Amazon Web Services ブログ
週刊生成AI with AWS – 2024/6/24週
みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。
Amazon Bedrockでは様々な基盤モデルを選択して利用することができ、新しいモデルが登場したらそれに乗り換えることも容易です。様々なモデルが用意されていますが、Amazon Bedrockでは利用できない、用途に特化したモデルを利用したいという場合もあるでしょう。その場合はAmazon SageMakerが提供する推論エンドポイントの機能を利用するのがベストな選択肢となります。こういったユースケースでよく目にするのが「日本語に特化したモデルを使いたい」というもので、SageMakerでも容易に利用できるモデルが日々登場しつつあります。
- Amazon SageMaker JumpStart で ELYZA の日本語 LLM をワンクリックデプロイ
- AWS Marketplace に初掲載の日本語 LLM ! オルツの LHTM-OPT を利用する手順解説
これらの記事は、ELYZA株式会社さんと株式会社オルツさんの、日本語に特化したモデルを紹介するものです。いずれもSageMakerにデプロイする事で容易に利用できますので、ぜひ一度紹介記事を眺めてみてください。「こんなパターンもあるんだ」という気づきになると思います。
それでは、6 月 24 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。
さまざまなニュース
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- AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社サルソニード様、生成AIで法律関係オウンドメディアの記事作成を効率化
株式会社サルソニード様は、Webマーケティングのワンストップソリューションを提供していらっしゃいます。サルソニード様のマーケターの方は、マーケティング業務だけでなく記事の執筆やWebサイトの制作も担当していますが、業務拡大に増員が追いつかずリソース不足の状況が発生していました。これを解決するために生成AIによる業務効率化基盤の構築を検討していましたが、1名のエンジニアで社内システムや外部向けサービスの開発・運用を実施しており、業務効率化基盤の開発に手を付けることが困難でした。この2つの問題を解決するために、AWSのGenU(Generative AI Use Cases JP)を利用し、Amazon BedrockとAmazon KendraによるRAGチャット環境を構築することとしました。これによって記事のリライト時間を70%削減し、マーケターの方がマーケティング業務に注力できるようになったとともに、会社公認の生成AIツールを提供する事でシャドーITの利用を防止することに成功しています。 - AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社ココペリ様、ビジネスマッチングのためのニーズ認識に生成AIを適用
株式会社ココペリ様は、中小企業DX支援プラットフォーム「Big Advance」を提供していらっしゃいます。Big Advanceでは様々な機能を提供していますが、そのひとつに企業同士のビジネスマッチング機能があります。ビジネスマッチングにはどういった需要があるかを示す「ニーズ」を作成することが必要ですが、それを容易にするために生成AIによる自動生成機能の導入を考え、検証を開始しました。Big Advanceに登録された企業情報やWebページなどを入力データとし、Amazon Bedrockを介したAnthropic Claude 2.1によるニーズ生成を行う作戦です。その結果、テストケースの97.9%が利用可能な出力であることを社内の評価で確認しています。現在この機能は社内利用を開始しているとのことですが、ワークフローを洗練させたうえでプロダクトへの機能実装を計画しているそうです。ココペリ様は、生成AIのユースケース策定にAWSのML Enablement Workshopをご活用いただきました。このワークショップはプロダクトにAI/MLを適用し価値を高めるためのユースケースを特定し、ロードマップの策定を支援するものです。コンテンツは公開されていますので、ぜひご覧ください。 - ブログ記事「Amazon Bedrockによる予知保全の強化」を公開
AWS IoT SiteWise、Amazon Lookout for Equipment、Amazon Bedrockを組み合わせて産業機器の予知保全業務を高度化する方法の一例を紹介するブログ記事を公開しました。この例では、AWS IoT SiteWiseで設備からのデータ収集と可視化を、Amazon Lookout for Equipmentで異常の検知を、Amazon Bedrockで作業者へのガイドを提供するという使い方をしています。機器の保守・保全の効率化は社会の様々な場所で課題になっていますので、その解決のヒントになるのではないでしょうか。 - ブログ記事「【開催報告】生成 AI で教育を加速 ! 最新トレンドと実践ガイド(2024/05/29)」を公開
AWSでは5/29に「生成AIで教育を加速!最新トレンドと実践ガイド」というウェブセミナーを開催しました。教育分野では、生成AIの活用方法に関する疑問や、導入障壁をどう乗り越えるかが課題になっており、そこにフォーカスしたコンテンツになっています。動画や資料へのリンクもありますのでぜひご覧ください。
- AWS生成AI国内事例ブログ: 株式会社サルソニード様、生成AIで法律関係オウンドメディアの記事作成を効率化
サービスアップデート
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- Amazon Q in Connectがリアルタイムに順を追ったガイドを提供可能に
Amazon Q in Connectで、オペレータの方に対して順を追った(ステップバイステップの)ガイドをリアルタイムで生成できるようになりました。お客様とのリアルタイムの会話に基づいて意図を理解し、ガイドを提供する事で顧客対応の時間短縮や品質向上が期待できます。 - Knowledge Bases for Amazon Bedrockで可観測性を向上させるログを取得可能に
フルマネージドなRAG(Retrieval-Augmented Generation, 検索拡張生成)機能を提供するKnowledge Bases for Amazon Bedrockでドキュメント取り込みに関する可観測性を向上させるログ情報を出力できるようになりました。RAGの基本的なアイデアとしては、データベースに社内ドキュメントなどの知識の源となる情報を取り込んでおき、生成AIの応答時にそれを活用するというものです。従って、データベースに情報が取り込まれているかどうかは重要なポイントになりますが、これまでは全体的な統計情報だけが参照できましたが、Retrieve APIとRetrieveAndGenerate APIを利用することで、ドキュメントがいつ取り込まれ利用可能になるかを取得し、明確に判断が行えるようになります。 - Amazon BedrockでAI21 LabのJamba-Instructモデルが利用可能に
Amazon Bedrockにおける基盤モデルの選択肢がさらに拡充され、AI21 LabのJamba-Instructをご利用頂けるようになりました。このモデルはユーザからの指示に適切に対応することに最適化されており、自由な対話に基づいて文脈を理解し、その指示に従って様々なタスクを実行することを得意とします。256Kのコンテキストウィンドウに対応しており、通話中のQ&Aの記録や文書の要点整理はもちろん、調査・分析などのタスクについても高い性能を発揮します。ブログ記事もぜひご一読を。 - AWS Blu Insightsを発表
機械学習と生成AIによってメインフレームワークロードのモダナイズを支援する新機能、AWS Blu Insightsを発表いたしました。AWS Blu Insightsは、Amazon Bedrockで稼働する生成AIモデルやAmazon Translateをはじめとする機械学習サービスを活用し、プログラムコードとファイルの説明の自動生成、メインフレームで利用されるプログラミング言語からの変換、プロジェクトに関する自然言語による問い合わせなどを容易に実現します。詳細についてはドキュメントをご覧ください。 - EvolutionaryScaleのESM3 1.4BモデルがAWSで利用可能に
Amazon SageMaker JumpStartとAWS HealthOmicsでEvolutionaryScaleが提供するESM3 1.4Bモデルをご利用頂けるようになりました。ESM3は生物学の領域に向けて、新しいタンパク質を生成するモデルで、地球上の38億年に及ぶ進化の過程で発生した数十億種類のタンパク質配列を利用してトレーニングされています。これによって指定された配列、構造、機能的制約に基づいてタンパク質配列を生成することができます。日本語のブログ記事も出ていますのであわせてご確認ください。 - AWS ParallelCluster 3.10がリリースされTerraformとAmazon Linux 2023をサポート
AWS ParallelCluster 3.10がリリースされました。ParallelClusterはオープンソースのクラスター管理ツールで、HPC用途やAI/MLワークロードを実行するためにも利用されています。Terraformへの対応により、他のリソースを自動構築する仕組みと同様に、クラスタを構築・管理可能です。今回のリリースではSlurmとの連携やEC2 Spot Instanceに関する新しいリソース割り当て戦略も利用可能になっています。 - Amazon SageMaker Studioのユーザ体験をカスタマイズ可能に
Amazon SageMaker Studioは、機械学習の開発ステップのすべてに対応できる統合開発環境です。今回、管理者がユーザに提供するSageMaker Studioにおいてツールやアプリケーションなどの表示・非表示を制御し、より開発者にとって使いやすい環境を提供できるようになりました。 - Amazon SageMaker Model Registryがクロスアカウントのモデル共有に対応
Amazon SageMaker Model RegistryがAWS Resource Access Managerと統合され、AWSアカウントをまたいだ機械学習モデルの共有や検出が可能になりました。複数のAWSアカウントを利用している環境において、アカウントをまたがった開発・構築作業が容易になります。
- Amazon Q in Connectがリアルタイムに順を追ったガイドを提供可能に