「fsx」と入力し、サービス欄にある「FSx」を選択します。

Screenshot of the AWS Management Console in Japanese showing a search for 'fsx' and highlighting the FSx service. The service is described as a fully managed service optimized for various workloads.

ファイルシステムを作成

左側のサイドバーで「ファイルシステム」を選択し、「ファイルシステムを作成」を押します。

Amazon FSxの管理コンソールで表示されるファイルシステム一覧と『ファイルシステムを作成』ボタンの日本語インターフェイス画面。

ファイルシステムのタイプを選択

今回は Amazon FSx for Windows ファイルサーバー を使用します。

ファイルストレージサービスの選択に悩まれている方は、こちら のブログを参照してください。

次へ」を押します。

Amazon FSxのファイルシステムを作成する際のタイプ選択画面。画面にはNetApp ONTAP、OpenZFS、Windowsファイルサーバー、Lustreのオプションが表示されており、『Amazon FSx for Windows ファイルサーバー』が選択されている。右下に「次へ」ボタン。

ファイルシステムの詳細を指定

今回は、作成方法に「スタンダート作成」を選択します。

ファイルシステム名に「content-production-storage」と入力します。今回はデモ環境のため、デプロイタイプは「シングル AZ 2」を選択します。

SSDストレージは 100Gib と入力します。VPCは「content-production-vpc」を選択します。VPC セキュリティグループは、先ほど作成した「content production FSx SG」を選択します。サブネットは、「ap-northeast-1a」を選択します。

AWS Managed Microsoft Active Directory には、先ほど作成した「contentproduction.com」を選択します。

次へ」を押し、確認画面の下の「ファイルシステムを作成」を押すと作成が始まります。ステータスが利用可能になるまでしばらくお待ちください。

Amazon FSx ファイルシステムの詳細設定画面を示す日本語のスクリーンショット。標準作成方法、シングルAZタイプ、SSDストレージ、VPCやサブネット、セキュリティグループの選択肢など、ストレージとネットワーク・セキュリティの設定項目が強調表示されている。

3-3. Managed Microsoft AD の ドメイン情報を VPC の DHCP オプションセットに設定

マネジメントコンソールの検索窓から「Directory Service」と検索し、サービス欄にある「Directory Service」を選択します。

作成したディレクトリ ID をクリックします。

ディレクトリの詳細にあるディレクトリの DNS 名とネットワーキングの詳細にある DNS アドレスをコピーしておきます。

AWS Directory ServiceのMicrosoft ADインスタンス管理画面(日本語UI)を示すスクリーンショット。ディレクトリのDNS名やVPC情報、DNSアドレスなどの詳細が表示されている。

VPC を開く

マネジメントコンソールの検索窓から「vpc」と検索し、サービス欄にある「VPC」を選択します。

左側のサイドバーで「DHCP オプションセット」を選択し、「DHCP オプションセットを作成」を押します。

AWS Directory ServiceのMicrosoft ADインスタンス管理画面(日本語UI)を示すスクリーンショット。ディレクトリのDNS名やVPC情報、DNSアドレスなどの詳細が表示されている。

DHCP オプションセットを作成

DHCP オプションセット名には、分かりやすいように先ほどコピーした AWS Managed Microsoft AD のドメイン名を入力します。ドメイン名も同じく、 AWS Managed Microsoft AD のドメイン名を入力します。ドメインネームサーバーには、先ほどコピーした DNS アドレスを入力します。

設定が完了したら「DHCP オプションセットを作成」を押します。

AWSマネジメントコンソールでDHCPオプションセットを作成する日本語画面のスクリーンショット。タグ設定、DHCPオプション(ドメイン名・ネームサーバー・NetBIOS・NTPサーバーなど)の項目や入力例(contentproduction.comなど)、右下に「DHCPオプションセットを作成」ボタンが表示されています。

VPC の設定を編集

左側のサイドバーで「お使いの VPC」を選択し、「content-production-vpc」にチェックを入れます。アクションから 「VPC の設定を編集」を押します。

AWSマネジメントコンソールでVPC(仮想プライベートクラウド)の設定編集方法を示した日本語のスクリーンショット。『お使いのVPC』一覧からVPCを選択し、アクションメニューから『VPCの設定を編集』を選択している様子を表示しています。

DHCP オプションセットを設定

DHCP オプションセットに、作成した content-production.com を選択し、「保存」を押します。

これらの手順によって、VPC 内のリソースが Managed Microsoft AD を利用できるようになりました。

AWSマネジメントコンソールでVPCの設定編集を行う画面。DHCPオプションセットを選択し、『保存』ボタンで設定を確定する日本語インターフェースが表示されている。

3-4. Managed Microsoft AD ドメインへの参加

左側のサイドバーで「Elastic IP」を選択し、「Elastic IP アドレスを割り当てる」を押します。

Screenshot of the AWS Management Console showing the Elastic IP address list in Japanese. The screen displays two public IP addresses with their allocation IDs, types, and relevant columns. A highlighted button for allocating a new Elastic IP address (Elastic IPアドレスを割り当てる) is visible in the top right.

Elastic IP アドレスを割り当てる

ネットワークボーダーグループに ap-northwast-1 が選択されていることを確認し、「割り当て」を押します。

AWSマネジメントコンソールの『Elastic IP アドレスを割り当てる』日本語画面のスクリーンショット。ネットワークボーダーグループの選択や、Elastic IPアドレスの設定オプションが表示されています。

Elastic IP アドレスの関連付け

作成した Elastic IP アドレスにチェックを入れます。

アクションから「Elastic IP アドレスの関連付け」をクリックします。

Screenshot of the AWS Console in Japanese, showing Elastic IP addresses. The screenshot highlights the process of selecting an IP address and opening the 'Actions' menu with the option to associate the Elastic IP address.

インスタンスとプライベート ID アドレスの設定

インスタンスに「Content Production」を選択し、プライベート IP アドレスはサジェストされた IP アドレスを選択します。

関連付ける」を押します。

Amazon EC2のElastic IPアドレス(54.250.127.9)を特定のインスタンス(例: i-01dd833e39d2b1915)およびプライベートIPアドレス(例: 10.0.0.135)に関連付ける日本語の設定画面のスクリーンショットです。

Amazon EC2 に接続

Amazon EC2 に接続し、AWS Managed Microsoft AD のドメインに参加させます。Amazon EC2 のパブリック IPv4 アドレスを変更したため、接続する際に再度確認してください。

接続したら、コントロールパネルを開き、System and Security から「System」を押します。

Screenshot of the Windows Control Panel under 'System and Security' with the 'System' option highlighted. The breadcrumb navigation shows 'Control Panel > System and Security'. The page lists various administrative options including Security and Maintenance, Windows Defender Firewall, Power Options, and Administrative Tools.

Advancesd system settings を開く

下にスクロールし、Related settings の「Advancesd system settings」を押します。

Screenshot of the Windows 10 Settings window displaying the System menu and highlighting 'Advanced system settings' under Related settings on the About page.

Computer Name の変更を開く

Computer Name を開き、「Change」を押します。

Screenshot of the Computer Name tab in the Windows System Properties, showing the computer's full name, domain, and an option to change these settings.

AWS Managed Microsoft AD のドメイン名を入力

Domain に AWS Managed Microsoft AD のドメイン名を入力し、「OK」を押します。

Screenshot of the 'Computer Name/Domain Changes' dialog in Windows System Properties, showing the process of joining a computer to the domain 'contentproduction.com' with the computer name 'EC2AMAZ-U2EVL0U' and the OK button highlighted.

AWS Managed Microsoft AD 作成の際に設定したP assword を入力

Username に「Admin」と入力し、Password に「AWS Managed Microsoft AD 作成の際に設定したPassword」を入力します。

OK」を押します。

Screenshot of a Windows Security dialog for Computer Name/Domain Changes, prompting the user to enter the name and password of an account (showing 'Admin' in the username field and a masked password) to join a domain.

成功 !

画像のようなポップアップが出たら、ドメインへの参加が成功です。

表示に従って「OK」を数回押して、再起動が促されたらそのまま「Restart Now」をクリックします。

A dialog box showing a message titled 'Computer Name/Domain Changes' with text welcoming the user to the contentproduction.com domain, and an OK button.

3-5. Amazon FSx と接続

マネジメントコンソールの検索窓から「fsx」と検索し、サービス欄にある「FSx」を選択します。

Amazon FSx ファイルシステムの概要画面を日本語のAWSマネジメントコンソールで表示したスクリーンショット。ストレージタイプ、容量、IOPS、スループット、ファイルシステムIDなどの詳細情報が表示されている。

ファイルシステムのアタッチ

左側のサイドバーで「ファイルシステム」を選択し、作成した「ファイルシステム ID」を押します。

右上の「アタッチ」をクリックして、アタッチ手順 - デフォルトの DNS 名を使用の下にあるコマンドをコピーします。

再度 Amazon EC2 に接続し、PowerShell を開きます。PowerShell にコマンドを貼り付けて実行します。

Usernameを聞かれるため、「Admin@AWS Managed Microsoft AD のドメイン名」を入力します。Password は AD を作成した時に設定したパスワードを使用します。

ログインが成功したら、接続完了です。

AWSのウィンドウズインスタンス(EC2, WorkSpaces, VMware Cloud on AWS)でファイルシステムをアタッチする手順を説明した日本語ガイドのスクリーンショット。コマンドプロンプトでの操作手順も記載されています。

共有フォルダの確認

File Explorer を開いて、Network locations に共有フォルダがあるかを確認してください。

Screenshot of the Windows File Explorer displaying system folders, drives, and a mapped network location named 'share' under 'This PC' with the network path partially obscured.

4. ソフトウェアをインストールする

Amazon EC2 に接続した状態でブラウザを開き、DaVinci Resolve のダウンロードサイト にアクセスします。

今すぐダウンロード」をクリックします。

※「DaVinci Resolve」は、Blackmagic Design Pty Ltd の商標または登録商標です。 

Banner in Japanese promoting DaVinci Resolve 19, highlighting its professional editing, color, effect, and audio post-production features, with options to download or purchase online.

ソフトウェアダウンロード

種類や OS を選択するポップアップが表示されるので、DaVinci Resolve の「Windows x86」をクリックします。

左の DaVinci Resolve は無料版で、右側の DaVinci Resolve Studio は有料版です。

個人情報の登録が必要になるので、ご自身が所属する会社のポリシーを確認し問題なければ、必要事項を入力した後、「登録 & ダウンロード」を押します。

Screenshot of the DaVinci Resolve download page showing options for DaVinci Resolve 19 Public Beta, DaVinci Resolve Studio 19 Public Beta, DaVinci Resolve 18.6, and DaVinci Resolve Studio 18.6 in Japanese, with download buttons for Mac OS X, Windows x86, Windows ARM, and Linux.

インストール

ダウンロードした zip フォルダを解凍し、exe ファイルをダブルクリックします。

ダブルクリックすると図のような画面ができるので、「Install」をクリックします。

ここからは画面の表示に合わせて、「Next」をクリック、使用許諾契約書の同意を行ってインストールを行います。

インストールを完了するために、再起動を求められるため「はい」をクリックして再度インスタンスへ接続してください。

Screenshot of the DaVinci Resolve Installer setup window showing the required components for installation on Windows Server 10 (x64), including Visual C++ redistributables, DaVinci Control Panels, Blackmagic RAW Player, Fairlight Audio Accelerator Utility, and DaVinci Resolve 19.0.0b.0033, with the Install and Close buttons visible.

インストール完了

インスタンスへ接続して、DaVinci Resolve を開くと初期セットアップを行う必要があります。設定していただくか、スキップすることで図のような編集画面が開けます。

これで DaVinci Resolve インストールが完了しました。

Screenshot of the DaVinci Resolve 19 video editing software showing an untitled project with no clips in the media pool. The main editing timeline and menu options are visible, and the software is running on a Windows desktop.

5. リソースの削除

これで環境構築は完了となります。最後に、料金が発生するリソースの削除方法をご紹介します。

  1. Amazon FSx for Windows ファイルサーバー のファイルシステムを削除

  2. AWS Managed Microsoft AD を削除

  3. Amazon EC2 インスタンスを終了

  4. VPC を削除

6. まとめ

最後までご覧いただきありがとうございました。
今回はクラウドのリソースを使って、コンテンツ制作環境を構築していただく手順をご紹介しました。

編集ソフトだけでなく、DCC (Digital Content Creation) ツールをインストールしてクラウド上でレンダリングを行うことも可能です。また、レンダーファームの管理や作成を行うことができる AWS Deadline Cloud というサービスも一般提供を開始しました。

ぜひ、ご自身の環境で構築して操作感を試していただければ幸いです。

筆者プロフィール

濵野 栞 (Shiori Hamano)
アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社
ソリューションアーキテクト

主にメディア業界のお客様に対して技術支援を行っています。
プライベートでは体を動かすことが好きで、富士山登頂を目指しています!

A professional portrait of a young Asian woman with long dark hair, wearing a light-colored blazer and a white blouse, set against a plain black background.