Amazon Web Services ブログ
週刊AWS – 2024/5/6週
みなさん、こんにちは。ソリューションアーキテクトの杉山です。
今週も 週刊AWS をお届けします。
What’s New にお知らせが無く先週の 週刊AWS で紹介が出来なかったのですが、注目度が高いため冒頭に紹介させてください。Amazon Bedrock 関連の 3 機能が東京リージョンで提供を開始しました。RAG 機能の実装を支援する Knowledge bases for Amazon Bedrock、幅広いユースケースや複雑なタスクの実行をサポートする Agents for Amazon Bedrock、責任ある AI のためにセーフガードの仕組みを導入できる Guardrails for Amazon Bedrock の 3 つが提供されています。生成 AI でより本格的で複雑なことを実現しようと思った際に、これらの機能を使って実現の手間を低減できます。ぜひ東京リージョンでもご利用ください。
それでは、先週の主なアップデートについて振り返っていきましょう。
2024年5月6日週の主要なアップデート
- 5/6(月)
- AWS Amplify Gen 2 is now generally available
AWS Amplify Gen 2 の一般提供を開始しました。Gen 2 は、コードファーストの開発体験がコンセプトとなっており、フロントエンドエンジニアが利用する TypeScript 言語をそのまま活用して、認証バックエンド、データバックエンド、ストレージバックエンドなどの構成を表現し、構築が出来ます。元々の Gen 1 Amplify ではバックエンド環境を構築するときに、Amplify CLI を利用して構築しており、使い方の学習や、実現できる内容を理解するハードルがありました。Gen 2 は、TypeScript でコードを基にバックエンドを表現できるようになり、IDE 上の IntelliSense 自動補完機能を活用しながら、プログラマに馴染みのある手法で開発がやりやすくなりました。新たに Amplify を利用する場合は、Gen 2 の利用をおすすめします。Gen 1 を利用している場合は、Gen 2 へ移行ツールが、今後利用できる予定となっています。それまでは、引き続き現在の Gen 1 をご利用ください。詳細はこちらのブログを参照ください。Gen2 と Gen1 の機能比較は、こちらの Document を参照ください。 - Amazon RDS for Oracle now supports April 2024 Release Update
Amazon RDS for Oracle で、19c、21c を対象にした 2024 年 4 月のリリースアップデート (RU) を提供しました。パッチ適用やバグ修正などが盛り込まれております。リリースアップデートの詳細は、RDS for Oracle のリリースノートをご覧ください。自動マイナーバージョンアップグレード (AmVU) オプションが有効になっている場合、お客様の DB インスタンスは、6〜8週間で最新の四半期 RU にアップグレードされます。これらのアップグレードはメンテナンスウィンドウ中に行われます。
- AWS Amplify Gen 2 is now generally available
- 5/7(火)
- Announcing Amazon Bedrock Studio preview
Amazon Bedrock Studio のプレビューを開始しました。Bedrock Studio は Knowledge Bases、Agents、Guardrails なども活用しながら、Generative AI のプロトタイプを開発するウェブベースの開発環境です。生成 AI アプリケーションの開発スピードを加速できるメリットがあります。Knowledge Bases や Agents を活用して、会社内のデータや外部の API と連携しながら生成 AI を利用する環境をすぐに構築し、使い勝手を確かめながら導入効果の測定などにご活用いただけます。また、会社の ID 認証基盤 (例 : Microsoft Entra ID, Google Workspace など) を使って Bedrock Studio へアクセスを提供でき、AWS マネジメントコンソールへ権限付与なしにご利用いただけるため、組織内の展開がやりやすくなる仕組みがあります。詳細はこちらのブログを参照ください。 - Agents for Amazon Bedrock now supports Provisioned Throughput pricing model
Agents for Amazon Bedrock で Provisioned Throughput のサポートを開始しました。Provisioned Throughput は、トークンを処理するリソースを事前に準備することで、一定の保証されたスループットを提供するものです。通常のオンデマンド利用の際には、決められた上限が設定されており、使い方によってはスロットリングエラーが発生する場合があります。今回発表した Provisioned Throughput を使うことで事前に必要なリソースが確保でき、エラーの発生を抑えることが可能になります。料金の詳細はこちらを参照ください。 - Amazon Titan Text Premier is now available in Amazon Bedrock
Amazon Bedrock で、新たに Amazon Titan Text Premier モデルを提供開始しました。Amazon Titan Text Premier は、高度で高性能、かつコストパフォーマンスに優れた LLM で、エンタープライズグレードのテキスト生成アプリケーションに最適な性能を発揮するよう設計されています。個人的に注目しているのが、高性能なモデルに加えて Token あたりのコストが安価な点です。1,000 input token あたり$0.0005、1,000 output token あたり $0.0015 となっており、比較的安価な料金帯となっています。現在のところ、日本語は明確なサポートとしては含まれておりませんが、「日本語で回答して」といったリクエストを行うと、日本語の回答が得られることもありました。バージニア北部リージョンでご利用いただけます。ベンチマーク結果や利用方法を含めた詳細はこちらのブログを参照ください。 - Announcing a larger instance bundle for Amazon Lightsail
Amazon Lightsail で、16 vCPU と 64 GB メモリの大きなインスタンスバンドルが新たに提供されるようになりました。高性能インスタンスバンドルは、大きな負荷の増加に対処できる能力が必要な一般的なワークロードに最適です。この新しいバンドルを使えば、ウェブおよびアプリケーションサーバー、大規模データベース、仮想デスクトップ、バッチ処理、エンタープライズアプリケーションなどを実行できます。Linux オペレーティングシステム (OS) で利用可能です。Windows ベースのものは提供していません。
- Announcing Amazon Bedrock Studio preview
- 5/8(水)
- Amazon SageMaker now integrates with Amazon DataZone to help unify governance across data and ML assets
Amazon SageMaker と Amazon DataZone の統合が提供されるようになりました。DataZone は、組織内に存在するデータの意味を解説する管理機能、検索を行い欲しいデータを探索するデータカタログ機能、セキュリティを意識したデータ共有機能などがあります。アップデートで、SageMaker Studio の画面から DataZone 上で管理されているデータを検索し利用する機能が追加されました。機械学習エンジニアがデータを使ってモデルを作成していく際に、どんなデータが組織内に存在しているか簡単に把握できるようになり、試行錯誤に伴うデータ探索の時間を削減できるようになりました。また、機会学習エンジニアが作成したモデルや特徴量データをカタログに公開することもできるようになり、作成した成果物を組織内に共有し、互いのコラボレーションがやりやすくなる機能があります。詳細はこちらのブログをご参照ください。 - New Generative Engine with three synthetic English Polly voices
テキストデータから音声を合成する際に利用できる Amazon Polly で、表現力豊な 3 つの Generative エンジンを追加しました。今回のアップデートで、アメリカ英語音声としてルースとマシュー、イギリス英語音声としてエイミーが追加されました。AWS マネジメントコンソールで簡単に試してみると、英語のアクセントなどがとてもネイティブ感があり、クリアなサウンドに聞こえました (聞き分けられるほどの英語スキルはないですが…)。新しい 3 音声は、バージニア北部リージョンでご利用いただけます。
- Amazon SageMaker now integrates with Amazon DataZone to help unify governance across data and ML assets
- 5/9(木)
- Amazon Cognito introduces tiered pricing for machine-to-machine (M2M) usage
Amazon Cognito で、マシン間認証 (Machine-to-Machine) の価格設定を導入しました。従来あるユーザーベースの価格設定は、変更ありません。マシン間認証とは、ユーザー (人間) による操作ではなく、システム間やアプリケーション間の認証連携の際に適用されるものです。具体的には、Amazon Cognito でアプリクライアントのクレデンシャルを発行し、それを連携したいシステム側で利用することで、新しい料金体系が適用されます。新しい料金体系は、アプリクライアントごとの毎月課金と、アクセストークンの発行数による従量課金となります。詳細はこちらの「Machine-to-machine authorization」タブをご確認ください。 - Amazon QuickSight launches SPICE capacity auto-purchase API
Amazon QuickSight で SPICE 容量の自動購入 API を新たに追加しました。以前は、QuickSight のウェブコンソール画面から、SPICE 自動購入を手動で ON にする作業が必要でした。この API 追加によって、AWS SDK や AWS CLI などを使ってプログラム側から自動的に自動購入を ON に指定できるようになり、シームレスな環境作成が実現できます。
- Amazon Cognito introduces tiered pricing for machine-to-machine (M2M) usage
- 5/10(金)
- Amazon RDS for PostgreSQL supports pgvector 0.7.0
Amazon RDS for PostgreSQL で、データベースにベクトルデータを保存する用途などに利用できる pgvector 0.7.0 をサポートしました。pgvector 0.7.0 では、新たにベクトルデータを保存するためのデータ型として、halfvec が追加されました。これは、いままで 32 ビットでベクトルデータを保存していたことに対して、半分の 16 ビットで保存できるようになり、データキャッシュなどを行う際のメモリ使用量を半分でき、コストパフォーマンスを改善できるうれしさがあります。また、halfvec は新たにベクトルデータを格納する際の index build time を早くできる特性をもっており、より高速な利用を期待できます。生成 AI の Embedding や、自然言語処理、画像認識などの分野で役立つアップデートとなります。利用できるバージョンの制限があり、PostgreSQL 16.3、15.7、14.12、13.15、12.19 のバージョンで実行可能です。
- Amazon RDS for PostgreSQL supports pgvector 0.7.0
2024 年度の AWS Summit Japan が 6 月 20 日(木)、21 日(金)に開催されます。事前登録サイトが公開されたため、ぜひ忘れないうちに登録とカレンダーの予約をお願いします。基調講演、150 を越えるセッション、250 を越える EXPO コンテンツが体験できます。また、QuizKnock が AWS Summit 内で、クイズ大会やミニステージに登壇していただける予定になっております。こちらもぜひお立ち寄りください。
それでは、また来週お会いしましょう!
ソリューションアーキテクト 杉山 卓 (twitter – @sugimount)