教育機関のためのAWS

クラウドは教育現場での活動を加速させ、効率化させます。
このページでは教育機関における AWS の取り組みをご紹介します。

文部科学省が目指すデータを最大限に活用する新世代の学習環境

教材のデジタル化から教育の変革へと導くクラウド型共通基盤「MEXCBT」


教材のデジタル化から本格的な教育DXへ

近年、政府が推進する「教育DX」が注目されています。単に従来の教材をデジタル化するのではなく、デジタル技術を活用して学習の手法や教職員の業務やプロセス、学校という組織や文化を革新し、時代に即した教育を確立することです。

日本の教育DXについて、文部科学省 総合教育政策局 主任教育企画調整官 兼 教育DX推進室長を務める桐生氏は「一般的な DX と同様に、大きく3つのステップで取り組む計画です。第1段階は教材等のデジタル(電子)化によって効率的・効果的な学習を目指す『デジタイゼーション』、第2段階は ICT/データを活用することで指導・教育行政の改善や最適化を図る『デジタライゼーション』、そして第3段階が学習モデル構造などが質的に変革して新しい価値を創出する『デジタルトランスフォーメーション』です」と説明します。

タブレットPCを操作する小学生

第1段階の電子化は、2019 年にスタートしたGIGAスクール構想によって端末の整備から進められています。現在では全国の公立小中学校のほぼ 100 %に端末が配布され、デジタル教科書を活用した授業も実現しています。現状は紙の教材を電子化したものが多いですが、動画・音声やインタラクティブ性を生かした教材も増えていくことでしょう。
さらに、教育データを活用した効果的な手法や個別最適化された方針など、第2段階での取り組みや将来像についての検討も進められています。その一環としてデジタル庁・総務省・文部科学省・経済産業省の4省庁は 2022 年 1 月、『教育データ利活用ロードマップ』を公開しました。「私たちは、教育DXの第3段階を見すえて、第2段階のデジタライゼーションの具体化を検討したり、実際の取り組みを推進したりしています。教育データ利活用ロードマップでは、教育データをフル活用して学習の最適化を図るなど、第2段階から第3段階にかけての“学校像”を描いています」と、桐生崇氏は述べています。
教育DXを成した教育現場では、子どもたちや教育環境の全体を俯瞰し、動的に把握できるようになるでしょう。分断・属人化していた教育知識は、デジタルデータとして共有することで集合知へ昇華されます。教育データの解析によって、個人の好みや認知特性に最適化された教育アプローチを採用できるかもしれません。データ解析が進めば、これまで後手に回っていた学校内のトラブルを未然に防止できるような未来も考えられます。こうした学校像を目指し、文部科学省では、3つの柱を中心に取り組みを推進しています。まず「教育データの標準化」、データの意味やことばを定義して、共通的に使えるようにするものです。

2つ目は「共通のツール」です。「ICT/データを活用する教育基盤は、学校や自治体が個々に苦労して作るのではなく、県や国という大きな単位で共通のプラットフォームを作ったほうがよりよいものもあります。この基盤の上に、学校や自治体の特長を生かした創意工夫を積み上げられるような構造が望ましいと考えています」(桐生氏)3つ目の柱は、教育データの分析・研究を実施し、学校や行政の現場で役に立つ知見として還元する取り組みです。

2つ目の柱としてあげられた“共通プラットフォーム”として、文部科学省で開発・運用されているシステムが「文部科学省CBTシステム(MEXCBT:メクビット)」です。ここではMEXCBTの意義や特長、同省がインフラとしてクラウドサービスを選択したポイントなどについて、詳しく解説しましょう。

より柔軟で効率的な学力調査を可能にするCBT

「CBT(Computer Based Testing)」とは、従来のペーパーテストを示すPBT(Paper Based Testing:筆記型調査)に対し、コンピュータを使用した学力調査を行う仕組みのことを示し、国際的にも普及しつつあります。
動画や音声を扱うことができ、インタラクティブで試行錯誤も可能という CBT の特性を生かし、ペーパーテストでは困難だった思考力や問題発見・解決能力の測定を実現できます。

Smart looking Asian preteen boy sit crossed legs, holding pen against his lips, thinking and looking at computer laptop at home due to Covid-19 pandemic and social distancing measures

またアダプティブな出題 ── 前問を正解した場合と不正解だった場合で次の問題を分けるなど ── によって、限られた設問数で調査精度を高めることも可能です。学力測定の時間を短縮し、その後の学習支援にリソースを配分できるというメリットがあります。「運用面の効果も大きいと考えています。自動採点技術で結果を迅速に返却できますし、操作ログなどと組み合わせれば回答のつまずきなど多角的な分析も可能となります。テストの実施にかかる業務負担や経費の削減にも貢献します。特別な支援が必要な児童生徒に対して、紙では難しい多様な対応ができる点もメリットです。さらに問題を蓄積して共有することで、教職員の作問にかかる労力を大幅に軽減できます」(桐生氏)こうした CBT の大きなメリットに加えて、新型コロナウイルス感染症の蔓延が文部科学省による取り組みを加速しました。GIGAスクール構想によって1人1台端末は実現しつつありましたが、期末試験などをリモートで実施することはできなかったのです。日本の CBT は、共通基盤として国単位で構築したほうが効果的であるとの判断もあり、2020 年度から文部科学省CBTシステム(MEXCBT)の開発が進められています。

さまざまな教育システム/データが連携する世界へ

2022 年現在、MEXCBT には全国学力調査の問題や自治体特有の学力調査で作成された問題など約 2 万 5,000 題が登録されており、希望する全国の学校が自由に活用することができます。ペーパーテストの問題を電子化したものに加えて、国立教育政策研究所などが作成した動画などを活用した“ CBT ならでは問題”も搭載されており、活用が可能です。更に利便性の高まる新たなシステムも、順次追加されていく計画です。例えば、理化学研究所 革新知能統合研究センターと共同で開発している機械学習技術を活用した「記述式自動採点システム」などが準備中です。

学校や児童生徒が MEXCBT を利用するには、民間事業者等が提供する「学習eポータル」を利用します。MEXCBT は国有のシステムですから、個人情報・個人データを取り扱わず、学習eポータル側に個人データ等の管理を任せる仕組みを採っています。学習eポータルは国際標準規格に則った汎用的な仕組みとして構成されているため、転校などでベンダーを変更しても同様に利用し続けることができます。今後は学習eポータルと新しいデジタル教材との連携も計画されており、将来的な学習の中核となることが期待されています。
2021 年 12 月から全国の小中高等学校から希望を募り、本格的な活用がスタートしました。2022 年 8 月現在で、約 13,000 校・400 万人が登録しています。授業中や放課後、家庭学習などでも活用され、児童生徒の意欲喚起や業務効率の向上も効果として報告されています。

クラウド技術なしでは実現できない教育DX

文部科学省では、MEXCBT のインフラとしてクラウドサービス ──アマゾンウェブサービス(AWS)を活用しています。
「MEXCBT と学習eポータルを中核にさまざまな支援システムや教育データが連携する世界を、クラウド技術なしで創ることはできません。いずれか固有の閉じたシステムでは、このような広範に連携する仕組みを構成することは不可能です。クラウドサービスを活用しなければ、教育DXを第2段階移行に進めることは難しいと考えています」と、桐生氏は述べています。

MEXCBT は、基本的にいつでも利用できる 24 時間・365 日のサービスとして展開されています。しかも教育データが確実に管理され、安心して利用できなければなりません。可用性・安全性の高いインフラを選ぶことも重要な視点でした。また桐生氏は教育データのさらなる活用 ── 教育工学(ラーニングアナリティクス)の視点でも、最先端技術を応用できるクラウドサービスは不可欠だったと振り返ります。
「MEXCBTや学習eポータルなどは、安全性が重要な要素であり、確実に実装していく必要があります。クラウドはメリットが大きく、漠然と“不安だから使わない”と判断するのはもったいないことであり、皆さんが安心して利用できるように、どのような留意点があるのか、何に注意すればよいのかなどをしっかりとまとめて、教育DXを推進していきたいと考えています」(桐生氏)


文部科学省 総合教育政策局
主任教育企画調整官 兼 教育DX推進室長

桐生 崇 氏

教育機関における『最新のクラウド活用事例』

校務支援システム

校務システムの標準化により教員の負担軽減と災害対策を両立

株式会社 システム ディ

岩手県全市町村の校務システムを標準化し、教員の負担を軽減しました。
生まれた時間でさらに質の高い教育教育の拡充を目指しています。

授業支援クラウド

協働的な学習環境を教育現場に提供

株式会社 LoiLo

IT 活用の不得手な先生でも簡単に利用ができ、児童・生徒と双方向に学習を進められる、アプリケーション開発のプラットフォームに AWS が採用されました。

デジタル人材育成

生徒自ら複数のシステムを短期構築

学校法人 西大和学園
西大和学園中学校・高等学校

文化祭で生徒自ら AWS を活用しホームページや動画配信、3DCG など複数システムを短期間で実現しました。

デジタル人材育成

全国の中高生が“学び”に没頭できる環境を AWS で実現

ライフイズテック株式会社

全国の教育現場が教員側の準備や IT の整備に時間を削られることなく、子どもたちの“学び”そのものに集中できる環境づくりに取り組んでいます。

コスト最適化

インフラコストの妥当性を明確化

Classi株式会社

Classi は 2023 年の 2 月に CFM を依頼、このレポートによって、新たなコスト削減の余地はわずか 1% であるということが判明しました。

コスト最適化

クラウド活用の効率化でインフラコストを削減

atama plus 株式会社

AWS への移行によって約 4 割のコスト削減が実現。使用していないリソースを削除するなど、コスト効率を考えた最適化ができるようになりました

カオスマップ

AWS を活用したICT 教育 / 教育機関向けサービス

ICT教育/教育機関向けサービス 一覧

AWS を活用頂いている ICT 教育 / 教育機関向けサービス一覧です。

もっと知りたいクラウド

  • ウェビナー
  • ウェビナー準備中

    ウェビナーの開催が決まりましたら、こちらでお知らせいたします。

  • ウェビナーアーカイブ
  • 2023 年 7 月 13 日開催

    【学校・教育委員会向け】

    探究学習・プログラミング教育の授業実践

    新学習指導要領で新たに始まった探究学習やプログラミング教育について、どのように取り組むべきか模索されていらっしゃる先生方も多いのではないでしょうか。
    本セミナーでは、関西大学 黒上晴夫教授に探究学習やプログラミング教育の進め方についてご講演いただくと共に、EdTechソリューションを活用した授業実践を先生方にご発表いただきます。
    皆さまが今まさに直面している課題解決のヒントとして、是非、この機会を今後の情報収集にお役立てください。

    16時 / 19時 スタートの2つをご用意しております。ご都合のよろしい時間でぜひご参加ください。

    後援:株式会社教育新聞社

    ご視聴はこちら »

    2022 年 11 月 11 日 録画版

    【学校機関・教育委員会向け】生徒の成長につなげる教育データ利活用の先進事例

    ※本動画は 2022 年 11 月 11 日に開催されたウェビナーの録画です。
    本セッションでは、2015 年という早い段階から生徒への端末導入を進め、データ・ID の散在や先生の負荷増大など、多くの課題に直面されていた郁文館夢学園様が、どのようなアプローチで課題を解決し、現在のような生徒 1 人 1 人の教育オーダーメードを実現されたのか、具体的な事例をご講演いただきます。
    またキヤノンITソリューションズ 様から郁文館夢学園様のデジタルキャンパス化構想の実現に向けて、これまで大学向けで培ったノウハウを活かし、独自に開発した「in Campus 」の具体的なサービスやメリットのご紹介いただきます。
    セッションの後半には AWS のサービスを活用したスタディログ分析や教育現場のちょっとした業務効率化に活用いただけるサービスについて、デモを交えてご紹介いたします。

    ご視聴はこちら »

    2022 年 7 月 20 日 録画版

    教育情報セキュリティポリシーガイドライン改訂から読み解くクラウド化

    ※本動画は 2022 年 7 月 20 日に開催されたウェビナーの録画です。
    教育情報セキュリティポリシーに関するガイドラインの改訂に伴い、「目指すべき構成」として「ネットワーク分離を必要としない構成」や「クラウドサービスの利活用」等の方向性が示されている一方で、既存の構成から改訂版ガイドラインが示す方針に対応するため何から取り組めば良いか、わかりにくい点が多いのではないでしょうか?
    本セッションでは、教育情報セキュリティポリシーガイドライン改訂の背景やポイントを踏まえ、今後とる べき方針についてご紹介すると共に、クラウドの特性である「従量課金」「回線」についてもポイントを絞って解説いたします。

    ご視聴はこちら »
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