Amazon Web Services ブログ
週刊生成AI with AWS – 2024/9/30週
みなさん、こんにちは。AWS ソリューションアーキテクトの小林です。
実は週刊生成AI with AWSも、新たなメンバーに執筆に参加してもらうことにしました。既に前回と前々回を執筆してもらっているのですが、当面の間はソリューションアーキテクトの木村と小林の2名体制でやっていきますので、引き続きよろしくお願いします。
さて、10月に入りましたのでAWS公式ウェブマガジン、builders.flashの記事が公開されていますので生成AIに関係するものをピックアップしてみます。
- Amazon Bedrock を用いた障害対応報告書とポストモーテム文書自動作成 ~ ペアーズ における生成 AI 実装解説(株式会社エウレカ様)
- AWS Lambda で動く、プロンプトライクな物体検出システム ~ RoomClip による生成 AI 実装解説(ルームクリップ株式会社様)
- Raspberry Pi と Web カメラ、生成 AI を使ってショート動画とベストショットを撮影できるカメラスポットを作ってみた!
- 生成 AI コーディングアシスタント Amazon Q Developer をグラレコで解説
- 新卒 2 年目がサービス開発し AWS Summit Japan でブース展示するまで
今回も読み応えのある記事ですね。最近はイベント登壇で様々な都市に行くことが増えているのですが、たくさんのお客様が生成AIに興味を持たれている印象です。そんなお客様をご支援する「AWSジャパン生成AI実用化推進プログラム」も引き続き参加者募集中です。こちらのほうも、よろしくお願いいたします。
それでは、9 月 30 日週の生成AI with AWS界隈のニュースを見ていきましょう。
さまざまなニュース
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- AWS生成AI国内事例ブログ: 鴻池運輸様、Amazon Bedrockによる社内ナレッジの共通知化を推進
鴻池運輸様では、グループ全体で約24,000名の従業員の方が様々な事業に携わっており、社内ナレッジが拠点毎に蓄積されていました。2022年にナレッジのデータベース化を実施したものの、表記や名称の揺れ、情報検索意図などが異なることによりその活用が進まないという課題がありました。これを解決するためにAmazon BedrockによるRAG(Retrieval-Augmented Generation, 検索拡張生成)チャットアプリケーションを、アプリケーション開発者数名と生成AIを担当する開発者1名のチームで、4ヶ月の期間で本番実装を成し遂げました。直近でナレッジ利用数が従来の8倍に増加するという効果を確認しており、ユーザ入力の分析やRAGアプリケーションの応用に取り組む計画です。 - AWS生成AI国内事例ブログ: エウレカ様、ペアーズの障害対応の自動化と効率化をAmazon Bedrockによって実現
ペアーズ(Pairs)は株式会社エウレカ様が運営する、恋活・婚活のマッチングアプリです。ユーザ間の連絡手段でもあるため障害時には迅速な対応が必要ですが、リーダーの責務が多く苦労する場面がありました。そこでAmazon Bedrockによる障害対応の一部を自動化・効率化することでリーダーの負荷軽減に取り組みました。その結果、障害対応報告書と振り返り文書の自動生成により工数を約60%削減することに成功、負荷軽減によりリーダーの心理的負担を軽減することにもつながっているとのことです。builders.flashにも記事が出ていますので、あわせてどうぞ。 - AWS生成AI国内事例ブログ: カシオ計算機様、社内AIチャットボットによる生産性向上を可能に
カシオ計算機様は、グループ全体の従業員9,594名に向けて社内業務支援のためのAIチャットボットを展開しています。用途に応じたモデルを選択できるAmazon Bedrockで、AnthropicのClaude 3.5 Sonnetを活用し、コーディングサポートや文書作成/構成、検索、翻訳、ブレストといった用途で約1,200名のアクティブユーザに利用されているそうです。今後の展望として画像生成やPDF解析、RAGによる社内文書検索などの実装にも取り組んでいるとのことです。 - AWS国内AI事例ブログ: ANA様、整備タグOCRシステムをAmazon TextractとAmazon Rekognitionを活用し開発
ANA様は自社保有の航空機だけでなく、外部からリースしている機体も運航しています。リース返却時には、機体に装着されている部品を特定するために過去の整備記録に基づいて部品情報が記載された整備タグの情報を抽出しリスト化する業務が発生しますが、これまでは人力で調査を行っており大変な負担だったそうです。この課題を解決するためにAmazon TextractとAmazon Rekognitonを利用するとともに、画像処理ライブラリのOpenCVを組み合わせる事で必要なタグ情報の抽出を実現し、作業者の負担を大幅に軽減することに成功したとのことです。 - ブログ記事「【開催報告 & 資料公開】RAG の困りごとは今日で一気に解決! AWS 生成 AI Dive Deep」を公開
多くのお客様がRAGによる課題解決に取り組んでいらっしゃいますが、RAG特有の悩みを抱えるケースもあります。こういったお客様に向けて、RAGの実践的なテクニックや、よくある課題の解決方法、AWSサービスの使い分けを開設するセミナーを開催しました。このブログではその開催報告という形で、動画や資料を公開していますので「RAGで悩んでいる」という方はぜひチェックしてみてください。 - ブログ記事「Amazon Bedrock Agents と Amazon CloudWatch Logs を使用した、生成 AI によるクラウド運用ワークフローの実現」を公開
AWSクラウドでシステムを運用している状況を想定し、アプリケーションログに含まれるエラーを分析・問題解決のために生成AIを活用する方法を解説するブログ記事が公開されました。Amazon Bedrock Agentsが基盤モデルの推論機能を用いてログのエラー解決を求めるユーザの支持を分解し、対応計画を作成するようになっています。Bedrock Agentsの利用例としても興味深い記事になっていますので、ぜひご一読を。
- AWS生成AI国内事例ブログ: 鴻池運輸様、Amazon Bedrockによる社内ナレッジの共通知化を推進
サービスアップデート
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- Amazon Q in QuickSightでユーザ毎にパーソナライズされたデータストーリー生成が可能に
Amazon Q in QuickSightは、蓄えたデータに基づいたドキュメントやプレゼンテーションを生成し、インサイトの獲得と次のアクションへの気づきを提供するデータストーリー機能があります。今回、ユーザ毎にパーソナライズできるようになりました。例えばユーザの所在地や仕事上の役割に適した、より有益な情報を提示できます。 - Amazon Bedrock Knowledge Basesでデータ取り込みジョブの停止が可能に
Amazon Bedrock Knowledge BasesはRAGを容易に実現できる仕組みです。RAGでは組織内のデータを取り込んでおく必要がありますが、今回データ取り込みジョブを停止するStopIngestionJob APIが利用可能になりました。過って開始したジョブを中断したい場合に、1回のAPIコールで処理の停止が可能です。 - 生成AIによるバーチャルアシスタント、AWS re:Post Agentを発表
AWS re:PostはAWSに関するナレッジを蓄積した情報コミュニティです。re:Post Agentは生成AIを組み込んだバーチャルアシスタントで、投稿された質問に対する回答を自動生成することによって、ユーザが必要な情報を素早く入手できるようになる仕組みです。 - Amazon Q BusinessがHIPPA対応に
Amazon Q BusinessがHIPPA(Health Insurance Portability and Accountability Act)対応になりました。医療やライフサイエンスに関係する企業・組織において、HIPPAで規制される機密性の高いデータを扱うケースでも、Amazon Q Buisnessをご利用頂けるようになります。 - Amazon Bedrockがソウルとオハイオリージョンでご利用可能に
Amazon Bedrockがアジアパシフィック(ソウル)と米国東部(オハイオ)のリージョンでご利用頂けるようになりました。リージョン毎に利用可能な機能とモデルはそれぞれリンク先のドキュメントをご覧ください。 - Amazon Bedrockのモデル評価機能がAWS GovCloud(米国西部)リージョンで利用可能に
様々な基盤モデルを選択できるAmazon Bedrockには、モデルの評価を自動・半自動で行うことができるモデル評価機能(Model Evaluation)が用意されています。今回、AWS GovCloud(米国西部)リージョンでもこの機能が利用可能になりました。なお、東京リージョンでは既にご利用いただけます。 - Amazon SageMaker JumpStartがAWS GovCloud(米国西部, 米国東部)リージョンで利用可能に
Amazon SageMaker JumpStartは数百のトレーニング済みモデルや、アルゴリズムを提供する機械学習のためのハブで、すぐに作業を開始することができます。この仕組みが、米国西部と米国東部のAWS GovCloudでもご利用頂けるようになりました。
- Amazon Q in QuickSightでユーザ毎にパーソナライズされたデータストーリー生成が可能に